「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

「1万円のDAコンバーター」に思う

2018年02月27日 | オーディオ談義

つい先日、オーディオ仲間のMさん(大分市)がお見えになった。

Mさんは真空管アンプからトランジスターアンプ、さらにはチャンデバまで自作される方だが、いつもご謙遜されて「怪しい技術者です。」と自称されているが、「とんでもない、立派な技術者ですよ~。」と励ましている。

なにしろ「その通りですよね~」なんて失礼なことは口が裂けても言うわけにはいかない(笑)。

現在使用している「プリアンプ」、「TRアンプ」(低音域用)そしてチャンデバはいずれもMさんの手になるもので、「これらはまじめに作ったものですから安心していいです。」と、仰るとおりの出来栄えで、我が家のオーディオに大いに貢献してもらっている。

そのMさんがこのたび我が家に持参されたのがちょうど両方の手のひらに載るほどの小ぶりの「DAコンバーター」だった。

ご存知の方も多いと思うが、これはデジタル信号をアナログ信号に変換する機器(Digital to Analog Converter)のことで、頭文字をとって「DAC」とも称されている。

レコードのアナログと違って、デジタル信号によって音楽を聴くマニアにとっては生命線といってもいいくらい音質を大きく左右する重要な機器である。

この小ぶりのDACについて、Mさん曰く「使用されている部品がとても優秀だったので落札しました。値段は1万円でした。」

エ~ッ!

こう言っては何だが、我が家のオーディオ機器群は希少な古典管をはじめ、高級と称されるDAコンバーターまで「ハイエンド」とまではいかないがそれなりに凝ったモノを使用しているので、まるでオオカミの群れに一頭の子羊が迷い込んだようなものだ(笑)。

それでもせっかく持参されたのだから、めげずに試聴実験をしてみた。

我が家のDAコンバーターの旗艦モデルは「エルガープラス」(dCS)だが、あいにくメンテに出しているので、ワディアの「27ixVer3.0」との一騎打ちである。つい最近、「リザイエ」(東京)でオーバーホールしてもらったところ見違えるほど音質に元気が出てきたので大いに満足している。

     

もちろんCDトランスポートは共通にして、音の差が分かりやすいようにベスト・システムで臨んだ。アンプが「PP5/400シングル」、スピーカーは「AXIOM80」で、音楽ソースは音質の比較に有利なジャズを選択した。

まず1万円のDACで聴いてみると、想像を上回る「音」だったのには驚いた。「これはお値段以上の音だと思いますよ
、結構聴けるじゃないですか!」というのが第一声。

30分ほど試聴してから今度はワディアへ変更して同じ曲目を試聴したところ、「
ウ~ン、そういうことか」と合点がいった。

両者の差を端的に表現するとなると「音が音響空間の中に微かに消え入っていくときにフワッと余韻が漂っている感じが有るか無いか」と、言えばいいのだろうか。

結局、この差をどう判断し、そしてどう対応するかが大きな別れ道になるということなのだろう。たとえば、そんな「細かいこと」はどうでもいいという人もいるだろうし、気になって仕方がなくて夜も眠られない人だっているだろう(笑)。

オーディオ機器のお値段を持ち出すのはけっして品のいいことではないが、話を構成する上で仕方がない。このワディアにはヴァージョン・アップの経費やオーバーホール代を含めて軽く100万円以上は投入している。

言い換えると、この「ほんの僅かな差」に「100万円以上の価値を認めよう」というのが、オーディオマニアという変わった人種なのである。

つくづくオーディオってやつは贅沢な趣味だなあと思うが、そういえば以前のブログにも似たような話を掲載していたことを思い出した。

タイトルは「オーディオ満足度と対数関数」だったが、その中で「人生を変える数学、そして音楽」という本に次のようなことが書いてあった。再掲してみよう。

               

「ウェーバーの法則によると、人はお金持ちになればなるほど金銭感覚が変わってきます。

例えば、所持金100万円の人が所持金200万円になる嬉しさと、所持金1億円の人が1億100万円になる嬉しさは、(同じ100万円増えても)違いますよね。~略~

これは一定の金額が増えたときの嬉しさは所持金に反比例するということです。この”微分不定式”を解けば、
嬉しさは”対数関数”で表されるとわかるのです。対数関数なんて、なんだか難しい関数によって嬉しさが表されるなんて・・・・少し面白いと思いませんか?

音の大きさに驚く感覚も、このように音量に反比例するので対数関数になっています。」

以上のとおりだが、たとえば同じ口径のユニットを2発使った場合、そのエネルギー量は単純に2倍になるのではなくて「√2」(≒1.4142・・)倍となる。

同様に3発使った場合は「√3」(≒1.732・・)倍になる。お値段の方は2倍、3倍と直線的に増えていくのに肝心のエネルギーの量は伸びが反比例していく。これが対数関数である。

同様に、突っ込むお金に対して音質に対する満足度がけっして倍々ゲームにならないところがオーディオの宿命だといえよう。

したがって、どこまでもキリのない高得点の世界を狙うのがはたして「まともな人間」のすることなのかどうか、対数関数に照らし合わせてみるとまったく「非効率の極み」と思うのだが、こればかりは分かっちゃいるけど止められない。オーディオは理屈や数式で簡単に割り切れないところに究極の面白さがあるようです。

というのが内容だったが、そういえば人間に対するものだって似たようなものですよね。

何といっても「人の心」を動かそうと思ったら理屈以外の情感的な揺さぶりが必要ですからね~(笑)。

 


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ドレミの7音は虹の色

2018年02月24日 | 音楽談義

どうして日本経済新聞の記事はこうも興味深い内容が多いんだろう。これまでブログにも音楽関連の記事を再三再四引用させてもらっているが、今回の記事はこれ。

    

スマホでブログをご覧になっている方は字が小さすぎて読みずらいだろうから、要約してみよう。

「音を聴くと色を思い浮かべる特殊な知覚「共感覚」の持ち主が感じる「ドレミファソラシ」の7音の名前が虹の色「赤・橙(だいだい)・黄・緑・青・藍(あい)・紫」と、ほぼ順序よく対応しているとの調査結果を新潟大学のチームがまとめ、英科学誌電子版に発表した。

つまり「ドは赤」「ミは黄」「ソは青」といった具合。

メカニズムは不明だが「なぜ音楽に心を動かされるのかという未解明の問題にヒントを与えてくれるかもしれない。

共感覚とは「音に色を感じる」、「味に形を感じる」といった二つ以上の感覚が結びつく知覚現象のことで、音楽家ではシベリウスやリストが知られている。」

実をいうと、この現象に「似たような話」を以前のブログ「グレン・グールドの恋人」(2017・11・25)に掲載したことがある。これも日本経済新聞の記事がもとだった。

    

ブログの内容は「あのいかにもストイックで禁欲的な演奏をする大ピアニストのグールドにコーネリア(人妻)という画家の恋人がいた。」という話。

3か月前の記事なのですでに忘却の彼方にある人たちが大半だろうから(笑)、ブログの中の「似たような話」の個所を再掲してみよう。

「音楽家と画家との恋愛というわけだが、「聴覚芸術」と「視覚芸術」との間でお互いに刺激しあい、畏敬の念が高じて恋愛感情にまで発展したことは想像に難くない。

両者の間でいったいどういう芸術論が戦わされたのか、まったく想像の域を出ないが、たとえば「音楽」につきものの音響と「絵画」につきものの色彩の共通点を「波長」という視点から探ってみよう。

音響の場合、低音域は波長(波の高点と低点との距離)が長く、一方、高音域は波長が短いのは周知のとおりだが、色彩だって「可視光線」のもとで波長の概念を当てはめてみると、長い順に<赤~オレンジ~緑~青~紫>の順番になる。ちなみに赤外線は波長が長すぎて、そして紫外線は波長が短すぎて目には見えない。

そういうわけで、「音響」を「色合い」で表現すれば低音域は赤色のイメージとなり、中音域は緑色、高音域は紫色のイメージとなる。

「低音域~赤色・オレンジ色~暖かい」 VS 「中高音域~青色や紫色~クール」という印象を受けるし、オーディオも低音域が豊かだと暖かい気分になり、高音域が優った音はクールな気分になるのもそれだ。中音域だと緑色に該当するので何となく安心感がある。

ただし、これはここだけの極めてユニークな「珍説」なのでけっして真に受けないように申し添えておこう~(笑)。」

というわけで、自分の「珍説」もまんざら「当たらずといえども遠からずだったなあ」と、一人で「悦に入っている」が(笑)、肝心の読者の皆様はどういうご意見をお持ちなんだろう。





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マランツ10B「FMチューナー」

2018年02月22日 | オークション情報

今回のオークション情報は「落札しようか、しまいか」と、大いに迷った挙句に、とうとう断念したというお話。

「おいおい、デジタル全盛の今どきにFMチューナーかよ~」と、言われそうだが、「マランツの10B」が出品されたとなると、おいそれと無視するわけにもいくまい(笑)。

         

昔から「FMチューナーの王様」として君臨してきており、実際にクチコミでもメチャ音がいいと何度でも聞かされてきた。現在でもオーディオショップで売られている相場は中古品にもかかわらず40万円(保証付き)前後もする。

CDなどのデジタルソースが山ほど身の回りにあって、今でさえ十分聴きこなせていないのに、それほど音が良いとも思えないFM放送になぜ触手を伸ばすのかと、問われたらこう答えたい。

 自宅が小高い丘の上にあり、NHKのFM放送の中継基地が見えるほどの「強電界地域」なので、小ぶりのアンテナで受信してもきっと「いい音」がすることだろう。

 このところ積極的に音楽を聴きにいこうとしない傾向があることを自覚している。CDをプレイヤーに放り込むのが何だか億劫になってきた。その点FM放送で受動的に音楽を聴く方が何だか楽だし、たまには音質なんか気にせずに聴き流したい気もする。

 昔は音楽を聴くのに解説を聞くのは邪魔だと思っていたが、この頃はいきなり音楽ではなくて前座みたいなものが欲しくなってきた。たとえば仲間の情報によると、日本の女流ヴァイオリニスト「千住真理子」さんが選曲された音楽番組や、つい先日話題にした「片山杜秀」さん(評論家)のトーク番組などが放送されたりと、FM放送はヴァラエティに富んでいそうだ。また、未知の音楽の世界が広がるのも期待できる。

と、いったところかな。

とりあえず入札に向けての情報入手を開始した。

まず、10Bにはたくさんの真空管が使用されている。ありふれた12AU7や12AX7などのほかに一番使用されているのが「6JK6」という珍しい球で10本以上使ってある。

    

「何じゃ、この球は?」

分からないときは「北国の真空管博士」の出番である。すると、さすがに博覧強記の博士でも馴染みの薄い球のようで、「10Bって左側にブラウン管の付いたチューナーですね。ちょっと海外のオークションを開いてみましょうかね」ということで、ご覧になっていただくと「ああ、ありました。相場は1本が5000円程度です。おそらくマランツ効果でしょうか、結構いい値段がしてますね~。」

真空管は消耗品なので古くなるとガサゴソと音が出だしてノイズの宝庫になる。スペアの確保は必須だが、まとめて取り換えるとなるとちょっと高価過ぎるようで、冷や水を浴びせられた思いがした。これは明らかにマイナス要因。

次にFMのバンド(帯域)の問題がある。10Bはアメリカ向けのバンドになっているが、はたして日本向けのバンドに変更する必要があるのだろうか?

日ごろFM放送を楽しんでおられるメル友の「I」さん(東海地方)にお尋ねしてみた。すると、次のような返信があった。

当地にマッキンやマランツのヴィンテージの修理をしているYさんという人がいます。私のラックスのアンプも長年診てもらっています。  

バンドの件聞いてみました。 

アメリカ仕様は88から108MHzだそうで、変更修理はできるそうですが、コイルの巻き直しとかが必要だとのこと。アンプが専門なのでたくさんの経験はないそうです。 

ただ、〇〇市ですとNHKが88.8なのでそのまま使えます。お客さんはみなそのままだそうです。私もそうですが、NHK以外は聴かないですよね。  

ヤフオクがいま54000円ですが、「何倍にもなるでしょう」と仰っていました。 

肝心の音質については「抜群にいいです!!」とのこと。ああ、聞かなければよかった(笑)」

と、以上のとおりで疑問は氷解した。ほんとうにメル友はありがたい。

バンドの変更不要と、専門家による音質の評価が「抜群にいいです!!」とは、これは明らかに落札に向けてのプラス要因である。

以上のとおり、プラスとマイナス要因の凌ぎ合いだが、もうひとつ、肝心のお値段が青天井でどこまで上がることやら、それにメンテの費用もどのくらいかかるか不安だし・・・。

というわけで、とうとう最後は諦めた。もう10年若かったらチャレンジするんだけどなあ~。

結局、落札日(20日)の翌朝、パソコンを開けてみたら落札額は「153000円」だった。

思わず「ウ~ン!」と、絶句した(笑)。

 

 


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レイセオンの整流管「5Y3G」

2018年02月20日 | オーディオ談義

先日(9日)の試聴会でのこと、仲間が持参した整流管の活躍の残像がいまだに尾を引いている

その時のことを再掲してみると、

「Kさんが持参された整流管「STCの4274A」と、我が家の「シルヴァニアの274B」の一騎打ちだ。ちなみに我が家の300Bアンプは整流管用のソケットが2種類(4ピンと5ピン)挿せるようになっていて便利がいい。

そして、結果は圧倒的にSTC(英国)の4274Aに軍配が上がった。

「交流を直流に換えるだけの整流管なのになぜこんなにも音が変わるの?」と、驚くほどの変わりよう。その原因だが専門家から話を伺うと、整流管はアンプ全般の音質のSN比に多大の影響を及ぼすとのことで、音のクリヤさにおいてベールが1枚も2枚も剥がれたような気がした。

ある意味では整流管こそ真空管アンプの命かもしれない。あだやおろそかにできない真空管である。」

というわけで、「柳の下の二匹目のどじょう」を狙って(笑)、今度は手元の「371Aプッシュプル」アンプの整流管を交換してみた。

   

このアンプの概要だが、真空管の構成は前段管が一次、二次とも「127」(ARCTURAS:ブルー管4本)、出力管が「371A」(カニンガム、ナス管4本)、そして整流管が「5Y3G」(メーカー不明のST管1本)。トランス類も非常に凝っていて、出力トランスが名門ピアレスだしインターステージトランスはパーマロイコアだ。

今どき「127」や「371A」などの型番を聞いても「?」という方がきっと多いに違いない。1940年前後に製造された球だから仕方がないが、音質的には近代管に求められない落ち着いた良さがあって、楽器や人の声がリアルに聴こえるところがたいへん気に入っている。

このアンプは以前、オークションで運よく落札したものを「北国の真空管博士」から全面改造していただいたものだが、「球からトランスまで、役者がそろっているので悪い音の出ようがありません。」とのお墨付きをいただいている。

ところが、実をいうとこのアンプにはちょっと不満があったのである。音の元気度はいいのだが透明感がいまいちで、ときどきこのアンプを引っ張り出しては聴くものの2~3日もするとまたお引き取り願うというパターンの繰り返しだった。

音抜けのいいシングルンアンプと比べるとプッシュプルアンプの限界かなあと、半ば諦めていたのだが、今回の「整流管騒動」で「もしかしたら」と思い、これまで挿しこんでいた無銘ブランドの「5Y3G」からレイセオン(アメリカ)の「5Y3G」に取り換えてみた。

    

レイセオンといえば現在はミサイルなどの高度な武器製造メーカー(世界第1位)として知られる軍需産業だが、昔は真空管もつくっていた。しかもその性能たるやツクリも音質も当時から飛びぬけていて、とりわけ「4ピラー」というプレート部分が4本柱で支えられている真空管はいまだに古典管マニアの垂涎の的である。

アメリカ系の真空管アンプを使うときは「レイセオンを使えば間違いなし。」とされるほどだが、後期ともなると「名前貸し」が多くなるので用心している。

余談になるが兵器の話が出てきたので、先日(1月25日)のNさん(大分市)との会話を思い出した。

「アメリカの大統領からいつも兵器の購入を迫られて日本は莫大な支出を余儀なくされていますが、そんなことなら自国で何とか開発できないものですかね。自分の国は自分で守るというのが真の独立国でしょう。」

するとNさん曰く「日本の知的レベルの象徴である東大が世界の大学ランキングで何位か知っていますか。どんなに日本が頑張ってもアメリカの兵器産業のレベルには未来永劫に追いつけるはずがありませんよ。」

「そうですか・・・。外交力は自国の軍事力を背景にしないと成り立ちませんから、日本はアメリカの言い成りになるしかないですね。淋しい限りです。」

閑話休題

話は戻って、このレイセオン球に差し替えてみると何とまあ、「この音は何だ」と驚くほどの変わりよう!

音の力強さは相変わらずだが、鮮度と透明感がぐ~んと向上して、シングルアンプとまったく遜色ない状態になったのだからたまらない(笑)。「原因は整流管にあったのか」と疑問が氷解したが、真空管アンプに及ぼす整流管の絶大な威力を改めて目の当たりにした。

しかも、どんなスピーカーとも相性が良いのが頼もしいが、とりわけ同じアメリカ勢同士のJBLの「LE8T」フルレンジとの組み合わせは水も滴るほどのヴァイオリンの音色の美しさでこれにはつくづく参った。

念のため、我が家を代表する「PP5/400シングル」、「WE300Bシングル」と比べても繊細さと品の良さには及ばないが骨太い音質には見るべきものがあって、総合力では肉迫するほどだ。

これらの出力管はお値段もさることながら、もはや手に入れるのが難しい希少管ばかりなのでどうしても「もったいない精神」が先に立ち、必然的にこの「71Aプッシュプル」の出番が多くなってしまう(笑)。

前段管の「127」や出力管の「371A」は当時一般家庭に普及していたラジオ用として大量生産されたものだし、アメリカが「世界大戦の戦場」にならなかったおかげも手伝って比較的安価な状態で残されているので大助かり。

ただし、レイセオンの「5Y3G」はスペアを持っていないので、何が何でもあと1本は死に物狂いで手に入れなければならない(笑)。


 


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クラシック界の未来

2018年02月17日 | 音楽談義

ブログを始めてから11年と4か月になる。長いか短いかは別として、愚にもつかないことを毎回グダグダと書き連ねているわけだが、お馴染の読者さんならご存知のように内容の大半はオーディオがらみの話になっている。

そこで、ときどき目先を変える意味でオーディオ以外の話題、たとえばクラシック音楽の話に振ったりすると途端にアクセス(グーブログ)がガクンと落ちてしまう(笑)。

おそらく、世間一般的にクラシック音楽の話にはあまり興味がないことの一つの証左になるのだろう。取り分け前回のブログがまさにそうで、女流ヴァイオリニスト「ジョコンダ・デ・ヴィート」の話題を持ち出したとたんに低調になってしまうんだからやっぱりね~。

まあ、アクセス数の多寡なんか他人にとってはどうでもいいことだろうし、本人にとっても何らかの得失につながるわけでもないので、何も読者に「おもねる」必要は無いのだがクラシック音楽界の現状に対して思わず「ため息」をつきたくなる。

ジャズファンは一様に元気がいい印象を受けるのだが、クラシックファンとなると先細りの傾向だと思うのは自分だけだろうか。

それにクラシック音楽は自己の内面に「静謐感」を持っていないと鑑賞できない音楽だが、身の回りにこうもネットやスマホの情報が氾濫して騒々しい世の中ともなると、ますます環境が悪くなり時代に取り残されていくばかりのように思われてならない。

折しも、先日の日本経済新聞の文化欄に次のような記事が掲載されていた。

    

タイトルは「クラシック界の未来」。記事の作者は「片山杜秀」(かたやま・もりひで)氏で、音楽評論家であり、また現役の慶応大学教授としてご活躍されている。

内容をかいつまんでみると以下のとおり。

「クラシック音楽はポップスなどと比べると効率が悪く、コンサートの開催などにとてもお金がかかる。そこで関係者が心配しているのが文化芸術に対する公的規模の助成の削減だ。オリンピック後は予算が介護や教育で手いっぱいになってしまうし、そもそもクラシック音楽の優先順位は決して高くないのでこれから衰退の一途をたどるばかりではなかろうか。

日本の豊かさのモデルは欧米にあり、品のいい欧米の上流・中流家庭のイメージに見合うのはまずその種の音楽だった。大正や昭和初期の富裕な高学歴層のステータス・シンブルの一つは西洋クラシック音楽であり、それが理解できることが先端的な教養だった。

しかし、それは一時の夢だったようで、60年代以降の若者たちは高齢世代への反発も手伝ってロックやフォークに自由な気分を求めていった。この世代は歳を取ってもクラシック音楽になびかない。日本に限らず欧米でもそうなっている。

クラシック好きの割合は「40~50代」は上の世代よりも激減しているのがコンサートの客層からして見て取れる。今後、先進資本主義国の経済と社会の様相は変貌する一方であり、厚い中産層が解体して貧富の差が広まる。それはすなわちクラシック音楽の趣味を持ちうる階層が壊れていくことである。

それでも西洋諸国にとってのクラシックは「伝統芸能」であり「観光資源」であるから無くなっては困るというコンセンサスは残るだろう。だが日本は歌舞伎や文楽や能もある。クラシック音楽は援助しないと成り立たない厄介な外来文化にすぎない。その事情がますます顕在化するのが平成の次の御代になるのだろう。

厳しい時代だ。とはいえ、クラシック音楽は一定規模で定着している趣味には違いない。たとえ縮小するにしても市民権はある。適正な規模での生き残りの主張をしていけば、なお未来はあると信じている。」

とまあ、大要は以上のとおり。

実際にその通りなんだろうし、内容にいろいろケチをつけるつもりはないのだが、すでにお気づきの方もいると思うが、「クラシックはコンサートに尽きる、したがってお金がかかり過ぎるので衰退の一途を辿るだろう。」という論調がちょっと気になる。

何もコンサートには行かなくても自宅のオーディオシステムでささやかながらクラシック音楽を楽しんでいる連中はいっぱい居るのになあ(笑)。

女流ピアニストの「マリア・ジョアオ・ピリス」は、いつぞやのテレビ番組で「何も着飾ってコンサートに行く必要はない。それよりも日常の家庭生活の中で身近にクラシック音楽を楽しむべきだ。」と言っていた。その通りだと思う。

むしろコンサートの減少云々よりも、これからクラシック音楽を若い世代、とりわけ幼少期にどうやって広げていくかが課題というべきだろう。

別にクラシック音楽に親しむことで他人に優しくなれるわけでもないし、世の中のお役に立てるわけでもないが、己の人生の豊かさにつながることはたしかだし、情操教育にもいくらかは役に立つことだろうから、幼少期からのクラシック音楽への触れ合いはとても意義のあることだと思う。

自分の経験で言わせてもらうと、小学校の低学年のときにプラネタリウムを見学したときのこと、星座が投影されていく中でBGMとして流されていた音楽が何となく頭の片隅に残り、ずっと後になってそれがシューベルトの「未完成」交響曲の一節だったことが分かった。

したがって学生時代になって最初に購入したレコードはいまだに忘れもしない「運命/未完成」(ブルーノ・ワルター指揮)だった。

いずれにしても「食わず嫌い」が一番良くないので小中学生ぐらいのときに、どうやってクラシック音楽に触れ合う機会をつくるかが肝要だと思う。

たとえば学校に安価でもいいからそこそこのシステムを設置して授業などを通じて音楽鑑賞をしたり、時間外にはオーディオシステムによるコンサートを開いたりするも一つの方法かと思うが、こればかりはひとえに教師の熱意にかかっているがはたして現実はどうなんだろうか。

アッ、そういえばマニアの遺族が不要になったオーディオ機器類を小中学校に寄贈できる仕組みがあったりするといいかもしれない。すると管理もたいへんそうなので「校医」ならぬ「音楽&オーディオ医」も必要かもねえ(笑)。



 


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往年の女流ヴァイオリニスト「ジョコンダ・デ・ヴィート」の名演を聴く

2018年02月15日 | 音楽談義

前回からの続きです。

Kさんが今回の試聴会用にと持参されたのが「ジョコンダ・デ・ヴィート」(以下、「ヴィート」)全集(10枚セット)だった。

      

「ヴィートって誰?」という方がいるかもしれないが、長年クラシック一筋にまい進してきた人間にとっては思わず胸が震える名前である。

ジョコンダという名前から「モナ・リザ」が連想されるように、イタリア出身のヴァイオリニストで昨年(2017年)は生誕110年だった。

この10枚セットは「タワーレコード」から購入されたそうで、さすがに音楽好きのKさんだけあって「音楽&オーディオ」が見事に両立しているところに奥深さが偲ばれる。まあ、自分も同じだが(笑)。

初めに聴かせてもらったのはヴィオッティのヴァイオリン協奏曲22番だった。あのブラームスが大いに感動したという曰く付きの名曲である。

クラシックファンなら、この甘くて美しい旋律に誰もがノックアウトされること請け合いだが、これには「ローラ・ボベスコ」の名演があって我が家の愛聴盤である。

                           

かってグリュミオーのCDも手に入れて聴いてみたが大家の割には「胸を打つ」ものが無く、意外とつまらない演奏だった。

さて「ヴィート」の演奏だが、おそらく1950年前後の録音だろうが
想像した以上に音質もよくウットリと聞き惚れてしまった。ヴァイオリンの再生にかけては「AXIOM80」の右に出るスピーカーをいまだかって知らないが、そのせいもあるかもしれない(笑)。

続いて聴かせてもらったのがブラームスのヴァイオリン協奏曲だった。まるで交響曲並の威容を誇る堂々とした協奏曲である。

これにも「ジネット・ヌヴー」(飛行機事故で死亡)の力強い名演があって、いまだに他の演奏を寄せ付けないが、このヴィート盤(ライブ)の得難いところは指揮者がフルトヴェングラーときているので悪い演奏のはずがなく、イタリア出身のヴァイオリニストらしからぬ内省的で愁いを秘めた表情はこの曲目の楽想にピッタリ合っている。

久しぶりにこれらヴァイオリンの名曲に浸って至福の時間を味わった。

最後に、我が家の4系統のスピーカーを一通り聴いていただいたあげくのKさんのご感想だが、まさか持ち主の面前での酷評はあり得ないわけだが(笑)、幾分か割り引くとしても全体的に好評だった印象を受けた。

それこそ毎日毎日たっぷり時間をかけてすべてのスピーカーを満遍なくうまく鳴らすためにあちこち弄り回しているが、ようやく「これが我が家の音です」と胸を張って言える状態になった気がしている。まあ、つかの間の幻想かもしれないが(笑)。

なお、わが家で唯一の大型スピーカー「JBLのD130(イン・ウェストミンスター)+AXIOM80」についてだが、現在2ウェイマルチで鳴らしており、低音域のD130はTRアンプで、そして「500ヘルツ以上」を受け持つ「AXIOM80」(復刻版)は「300Bアンプ」(モノ×2台)で駆動している。

この300B真空管だが初めに「エレハモ」(ロシア)の300Bで鳴らしたところ、復刻版特有の嫌な面が耳についたので、本家本元の「WE300B」(1988年製)に換えたところ、うそのように嫌な面が無くなった。

Kさん曰く「AXIOM80の復刻版ともなると、とても神経質でアンプの選り好みが激しいですね。これが初期版だとそうでもないですよ。」

そこで、翌日(10日)になって、「AXIOM80」(初期版:フルレンジ)をエレハモの300Bで鳴らしてみたところ、それほど違和感なく聴けたのでKさんの言葉が裏付けされた。

「AXIOM80」の復刻版を使っている方は相性のいい真空管アンプを厳選しましょうねえ(笑)。

以上、これで3回に亘るぶっちぎりの試聴会の顛末でした。Kさんどうも「駄音」に付き合っていただきありがとうございました。




 


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真空管オーディオの愉しみ

2018年02月14日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

「難解な事象に出会い、それを理解しようと思ったらできるだけ細かく分解することから始めなさい。」という言葉がある。

そこでオーディオの話になるが(笑)、分解するとなれば「導入部」(レコードやCD) → 「増幅部」(アンプ) → 変換部(スピーカー) → 「音響空間」に大別される。

いずれも手を抜けない項目ばかりだが、ことに増幅部は増幅素子に真空管を使うかトランジスターを使うかが大きな分かれ目となる。両者とも一長一短だし音質に好き好きもあってどちらを選択するかは永遠の課題の一つである。

我が家の場合、それほど広くもない音響空間なので大出力は要らず、それに能率の高いスピーカーを使っているので専ら真空管を愛用している。


真空管オーディオの愉しみとなるといくつもあると思うが、そのうちでも同一規格の真空管をブランドごとに差し替えて音質の違いを聴き分ける「球転がし」ほど楽しいものはないように思う。

たまに無名ブランドの真空管が有名ブランドの真空管を打ち負かしたりするときはまことに痛快で快哉を叫びたくなる。

「やせ蛙 負けるな 一茶これにあり」(小林一茶)

ただし、真空管の評価を単独で判断するのは実に危険で、たとえば出力管の性能は前段管との相性や、インターステージトランスや出力トランスに何を使っているかで千変万化するので、即断は禁物。言い換えると、周辺部品との組み合わせ次第で真空管は生きもすれば死にもする。

そういえばメチャ評判のいい出力管を使っているマニアが前段管に有名だけど相性の悪い球を使っていたりすると、それを見聞しただけで力量が簡単に推し量られてしまうので、ちょっと怖い世界でもある。ときどきそういう話を耳にする。

とまあ、つい「上から目線」のいい方になったが自分だって単に専門家に寄りかかっているだけなのであまり大きなことは言えない(笑)。

ちょっと前置きが長くなったが、そういうわけで以下述べることはあくまでも「我が家のシステム環境において」という条件付きなので念のために申し添えておこう。

まずは、「WE300真空管」(1951年製)と「ヨーロッパ管300B」との比較試聴だが、本家本元のWE300Bを上回ることはあり得ないものの大善戦だった。

我が家でもこれまで中国製やロシア製の300Bをいくつも使ってきたが、その特徴は押しなべてやや音が上ずり気味で、腰高の音になるのが普通だが、今回のヨーロッパ管300Bはそれが無く、雰囲気感の醸成もなかなかのもので、(オリジナルとの)お値段の差ほどの開きはないと感じた。

「これはとてもいい球ですねえ、お値段からすると私も欲しいくらいです。」という言葉が思わず出たが、実はそれ以上の実力を秘めた球の可能性があるドイツ製の300Bが販売されていることをKさんからお聞きして気持ちが揺らいでしまった。

ドイツの真空管といえばテレフンケンの「RE-604」が有名で、上達者ほど「ウェスタンよりも好き」という方をよく見聞するが、総じてドイツ製はツクリが良くて信頼度は抜群という背景の中で登場したのが「ER300B」という球。もうすでにご存じの方がいるかもしれない。

     

ネットから画像を引っ張り出したが、専門家によると諸元を見る限り評価も高いようで「フィラメントの光具合からしてトリタンフィラメントではないか」とのお話。トリタンフィラメントとなると情報量やスピードが半端ではない。

ちなみに我が家の「PP5/400」アンプと「WE300B」アンプとも前段管はトリタンフィラメントである。このチャンスをとらえてさりげなくPRしておこう(笑)。

お値段はペアで「134000円」(2018.2.14現在)と、ちょっと値が張るがオリジナルに比べればそれほどでもない。ぜひ一度聴いてみたい気がするが、まだ市中にあまり出回っておらず今後要注目の真空管である。

次に、当日(9日)の試聴会のポイントの2番目に移ろう。これも「球転がし」の一環である。

Kさんが持参された整流管「STCの4274A」と、我が家の「シルヴァニアの274B」の一騎打ち。

ちなみに我が家の300Bアンプは整流管用のソケットが2種類(4ピンと5ピン)挿せるようになっていて便利がいい。

そして、結果は圧倒的にSTC(英国)の4274Aに軍配が上がった。

「交流を直流に換えるだけの整流管なのになぜこんなにも音が変わるの?」と、驚くほどの変わりよう。その原因だが専門家から話を伺うと、整流管はアンプ全般の音質のSN比に多大の影響を及ぼすとのことで音のクリヤさにおいてベールが1枚も2枚も剥がれた気がした。

ある意味では整流管こそ真空管アンプの命かもしれない。あだやおろそかにできない真空管である。

それはともかく流石にロンドンウェスタンを標榜するSTCブランドだけのことはあった。よほど「譲ってくれませんか」という言葉が、喉まで出かかったがどうせKさんは聞く耳を持たないに決まっているのでかろうじて踏みとどまった(笑)。

仕方がないので、シルヴァニアの274Bに換えて手元にある同じSTCの「5R4GY」に差し替えたところ、4274Aには及ばないもののシルヴァニアよりもずっと良かった。

    

早く気が付けばよかったのにと後悔したが、やはりいろいろ実験はしてみるものですねえ(笑)。

試聴会の模様はなおも続く。

 



 


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オーディオ愛好家のご来訪~2018・2・9~

2018年02月13日 | オーディオ談義

昨年7月(2017年)の筑後地方の大雨災害以降、ずっと音信不通だったオーディオ仲間のKさん(福岡)。

古典管収集の熱心さにかけては人後に落ちない方だが、「もしかしてひどく落胆されているのではあるまいか」と、ずっと遠慮していたが半年以上にもなると流石に心配になったので「お元気にされてますか?」と一報を入れたところ「水に浸ったクルマの修理や腰痛などでたいへんでしたがようやく一段落です。幸い古典管の被害はありませんでした。オーディオの方は相変わらずです。」とのことでひと安心。

Kさんとの交流はブログが取り持つ縁で始まったが、貴重な古典管の情報を山ほどお持ちの方なのでたいへん重宝させてもらい、それにお互いに「AXIOM80」の大の愛好家というのが接点となった経緯がある。

この度も希少管を手に入れられたと伺って、「それはぜひ聴かせてください」ということになり、去る9日(金)、久しぶりに遠路我が家に試聴にお見えになることになった。

我が家のシステムは、いつものことながらこの半年余りで激変しているので、どういうご感想を漏らされるかたいへん興味深い(笑)。

お見えになった日はあれほど厳しかった寒さもようやく和らぎ、春の足音がそこはかとなく近づいてくるような見事な快晴に恵まれた絶好のドライブ日和だった。

当日は4時間半ほどにわたってみっちり聴いていただいたが、結果からいえば今回の試聴のポイントは次のようなものだった。

 出力管「ヨーロッパ製の300B」と「WE300B」(1951年製)との聴き比べ

 整流管「STCの4300A」と「シルヴァニアの274B」との聴き比べ

 我が家の4系統のスピーカーの品定め

 往年の女流ヴァイオリニスト「ジョコンダ・デ・ヴィート」の名演を聴く

最初に聴いていただいたシステムは我が家のベストともいえる「PP5/400シングルアンプ」と「AXIOM80」(最初期版)との組み合わせだった。

「AXIOM80」の独特の音質についてはもう言わずもがなだが、Kさんともども「聴けば聴くほど深みにはまってしまいます。汲めども汲めども尽きせぬ泉のような魅力を放ちますね。オーディオ人生をかけるのにふさわしいスピーカーですよ。」と、完全に意見が一致。

しかし、「じゃじゃ馬」という噂がある通り、鳴らし方が難しくて下手すると高音域がやたらにキャンキャンするなど、家庭で単なる飾り物になっているケースも多いと聞く。実にもったいない限り(笑)。

    

Kさん曰く「長いことAXIOM80を弄ってきましたが、さすがにウッドホーンに容れることには気が付きませんでしたよ。」

「はい、これだとバッフルにネジ止め(4か所)しなくて済むので、ユニットのフレームの歪みから完全に解放されますからね。」   

音質にも十分ご満足していただいたようでまずは無難な滑り出し(笑)。

次に「WE300Bシングル」アンプの試聴に移った。

このアンプのインターステージトランスには「北国の真空管博士」が絶賛される「UTCのHA-106」(アメリカ)が使われているが、このアンプと「AXIOM80」との相性が良くないことは先月(1月)のブログ「オーディオ愛好家のご来訪~2018・1・8~」で、述べた通り。

そこで、スピーカーを我が家で唯一の3ウェイシステムに変更した。このほど完成したばかりで、先日他のオーディオ仲間たちから絶賛を浴びたシステムである。

         

Kさんはすぐに中音域に使っているドイツ製の楕円形ユニットが「イソフォン」製だと気づかれた。

「これはまぎれもなくイソフォンの音ですね。我が家にも3セットありますが、とてもクリヤーでいい響きです。それにしても3ウェイでこんなにバランスがいい音を聴くのは久しぶりです。ブログをずっと読んでいましたが、想像した以上にいい音ですよ。」と、これまたOK。

そして、いよいよKさんが持参された「ヨーロッパ製の300B」(以下、「ヨーロッパ管」)との比較試聴に移った。

さあ、我が家の「WE300B(1951年製)」と「ヨーロッパ管」との一騎打ちである。

ちなみに、300B真空管はメチャ人気がある球なので本家本元のWE(ウェスタン)以外にも、とても種類が多く、中国製、ロシア製、チェコ製、ドイツ製とあり、しかも国ごとにブランドが分立しているので枚挙にいとまがないほどだ。

えっ、「ドイツ製の300Bって、そんなのあったかな?」

それがあるんですよ!これについては、Kさんから耳よりの情報が入ったのでのちほど詳述しよう。

なお、今回の試聴の対象となったヨーロッパ管は、巷でもとても評判が良くて従前からWE300Bの音質にもっとも近いと噂されている真空管である。

お値段は10万円に届かない金額なので、オリジナルのWE300B(1951年製の相場は程度にもよるが50万円前後)に比べれば、少々音質が劣ったとしてもお買い得感は抜群だ。

はたして両者の音質の差はどの程度のものなのか、言い換えるとこのヨーロッパ管がオリジナルにどのくらい肉薄できるのか、二人とも興味津々で耳を傾けた。

以下続く。


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オークション情報~2018.2.10~

2018年02月10日 | オークション情報

今やオーディオには欠かせない存在ともいえる「ネットオークション」だがいつも「うまくいく」とは限らない。

言い方は悪いが、海のものとも山のものとも知れない出品者が相手だし、品物だって直接手に取って観察できるわけでもないからハズレがあったとしてもちっともおかしくない。

今回はそういう中での失敗談を2件述べてみよう。

そういえば、人の成功談には興味を示さないものの失敗談ともなると目が輝く人が多いそうだ(笑)。

まず1件目は先月末(1月)の話だが、「細い単線、長さ不明」のタイトルものもとに次のような線材が出品されていた。何しろ価格が100円スタートなのが大いに自分の好みだ(笑)。

        

どなたかのご質問で「線材の直径はどのくらいですか?」に対して「1mm程度です」との回答があった。

我が家のSPコードは「単線」を専ら愛用しており音質も大いに気に入っているが現用中の直径「1.2mm」だと、少々太すぎるようで硬くて扱いづらいので丁度「1mm」も試してみたいと思っていたところだった。

お値段も格安だしと、すぐに飛びついて若干の競争があったものの結局「2600円」で落札。しめしめ、これだけの長さがあればいろんな用途に使えると、ほくそえんでいたところ3日後に無事到着。

さっそく線材の芯を剥いたところ何と「単線」ではなく「撚線」だった。これにはガックリきたと同時に表示ミスに腹が立ったので、すぐに出品者の「オーディオ・ユニオン」に連絡した。

「品物到着しましたが、商品表示では「細い単線」とありましたが、調べてみると「撚線」でした。いい加減な表示はやめてください!返品しますので、代金(送料込みで3939円)を返却してください。」

ちょっとストレートすぎる内容かな(笑)。

すると、すぐに次のような回答が戻ってきた。

「1本の線なので単線と書いただけで材質などには触れてません。」ですって!

もうあきまへん(笑)。単線に対する認識の違いというわけだが、オーディオにはズブの素人としか思えない相手とやりとりしてもエネルギーと時間の無駄になりそうだ。あっけなく戦闘意欲喪失。

老舗の「オーディオユニオン」という看板を背負っているんだから、もっと真摯に対応してくれるかと思っていたが残念。

後日、我が家に試聴にお見えになった仲間たちにこの件を話したところ「それは明らかに表示の方が悪い。常識から考えて撚線と表示すべきだ。」と、一緒になって憤慨してくれた。

しかし、金額も大したことはなかったし、ま、いっか(笑)。

次は「意地の悪い入札者」としか思えない話に移ろう。長いオークション生活でもこういう経験は初めてである。

1週間ほど前にリサイクル専門の業者が真空管「E180CC」を12本まとめて出品していた。それも同じ12本が2回に分けて2日間隔で出品されている。したがって計24本だ。

   

ブランドは名門「ヴァルボ」(ドイツ)なので申し分なし。

「E180CC」は「μ(ミュー)=増幅率」が50前後と、たいへん使いやすいので現用中のプリアンプに6本使っており、音質もとても気に入っている。スペアが7本ばかりあるが、プリアンプは周知のとおり電源を入れる時間が長いので、真空管の消耗も半端ではなくスペアは多ければ多いに越したことはない。

オークションにもめったに出ない希少管なので「北国の真空管博士」にも海外のオークションで調達をお願いしているが、同博士によると「この真空管はオランダフィリップスが本家本元でパテントを持っています。パソコン用の真空管としてとても質の良いカソードが特徴です。極めて優秀な真空管ですよ。見かけたらご連絡しましょう。」

したがって今回のオークションは12本まとめて手に入れる絶好のチャンスである。価格はリサイクル業者のならいで1000円スタートだし、超安い。入札価格もずっと2500円程度で終始していた。

おそらくこの真空管をご存知の方も少ないだろうから一気に「22000円」で入札し、これなら大丈夫だろうと落札当日は早々に白川夜船だったが、翌朝、パソコンを開けてみるとなんと誰かがわずかに上回る金額で落札していた。

これは実に意外だった!

仕方がないので2回目のオークションにかけてみることにした。前述したようにこれもヴァルボの12本がまとめて出品してある。

今度は慎重を期して「52000円」と飛び切りの価格で入札し、これなら絶対落札だろうと安心して就寝。翌朝、悠々とパソコンを開いたところ、目に飛び込んできたのは「高値更新」のつれない文字だった(笑)。

信じられない!

こんな珍しい球を24本もどう使おうというのだろうか。もう意図的に邪魔しているとしか思えないが(笑)、相手もちゃんと身銭を切っているのだからこればかりは仕方がない。

潔く諦めることにして、方向転換することにした。

そもそも現用のプリアンプ(ジャデスの基盤回路)は「12AX7」(μ=100前後)の6本仕様になっているので、μが低くなる分は差支えないだろうからいろんな球が使えるはずと踏んだ。


そこで「E180CC」に拘ることなく、「E80CC」(μ=30前後)は使えないかと差し替えてみた。お値段の方は前者の2倍以上はするほどの球だが
10本くらい持っているのでうまくいけば真空管の枯渇の不安は一気に解消する。

ハラハラドキドキだったが「E180CC」に負けず劣らずの音が出てくれて、立派に代用が務まることが判明した。

ああ、よかった! 危うく不要なお金を5万円も突っ込むところだった。

やっぱりオークションは熱くなってはダメだなあ(笑)。

 


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指揮者「アバド」と「カラヤン」の魔笛の聴き比べ

2018年02月08日 | 音楽談義

先月末(1月)のこと、いつものように翌月のテレビの「月間番組表」を購入しようと書店に立ち寄ったところ、ふと視野をよぎったのが「名盤鑑定団」(音楽之友社刊)という本。

             

気になったのでざっと立ち読みしたところ好みの名曲や名盤が紹介されているので参考までに購入してみたが、裏表紙に次のような記載があった。

「クラシックは聴き比べが愉し!レコード芸術誌上にて200回に及ぶ長寿連載の中から一生飽きない名曲中の名曲を厳選。クラシック・レコード評論界の重鎮、小林利之、浅利公三両氏のもと、各ジャンルのスペシャリストがゲストとして集結、『この曲ならこの音盤がスバラシイ!』を語り合う」

以上のとおりで、全体で57の名曲が紹介されてあり当然のごとくモーツァルトのオペラ「魔笛」も収録されていた(225頁)。2006年8月号の「レコード芸術」に搭載されていたものなので、およそ12年前とかなり古い。

5頁に亘って各指揮者の名盤を鼎談(ていだん)方式で展開してあり、興味津々で読ませてもらったが、その中で意外にも自分がまったく評価していないアバドが指揮した魔笛が代表的な名盤にランクされていた。

これには驚いたねえ!

たとえば、音楽評論家の三氏の評価は次のとおり。

小林利之氏「モーツァルトの原点に回帰したような爽やかさ、様々な点で斬新。」、次に、浅利公三氏「かってなかったみずみずしさ、歌手もオーケストラもきわめて新鮮かつ精妙」、最後に黒田恭一氏「期待はほぼ完璧に満たされた、ものすごく新鮮」と、いった具合。

こうやって並べてみると、いずれのご三方とも「斬新、新鮮」という言葉に集約されている。

さあ、魔笛とくれば「乃公出でずんば蒼生を如何せん」ではないが、おいらの出番である(笑)。

「上から目線のもの言い」で申し訳ないが、CD、DVD併せて約50セット近くの魔笛を所有し、これまで40年以上にわたって各指揮者たちの演奏の酸いも甘いもじっくり聴き分けてきたので、魔笛の名盤鑑定にかけては日本有数ともいえる鑑識眼の持ち主だと自負している。

ちなみに、自分の過去のブログで公開しているアバドの魔笛に関する評価はこうだ。

総合評価では「A+、A-、B+、B-、C」の5段階評価のうち「B+」。

次に総評では「歌手陣にぎこちなさがあり、統一感のないピンボケの魔笛だ。アバド゙はなぜ今頃(72歳)になって魔笛を指揮する気になったのだろうか。」

とまあ、いわば酷評に近い(笑)。

しかし、このような評論家たちの激賞ぶりを前にすると、はたして自分の鑑賞眼が見当違いなのか、少々不安になったので改めて数年ぶりにアバドの魔笛を聴いてみた。

ついでに、稀代の音楽愛好家「五味康祐」さんがベスト1に挙げていたカラヤンの初期の「魔笛」も聴いてみることにしよう。五味さんのカラヤン嫌いは有名だが、初期の演奏に限っては別格とされている。

     

まず、アバドの魔笛から。

これほどの名曲だから誰が指揮してもそこそこの仕上がりになるのはわかりきっているし、とりわけ天下のベルリン・フィルハーモニーの常任指揮者を勤め上げたほどの人材だから悪い演奏のはずもないが、一言でいえば可もなく不可もなくまるで蒸留水のような味わいで、劇的な盛り上がりにも乏しく「胸を打つものがない」魔笛だ。

こんな、ありきたりの魔笛なら72歳にもなってわざわざ指揮することもなかろうにと、自分の感想は以前とまったく変わりなし。

これは憶測だが前述の評論家さんたちの評価は、新盤として発売された(2006年)ばかりの時期なので、業界に配慮して「売れ行き促進」のための提灯記事ではなかろうかと、つい勘繰りたくもなる。

評論家という商売はすべてにわたってそうだが、自分がしゃべったことにいっさい責任を取らなくて済むのでまことに気楽な稼業だと思う。

かって一部の経済評論家は円の相場が70円代まで落ち込んだときに、さらに50円代まで円高になると声高に言ってたが、今や110円前後(2018年2月)と完全な様変わりの様相で、「責任を取って腹を切れ!それが嫌なら廃業しろ。」と叫びたくなる(笑)。

余談はさておき、次はカラヤンの魔笛。

まず、アントン・デルモータ(王子役)の圧倒的な歌唱力に改めて度肝を抜かれた。しかも当時の歌手陣の粒がそろっており、全編を通じて漂う熱気が凄くてドラマティックな展開に大いに触発される。何といっても魔笛は「ジングシュピール」(歌芝居)だから、メルヘン的な要素と躍動感が大切だ。

1950年代初期の録音なのでモノラルだが、そんなハンディを吹き飛ばすほどの勢いがあり、これはやっぱり上出来の魔笛だ。

何はともあれ、自分の鑑識眼に変わりがなかったことにひと安心(笑)。



 


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オーディオ愛好家のご来訪~2018・2・3~

2018年02月06日 | オーディオ談義

「今日の1時過ぎにお伺いしたいのですがご都合いかがですか?Mさんと一緒ですが・・・。」と、Nさんからご連絡があったのは、粉雪が舞う2月3日(土)のことだった。

「ハイ、結構ですよ~。丁度新しく3ウェイシステムを組み立てたばかりで、ぜひ聴いていただきたいと思ってたところです。」

奇しくも、1年前のこの日はNさんと一緒になって、下記の画像のワーフェデールが入っている箱(黒色)を二人で作った日だった。音響効果を考えてネジを1本も使わず接着剤(ボンド)だけで張り合わせており、板厚も1.5cmと薄めのものを使って箱を共振させる方向で作っている。

また、バッフルは鬼目ナットにより簡単に入れ替えができるようにしているのでとても便利がいい。JBLの「D123」(16Ω:グレイ)、グッドマンの「AXIOM150マークⅡ」と、いずれも口径30センチのユニットが控えている。

今のところ、水彩画の趣があるワーフェデール(赤帯マグネット)の魅力にはまっているので変えるつもりはない。

    

その新しい3ウェイシステムだが(構成は前回のブログで述べたので省略)持ち主が言うのも何だがまったく惚れ惚れするような音で、どこと言ってケチのつけようがなく、初めからこれほど完成度の高い音はわが家のオーディオの歴史上きわめて珍しいことである。

普通、どんなに「いい音」が出ても少し経つと、どこかしら不満な点が出てくるものだがこのシステムに限ってはますます「ほんとにええ音やなあ。」と感嘆することしきりで、思わずブログの更新を忘れるほどだった(笑)。

個人の家庭でクラシック音楽を楽しむのならこれで十分だと思うが、とはいえ、自分だけ悦に入っても所詮は当事者であり外部の審判員がどう判断するかは興味のあるところで、できるだけたくさんの人に聴いてもらい冷静な評価を待ちたいところ。

そういう意味で今回の試聴会は願ってもないチャンスになるが、いつも遠慮なくずけずけと辛口に終始する仲間たちなので半分は警戒心、残りの半分は期待感で胸が弾む(笑)。

そういえばNさんとMさんは、つい先日「オーディオ訪問記~2018・1・25~」でお伺いしたばかりの方たちで、それぞれ「アルテックのA5」と「タンノイ・オートグラフ」を愛用されており、いずれもレコードの再生にこだわりながらご自宅の音にひとかたならぬ自信を持っておられる。

我が家にお見えになるたびにシステムのどこかが変わっているので「実に熱心ですねえ!」と、皮肉とも感嘆ともつかない言葉を漏らされるが、今回もそうだった。

そこで、素直に真に受けて「ハイ、才能は無いんですけど熱意だけは誰にも負けないつもりです。」と返答しておいた(笑)。

今回試聴していただいたアンプは順番に次のとおり。

☆ 「WE300B」シングルアンプ(モノ×2台)

前段管の一次「E80CC」(フィリップス)、前段管の二次「MH4」(メッシュプレート:マルコーニ)、出力管「WE300B」(1988年製)、整流管「VT-244」(レイセオン)

☆ 「PP5/400」シングルアンプ

前段管「GSX-112」(トリタンフィラメント)、出力管「PP5/400」(最初期版)、整流管「378」(ムラード:直熱管仕様)

☆ 「WE300B」シングルアンプ

前段管「171」(トリタンフィラメント)、出力管「WE300B」(1951年製)、整流管「274B」(シルヴァニア)、厚さ2.5㎜の銅板シャーシ

   

持ち主が言うのも何だが(今回はこのフレーズが多い~笑~)、古典管に詳しい方ならお分かりのとおり、まず滅多なことでは手に入らない超「希少管」ばかりである。

「古典管のいったいどこがいいのか、近代管では悪いのか。」と、色をなして詰め寄られても困るが、結局、音の品位とか、雰囲気感や音色の艶など主観的かつ抽象的な部分に繋がるわけで、これはもう「わかる人にはわかる」としか言いようがない。

同じブロガーとして他人のオーディオブログを拝見することがよくあるが、スピーカーにはたいへん凝って豪勢なものを使っておられる反面、真空管の選択ともなると実に「おざなり」で「もったいない」と思うケースが多々ある。

ただし、自分も4年前ぐらいはそうだったのであまり大きなことは言えない。こればかりは古典管に詳しい人と仲良くなって教えを請うしかない。

なお、これらアンプの中で回路の中にインターステージトランスが入ってないのは最初に挙げた「WE300B」シングル(1988年製)アンプだけだが、以前「北国の真空管博士」に相談してみたところ、

「WE300Bを出力管に使うときはインターステージトランスに何を使うかで勝負が決まります。極めて重要な部品ですから変なものを使うぐらいなら、厳選した質のいい前段管を使う方がよっぽどいいですよ。そのうちピッタリ合うものを探しておきますので待っておいてください。」

アンプの話になるとつい夢中になるが、これは脇に置いておくとして肝心の今回の試聴会だが結果から先に言えばこれまでにない「絶賛の嵐」だった!

自分がいいと思った音を仲間も手放しで賛同してくれるのは、さすがにうれしい(笑)。

ご意見をアトランダムに挙げてみよう。

☆ ウッドホーンがとても緻密なツクリで驚きました。音質に物凄く利いてますよ。大好きなアナログみたいな鳴り方です。ドイツ製のユニットはほんとにクリヤでいい音がしますねえ!

翌日(4日)にお見えになったYさんもまったく同意見だったが「ドイツ語の独特の発音とかしゃべり方がSPユニットにも反映してメリハリがはっきりしたサウンドづくりになるんじゃないでしょうか。」とのことだった。う~ん、そうかもしれない。

☆ 低音域から高音域まで3つのユニットが実にうまくハモってます。それぞれ国籍が違うのにまったく違和感がありませんよ。レンジも広いしとても良くバランスが取れています。

☆ 3台のアンプともいい面を発揮してます。最初のは低音の量感がたっぷりとしてますし、2番目は微細な表現力のもとでほのか
な色香がそこはかとなく漂って、もう振るいつきたくなるような音はこういう音を言うんでしょう。3台目のアンプは音響空間の広さの表現力にかけては一番ですね。

かいつまむと、以上のとおりだったがお客さんたちに凄く満足していただいて何も言うこと無しの試聴会だった。

この3ウェイシステムに続いて定番の「AXIOM80」をぜひ聴いていただきたかったのだが、Mさんに緊急連絡が入った。

Mさんは旅館(大分市内中心部)を経営されており、翌日(4日)が「別府大分毎日マラソン大会」とあって、宿泊客が殺到しているので「至急帰ってきてください。」とのこと。

そりゃ、たいへん!オーディオどころではありませんぞ(笑)。

お見送りした後で、我が家のフラッグシップモデル「AXIOM80」と、この3ウェイシステムとはいったいどちらが上なんだろうかと、しばし沈思黙考したことだった(笑)。


 

 


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「3ウェイシステム」への挑戦

2018年02月02日 | オーディオ談義

昨年末に格安で入手した「ウッドホーン」はどこまでも「オーディオ心」をくすぐってくれる「優れもの」だった。

          

2ウェイで十分楽しませてもらったが、3ウェイ方式の中域部分(スコーカー)として使用したらどうなんだろうと、いつものように”またぞろ”
欲が出てきてしまった。

3ウェイともなるとそれぞれ振動板が違う3つのSPユニットの調和を図るのが難しいのでずっと敬遠してきたが、うまくいけば凄い効果が得られるのはわかっているので、実験してみる価値がありそうだ。

幸いなことに使っているパイオニアのネットワークはスイッチ一つで簡単に2ウェイから3ウェイへ切り変えられる。

2ウェイのときはクロスオーバー4000ヘルツだが、3ウェイのときは「500ヘルツ」と「4000ヘルツ」となる。

したがって、次のようなスピーカーの編成になる。

低音域(~500ヘルツ)はワーフェデールのユニット(自作の箱入り:口径30センチ)

中音域(500~4000ヘルツ)はウッドホーン付きの楕円形ユニット

高音域(4000ヘルツ~)はワーフェデールの「スーパー5」(コーン型ツィーター)


現用中のグッドマンの楕円形ユニットは16Ωなので、新たに8Ωの楕円形ユニット(ドイツ製:アルニコマグネット)をオークションで入手した。

                   

さっそく工作開始。

    

ジグソーで青い線の部分を切り取ればいいので実に簡単。上の部分が楕円形ユニットを取り付けるバッフルになり、下の円形の部分は丸型のウッドホーン(植木鉢)に取り付けるワーフェデールの「スーパー5」(赤帯マグネット付き)用の補助バッフルとなる。

いつものように素人の雑工事ながら難なく切り抜いて、音の反射を良くするためにアルミホイールを巻き、それぞれのホーンに収めてみた。

   

そしてワクワクしながら据え付けて結線完了。初めにツィーターは「075」(JBL)で聴いてみることにしよう。

    

すると、ん? ちょっと高音域が物足りないなあ。

そこで、マイカコンデンサーを追加して「0.075μF×3個=0.225μF」にしたところバッチリだった。

2ウェイのときよりも明らかに音の密度が増したというか、質感がいいというのか、周波数帯域に音の谷間がない感じ。一番懸念した3つのユニットのハーモニーにもいっさい違和感がない。こういう細身でタイトでスピードのある(音声信号に対する応答性が良い)音が大好き。

明らかにウーファーを500ヘルツでハイカットした効果が出ているが、それに加えて低音域と中音域のユニットの音圧レベルがほぼ同じだったのは大いに助かった。どちらかにでも(音量調整用の)アッテネーターを使うと音の劣化が心配だ。


特筆すべきは「075」で、4000ヘルツ以上の帯域に専用として起用するのは久しぶりだったが、改めてシンバルなどの澄み切った再生の威力に驚いた。これほどの実力を発揮してくれるとなると「スーパー5」の起用は後回しにせざるを得ない。

現在修繕に出しているロンドン・デッカの「リボン型ツィーター」をはじめ、ワーフェデールの「スーパー5」そしてJBLの「075」を一堂に会したツィーターの適性テストをいずれやってみることにしよう。メチャ楽しみ~。

仕上げとしてこの「3ウェイシステム」に相性のいいアンプを実験してみた。

「PP5/400」シングル、「WE300B」(1951年製)シングル、「WE300B」(1988年製)シングル(モノ×2台)、「171Aプッシュプル」アンプ、「171」(トリタンフィラメント)シングル

        

以上、5台のアンプをとっかえひっかえしながら3日がかりで聴き分けたが、
それぞれにいいところがあっていずれも甲乙つけがたし!

たとえば、「PP5/400」(最初期版)は音色に惚れ惚れするような色気がある、「WE300B」(1951年製)は中低音域が骨太くて抜けがいい、続いて「WE300B」(1988年製)は全帯域のバランスがいい、「171Aプッシュプル」は低音域の量感が凄くいい、「171シングル」は繊細さが出色といった具合。

ちなみに、5台中4台が「北国の真空管博士」の手になるもので、特別にお世話してもらった希少な古典管の起用とともにその魅力度は筆舌に尽くしがたい。


また、2ウェイのときのような大幅な落差が生じなかったのが不思議だが、きっと「3ウェイシステム」の方の周波数特性と応答性が優れているのだろう(笑)。


 

 


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