「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ用の電柱

2017年05月31日 | オーディオ談義

高校時代の同窓生でオーディオ仲間のU君(福岡市)からメールが飛び込んできた。

U君は大学で機械科を専攻したエンジニアで、これまでにも度々貴重なアドバイスをもらっている。

タイトルは「オーディオ用の電柱」。

「今朝の情報番組で、オーディオ用の電柱を立てたオーディオマニアの紹介が放送されていました。オーディオ用電柱を立てているマニアは全国で50人ほどいるとのことです。

アンプの製作や購入を考える場合、出力管を真っ先に考え勝ちですが、スピーカー駆動の原動力となる音声電力は、電源(直流電源)を音声電流で変調したものですから、音質に影響を与える要素として、一つにはもちろん「音声電流」がありますが、もう一つには元となる直流電源の質があります。

無制限に使えることから、交流を整流して直流電源として使うのが普通ですが、本来なら良質な本当の直流電源が望ましいところです。

専用の電柱が良い理由として、AC100V電源のインピーダンスを低く抑えられるということが挙げられると思います。インピーダンスが低いと、供給電流の変動に無理なく追従出来るということと、外来ノイズを拾い難いという2つのメリットがあります。」

すぐに返信メールを打った。

「オーディオで最後に行くつくところは電源対策ですが、ほんとうは初めに取り組むべきところでしょう。
オーディオに深入りすればするほど電源の重要性に気付かされます。その情報番組ぜひ観たかったですね~。」

すると、このやり取りのメールを見たS君(同じく同窓生)から次のようなメールが配信された。

「以前に深夜の長寿番組“タモリ倶楽部”でオーディオ用My電柱を取り上げていました。訪ねた先は世田谷の住宅街の一角、5年程前新築の仕事場を兼ねた一軒家で、御主人はレコーディングエンジニア。  

敷地内のMy電柱にはトランスが2個取付けてあり、一つは仕事用でもう一つは趣味のオーディオ用との事。
工事依頼先の“㈲出水電器”島元社長によると、国内で工事を受けるのはたぶん自社だけで、今まで約40件の工事実績ありとの事。

専用分電盤には振動吸収板を取付け、チタン製ネジ使用(丸頭使用、角頭は不可)。工事費は分電盤、約50本のアース貫入打込みを含め 200万円弱で、毎月の追加電気代は数千円程度との事でした。

オーディオマニアのタモリ邸の大きなアンペア数契約に比べて、電気代がはるかに安いとの事。
 
番組中のタモリの試聴感想は“こんなクリアーな音は聴いた事がない!”。ネットで“出水電器”を検索すると、アンプ類も製作しているようです。
 
タモリ倶楽部の番組のことも…。ご参考になるかどうか…。」

というわけで、現在、S君が録画したDVDのコピーを送ってくれるというので心待ちにしている。

さ~て、いよいよ我が家の電源対策である。

とても「My電柱」とまでにはいかないが、15年ほど前に「200V電源」を引いて、専用の電圧器で「100V」に降圧し「デジタル系機器(4機器)の専用電源にしている程度だ。

以前、某メーカーのクリーン電源機器を使った事があるが、たしかにクリーンかつピュアにはなるものの、その一方で一番大切な「力感」というか「伸び伸び感」が薄れていく印象を受けて、使用を中止した経緯がある。

個人的にはクリーン電源なるものにはうかつに手を出さない方がいいと肝に銘じている。

最近の目立った事象では、いつも悩まされているのが真空管「PX25」アンプのハムノイズで、ほんの微かな音だがどうしても気になるので、ヤケクソになって高価な電源タップから、別のコンセントから引いたわずか1000円程度の平凡な樹脂製のタップに変えた途端に大幅にノイズが収まったのには驚いた。

もう何が何だか、サッパリ「わけ」が分からん(笑)。
 

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クルマの修理にも「セカンド オピニオン」

2017年05月30日 | 独り言

これまでのブログでも度々記してきたように誰もが忌み嫌う(機器などの)故障だが、我が家の場合にはむしろ結果的に「幸い」をもたらすことが圧倒的に多い。1か月前のテレビの故障による買換えもそうだった。

だが、しかし・・・。今回ばかりはそうもいかないようだ。

走行距離12万km、12年目に入ったクラウンの調子がどうもおかしい。走行中に左後ろ側のタイヤからブォーッという異音が周期的に耳に入って来る。

どうせタイヤのバランス調整の不調ぐらいだろうと簡単に考えて、ディーラーに駆け込んだところ、とんでもない故障だった。

「ハブ&ベアリングの摩耗」、ついでに「ショックアブソーバーの油漏れ」が見つかった。それはいいのだが、修理代を聞いてビックリ。

15万6千円なり!ウ~ン、参った!

「故障したほうがかえっていい」なんて、偉そうに“うそぶいた”バチがきっと当たったに違いない(笑)。

さあ、絶体絶命のピンチ。今度ばかりは「ピンチはチャンス」と、いきそうもない。折しも来たる7月が車検の時期に当たる。

選択肢は二つあって、いっそのことクルマを買い替えるか、それともこのまま修繕しいしい乗り続けるか。

こういう場合はクルマに詳しい知人のNさんに相談するに限る。

すると「クラウンなら20年以上乗ってる人を知ってるよ。丈夫なクルマだから修理した方がいいんじゃない。ディーラーは修繕代がメチャ高いよね~。クルマも古いんだし、程度のいい中古の部品でも十分間に合うんだから、安くて上手なクルマ屋さんを紹介してあげよう。」

「そうだよねえ。いまさら買い換える元気はないし、それに12年も経ったクルマに必要以上のお金を突っ込むのももったいないしねえ。ディーラーさんには悪いけど、この際ついでに車検も一緒にやってもらおうかなあ。」

というわけで、紹介された「Hモータース」に行ってみた。

話がスイスイ運んで「点検・修理のために車を3~4日預からしてもらいます」とのことで、代車を手配してもらった。マツダのデミオというクルマ。

          

色合いといい、こういう機会じゃないと絶対に選択しないクルマだった(笑)。

そして翌日、クルマ屋さんから電話がかかってきた。

「修理の見積もりがでました。ちょっと高いんですが・・・・」

「いいですよ。遠慮なく仰ってください。」

「5万円ほどかかるんですが・・・」

思わず「しめた!」と心の中で叫んだが、平静を装って「大丈夫ですよ。その額で結構ですから修理をしてください。」

「ハイ、判りました」

15万円の修理代が何と5万円に!

どうやらクルマの修理にも「セカンド オピニオン」が必要なようだ。

なお、(お金が浮いた)ついでに気が大きくなって「ドライブレコーダー」も付けてもらうことにした。これで万一、事故ったときも安心だ。

結局、これって、もしかして「故障して良かった」ことになるかもねえ(笑)。
 


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スピーカーボックスの「板厚」による音の違い

2017年05月27日 | オーディオ談義

前々回のブログでは近所にお住いのオーディオ仲間Yさんともども新旧のAXIOM80の試聴を行いかけたところまで、記しておいた。

やや大袈裟に「驚愕の事実が判明した!」なんて終わり方をしたが、その事実というのはこれから述べる「スピーカーボックスの板厚による音の違い」のことだった。

「そんなこと、ちっとも驚愕なんかではない!」と、お腹立ちの方がいるかもしれないが、どうかお許しを(笑)~。

それでは、その間の事情を縷々述べてみよう。

          

再掲画像になるが、左側の「AXIOM80」が自作の箱に容れた「最初期版」で、一番肝心な「ARU」(ユニットの背圧調整器)は箱の底に付けている。その一方、右側がグッドマン指定の箱に容れた「復刻版」。

駆動するアンプはこのほど新装なった「WE300Bシングル」で、特色としては「1951年製のWE300Bオールド」、「入力トランスとインターステージトランスが付いていて出力トランスは個人による手巻き」、「前段管2本、出力管2本のヒーター回路はそれぞれ4つの別系統になっている」、「製作者による独自の回路」、「磁界とは無縁な銅板シャーシ」といったところ


         

自分とYさんの感想はほぼ一致した。

「自作の箱の方が伸び伸びとした音です。音響空間に漂う音の余韻が何時までも尾を引く感じがしてことのほか響きが美しい。その一方、指定箱の方は少々堅苦しくて、何だか会社員がキッチリとネクタイを締めてかしこまっている感じがします。」

軍配は明らかに自作箱の方に上がったわけだが、この原因はいったい何だろうか?

まず、「AXIOM80」の最初期版と復刻盤のユニットの違いが挙げられるが、製作時期の違いがあるとはいえ、そもそも同じメーカーが作ったものだし、それほど大きな違いはないはずで、むしろ箱の違いの方が大きいように思われた。

ヒントはどうも箱のツクリにありそうだ。

折しも、このときにYさんが持参されたのが最新号の真空管専門誌「管球王国」(2017 SPRING Vol.84)だった。

                    

本書の172頁に「フルレンジユニットのチューニング法大公開」という特集があって、何と「AXIOM80」のオリジナルと復刻版の両方のチューニング法が公開してある!今どき「AXIOM80」なんて時代遅れのSPを特集するなんてほんとうに奇特な記事としか思えない(笑)。

ただし、「AXIOM80」に関してはいくら場数を踏んだオーディオ評論家といえども、流した「血(お金)と汗と涙」の量はとうてい自分には及ばないはずなので、鵜呑みにするつもりはまったく無い(笑)。

案の定、やっぱり首を傾げる部分もあったが、記事の中で印象的だったのは「このユニットには板の厚みが薄い方が絶対に向いていると思います。」という言葉だった。

そのとおり!

冒頭の画像に戻っていただくと、自作の箱の板厚は「1.5cm」、指定の箱は「4cm」と、とても大きな差があって、この差が音の響きにモロに影響したとしか考えられない。

というわけで、「AXIOM80に限ってはメーカー指定の箱に拘らない方がいいですよ。もちろん選択はあなたの自由ですが。」とだけ言っておこう。

なお、あまりにも両者の音質の差があったので、少しでも縮めてみようと、翌日になって二つの実験を試みた。

一つ目が指定箱の方の吸音材の入れ替え。

大量のオリジナルの吸音材を剥ぎ取って、その代わりに自作の箱に実行したように「ティッシュペーパー」を張り付けてみた。箱内部の容積拡大効果も大いに見込める。

な~に、悪かったときは元に戻すだけだ、命まで取られる心配はないだろう(笑)。

              

二つ目の実験が「ネジ締め強度」のレベル調整。

これには2段階あって、初めはAXIOM80をバッフルに取り付けるときの締め付け強度の調整、次はそのバッフルを箱に取りつけるときの締め付け強度の調整がある。

まず、前者のときはガッチリと締め付けて固定し、後者のときは比較的緩めに締め付けてバッフルの響きを生かすように心がけた。

これら二つの対策を講じて試聴してみると音の伸び伸び感、生き生き感が見事に蘇り、効果絶大!


調子に乗って、もっといろいろ喋りたいところだが、これ以上だと「眉唾物だ!」と思われそうなので省略した方が無難だろう(笑)。

いずれにしても「ティッシュペーパー」の活用や「ネジ締め強度」のレベル調整など、おカネは一銭もかからないので、ヒマを持て余している方は実行されてみてはいかがだろう。
 


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見事なJBL「パラゴン」(レプリカ)の製作

2017年05月25日 | オーディオ談義

幾つものスピーカーを操っていると、すぐに足りなくなるのがSPターミナルだ。SPコードを接続するための大切な小物だが、SPコードを繋ぐときにもハンダ付けすればいいものを便利さにかまけてSPターミナルを使うので、つい出番が多くなってしまう。

先日、いよいよ足りなくなったので調達しようと別府の隣町のSさん宅(日出町)へクルマを飛ばした。

Sさんはスピーカーのエッジなどの関連部品を手広くネット販売されている方で、それだけに留まらず以前のブログ(「見事なJBL「メトロゴン」2013.12.10)で紹介したように、
ご自宅でJBLの「メトロゴン」を製作されている。

15分ほどで無事到着。電話で予約していたので「やあ、お久しぶり。お邪魔しま~す。」

「いつもブログを拝見してますよ~。最近、真空管アンプに興味を覚えて部品を集めているところです。」と、Sさん。

「TRアンプもいいでしょうが、昔のスピーカーには真空管アンプの方が相性がいいみたいですよ~。」と無難に応じておいた(笑)。

オーディオルームに入ったところ、いきなり目に飛び込んできたのが「パラゴン」だった。

          

「エッ、メトロゴンからパラゴンに切り替えたのですか!」と、驚いた。

それにしても見事なツクリである。とりわけ独特の曲線を持った足の部分の製作が困難を極めたそうで、実際に見本を取り寄せてその通りに復元したそうだ。

わざわざアメリカから木材を取り寄せて、組み立てられるそうで1台当たり6か月ほどかかるとのことで壮年のSさんだから出来る根気仕事だ。それでもオークションに出品すると全国津々浦々にわたって右から左へとすぐに売り切れるとのことでヤル気満々。

これまでに4台完売し、大きな図体にもかかわらず3分割できるので輸送もそれほど困難ではない様子。

この仕上がりならまさにプロ級の腕前だと納得。お値段も信じられない程安い!

音を聴かせてもらったが、大型システムならではのゆったりして安心できる音だった。

それに、お見かけどおり、パラゴンは家具としての調度品的な役割も十分果たせるので、都会のマンションなどのリビングルームにさりげなく置いておくととても洒落た感じだし、パラゴンの形状からして指向性に優れているので部屋のどの位置からでも聴けるのがいい。

また販売用とは別に、ご自宅用として設置されているのがこれまたJBLの「エベレスト」。

           

ホーン部分は別として、木材の部分は自作だそうで、本当にSさんは器用だ!

帰り際に「真空管アンプなら我が家に余っているのが2~3台ありますので貸してあげますよ。ぜひ、お見えになってください。」

大分県の片田舎で孤軍奮闘しているSさんだが、それほどガツガツしていない様子が好ましい。何とか応援したくなるが、当方なんて微力そのものなのでどうしようもない(笑)。

最後に、Sさんのホームページ「http//:www.hobbies-n-things.comと連絡先「0977-72-8926」を掲げておこう。
 


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オーディオ愛好家のご来訪(2017・5.19~20)

2017年05月23日 | オーディオ談義

新緑ますます鮮やかに、そして春から初夏への胎動を感じさせる今日この頃だが、過ごしやすい気候になると人の動きも活発になるようだ。

このところ相次いでお客さんがお見えになったので記録に遺しておこう。

まず、5月19日(金)に3名の方々がご来訪。

今年の3月から交流が始まったベテランのアンプビルダーのKさんとMさん(大分市在住)に加えて、今回はKさんのオーディオ仲間のUさん(宇佐市)が初のお目見えとなった。

「類は友を呼ぶ」という好例だ(笑)。

ちなみに別府から北へ向けてクルマで1時間ほどの宇佐市内にある「宇佐神宮」(国宝)は全国に約44,000社ある八幡宮の総本社であり、広大な敷地と長~い参道にその偉容さを誇っている。

Uさんはこれまでグッドマンの音は聴かれたことがないそうで、興味津々のご様子。

さあ、新装なった「WE300Bシングル」アンプの実力全開といきますか~(笑)。

はじめに、グッドマンの「AXIOM 150マークⅡ」を聴いていただき、次に本命の「AXIOM80」を、次に「フィリップス」、そして最後にJBL「D130」内蔵のウェストミンスターを聴いていただいた。

Uさんはとても寡黙な方で、試聴中はじっと目を瞑って耳を澄ましておられる。こういうタイプの方は「音」よりも「音楽」が好きな方が圧倒的に多い。ジャズもクラシックも両方聴かれるとのこと。

一番感心されたのは「AXIOM80」で聴くヴァイオリンの音だった。

ポツリと「昔はいいスピーカーがあったんですねえ。」とうやら、好印象を抱かれたご様子でホット一息。

ちなみに、どういうシステムを所有されているのかお訊ねしてみると、レコードを主体にマッキントッシュの真空管アンプで、ヴァイタボックスの「191コーナーホーン」(以下「191」)を愛用されているとのことでビックリ。

「いやあ、191は憧れのスピーカーでしたがとうとう手に入れる機会がありませんでした。ぜひ一度聴かせていただきたいですねえ。」

「はい、191の前はタンノイのオートグラフを使っていましたが国産箱に不満があって191に代えました。明日から海外に1週間ほど行ってきますので、それからならいつでも結構ですよ。」

「是非お伺いさせていただきます。」

「マッキンと191」の組み合わせならおよそ想像はつく。我が家の「細身な音」と違ってきっと豊潤な音だろう。

ちなみに、Uさんが我が家に乗りつけられたクルマは真っ白なベンツの新型スポーツクーペだった。すべての持ち物を一流で統一されているようで、我が家とは随分レベルが違う(笑)。

次は20日(土)。

クルマで10分程の近所にお住いのYさんに来ていただいた。

Yさんは以前から「WE300B」アンプに興味を示されており、戻ってきたら「是非聴かせてください」との強い要望を受けていたのでようやく実現。

初めに「AXIOM80」(以下「80」)を聴いていただいたところ「いいアンプですねえ。これまでの音とはまったく次元が違いますよ。アンプ次第でこうも変わるものですか。透明感といい、音の緻密さといいまったく言うことありません。80のスピードにアンプが負けていないのが何よりも素晴らしいです。こうなると80の魅力全開ですね。」と絶賛、また絶賛。

日頃から辛口のYさんがこれほど激賞されるのは我が家にお見えになってから初めてだ(笑)。

「80は駆動するアンプ次第で激変するとはかねがね実感していましたが、これほどとは思いませんでしたよ。」と、応じた。

しかし、初めにあんまり「いい音」で聴くと、続くスピーカー群が貧弱に聴こえてしまうのが難点だ(笑)。

いいアンプはスピーカーの長所も短所もモロに炙り出す「両刃の剣」となる。

というわけで、あのフィリップスの音でさえも聴き劣りしてしまった。「80と比較するのは酷ですが、ちょっとスピード感が鈍いですね~」とYさん。

「ハイスピードの点で80に適うスピーカーは無いでしょう。何時でも取り換えが利くようにバッフルに取りつけた復刻版の80がありますのでフィリップスと交換してみましょう。」

10分ほどで交換終了。

        

左側が自作の箱に容れた「AXIOM80」(最初期版)、右側がグッドマン指定の箱に容れた「AXIOM80」(復刻版)。

さあ、Yさんともども両者の聴き比べだ。

そして、驚愕の事実が判明した!(笑)

以下、続く。
 


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指揮者「トスカニーニ」の虚しい顔

2017年05月21日 | 復刻シリーズ

大好きなオペラ「魔笛」(モーツァルト)の50セット近くに亘るCD盤、DVD盤の視聴を飽きもせず繰り返し聴いているが、久しぶりに見方を変えて指揮者に焦点を当ててみよう。

綺羅星の如く並ぶ数ある指揮者の中で一番印象に残るのは1937年のライブ演奏をCD盤(当時はSP盤)に遺してくれた伝説の指揮者「
トスカニーニ」である。

          

トスカニーニの芸術を表現するにはこれ以上ない名文があるのでそっくり引用させてもらう。引用先は
「栄光のオペラ歌手を聴く」(2002年4月、音楽の友社刊)の序文。

「アルトゥーロ・トスカニーニ。20世紀に活躍した指揮者たちの中でも、その偉大さと名声において、疑いなく五指のうちに入る人物である。その彼が、ときにひどく虚しい顔をしていることがあったという。

自分が指揮した演奏会の後に、である。うまくいかなかったから、ではないらしい。オーケストラがミスをしたから、でもないらしい。それなら、彼は烈火のごとく怒り狂うばかりで、おとなしくしているはずがない。

演奏会が特に良い出来で、指揮者も演奏者も聴衆も、一体となって完全燃焼できたような晩にこそ、彼は虚しい顔をした、というのである。

理由は、想像するに難くない。

今、たった今体験した音楽が、もはやあとかたもなく虚空に消えて、自分の肉体だけが現世に残っていることに、彼はどうしようもない喪失感を味わわされていたのだろう。

それが演奏家たるものの宿命であった。

画家は絵を、彫刻家は彫像を、建築家は建造物を、詩人は詩を、作曲家は楽譜を形として現世に遺す。

しかし、演奏家は、トスカニーニが生まれた19世紀後半までの演奏家達は、聴衆の思い出の中にしかその芸術を留めることができなかった。彼と、彼の聴衆が死に絶えれば、その芸術は痕跡すら残らない。以下略」

以上、音楽に完全燃焼する指揮者トスカニーニの面目躍如たる姿を伝えている文章である。これは彼がいかに演奏に熱心に取り組み愛しぬいていたかの証左であり、そのまま作品の充実感、完成度につながっていく。これほどの感情移入がなければ名演、名盤は生まれてこない。

この魔笛のライブが終了したときにも同様にきっと彼は虚しい顔をしたに違いない。この日から、今日まで80年が経過している。当時、劇場にいて鑑賞年齢にふさわしい30歳以上の人が現在まで生きているとすれば全員が110歳以上になる。まず、大多数が生き残っておらず、当日の演奏の模様を詳しく語れる人はもういない。

しかし、私達は当日の演奏を機器の性能が十分でないためまことに雑音の多いソースとなったが、このCDライブ盤により微かにでもその痕跡を偲ぶことができる。よくぞ形として遺してくれたと思う。それほど、この魔笛CDライブは不滅の輝きを放っている。

中でも、当時の名歌手ヘルゲ・ロスヴェンゲ(タミーノ役:テノール)の熱唱が際立っている。ロスヴェンゲは同じ1937年にビーチャム盤にも出演して録音しているがまるっきり緊張度、歌唱の密度が違う。いろんな見方があるのだろうが、指揮者によって歌手とはこんなに燃え方が違うものかといういい見本だろう。

トスカニーニ(1867~1957:イタリア)は指揮者というまだ海のものとも山のものともいえない職業に決定的な意味をもたらした最初の人物といわれている。

原譜に忠実で、いかなる主観的な解釈も許さないという姿勢を貫いた。この高度な要求を実現するためにオーケストラとも妥協せず、自分の意に添わない楽員の演奏には激しい怒りの爆発でまくしたてた。このため、楽員の誰もが緊張感に張りつめて全力で演奏しようとした。

オペラを指揮するときも同様で、「椿姫」のプローベ(予行演習)のときに求めるリズムに従わなかったという理由で、有名なバリトン歌手ロバート・メリルのところに駆けつけて頭を指揮棒でたたいたという。(「指揮台の神々」134頁)

それでもこうした侮辱的な目にたえず遭っていながら、楽員や歌手達からは真の意味での賛辞が捧げられた。

こうしたマエストロに似たタイプが現代の音楽界に是非蘇ってきて欲しいし、それはとても意義あることと思うが、才能以前の問題としてオーケストラ楽団員の「人間性と自発性」の尊重などで時代がすっかり変わってきているのでとても無理な相談だろう。

今どきの指揮者がトスカニーニみたいなことをやっていたらすぐに「ボイコット運動」が始まってしまうのがオチだ。


しかし、近年の音楽界を見ると、いい演奏にとって果たして「和気合い合いの民主主義がいいのかどうか」素朴な疑問が湧いてくる。やはり昔の幾多の名演を知る者にとっては現状は少々物足りない。やたらにスマート過ぎて、胸が打たれるような演奏がないのだ。

聴衆にとっては、上質の音楽が鑑賞できさえすればよいのであって必ずしも民主的なやり方にこだわる必要は何もないと思うのだが、やっぱり無理かなあ~。
                      


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1年2か月ぶりに戻ってきた「WE300Bアンプ」

2017年05月16日 | オーディオ談義

ようやく、1年2か月ぶりに戻ってきた「WE300Bシングルアンプ」。

          

まず、アンプの概要を述べておこう。

厚さ2.5ミリの銅板シャーシ、ドライバー管は「471B」(デフォレ)、出力管は「WE300B」(1950年代製のオールド)、整流管は「274B」(シルヴァニア)、入力トランス、インターステージトランスともにUTC(アメリカ)、出力トランスはベテラン(個人)の手巻きによるもの。

数ある真空管の中でも「WE300B」といえば泣く子も黙るほどの存在感があり、古い「刻印モノ」ではネットオークションで100万円近いお値段で取引されているほどで、これまで数々の伝説に彩られている名管だ。

とはいえ、独特のクセがあってお値段に見合った音を出すのがとても難しいことでも知られている。

さて、話は2年ほど前にさかのぼる。

当時、真空管「71A」の素直な音質に夢中になってしまい「究極の71Aアンプ」を作っていただこうと、「とある達人」に作製を依頼したが、ついそのときに「WE300Bも持ってますので切り換えスイッチを使って両方とも聴けるアンプを作ってくれませんか」と言ってしまった。

今となってはまさに「魔が差した」としか言いようがない(笑)。

出来上がったアンプは71Aが「主」でWE300Bが「従」といった趣だったが、これはこれでたいへん音がいいアンプだったが、「二兎を追うもの一兎を得ず」の例にもあるように、チョット中途半端になってしまった。

出力トランスが名門UTC(アメリカ)のシングル用だったが、如何せんWE300Bには容量が小さすぎて常に「低音域」に物足りなさがつきまとってしまいとうとう改造のやむなきに至った。

「出力トランスの交換」「WE300B真空管専用アンプへの変更」となると、大掛かりな改造になってしまい、あいにく当の製作者が当時「腰痛」だったこともあり、泣きついたのが「北国の真空管博士」(以下、「博士」)だった。昨年の3月のことだった。

博士はあらゆる真空管に精通されており、型番を言っただけで「プレート電流」や「増幅率」がスラスラと出てくるのでその頭脳はまさにコンピューター並みだ(笑)。

アンプづくりにかけても人後に落ちることはなく、現在使用中のアンプはすべて博士が手にかけたものばかりになっているほど。

「どうせなら博士の手によって日本一のWE300Bアンプに仕上げてくれませんか。時間はどれほどかかっても構いません。待ちます。」と依頼したところ、「ハイ、分かりました」。

それから待つこと1年2か月・・・。

博士の本業は農業である。4月~11月までの農繁期にかけて、集中力を要するアンプづくりを期待するのは野暮というものだろう。

それでも、今年に入って1月頃には出来上がるだろうと内心、心待ちにしていたところ博士からウンともスンとも音沙汰がない。

「はたして大丈夫かいな?」という疑念と不満が持ちあがってきたのも「むべなるかな」(笑)。

そしてこのほどようやく次のメールが入ってきた。
 

「大変長らくお待たせしてご迷惑をお掛けしました。本日発送しました。やはり300Bアンプは難しいです。真空管の中で値段に見合った音を出すのが難しい真空管の最右翼です。今更ながら自分の未熟さを思い知らされました。
 
ハムバランサーを調整しても殆どハムレベルが変わらない所を見ると残留雑音の主要因は電源トランスからインターステージトランスやインプットトランスへの誘導ハムではないかと思います。
 
改善するには大幅な部品配置の変更か必要となるため断念しました。人様にお渡ししても良いと思える音になるまで数回組み直しましたが〇〇様に気に入ってもらえるか自信はありません。 
 
☆ 使用できる整流管(フィラメント及びヒーター電流2A以下の整流管)
 
274A、83V、274B、5R4、5AR4、5V4G 、GZ32
 
☆ 使用できない整流管
 
280:(プレート電流の制限) GZ37、GZ33、5U4G(VT244):(電源トランスのフィラメント電流の制限)
 
今回はインターステージトランスで6倍ものゲインを稼いでいますのでドライバー管(171系)の多少の選別が必要になります。ドライバー管のノイズをインターステージトランスが6倍増幅してしまいますので。

以上のような内容だったのでガッカリ。ハム音が出るアンプなんて自分が一番忌み嫌う事柄である。

「1年2カ月も待たされたあげくがこの程度ですか!」と、嫌味の一つも言いたくなってしまったが、まあ実際に到着して聴いてみるまで待ってみることにしよう。それからでも遅くはあるまい(笑)。
 

北国からの荷物は延べ3日かかる。

連休明け8日(月)の午前中に届いたので、梱包を解いて無事結線完了。心臓をドキドキさせながらいよいよ音出し。

そして、うれしい悲鳴~(笑)。

一番気になっていたハム音はアンプのスイッチオンの状態でスピーカーにピッタリ耳をくっつけてもいっさい無音でSN比は完璧!

そして音が凄かった!!

「AXIOM80」、「フィリップス+デッカのリボン型ツィーター」、「AXIOM150マークⅡ+ワーフェデールのツィーター」が信じられないような音で鳴る!

周波数レンジの広さ、空間表現の広がりと奥の深さ、音のスピード感、透明感、中高音域の艶と色気などまったく言うことなし。これまでいろんなお宅でWE300Bアンプを聴かせてもらったが、この音が一番好き。博士独特のノウハウが随所に織り込まれているおかげだろう。

「WE300B」に100万円近いお金を出すマニアの心境がようやく分かるような気がした(笑)。

それにしても「博士」のメールの内容はいったい何だったのか。謙遜というのか、要求レベルが高過ぎるのか、完全主義者と言えばいいのか・・・。

いずれにしても常人の「物差し」で博士を測ってしまうのは止した方がよさそうだ。

最後に、「1年2か月も待った甲斐がありました。素晴らしい音質です。どうもありがとうございました。」との謝礼のメールに対して、博士から次のような返信があった。

「WE300Bの音の特徴は独特の艶と色気にあると思っていますが、音のスピード感との両立が難しいのです。音にスピード感が無いWE300Bアンプは厚化粧のような音になりがちです。

スピード感のある音に仕上げることができれば化粧が適度に抑制されて薄化粧の好ましい音になります。
数回の試行錯誤の甲斐あって何とか既存のWE300Bアンプを凌駕するレベルに仕上げられたのかなと思います。

しかしWE300Bの値段を考えると更にワンランク上の音を目指さねばと思ってしまうのですが。」


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一石二鳥となった「テレビの故障」

2017年05月13日 | 独り言

オーディオ機器やAV機器など機械モノを長い間使っていると故障は付き物だ。

修繕して元通りにしてもらうか、あるいは買い直すか、いずれにしてもタダで済むことはないので「ヤレヤレ、またカネ要りか」と当座はウンザリするのだが、我が家の場合、結果的にはむしろ「故障して良かった!」と思うことの方が多い。

結果的に「ピンチはチャンス」になったというわけだが、今回もそうだった。その顛末を述べてみよう。

このところ12年目に入ったシャープの液晶テレビ(45インチ)の調子がどうもおかしい。

電源スイッチは入るのだが、実際に画面が出てくるのが10分以上もかかる。明らかに異常なので、近くの電気店に修理を依頼し、シャープの修理専門部署を教えてもらったので詳しく症状を話したところ「それはチューナー部分の故障だと思います。しかし、もう機種が古いので修理部品がありません。出張して診てもいいのですが経費が無駄になるだけですよ。」とツレナイ返事。

どうやら買い換えなければいけないようだ。

さっそく近くの電気店に出かけてテレビを物色。12年前に比べると液晶の大型テレビのお値段が随分と下がっているので、大助かり。顔見知りの店員さんに「どれがいいですかねえ。」と、お訊ねすると、

「ソニーかシャープなら間違いないと思いますが・・・。」

「これまでシャープだったので今回は気分転換にソニー(4K仕様:55インチ)にしましょう。今日の午後、持ってこれますかね。」

「ハイ、分かりました。在庫がありますので午後から持って行けそうです。」と即決。この辺のスピード感は通販にない強味ですぞ(笑)。

丁度連休中のことだったが、夕方近くに持ってきた。二人がかりの作業で1時間ぐらいかかっただろうか。

テレビには直接アンテナコードを接続せず、すべて手持ちのチューナー経由で画面を観るのはいつものこと。実際にチューナーを接続してみると非常に機能が進化していることが分かった。

画像が一段とシャープになって自然だし、繋ぐのに1本で済む「HDMI」接続可能が4系統もある!これまではたったの1系統だったのだから段違い。

4系統とも手持ちのチューナーですべて埋まったが、その中でも一番収穫だったのが「スカパー」のチューナーだった。

かってCS放送のクラシック専門番組「クラシカ ジャパン」(有料放送)を3年間ほど契約していたが、高額の視聴料(月額)に悲鳴を上げて(笑)、3年間ほどで打ち切ったがそのときに2TBの容量を持つハードディスクに録りためたオペラなどの番組が山ほどある。

放送契約を打ち切っても録画した音楽番組についてはそのまま観劇出来るのでたいへんありがたい。

          

これで、音楽を聴くソースはCD(SACD)、「ひかりTV」(NTT系)、「クラシカ ジャパンの録画番組」と3系統になったが、簡単に聴き流しできるので後者の占める比率が大きくなっており、CDは段々と縁遠くなるばかり。一番の高額投資だったのに~(笑)。

実は今回、もうひとつ「おまけ」があった。

作業にお見えになった店員さんに「最近、ブログの作業をやっていて画像が思うように投稿できなかったり、どうも不調なんですけど何が原因でしょうか。もうパソコンが古くなったからですかねえ?」

と、お訊ねしてみると、いろいろ調べてもらった結果「ルーターが古くなって飛ばす電波が弱くなっているようです。もう買い換えた方がいいです。設定作業はやってあげますよ。」

パソコンは家族用に隣の部屋にもう一台あるので我が家ではルーターは必需品だ。「なるほど、ルーターが原因でしたか!完全な盲点でした。」というわけで、その足で一緒に電気店に行ってルーターを物色。

「これが一番いいでしょう」と太鼓判を押してくれた「バッファロー」製のルーターを購入して我が家に引き返し
入れ換えてもらったところ、まるでパソコンが物忘れしたようにサクサクと動き出した。

ああ、良かった!これでイライラしなくて済む。

今回はまさに一石二鳥だった(笑)。 


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オーディオ実験~その3~

2017年05月11日 | オーディオ談義

前々回からの続きです。

このところ散々楽しませてくれたオーディオ実験もいよいよ最終局面に入った。

今回の実験材料は「テクニクスのツィーター」と「OTLアンプ」で、まとめていってみよう。両方ともオーディオ仲間のMさん(大分市)が持参されたものだが、まずは「テクニクスのツィーター」から。

歳を取ればとるほど低音域とは違って高音域の方が聴こえづらくなるのは周知の事実である。

これは医学的にも証明されており、加齢によって音の高音域振動を感じ取る耳の入り口の繊毛が磨滅するためらしい。

したがって、自分の場合なんかどうせ周波数の1万ヘルツ以上はろくに聴こえないはずだからツィーター(高音専用のユニット)の性能なんてどうでもいいはずなのに、むしろ逆に若い頃よりもさらにこだわる傾向があることを自覚している。

これが失われ、去っていくものへの未練というものだろうか(笑)。

これを象徴するかのように我が家には続々とツィーターが集積しており、その振動板の区分にしてもダイヤフラム式、コーン型、リボン型など様々である。

それぞれに使い道があって、たとえばつい最近オークションで手に入れたデッカのリボン型は、8000Hz(12db/oct)でハイカットしたフィリップスのユニット(アルニコ型)に、オイルコンデンサーで9000Hz(6db/oct)でローカットして載せているが、トライアングルなどが鳴らすチリリ~ンという音の余韻の響きの美しさは筆舌に尽くしがたいほどで、こういう音はリボン型の独壇場だろう。

次に、
コーン型については4000ヘルツ(12db/oct)でローカットして「AXIOM150マークⅡ」をカバーしており、音のつながりの自然さやハーモニーの美しさには目を見張るものがある。

最後にダイヤフラム型はテクニクス製のもので3000ヘルツ(12db/oct)でローカットしてJBLのD130ユニットとのコンビで力感あふれる音を出してくれている。

以上、ハイカットとかローカットとか専門用語にはサッパリついていけないという方にはまことに申し訳ない(笑)。

           

画像にあるのが、JBL「D130」ユニット(ウェストミンスター内蔵)の上をカバーしているテクニクス製の「EAS-25HH22」というツィーターで周波数帯域が「1000~25000ヘルツ」という優れもの。

このツィーターは例によってMさん(大分市)からお借りしている状態だが、是非譲っていただこうと腹積もりしていたところ、何とまあ、Mさんは同じものをもう1ペア所有されており、それを持参されたのだ!

性能は証明済みなので、これはもうたまらんとばかりすぐに実験(笑)。

デッカのリボン型ツィーターとの一騎打ちとなったが、両者それぞれにいいところがあって迷いに迷った。

リボン型の繊細さは捨て難いし、ダイヤフラム型の力感と押しの強さも気に入ったが、如何せん我が家の主なソースはクラシックである。ジャズを聴くのならテクニクスにするんだがなあ~と、泣く泣く返却することにした。

次の実験は「OTL」アンプだ。

              

おどろおどろしい大型真空管「6C-33C」が4本という迫力満点のアンプ。構造上、スピーカーとの間にマッチングトランスを必要としている。右側の黒いトランスがそれ。

以前のブログでも記載したが「OTLアンプ」(Output Trans Less)とは出力トランスを使わないアンプのことで、我が家で一度聴いてみたいと、無理を言ってMさんから持参してもらった。

その恰好からしてJBL「D130」(ウェストミンスター内蔵)から凄い低音が出てくることを期待したのだが、意外にもやさしい音が出たので驚いた。

「見かけに似合わず繊細な音を出しますねえ!」と、Mさんに申し上げた。

実を言うと「D130」に繊細な音を期待しておらず、ひたすら求めているのは「音の勢い」なので、この音ならむしろ「AXIOM80」や「AXIOM150マークⅡ」などのフルレンジの方が相性がいいかもしれない。

こちらの方の実験もぜひやりたかったが、この日は夕闇押し迫る中、とうとう時間切れ~。

簡単にお返しするのは勿体ないので「しばらく預からせてもらいたいのですが~」と、恐るおそる切り出したところ「はい、いいですよ。気の済むまで聴いてみてください。」とご快諾。

これで腰を据えて実験できる。しめしめ~(笑)。
 


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オーディオ実験~その2~

2017年05月09日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

オーディオ仲間のMさんが持参された山水(サンスイ)の「SP30」というスピーカーだが、この名前を聞いて「オッ、懐かしいなあ」と思われる方がいるかもしれない。

たしか40年ほど前のこと、当時オーディオ華やかりし頃に「御三家といわれていたのは「山水」「トリオ」「パイオニア」だったが、今となって生き残ったのはカラオケやカーナビゲーションに活路を求めた「パイオニア」だけになってしまった。

そのパイオニアにしてもブランド名は辛うじて残ったものの3年ほど前に全株式をオンキョーに譲渡してしまった。

栄枯盛衰は世の倣い。

「祇園精舎の鐘の声  諸行無常の響きあり  沙羅双樹の花の色  盛者必衰の理(ことわり)をあらわす  おごれる人も久しからず  ただ春の世の夢のごとし  たけき者も遂には滅びぬ  偏(ひとえ)に風の前の塵に同じ 」(平家物語)

当時の「山水」(サンスイ)はJBLと提携していて「SP30」や「SP50」などをシリーズ化していた。共通した組格子のデザインが特徴で自分も評判につられて「SP50」を購入したが、そのうち友人に譲ってしまった記憶がある。

さて、先日この「SP30」をMさんが持参された目的は前回登載した「チャンデバ」の実験のためだった。

この実験自体はうまくいったのだが、我が家を辞去される際にMさんが「置いていきますので、しばらく使ってみてください」

今さら小型スピーカーでもあるまいと正直言って内心思ったのだが、フルレンジとして使い込んでみるとどうしてどうして、小型スピーカーの良さ全開といった趣ですっかり見直してしまった。

まずポイントを列挙してみよう。

1 内蔵のユニット

元々2ウェイ方式の「SP30」だが、内蔵されていたユニットはサンスイ」の純正のものではなくて、松下の「EAS-20PX60」というフルレンジのユニット一発だった。

          

ご覧のとおり堂々としたマグネットが付いている。Mさんによると当時憧れのユニットだったそうで、後日オークションで激しい競り合いの元で落札されたとのこと。

たしかに生き生きとして元気のいい音には目を見張るものがあったが、この図体にとってはエンクロージャーの寸法や容積がチョット小さすぎるような気がした。

そこでMさんが帰宅されたのちに、ユニットの交換をさせてもらおうと電話で了解を求めたところ「エンクロージャーの方は不要ですので差し上げます。煮て喰おうと焼いて喰おうどうぞご随意にしてください。」とのありがたいご返事。

さっそく松下の代わりに手持ちの「ニューゴールデン8」(イギリス:リチャードアレン)を入れ直した。同じ口径20センチのフルレンジユニットだがこちらの方がやや小ぶりなので取りつける寸法にも余裕があった。

胸をワクワクさせながら音出しをしてみたが、どうも冴えない。全体的に音のヌケが悪くて、自分が一番嫌いな「籠っている音」のような感じ。これなら松下のユニットの方がいいなあと天を仰いで慨嘆したが、待てよ~。

以前、オーディオ仲間のSさん(千葉県)が平面バッフルでリチャードアレンを鳴らされていて「とてもいい音ですよ~」と仰っていたのを思い出した。

そうだ、裏蓋を外して後面開放で鳴らしてみたらどうだろう、パッと閃いたねえ(笑)。

そこで第2のポイント。

2 エンクロージャーを
後面開放で鳴らす

「善は急げ」とばかり裏蓋のネジをすべて取っ払って後面開放で鳴らしてみたところ、これは~と思わず絶句した。すっかり豹変したのだ!

         

何という爽やかでヌケの良い音なんだろう。しかも低音から高音までまとまりが良くてバランス的にまったく言うことなし。口径20センチのフルレンジのメリットが最大限に発揮されており、しかもイギリス系のユニットによく見られる品の良さや独特の艶みたいなものが中高音域から醸し出されている。

ハーモニーという面では我が家の既存の4系統のスピーカーの中で一番いいかもしれないと、ほとほと感心した。

これで見事に我が家の5系統目のスピーカーの誕生である。

今回の実験で小型スピーカーは大型スピーカーには求められない良さがあることを改めて確認したが、そういえば6年ほど前の記事「シンプルな響きの心地よさ」(2011.10.21)で「リチャードアレン」を登場させていたことを思い出した。(興味のある方は過去記事をめくってみてください。)

歴史は繰り返すんですよねえ(笑)~。

いずれにしても、大型スピーカーじゃないと出ない音があることは確かだが、「逆もまた真なり」で小型スピーカーじゃないと出ない音がある。

「大は小を兼ねない」

再び気付かせてくれたMさんに感謝あるのみ~。 


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オーディオ実験~その1~

2017年05月06日 | オーディオ談義

「人の褌で相撲を取る」という言葉がある。ご存知の方も多いと思うが、意味は「他人のものを利用したり、他人に便乗したりして、利益を得ること」とある。

ご覧のようにあまりいい意味では使われない諺だが、今回の一連のオーディオ実験では意図しないうちに結果的に「人の褌で相撲を取る」ことになってしまった。

「反省だけなら猿でもできる」のだが(笑)、以下、弁解かたがたその顛末を記してみよう。

このところ豊富なオーディオ機器に囲まれたMさん(大分市)から次から次に我が家のオーディオに使えそうなものを借り受けている。

ま、借りるというよりも、「うまく鳴ってくれるといいのですが」ということでMさんが興味本位で持参されたものもあるので、お互いに利益を享受していることにもなるが、それはさておくとして・・・。

その借り受けたオーディオ機器とやらを列挙してみると、

1 
チャンネル・ディヴァイダー(TR式:クロス3000ヘルツ)

2 サンスイ「SP-30」のエンクロージャーと松下のフルレンジユニット

3 テクニクスのツィーター

4 OTLアンプ

以上4つの機器群だが、実験大好き人間にとってはこういう機器(材料)はまさに宝の山としか言いようがない。

はてさて、どうしてそんなに実験が好きなのか?まずその辺を明らかにしておこう。

オーディオは理論も大切だが、まだまだ理論だけでは解明できないことの方が多い。なぜなら、それぞれの環境要因によって変動指数が無限にあり、出てくる音も千差万別なのが一因だ。

たとえば部屋の大きさとその構造、デジタル系機器の性能、アンプとスピーカーの能力やクセなど、それぞれの要素が複雑に絡み合って、無数の選択肢による音が世界中に鳴り響いているのが現状だ。

したがって、「あの人がいいと言っていた機器を購入してみたがサッパリだった、恨んでやる。」といった悲劇がしょっちゅう起こるのも自宅の環境に合わなかっただけなので“むべなるかな”(笑)。

ついでに、申し述べておくと先般このブログで絶賛したテレビ用の真空管「6FD7」アンプだが、現在はSさん宅で大活躍中だ。

それも使い方にノウハウがあって、プリアンプやマッチングトランスを通すとまったくダメだそうで、CDプレイヤーから直結してアンプ付属のボリュームで調節して「AXIOM80」を駆動すると、これまでで一番良くAXIOM80が鳴っていますよと大満足のご様子。


そういうわけで、オーディオに自然科学における絶対的な公式のようなものはとうてい成り立ちようもなく、ケースバイケースによる個別の実験がとても重要性を帯びてくると思うのは自分だけだろうか。

「オーディオは何でもありだ」と公言する所以でもある。

我が家では大なり小なり毎日のように実験を積み重ねているが、そのたびに新しい発見があり、質的に向上するのを自覚している。ま、錯覚している部分もあるだろうが(笑)。

今回の実験も大いに参考になったので、忘れないようにその経過や結果を記録しておくこととしよう。

それではまず1から。

1 チャンネル・ディヴァイダー(以下「チャンデバ」)

Mさんによると「真空管もTRも原理は同じですよ。」というわけで、どちらかといえばTR式の製作機器が多いが、今回のチャンデバもTR式だった。「このチャンデバはひときわ力を入れて作りました。」とのことで、まず上蓋を開けて覗いてみよう。

           

非常に丁寧で整然としたツクリなのでいかにもいい音が出そう。

2ウェイ方式でクロスオーバーは3000ヘルツなので、我が家のJBL「D130」+テクニクスの「ツィーター」にそのまま使える。わざわざ我が家向きにあつらえたようなチャンデバで、まるで「猫に鰹節」(笑)。

ネットワーク方式に比べてチャンデバは周波数帯域ごとにアンプを使い分けできるところがいい。散々迷った挙句、次の構成にした。

<~3000ヘルツ>

パワーアンプ「71Aプッシュプル」 → スピーカー JBL「D130」

<3000ヘルツ~>

パワーアンプ「6SN7プッシュプル」 → スピーカー テクニクス「ツィーター」

いよいよ音出しだが、チャンデバの妙味は低音域と高音域のボリューム調整にあり、そこに使用者のセンスがモロに出てくるが、いろいろ調整した結果、低音域のボリュームをフルにし、高音域が13時の位置でようやくバランスが取れた。

こじんまりと音がまとまっていた感があるネットワーク方式のときに比べて、チャンデバにすると低音域の充実度が飛躍的に高まり、雄大なスケール感が醸し出されるところがいい。

それにアンプ2台を駆使することによって、音楽ソースに対する音のコントロールの自由度が大いに高まる。

良し、これでこのシステムは決まりだ!

このチャンデバをぜひ譲っていただくことにしよう~(笑)。


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拡がる交流の輪

2017年05月02日 | オーディオ談義

我が家の音を試聴したいと去る3月中旬に初めてお見えになった熟練のアンプビルダーMさん(大分市内)。

その後、比較的近距離ということもあってお互いに往き来すること2~3回になるが、そのMさんから、つい先日ご連絡があった。

「オーディオ仲間のSさん(愛知県岡崎市)が遠路はるばるお見えになりますのでお出でになりませんか。Sさんはとてもアンプの製作に熱心な方ですよ。」

「いやあ、それは願ってもない話です。ぜひお会いしたいですね。」

新たな知見が得られることにより選択肢が広がるし質的な向上も見込めるとあって我が家のオーディオに人的交流は欠かせない。

先日の午後、いそいそとMさん宅へ出かけた。2回目の訪問なのでスイスイと行き着いたが、クルマでおよそ40分といったところ。

「いやあ、どうもはじめまして~。」と先着されていたSさんにご挨拶。

よくお話を伺ってみると、Sさんは数年前にMさんとオークションでの取引を通じて意気投合され、以降、年に春と秋の二回のペースで愛知県岡崎市から大分市までクルマで駆けつけて来られているとのこと。

わざわざ愛知県からお見えになるほどだから、その熱心さには本当に頭が下がる。

その日は3時間ほど歓談して辞去したのだが、翌日、翌々日と続けてSさんとお付き合いすることになるのだから成り行きというものは恐ろしい(笑)。

まず翌日の話。

Mさんがこれまで作製した大量のアンプ群やスピーカーを保管先として大野郡(大分県の穀倉地帯)の知人宅に預けていたところ、そのご当人がある事情のため長期不在とのことで、「もし使えるような機器があれば持ち帰って試していいのですがいかがされますか」。

またもや「それは願ってもない話です」とダボハゼのように飛び付いた(笑)。

一同、朝の9時に集合・出発して1時間半ほどで鄙びた農家風の大きな住宅に到着。誰も住んでいない住宅に合いカギを使って入り、大きな押し入れを開けたところ、そこはオーディオ機器の山だった!

よくもまあ、これほどの機器を作ったものだ、これではご自宅に収容しきれないはずだと心から納得。Mさんのアンプづくりにかける情熱は半端ではない。

そういえば以前読んだアンプ製作の本にこういう一節があった。

「アンプなんてものは測定器を通してそのデータを眼で確かめ、オシロスコープで波形を眺めるものであって、耳で聴くものではないという説を唱えている方がいます。音楽なんて聴いている暇がありまっかいな、というわけでオーディオの楽しみ方にも様々あるようです。」

これまでオーディオ機器は音楽を聴く道具だと一方的に決めつけてきたが、そうでもない世界があったんですよねえ~(笑)。

話は戻って、前述の
アンプ群はTR式が多くて我が家にはマッチングしそうにないのでパスしたが、テクニクス製のツィーターでオッと目を引いたものがあった。

「これを借りて我が家で鳴らしてみたいんですけどいいですか。」「ハイ、どうぞ~」

帰宅してツィーターの型番をググってみると、すぐに「仕様」が表示された。

日頃から感心しているのだが流石にテクニクスやパイオニアの大メーカーの旧製品は「オーディオの足跡」として「仕様」がきっちりと明示される仕組みになっている。

             

それによると、型番は「EAS-25HH22」 (1974年ごろ)

型式 ホーン型トゥイーター  
口径 25×10cm  最大入力 40W  インピーダンス 8Ω  

周波数特性  1kHz~25KHz  出力音圧レベル  99dB  磁束密度  14,500gauss 重量3.9kg

マグネットはアルニコ型で振動板(ダイヤフラム)はチタン製とのことで、目を引いたのが周波数特性だ。

1000ヘルツから使えるツィーターなんて珍しいし、とても応用が利きそう。しかも音圧レベルが99dBというのも手頃でとても使いやすい。あの有名なjBLの075ツィーターは110dBもあって良かれ悪しかれ使い方にコツがいる。

それに比べてこのツィーターは現用中のJBL「D130」ユニットと出力音圧レベルがほぼ一緒なのでアッテネーターなしで使えそう。

      

すぐにウェストミンスターの上にセットして試聴してみたところ、とても周波数帯域の繋がりが良くて一気に中高音域が晴れ渡った!4000ヘルツ以下を受け持つSPユニットのJBL「D130」との相性がことのほかヨロシイようだ。ダイヤフラムがチタン製ということもあるのだろうか、中高音域に独特の深みと透明感が感じられる。

良し、当分これで行くことにしよう。

そして3日目の翌々日。

MさんとSさんがおそろいで我が家に試聴にお見えになった。

さっそく、新たな戦力のお披露目だが、まだ(ツィーターを)お借りしている段階なのであまり大きな顔はできない(笑)。

ただ、つい先日Mさんからお借りした「クリスキット」のプリアンプ「マークⅥカスタム」は話し合いの結果、信じられないほどの格安のお値段で譲っていただくことになり我が家の主戦力として大活躍中だ。はたして、このツィーターの運命やいかに~。

さて、肝心の試聴結果だが4系統のスピーカーを例によって順次聴いていただいた。

初めて我が家のシステムをご覧になったSさんは「まったくオーディオ三昧ですね!」と、第一声を上げられたが、最後にどのスピーカーが一番お気に召しましたかと、伺ってみると「グッドマンのAXIOM150マークⅡが中音域が厚くて暖かみがあり一番好きです。AXIOM80のヴァイオリンの音色も捨て難いのですが・・・」とのこと。

「やはりそうですか・・・。」

AXIOM150マークⅡの音は自分で言うのも何だがすでに完成の域に達しており、弄る楽しみがないので日頃は滅多に聴かないのだが、こうして高い評価をお聞きすると素直にうれしくなる。

2時間ほどで辞去されたが、お互いに携帯の番号を確認し合ってから「今年の秋口になったらまたどうぞ~。その頃にはまた変わっていることでしょう。」と、お見送りした。

何しろ我が家のオーディオは同じスタイルでそのまま半年以上続いたことは無い。

しかし、はたしてそれがいいことなのか悪いことなのか、はたまた音が良くなっているのかどうか、定かではないのが残念。

ま、自分さえ楽しければそれでいっか(笑)。 


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