「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

「ハイレゾ」 VS 「CD」

2016年12月31日 | オーディオ談義

クルマで10分ほどの所にお住いのYさんはフルート奏者でありながら大のオーディオ愛好家である。日常的に生の音で鍛えられた耳はなかなか鋭いものがあって、ときどき我が家のシステムを試聴していただいて「ご意見」を参考にさせてもらっている。

久しぶりに先日「お出でになりませんか」と連絡してみると「丁度こちらから連絡しようと思っていたところでした。ハイレゾ音源を手に入れましたのでぜひ実験させてください。」

「それは願ったりかなったりです。どうぞ~」


すぐにお見えになったYさんにひとまず、「フィリップス」のユニットでボーカルを聴いてもらったところ、これが大絶賛。

「この箱に容れてから見違えるほどよくなりましたね。相性がいいんでしょう。これ一つあれば、もうグッドマンは要らないんじゃないですか」

そんなあ・・・「ブルータス、お前もか」(笑)。

それはさておき、すぐに実験開始。

Yさんによると、購入したオーディオ雑誌にキーワードが記載されており、それをパソコンに打ち込むと192ビットの音源を「USBメモリ」にダウンロード出来る仕組みとのこと。ダウンロードした中の1曲がたまたま所有しているCDの中に収録されており「192ビット」と「CD」(44.1ビット)の両方の音源の聴き比べができるというわけ。

さあ、我が家のシステムで「ハイレゾ」 VS 「CD」の一騎打ちだ。

まず「ハイレゾ」を聴くシステムは次のとおり。

マランツのDAコンバーター「DA11-S1」(USB端子付き) → パワーアンプ「71Aプッシュプル」 → スピーカー「フィリップス」

次に「CD」を聴くシステムは次のとおり。

CDトランスポート「ヴェルディ・ラ・スカラ」(dCS) → DAコンバーター「エルガー プラス」(dCS) → パワーアンプ「71Aプッシュプル」 → スピーカー「フィリップス」

パワーアンプとスピーカーは共通なので純粋に「音の入り口」部分での勝負になる。

「ハイレゾ」か「CD」か、はたして軍配はどちらに?

もったいぶらずに結果から言うと、「CD」の完勝だった。音のプレゼンスというのか、録音現場の雰囲気の再現性に明らかに一日の長があった。

「我が家のDAコンバーターは192ビットの音源もCDも両方再生できるのですが、圧倒的にハイレゾの勝利でした。今回の実験では明らかにマランツとdCSの(DAコンバーターの)差が出ましたね。<エルガー プラス>っていうのは凄いんですねえ!」と感嘆の声を上げられるYさん。

画像の上段がdCSの「エルガー プラス」、下段がマランツの「DA11-S1」。

          

「そりゃあマランツと比べるとdCSはお値段が(定価で)8倍以上も違うんですから良くて当たり前でしょう。デジタル方式で音を聴こうと思ったらハイレゾとか何とかいうよりもDAコンバーターの性能こそが決め手ですよ。」

ここぞとばかり購入したお値段をひけらかして畳み掛けてくる「嫌味な男」がここにいる(笑)。

ここで話を急展開させよう。

このところ「グッドマン VS フィリップス」ではどうもグッドマンの分が悪い。
いくら「好みの音」といっても、これでは「やせ我慢」になってしまう(笑)。

実はお金をかけないで音をよくする方法が一つ残されている。

そこで登場するのがスピーカーの設置方法だ。

メル友の「I」さん(東海地方)によると「平行法」というのがあって、そのポイントの一つに部屋の1/3~1/2の位置にスピーカーを置くのだという。

通常のリスナーの感覚ではSPからリスナーまでの間の空間の大きさをまず優先するし、これまでの自分もそうだったが、この場合はSPの背後の空間を有効に生かすという考えみたいだ。

音の速さは1秒間に330mほどだから、広さがせいぜい30㎡ほどの我が家のオーディオルームならSPからの直接音も天井や壁からの反射音もほぼ瞬時にリスナーの耳に届くので、SPの後ろの空間を大切にするという発想はとても新鮮に感じた。

思い立ったが吉日、ぼちぼち帰り支度をはじめられたYさんに声をかけてみた。「悪いけどウェストミンスターを30センチほど前に出したいので加勢してくれない~。」

嫌も応も無い強引なお願いだが、気心が知れたYさんのことだから一つ返事だった。

二人してエンヤコラサと100kg以上あるSPを前にせり出した。力仕事はここまで~。

Yさんに丁重にお礼の言葉を述べて引き取ってもらってから、今度は広くなったSPの後ろ側からの反射音を増やしてみようとフィリップスを載せていた木の台を解体して後ろの壁の両隅を中心に張り付けることにした。

つい先日、日曜大工で作ったばかりの代物だが「君子は豹変する」のだ(笑)。

これだけでは足りないので近くのホームセルフの店に駆け込んで追加の集成材を購入しカットしてもらった。

簡単な作業なのでバタバタと済んで完成後の姿がこれ。SP周りの壁を板で囲んで反射能力を高めた。防音効果もあるかもしれない。

           

心なしか音がとても生き生きとしてきたようだ(笑)。

一番変わったのはグッドマンの「AXIOM300」だった。ウェストミンスターを前に出したせいで、丁度部屋の1/3の場所ぐらいに置かざるを得なくなったが、とても直接音と間接音とのミックスがうまくいって、程良い奥行き感のもとSPの存在感が薄くなって、とても自然な鳴り方!これは音場づくりがうまくいっている証拠だ。

SPと周囲との距離を測ってみると、後ろ側の壁から2m、横の壁から1m、SP同士の間は2m、リスナーとSPの間は3mといったところ。

SPの位置をちょっと変えるだけでこんなに音質が良くなるなんて「眼からウロコ」だった。

読者の方々も、もし気が向かれたら思い切ってスピーカーを部屋の1/3ほどの場所に移してみて試聴されてはいかがだろう。な~にダメなときは元に戻せばいいだけの話。

何といってもお金は「びた一文」かからないんだから、やってみる価値はありますぞ~(笑)。

以上、
これが今年最後の投稿になります。

この1年を振り返ってみますと、平々凡々たる日常生活の中、こと「オーディオ」に関しては相変わらず波乱万丈でした。

日替わりメニューのようにクルクル変わるシステムの「朝令暮改」振りには唖然とする方も多かったと思いますが、読者の皆様方には、よくもまあ飽きもせず根気よく(笑)、付き合っていただきどうもありがとうございました。
 

どうか良いお年を迎えられますように~。 


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幻の銘球 「V503」 DA30系 

2016年12月29日 | オーディオ談義

つい先日、古典管の泰山北斗「北国の真空管博士」からご連絡があって、「オークションに珍しい球を出品してますのでお知らせします。」

                                 

オークションの解説文にはこうあった。 

「今や幻の銘球といってよい英Ediswan社(MAZDAブランド)のV503を出品いたします。 
 
DA30(PX25A)系の中ではスタイル音質ともに最も評価が高く入手の困難な球です。プレート特性がWE300Aに近似していてプレートのサイズもWE300Aとほぼ同じです。 
 
出品にあたりHICKOK533型チューブテスタにてWE300Bの設定を準用してチェックしました。
 
Gmテスト 
 廃棄値:3060 
 標準値:4600(この数値以上であれば新品同様)
 
 測定値:4800 
ショートテスト:合格 
ガステスト:合格 
ライフテスト:合格 
 
本品は中古と思われますが測定結果は極めて良好(新品同様)ですので末永くお使いいただけると思います。古いものゆえベースの緩みや製造時からと思われる電極の傾斜等ある場合があります。
 
ノークレームノーリターンを基本にお願いしますが、商品説明と現品との間に著しい乖離がある場合は返品をお受けします。」

以上のとおりだが、「V503」なんて初めて聞く型番で海外からの直接ルートを持つ博士ならではの珍品だろう。「DA30」系だそうだが、「DA30」は有名な直熱三極管「PX25」(イギリス)の親分筋にあたり真空管愛好家の中でも最上級者が使う球として知られている。

しかし、今どきこんな稀少な球の価値が分かる人、ひいては使う人がいるのかしらんと率直な疑問を持った。

最低価格が設定されないままの出品なので最悪の場合はひどい安値で落札されると実にお気の毒なことだがと心配したが、それは杞憂に終わった。

21日(木)の夜が落札日だったが最終落札価格は「187、100円」也。

たった1本のお値段だから驚く!どうやら博士の出品物にはその道の専門家によって予約登録がなされているに違いない。

さっそく博士に電話を入れた。

「18万7千円で落札されましたけど予想どおりでしたか?」

すると「ええ、まあ・・・。前回のときと似たような価格です。落札者は九州管内の方ですよ。ヨーロッパに長く在住されてイギリス本国からV503を5本持ち帰ったそうですが、4本は友人に差し上げたそうで残りが1本となり、今回の落札した1本でペアとして鳴らしてみたいそうです。現用中のアンプはウェスタンの86型だそうですよ。」

「ホウ~、凄い人がいるもんですね。V503ほどの高級管になると鳴らし方が難しいんでしょう。アンプの設計にも一工夫いるんじゃないですか?」

「まあ、それほどではありませんよ。PX25に比べると大したことはないです。」

「PX25ってそんなに鳴らし方が難しんですか?改造していただいた我が家のPX25はとてもいい音で鳴ってますよ。」

「そこなんですよ。改造するときに独自の裏技を回路の2か所に施しましたが、これをやっているのは全国でも〇〇さんのアンプだけですよ。」

「それはよかった。ありがたい限りです。」

         

このアンプの回路の中に独自の裏ワザが組み込まれている!(笑)

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魅惑の真空管アンプ~その10~

2016年12月27日 | 魅惑の真空管アンプ

クラシック音楽の世界では「9」という数字が忌み嫌われていることをご存知だろうか。

たとえばマーラー作曲の『大地の歌』は、交響曲第8番に次いで完成され、本来ならば「第9番」という番号が付けられるべきものだった。しかし、ベートーヴェンやブルックナーが第9交響曲を書いて世を去っていることを意識したマーラーは、この曲に番号を与えず、単に「大地の歌」とした。

その後に作曲したのが純然たる器楽作品であったため、これを交響曲第9番とした。マーラーは続いて交響曲第10番に着手したのだが、周知のとおり未完に終わり結局「第九」のジンクスは成立してしまったという逸話がある。

こういう大作曲家たちに“あやかる”のは、まことに不届き千万だが(笑)、書き連ねてきた「魅惑の真空管アンプ」シリーズも「~その9~」に留めておくつもりだった。

だが、しかし、どうしても「~その10~」を書かざるを得なくなったので以下、その辺の事情について記してみよう。

1970年前後のテレビ用の真空管を出力管にした「6FD7」アンプだが、ほとばしるようなエネルギー感にたいへんな魅力を秘めており、新たにカテゴリーを設けて「魅惑の真空管アンプ」シリーズとして連載してきた。

製作者様からのご好意によってデモ用アンプを預かっているので希望者(メール)に貸し出しているが、大いに好評を博し注文が相次ぐ状況となって累計20台近くとなって目が回るほどの忙しさ。納品は3月以降ということになっている。

これまでの実戦では5勝3敗1引き分けといったところで、すでに5人の方が申し込まれている。

          

つい最近では、12月上旬、横浜市にお住いのSさんに1週間ほど貸出していたところ、どうやらご当家のシステムと相性が良かったみたいで、めでたく購入の運びとなった。

ここで、Sさんから届いた試聴結果のメールを紹介させていただこう。匿名ということで無断掲載お許しください。

「試聴させていただきましたアンプの受注は大盛況との由、何よりと存じます。AXIOM80を常用しておる方もさほど多くはないと思いますが、このスピーカーで音楽と対峙している時の緊張感には麻薬的なものがあり、時間的、予算的な側面はあったにせよ、それでもついつい戻ってきてしまう繰り返しの50数年でありました。  

その昔学生時代に、西部百貨店池袋店のオーディオコーナーに瀬川冬樹さんが相談窓口をされていたことがあり、小生の好みのジャンルや予算、装置の相談をした事があるのですが、その時スピーカーはAXIOM80とタンノイⅢLZで充分ではないかとのアドバイスを頂きました。 

まあ、貧乏学生相手の話だったかも知れませんが、小生は既に瀬川教の信者となっておりましたので、その後は向上心を放棄し、ひたすらそのアドバイスを金科玉条として今までやってきました(苦笑)。  

今般折角の機会を頂きましたので、これからは時に可愛い『6FD7メインアンプ』を活かしてシャープな輝きのある元気ある音を楽しみたいと思います。 この度は色々とお世話になり有り難うございました。」

いやあ「6FD7アンプ」の凄さを共有できて光栄です!

それにしても瀬川冬樹さんですか~、懐かしい・・・。

昔はそれこそいろんなオーディオ誌を読み漁ったものだが、一番肌にピッタリきた評論家は瀬川さんだった。

Sさんと同様に無条件の「瀬川教の信者」だったし、今だってそうだが、ご存命中に一度でもお会いしたかったのでSさんがほんとにうらやましい。こういうときこそ、「しがない田舎暮らし」を恨みたくなる(笑)。

もし瀬川さんが長生きされて今でもご活躍されていたら、現在の日本のオーディオ界もこんな惨状にならなかったのでは、と思わせるほどの魅力的な感性の持ち主だった。

2013年に復刻された瀬川さんの遺稿集「良い音とは 良いスピーカーとは」は今なお座右の書になっている。

                     

以前のブログにも書いたことがあるが、この本の中で強く印象に残る一節を紹介してみよう。

「コダックのカラーフィルムの染色の良さは世界的に知られている。それは映画の都ハリウッドが育てた色だといってもいい。そのハリウッドがトーキーの発達とともに生み・育てたのがウェストレックスのトーキーサウンドであり、アルテックのA7に代表されるシアタースピーカーである。

世紀の美男・美女が恋を語るスクリーンの裏側から、広い劇場の隅々にまで明瞭でしかも快いサウンドをサーヴィスするために、シアタースピーカーの音質は、人の声の音域に密度をもたせ、伴奏の音楽や効果音の現実感を損なわないぎりぎりの範囲までむしろ周波数帯域を狭めて作られている。

大きなパワーで鳴らすことが前提のスピーカーの場合に、低域をことさら強調したり帯域を延ばしたりすれば恋の囁きもトンネルで吠える化け物になってしまうし、低音域のノイズも不快になる。高音もことさら延ばしたり強調すればサウンドトラックの雑音や歪が耳障りになる。

こうしたスピーカ-が生まれたのは、1930年代で、その頃のレコードや蓄音機の性能からみればトーキーのシステムはワイドレンジであり、高忠実度であった。けれど現在の高忠実度の基準からみればシアタースピーカーはもはや広帯域とは決して言えない。

しかしこのことから逆に、音楽や人の声を快く美しく聴かせるためには、決して広い周波数レンジが必要なのではないということを知っておくことは無駄ではない。

低音が80ヘルツ、高音が7~8キロヘルツ、この程度の帯域を本当に質の良い音で鳴らすことが出来れば人間の耳はそれを本当に良い音だと感じることが出来るのである。

以上のとおりだが、要するに周波数レンジを拡大することは決して悪いことではないが、それは「基本的な周波数帯」(80~8キロヘルツ)において「分解能」と「透明感」をしっかり確保していることが大前提となっての話。

言い換えると、80ヘルツ以下の低音と、8キロヘルツ以上の高音は「おまけ」と考えておけば、実に視界がすっきりする。

しかも「基本的な周波数帯」が十全だと、それ以下の低音もそれ以上の高音も欲しくなくなるから不思議。

その点、「6FD7」アンプは「基本的な周波数帯」をしっかり確保したうえで、低音域も高音域もほどよく伸びているのでまったく言うことなし。我が家の「AXIOM80」の線の細さをピッタリ補完してくれるし、Sさんはとても「いい買い物」をされたに違いないと思っている(笑)。
 


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戻ってきたグッドマン「AXIOM150マークⅡ」

2016年12月24日 | オーディオ談義

11月下旬のブログで掲載していた修理目前のグッドマンの「AXIOM150マークⅡ」。

         

ご覧のとおり満身創痍にもかかわらず立派な音が出る。オークションで手に入れたものだが、惜しいことにある特定の周波数のときにだけビビリ音が出るので修繕先を探し回ったのは既に記載したとおり。

3本持っている同型ユニットのうちの1本なので、取り立てて急ぐことはないが大のお気に入りなので是非スペアとして持っておきたいところ。こういう古典型に属するデリケートなツクリのユニットを修繕できるところは豊富な経験を持つショップに限る。

仲間たちに当たってみたところ、強い後押しがあってようやく北海道の「ファンテック」さんに辿りついた。電話の受け付けはやってないので、メールだけのやり取りになったが、過去の修理履歴をお伺いしたところ、

「過去に Jensen A12 や agnavox 等のフルレンジ系の励磁型ユニットや、Peerless の初期のユニットの歪(ビビり)の改善修理を行ったことがございます。原因はさまざまではありますが、エッジ部分の亀裂の共振が原因であった
事もございます。JBL 150-4 のコーン紙のみの交換も行ったこともあります。」

とのことだった。

複雑な励磁型ユニットの修理を出来るくらいだから「お任せしよう」と意を決して、先方のご了解のもとに厳重に梱包して発送した。

そして首を長くして待つこと1週間、ようやくメールが届いた。

「この度はありがとうございます。フィザーコーンとセンターキャップから歪音の大半が発生しておりました。

フィザーコーンの補強、割れていたセンターキャップの交換を終えましてその後テストを行い、フィクスドエッジの数カ所からも極僅かではありますが歪が確認されました。センターキャップを外した時に判明いたしましたが、コーンの根元に近い所にも僅かな亀裂がございました。この部分は補修いたしました。エッジやコーンの罅割れを拝見しますところ、元々何か外部からの衝撃があったのでしょうか。

エッジの歪箇所にダンプ剤を塗布いたしましたところ、ほぼ完全に歪音がなくなりました。現在とても良い音質で鳴っております。ボーカルは勿論の事、最も歪が判りやすいピアノソナタも濁りの無い音質でございます。

この様な状態までになりましたので、リコーンの必要は無いものと思います。見た目を重視される場合は別ですが、音質の面では、極力オリジナルのフィザーコーンと元のコーンはそのままにされた方が良いのではないかと思います。

今回の修理でございますが、センターキャップの交換、ボビンの内側の清掃、フィザーコーン及びエッジの補修となりますが、14,040円(税込み・返送料込み)という事でお願いしたいと思います。(内センターキャップ交換は 8,650円となっております)。」

以上の内容で宜しければ、修理を完了させていただきます。」

以上のとおりだったが、非常に修理代金が安いことに驚いた!別のショップでは「AXIOM300」のときに同じような修理で倍額以上取られた記憶がある。

北海道からの発送だったので金曜日出発で、我が家に到着したのは20日(火)の午前中だった。

        

見事に補修してあった。エッジ部分には保護のためセロファンが巻いてある。すぐに「無事到着しました。」と報告すると、「素晴らしいユニットですね。末永くご使用頂けることを願っております。」と返事があった。

スピーカーの専門家から「素晴らしいユニット」だと、太鼓判を押してもらったが、これまでいろんなユニットを試してきたがこれに優る好みのユニットにはとうとう出会わなかった。

これで現用中の「AXIOM150マークⅡ・イン・ウェストミンスター」のユニットがいつ故障しても大丈夫、いつも大船に乗った気持ちでいられる。

ただし、小出力の真空管アンプで鳴らしているので入力オーバーなどはおよそ考えられず、たぶんこのスペアの出番はこないと思うが…(笑)。


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グッドマン VS フィリップス

2016年12月22日 | オーディオ談義
先日(10日)の試聴会でのお客さんのコメントがいまだに耳に残っている。

「グッドマンはよくある上級者の音には違いないんですけど、フィリップスと比べると感動を覚えるというまでにはいきません。」

並み居るグッドマンの3個師団の精鋭部隊がフィリップスの一個小隊に撃破されてしまった!(笑)

同じ身内同士の勝負なので、まあ、うれしいやら、悲しいやらだが、やっぱりしばし考えるところがあった。この間の事情を察したメル友の「I」さん(東海地方)から次の様なメールが届いた。


「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない」(塩野七海・ローマ人の物語より)
 

これをオーディオに置き換えると「人間ならば誰にでも、音のすべてが聴こえているわけではない。多くの人は、聴きたいと欲する音しか聞いていない」となるでしょうか。
 
オーディオは人生と同じくらい難しくて、面白いな~と思います。」

ほんとに、思い通りにいかないという点ではオーディオと人生はよく似ている。

この機会に改めて「グッドマン VS フィリップス」について考えてみた。


まずグッドマンについて

良く言えば「いぶし銀」を思わせるような音、悪く言えば「暗~い音」である。周波数レンジの広さとかクリヤーさとか、オーディオ的な音を望むと裏切られる。したがって「ちょっと聞き」には不利なタイプ。

人間生きていると楽しいときもあれば落ち込むときもあるが、グッドマンには思い通りにはいかない人生の憾みをそっと慰めてくれるところがある。そういう聴き方をする人に通じる何かがあって、その魅力にハマるともう手放せない(笑)。

「音の品位」を言葉で表現するのは難しいが、たとえて言えばヨーロッパの上流社会において「50歳代の貴婦人が持つ気品」といったところだろうか。


次にフィリップスについて

世界中の放送局でモニタースピーカーとして採用されていただけのことはあって、オーディオ的に聴くとまったく不足のない音である。録音現場の雰囲気までをも再生するかのような実力を秘めている。音の品位をグッドマンの例にたとえると「30歳代の貴婦人」にたとえられるだろう。こちらの方が瑞々しいのはたしかだが相手にするのはちょっと疲れる(笑)。

ただし、このフィリップスのユニットはとてもエンクロージャーを選ぶところがあるので要注意である。

以前、ウェストミンスターの箱に容れて半年間程鳴らし込んだが現用の「AXIOM150マークⅡ」に比べるとイマイチだった。このユニットに長大なバックロードホーンは合わない。

そこで、あまり期待せずに非常にシンプルな自作の箱(といってもそれなりのノウハウはあるが)に容れてみたところ、まるで水を得た魚のように生き返ったわけだから、まさに「瓢箪から駒が出た」ようなものだった。

また、接続コードを変えただけで音に精彩が無くなったりするのでとてもセンシティブなユニットである。今のところもっとも相性がいいのは「チューブ・オーディオ・ラボ」(新潟県)さんから購入したウェスタンの単線ケーブルでこれを使うとほかのケーブルはもう使えない。とうとう3ペア購入してしまった。


ところで、どちらをメインスピーカーにしようかと迷うところだが、とても決められないので当分の間両にらみといこう。

ちなみに最近、インターネットラジオで「モーツァルト専門チャンネル」を楽しんでいるが、システムを2系統にして鳴らし分けているので、その接続状況を記録しておこう。

NTTの「モデム」からLANケーブルでマランツのDAコンバーター「NA11-S1」に繋ぎ「INTERNET RADIO」を選択する。

☆ 第一系統

「NA11-S1」 → パワーアンプ「171シングル」(インターステージ・トランス入り) → スピーカー「AXIOM150マークⅡ・イン・ウェストミンスター」

☆ 第二系統

「NA11-S1」 → 「デジタルケーブル」 → DAコンバーター「エルガープラス」 → プリアンプ「大西式プリ」 → パワーアンプ「71Aプッシュプル」 → スピーカー「フィリップス」

以上のとおりだが、丁度いい機会なので使用している「71系のパワーアンプ」について一言述べておこう。

仲間うちで「クセのあるスピーカーを使って困ったときは71系アンプを使え!」という合言葉がある。それほど71系の真空管は素直で使いやすい。

オーディオ仲間曰く、「71系は礼節を知っている球です。けっしてスピーカーの弱点を露わに暴き立てることがありません。」まったくその通りだと思う。ただし満点を取るまでには至らないが(笑)。

         


現実に「AXIOM150マークⅡ・イン・ウェストミンスター」に「171」アンプ(出力1ワット)を使うと、とても音が素直になる。我が家に限っての現象かもしれないが、大型スピーカーになればなるほど小出力のアンプが似合っているのだから不思議。むしろ、そっちの方がエンクロージャーの響きをよく出してくれる。

真空管アンプの場合、「パワーが足りない」という嘆き節をよく聞くが、むしろ「パワーがあり過ぎる弊害」についてもっと声高に語られていいような気がする。ただ、我が家の場合は昔の能率の高いSPユニットばかり使っているのでその兼ね合いもあるが。

最後に、「グッドマン VS フィリップス」の結果だが、「いい音」なのはフィリップスだし、「好きな音」はグッドマンとなる。

両方の音を随時に切り替えて楽しめるのはまったくオーディオ冥利に尽きるが、「聴く時間」の長さとなると、やっぱり「好きな音」の方なんですよねえ(笑)。
 

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日曜大工

2016年12月20日 | オーディオ談義

「日曜大工」という言葉を久しく聞かないので「まだ生き残っている言葉なのか」とググってみると、次のように書いてあった。

「日曜大工(にちようだいく)とは、大工とは別の職業を持つ者が、休日や余暇を利用して行う木工作業を指す。木工に限らず自作作業全般をDIY(DO IT YOURSELF)と言うので、従来「日曜大工」と呼んでいた簡単な木工作業もDIYに含まれ、DIYと呼ぶことも近年では多くなった。」

どうやら「死語」になっているわけでもないが「DIY」の方がハバを利かしているらしい。

「毎日が日曜日」の人間にとっては「日曜大工」もへちまもないが、加勢(人手)が要る仕事をするときは家内が居る土、日曜に限る(笑)。

一昨日(18日)に次のようなDIYを2件行った。

☆ 置台の製作

         

最近インターネットラジオを聴くときに大いに重宝しているマランツのDAコンバーター「NA11-S1」(USB端子付き)。実はこの上に同じDAコンバーターの「エルガー プラス」(dCS)を直に載せていたのだが、周知のとおり「機器同士の重ね置き」はオーディオの世界ではご法度とされている。

筐体の強度や振動の問題とかいろいろあるんだろう。以前から気にはなっていたのだが、「まあ、いいか」で通してきたが何といっても見た目が悪いので画像のように置台を作ってみた。我ながら感心するほどピッタリと寸法通り。

心なしか「インターネットラジオ」で聴くモーツァルトの音楽が一段と伸び伸びとしてきた感じがする(笑)。

☆ スピーカーの置台

さあ、今度は本命のスピーカー置台の製作である。

                

これは完成後の画像である。

これまでウェストミンスターの上に直置きしていたフィリップスのスピーカーだったが、フィリップスにとっては快適だったろうが、ウェストミンスターにとっては「眼の上のたんこぶ」みたいな存在だったろう。

可哀想になったので、これまた置台を作ってやることにした。近くのDIY店に駆け込んで、集成材などを調達し事前に測った寸法通りにカットしてもらい家に持ち帰った。

さあ、ここからがドリルとドライバーの出番。けっして複雑な作業ではないがやたらに手間はかかる。どうにか3時間ほどで左右のペア分を完成。

          

これは途中経過の画像だが、こういう置台を作るときに「L型金具」は欠かせない。1個につき12本のネジ穴が空いている。全部で8個取り付けたので「12本×8個=96本」のネジを締めた。右手首がけんしょう炎になりそうだったが、「いい音」を得るためにはこれくらいの努力は仕方がない(笑)。

工作が済んだので「お~い、チョット加勢してくれ~」と、家内に来てもらってどうにか置台をスピーカーの上に滑り込ませた。

問題は音である。ひときわ繊細なフィリップスのことだから「ご機嫌を損じなければいいが」と、心配しながら音出ししてみたところ思わず蒼くなった。

音の重心が上がったのである。ただでさえ中低音域が薄い傾向にあるのに、これ以上薄くなるなんてたまったもんじゃない!

原因は置台がヤワなのでエンクロージャーの振動が悪い方向に作用しているに違いないと踏んだ。そこで置台の片端に超重量級の「ステンレスホーン」付きの「JBL075ツィーター」をエンヤコラサと載せてみた。

これで随分良くなったが、マダマダ。

そこで、すかさず「二の手」を繰り出した。これまで気持ちよく振動させるためにエンクロージャーの裏蓋をネジ止めせずに簡単に布テープで止めていたのだが、エンクロージャーの剛性を一気に高めるために3センチほどのネジを5本使ってキッチリ一体化させてみた。

これがメチャ良かった。アンプのボリュームを上げても、とても締まった感じの音が出てくれて、これならオーケストラも十分いける。

初めの状態のときよりもずっと良くなったので結果オーライだった!

やっぱり労を厭わずに「日曜大工」はやってみるものだ(笑)。

アッ、書くのを忘れていた。自作の箱についてだが、ものはついでと空色からカーキ色に塗り直してみた。こっちの方が部屋の雰囲気にマッチしていそうだ。
 


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WE300B 刻印 新品元箱入2本組

2016年12月18日 | オーディオ談義

              

つい先日のオークションに極めて信頼の置ける出品者(在大阪府:欧米管を取り扱う専門業者さん)から、出品されていたのが表題の「WE300B 刻印」(画像)。言わずと知れた「天下の銘管」である。

オークションの解説文を引用させてもらうと、

「WE ウエスタンエレクトリックの直熱3極出力管WE300Bです。 言うまでもなくWEの代表的銘球で、出品していますのはWE300Bでも最初期の刻印ベースのものです。

どちらも新品元箱入りで、WE300B刻印の未使用品は現在では入手困難になっていると思います。 1940年頃の製品。プレート上部側面の3枚のマイカ板が長い長方形になっている点やプレート下部のマイカ板の中央部だけに白いマグネシアを塗布してある点(劣化の進行を防ぐため)など刻印時代の特徴が見られます。 どちらも大型のO型ゲッタリングのものです。

内1本で(右側)、プレート上部マイカ板3枚の内、1枚がありません。 管内に落ちていることも無いので、製造過程からのものです。 なお、他の2枚とプレート上部マイカ板の端部とでプレートはしっかり保持されていますので、強度的にも問題は有りません。

また、厳重なWEの品質検査をくぐり抜けて世に出て来ているので、ある意味貴重なサンプルといえると思います(最後の画像参照)。

どちらも新品元箱入りで(元箱には部分的にシミやいたみが見られます)、今回出品のため測定しただけです(足ピンもぴかぴかの状態で、WEオリジナルのデーターシートも残っています)。 特性はTV7/Uにより確認済みです。 測定値は基準値58に対し75、77となっています。入札価格は2本セットの価格です。 よろしくお願いします。」

以上のとおりだが、この出品者さんはたしか3年前ぐらいにも「WE300B 刻印ペア」を出品していた記憶がある。それに奇しくも同じ12月の出品時期なので、金回りが良くなる「ボーナス時期」を当て込んでの出品かとつい思いたくなる。

はたまた、うがった見方をすると「大金が動く師走なので金銭感覚が麻痺することを当て込んでの出品か」とも邪推したくなる(笑)。

それほどの「高額商品」と言いたいわけだが、そのときの落札額は「99万円」で、落札者の方も存じ上げており、古典管のコレクターとしてとても著名な方である。「貴重な文化遺産を〇〇系に渡したくなかったのが動機の一つです。」とお伺いしている。

さて、今回の「WE300B刻印」はどのくらいのお値段が付くのだろうかと興味津々で高みの見物ときた。欲しいことは欲しいが、ビンボー人が簡単に手を出せるような代物ではないし、しかも自国の通貨価値に不安を持つ〇〇系の成金さんたちが換金手段として利用しようと暗躍するだろうから派手なお値段になるのは必至だ。

落札時刻が刻々と迫る中、数時間前までずっと入札額が50万円程度で推移していたものが、案の定というか落札時刻直前になってお値段がポンと跳ね上がって落札価格は「912千円」。

やっぱり、落ち着くところに落ち着いたようで(笑)。

ただし、その価格に見合った音を出そうとなるともう大変~。非常にクセのある球として鳴らしづらいことでも有名である。

裏技を使った独特の回路の採用、使用するハンダや配線材の選別、マッチングのいいトランスの選択など、これらを上手に組み合わせるのはとても難しく「日本国内でそういう技術を持っている人はごく少人数に限られます。」とは、名人の域に達したアンプビルダーさんの談である。

したがって、うかつに手を出すと大火傷して後遺症がずっと尾を引く球である。

実は、「WE300B」を5本も持っていながら「もがき苦しんでいる」自分がそうなのだから、これは間違いなし(笑)。
 


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モーツァルト礼讃

2016年12月13日 | 音楽談義

寄る年波には勝てず、クスリをもらうために月一度の病院通いが欠かせない。

つい先日も午前9時ごろに出かけたところ早々に混んでいたので仕方なく待合室の新聞を読んでいたら「毎日新聞」(朝刊)の一面の下の方に、最近のヨーロッパの極右政党の躍進に絡んでこういう記事があった。

「ドイツでのアンケートで最も偉大なドイツ人のトップに<モーツァルト>がなった時、在独オーストリア大使館から彼は自国のザルツブルク生まれだとのクレームがついた。ちなみにザルツブルクの近くにはブラウナウという町もある。

ドイツ人は言った。

<オーストリア人はモーツァルトには声を大にするが、ブラウナウ生まれのヒトラーについては沈黙する>」(片野優ほか著「こんなにちがう ヨーロッパ各国気質」)。

思わず笑ってしまった。

とても面白い記事だったので、自宅に戻ってググってみたところ同様の記事が見つかった。良かった!これでそっくりコピーしてブログのネタに出来る(笑)。

ちなみに、ザルツブルクはモーツァルトの生誕時(1756年)はドイツ諸邦のひとつだった。ザルツは「塩」、ブルクは「砦」の意味で、もともと「岩塩」の産地としても有名である。

ついでにモーツァルトのフルネームは「ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト」だが、ウォルフガングのウォルフ(ウルフ)は「狼」のことだし、ガングは「牙」を意味する。狩猟民族ならではの由来だと推察している。

それはさておき、一番興味を惹かれたのはもっとも偉大なドイツ人のトップに選ばれたのがモーツァルトだったということ。

勇敢な建国の英雄を選ぶでもなく、アインシュタインのように人類に貢献した科学者でもなく、ましてや偉大な政治家でもなく、芸術家を選ぶというドイツ民族の洗練された(?)センスに感心。

そして、その芸術家とはゲーテのような偉大な文学者でもなく画家のデューラーでもなく「音楽家」だったのだからさらに驚く。

これはいかにドイツ人が日常的に音楽に親しみ敬愛しているかの証左になるだろう。

また、その音楽家がバッハやベートーヴェンではなく、ましてやワーグナーでもなく「モーツァルト」だったことに大きな意義がある。クラシック音楽の中でもモーツァルトの「天馬空を駆ける」ような作風は他の作曲家たちとはまったくかけ離れていて、別格の存在として位置づけされるものだ。

おそらくドイツ人はモーツァルト好きと同時に「世界を見渡しても古今東西、こういう偉大な芸術家はいないぞ」とばかりに「ドイツ民族の優秀性を誇る」気持ちがきっとあるに違いない。

さすがに古典音楽を「不埒な演奏」から護るために、わざわざ「ドイツ国家演奏家資格制度」を設けているだけのことはある。

このブログでもたびたび書かせてもらっているが「モーツァルト好き」に関しては「人後に落ちない」と自認しており、インターネットラジオでもモーツァルトの専門チャンネルを一日中つけっぱなしにしているが、「こんな美しい旋律があったのか」と、ハッとすること再々だし、その調べの自然な流れには魅了されるばかり。

日本社会で「モーツァルトが好き」なんて言うと、せいぜい「キザな奴」と思われるのが関の山だが、ドイツ社会では話の分かる人間だと快く受け容れてもらえそうだ(笑)。

世界のVIPが一堂に会する主要国サミットの雑談の席で「クラシック音楽」について語れることは、何よりの教養を物語るものだという趣旨のことを元首相の中曽根康弘さんが言ってたが、その点、安倍さんは大丈夫だろうか?(笑)

ヨーロッパの雄「メルケル首相」(ドイツ)と対峙するときにクラシックの素養があればきっと話が弾みますよ~。

さて、最後に肝心のモーツァルトの音楽の魅力について触れておかないと画竜点睛を欠くというものだろう。

自分ごときがどんなに口を酸っぱくして言ってみても説得力が皆無なので、ここでベストセラー作家の「百田尚樹」さんに登場していただこう。

                      

著書「至高の音楽」の中で、
「文学は音楽に適わない」と述懐されている方である。音楽家が言うのなら「我田引水」だが、文学者が言うのだからより一層信憑性が増す。

本書の中でモーツァルトの最高傑作「魔笛」(オペラ)について、こういう記述がある。

「ひどい台本にもかかわらず、モーツァルトの音楽は言葉を失うほどに素晴らしい。魔笛こそ彼の最高傑作という音楽評論家は少なくない。

モーツァルトは最晩年になると、音楽がどんどん澄みわたってきて、悲しみを突き抜けたような不思議な音の世界を描くようになるが、魔笛はまさしくそんな音楽である。

曲はどこまでも明るく、軽やかで、透明感に満ち、敢えて恥ずかしげもなく言えば、もはや天上の音楽と呼びたくなるほどである。」

さすがにプロの作家は表現力が違う。

モーツァルトの作品は皆等しく素晴らしいが、「魔笛」はさらに群を抜いた存在だ。

「音楽がどんどん澄みわたってきて悲しみを突き抜けたような不思議な世界」の境地に到達できると、あなたの音楽人生は一変しますぞ!(笑)

 


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持ち味を発揮する4系統のシステム

2016年12月06日 | オーディオ談義

「そもそも一つの家に4系統もシステムがあるなんて、ちょっとやり過ぎじゃないか。この人、どうやら音キチで真面目に音楽を鑑賞するタイプではなさそうだ。」と、どうも読者から思われていそうだが、けっして単なる音キチではありませんぞ。

それぞれに持ち味があって、とても捨てがたいだけです。ほら、ペットを何匹も飼っている家ってあるでしょう、あれと同じですよ(笑)。

これまでそれぞれのシステムをお互いに競わせるようにして音質向上を図ってきたところ、まだ道半ばだが最近どうにか恰好がついてきたので、この際システムの現況を記録しておこう。(2016.12.6現在)

          

まずスピーカー群だが、3系統のシステムにグッドマン(イギリス)のアルニコ・マグネット型のユニットが内蔵されており、画像右側から「AXIOM80」、「AXIOM300+スーパーツィーター」、「AXIOM150マークⅡ」(ウェストミンスターの箱入り)、そしてその上にあるのが「フィリップスの口径30センチ」(アルニコ・マグネット型)(空色の自作箱)。AXIOM80を除いていずれも口径が30センチのダブルコーン型ユニットである。

二つのDAコンバーターに組み合わせている真空管アンプは次のとおりで、各システムの持ち味を述べておこう。

第1系統

DAコンバーター「エルガー プラス」(dCS) → パワーアンプ「PX25シングル」(GEC) → スピーカー「AXIOM150マークⅡ」(箱はウェストミンスター)

このシステムの特徴は大型スピーカーが醸し出す「音のゆとり」にある。典型的なブリティッシュ・サウンドでけっしてレンジを欲張った音ではないが、こういう音でないと伝わってこない音楽があることもたしかである。

第2系統 

DAコンバーター「エルガー プラス」(dCS) → パワーアンプ「371Aプッシュプル」(ナス管) → スピーカー「AXIOM80」

※ 話題の「6FD7」アンプはただ今横浜市のSさんに貸出し中。

繊細な再生にかけてはこのスピーカーの右に出るものはない。ヴァイオリンの濡れたような響き、ボーカルの生々しさは相変わらず独壇場である。瀬川冬樹さん(故人)が仰っていた「繊細でふっくらした艶やかな響き」が目標だが、ふっくら感がもう少し欲しい気もするところ。

第3系統

DAコンバーターとパワーアンプは第2系統と共通、スピーカー「AXIOM300+スーパーツィーター」 

低音域から高音域までレンジの広さにかけてはこれが一番。スーパー・ツィーターが実に良く利いていて、シンバルの再生には惚れ惚れするほど。ソースのジャンルを選ばないのが強味。

第4系統

DAコンバーター「27ixVer3.0」(ワディア) → パワーアンプ「171シングル」(トリタン仕様) → スピーカー「フィリップス」

音がストレートに前に出てくる印象があって、音の鮮度とスピード感にたいへん満足。もう少し音に翳りが欲しい気もするが、この自作のエンクロージャーでは「ない物ねだり」だろう。

以上の4系統の中であえて横綱級といえば第1系統のシステムだ。

ずっと、持て余し気味だったエンクロージャー(ウェストミンスター)の中に、つい最近、グッドマンの「AXIOM150マークⅡ」を容れたところ、まるで水を得た魚のように本領を発揮し出したのである。

これまで50年近く、散々オーディオ道楽をやってきたが、やっと「理想とする音」に近づいたと言っていいだろう。

「フ~ン、どうせあんたが勝手にそう思うだけだろう。」と言われるのが関の山だが(笑)、ここで生き証人のお二人さんに登場してもらおう。

たまたま、別の用事で我が家にお見えになった大分市内在住のMさんとNさんだが、これ幸いとばかり我が家の最新のシステムを聴いていただいた。去る12月1日(木)のことだった。

順番に4系統のシステムを鳴らしてみたところ、すべて好評を博したが、とりわけこの第1系統のシステムを手放しで絶賛された。

「こういう素晴らしい箱に容れてもらえる150マークⅡは幸せ」 「音にゆとりがあって他のシステムとは次元が違う」 「音響空間を絶妙のホール感が満たしている」 「まるでヨーロッパの上流社会を思わせるような気品のある音」等々

「ウェストミンスター」の箱(内部改造)と、グッドマンの「AXIOM 150マークⅡ」のイギリス勢同士の組み合わせが、どうやら功を奏したようだが、「オーケストラ、ジャズもボーカルもうまく鳴らしている、これ一つあればもう他のシステムは必要ないんじゃない。」には、ほんとうに参った。

いや、けっして大げさではない。このブログはたぶんご両人ともご覧になっているので「真っ赤なウソ」を書くわけにはいかないんだから~(笑)。

これまでウェストミンスターの箱を手放そうかと何度も思ったが、やっぱり最後は「執念」がモノをいった
。それにしてもグッドマンさまさまだし、その素晴らしさを教えてもらった仲間にも感謝~。

最後に、つい先日、刑務所主催の木工製品の販売会があり、手ごろなオーディオラックがあったので購入した。服役者の手になるもので、更生の一助にでもなればと年に1回の開催にはいつも出掛けている。な~に、実は安価というのが魅力なのだが(笑)。

          

手前の木製ラックがそれで、名称は「カラマツ伸縮式ワゴン」(キャスター付き)となっていて、おかげでアンプ類が綺麗に収まって見場がチョッピリよくなった。
 


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メル友たちからの反応

2016年12月03日 | 独り言
このところ「レコードは面倒くさい」「デジタル遺品」など、相次いで物議をかもしそうなブログを掲載したところ「メル友」たちからさっそく反応があった。

まず、

☆ 「レコードは面倒くさい」について

記事の発火点となった「I」さん(東海地方)から次のとおりメールがあった。
 
「レコードの記事の件ですが、<わかってないなー!>という、お叱りの意見がたくさんくると面白いですね。当方は、見物だけで、すみません(笑)。」

たしかに!

「面倒くさい」なんて発言はオーディオ愛好家にとって禁句だと思うし、レコードが本来の実力を発揮したときの凄さも十分理解できるので、お叱りの意見がたくさん来るかもと身構えていたのだが、まったくの音沙汰なしだった。まあ、いちいちこの程度の内容を相手するのも、それこそ「面倒くさい」ということだったのだろう(笑)。

しかも、「お叱り」よりも「ご賛同」の意見があった。県名不詳のMさんからは次のようなメールが届いた。


「LPは面倒くさい」はまったく同感なのでメールをしました。オーディオ関係のブログを拝見していると真空管関係、そしてアナログ関係がいちばん熱いようです。実は私もLPに格別な音質的優位を感じたことは殆どありません。

自宅での普通の機械で聴く範囲では取り扱いが面倒でパチパチノイズがつきまとうLPで聴こうという気にはなりません。もっとも、グレードの高いプレーヤーで再生すれば違ってくるかとは思いますがその差はさほど出るとは思えません

ただLPの場合は音質が変化するパラメーターが多いのでオーディオを楽しむという意味では上かもしれません。


さて扱いが簡単なCDさえも、HAP-Z1ESというハードディスクプレーヤーを導入してからは面倒になってしまいました。プレーヤーは1TBの容量なので約2000枚近くのCDファイルが格納できてスマホでのリモコンアプリの快適この上ない操作性の良さ、簡単に聴きたい曲にアクセスできる便利さを経験してしまうとCDを聴くのも面倒になってしまいました。

音質的にもHAP-Z1ESとDCD-SA1とを比較すると前者の圧勝です。是非ファイル再生オーディオに挑戦なさることをお薦めしたいと思います。聴き比べする時など便利なことこの上ないです。」

そうですか!一考の余地ありですね。
次に、

☆ 「デジタル遺品」について

先日、「朗読のCD-R」をいただいたSさん(新潟県)から次のようなメールが届いた。

表題は<男性は「別途、名前を付けて保存する」、女性は「上書き保存する」>

「デジタル遺品」を読みながら、次のようなことを考えました。

男性は忘れられない名前、思い出やメールは保存しておきますよね。女性は佐良直美の歌のように「いいじゃないの、今が良けりゃ」で、上書き保存なのです。

男性が亡くなって、残された家族がお父さんのパソコンを操作していたら、お父さんの忘れられない名前や画像が出てきて、「まあ、お父さんたら---」てなことになったとしたら。やはり、初期化しておくべきですね(笑)。」

成る程!


すぐに次のようなメールを送信した。

「メールありがとうございます。たしかに、女性は今が良けりゃいいという傾向がありますね。たとえば、クルマを駐車するときが端的な例です。前向きで駐車場に突っ込むのが女性、後のことを考えて出やすいように後ろ向きに入れるのが男性です。しかし、あっさり過去を捨てて上書き保存できる人種をときどきうらやましく思うことがあります(笑)。」

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