「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

モーツァルトのヴァイオリン協奏曲

2015年02月28日 | 音楽談義

最近どうも“ものぐさ”になったせいか、あまりCDに手が伸びないようになった。CDトランスポートに近寄ってトレイを開けてCDを載せてまた閉じる、そしてトラックナンバーを押すといった一連の作業がどうもまどろっこしくて仕方がない

どうやら歳を取るにつれ、段々と“せっかち”になっていくようだ(笑)。

そういうわけで、つい手っ取り早くテレビに録画しておいた音楽番組を観てしまうが、最近“はまっている”のが「モーツァルトのヴァイオリン協奏曲」(1番~5番)。2005年に収録されたもので演奏者はアンネ・ゾフィー・ムター。全体で1時間半ほどの長さだが、このところ毎日のようにぶっ通しで聴いているがまったく飽きることがない。

とりあえず、この名曲の解説をザットだがしておこう。


モーツァルト(1756~1791)のヴァイオリン協奏曲〔1番~5番)が作曲されたのは1775年だから19歳のときになる


1番の作品番号がK.207で、5番がK.219と近接しており9ヶ月のうちに次々と作曲されたせいか、いずれも一貫して流麗で耳あたりのいい曲調を持っている。

35歳で亡くなったモーツァルトだが比較的若い時期に作られたこともあり、晩年の作品たとえばオペラ「魔笛」のような独特の深みはないが、その一方でまるで「天馬空を翔ける」ような伸び伸びとした自由奔放さが感じられる。

「モーツァルトらしさ」からすればこちらが上かもしれないと思うほどで、モーツァルトに限っては若い頃の作品だから未熟と決め付けられないところが何ともはや、すごい。

これら5曲の中で「白眉」(はくび:古代中国の蜀の馬氏5人兄弟は皆“才名”があったが、特に眉の中に白毛があった馬良が最も優れていたという故事から、同類の中で最も傑出している人やモノをいう)とされているのは第5番。第二楽章が湛える「霊妙な美しさ」は、もう喩えようがない。


あの天才物理学者でヴァイオリン愛好家だったアインシュタインは「死ぬということはモーツァルトを聴けなくなることだ」と語ったが、この5番については「イ長調のコンチェルトの光輝、情の細やかさ、機知はいかなる曲目も凌駕することができない」と言ってる。

ただし、これは私見だが
これらヴァイオリン協奏曲は1番~5番まで小分けする性質のものではなく、すべてを一体として考えるべきものという印象を持っている。まあ、5楽章まである交響曲みたいなものかな。

現在所有しているCD盤は次のとおりで、興に乗って昨日(27日)久しぶりにすべて試聴してみた。

                 

                 

 1971年録音 ダヴィド・オイストラフ(指揮&演奏)ベルリンフィル 

☆ 
録音時期不明 ダヴィド・オイストラフ(演奏)ハイティンク指揮

☆ 1962年録音 ユーディ・メニューイン(指揮&演奏)

☆ 
1962年録音 アルトゥール・グリュミオー(演奏)、コリン・デービス指揮 ロンドン交響楽団

☆ 1963年録音 ヤッシャ・ハイフェッツ(演奏)

☆ (前述のとおり)2005年録音(NHKBSハイ録画)ムター(指揮・演奏)


オイストラフ(1908~1974)

ベルリン・フィル盤は、最晩年(63歳)の録音で、功なり名を遂げた大家の風格十分、相変わらず悠揚迫らざる堂々とした演奏ぶりだが2枚目のCDの4番~5番になるとちょっとおかしくなる。演奏もそうだが、録音がひどい。

演奏時の録音ミスのせいかブ~ンというかすかなハム音が聞える。録音時期を調べてみると1番~3番までは1971年、4番~5番は1970年だった。いわゆる別テイクというわけで納得。

次のハイティンク指揮の盤は、オイストラフがもっと若い時期の演奏とすぐに察しがつく。とにかく艶やかな音で瑞々しくて抒情性もある。モーツァルトらしさという点ではこの盤の方がぴったり。しかしこれは5番だけの収録。

ユーディ・メニューイン
(1916~1999)

幼少時から天才の誉れ高かったメニューインだが、著作「20世紀の名ヴァイオリニスト」によると彼が10代の頃に弾いたものが激賞されていた。この盤は彼が40代の時の油の乗り切ったときのものだが演奏、音質、オーケストラいずれもケチのつけようがない出来栄え。

アルトゥール・グリュミオー(1921~1986)

名盤としてほとんどの音楽誌でトップの評価(評論家の投票)に位置づけられている作品。愛器ストラディヴァリ”エックス・ゲラン・デュポン”を駆使した美音はモーツァルトにぴったりで、繊細かつ音色の流麗さは他の追随を許さない。抒情性もたっぷり。指揮者コリン・デービスの堅実なバックアップも光る。しかし、自分にとってはあまりにも聴き過ぎてしまいやや食傷気味(笑)。

アンネ・ゾフィー・ムター
(1963~ )

成熟したヴァイオリニストを感じさせる演奏。もっと豊かな音量、自由闊達さが欲しい気もするが、それらを映像つきの見てくれの良さが補って余りある。

ヤッシャ・ハイフェッツ
(1901~1987)

気負いがなく淡々とした演奏は端正の一言に尽きるがモーツァルトには合わない。晩年の演奏のせいかテクニックがイマイチで途中でダレて来るし、録音もいまひとつ。

ほかに、楽しみな演奏家として期待されるのがマキシム・ヴェンゲーロフで、ようやく右肩の故障が癒えて復活したようで、どの程度の回復なのか定かではないが一刻も早い録音が待ち遠しい。

    


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JBLシステムの改変

2015年02月24日 | オーディオ談義

先日(21日)、このところご無沙汰気味だった湯布院のAさんが珍しく我が家にお見えになった。午後はご近所のYさんが来訪されこの日はホスト役として大忙し。

何しろ主人公はお客様なので「我が家の音に満足していただけるんだろうか」と、いささか気になるが「いい音」と「好きな音」は別なので、それぞれ好みが違うすべてのお客さんから高評価をいただくのは到底無理な話だと割り切ることにしている


とは言いながらも、一人で聴くときは音楽鑑賞の方に神経の大半が注がれてしまい音質についてはあまり気にしないのが通常だが、お客さんと一緒に聴くときは音楽よりも音質の方に神経の大半が注がれてしまう。

したがって、いつもは見過ごす我が家の音質のアラがやたらに気になってくるときがあるが、この日がそうだった。

二人のお客さんを迎えて、いろんな曲目を聴いてもらう傍で少々気になったのが低音域の弱点で「もうちょっとローエンドへの伸びが欲しいなあ」。

その辺は「AXIOM80」についてはとうの昔に諦めているのだが、せめてJBLシステムぐらいは大型エンクロージャーに収めていることもあって、もう少し何とかなって欲しい気もする。

お客さんたちがお帰りになった後で恒例のウォ-キングをしていると、ふと閃くものがあった。引き合いに出すのはまことに畏れ多いが、かのベートーヴェンもハイリゲンシュタットの森を散策しながら楽想を得たという(笑)。

「そうか、JBLのD130はもともと音声信号に対するレスポンスを優先したツクリになっており低音は出にくいユニットである。したがってアンプの責任ではなさそうだ。現在のクロス周波数を500ヘルツほどにしているが、いっそのこと200ヘルツほどに下げてやるといいかもしれない。そうするとアンプのパワーを上げてやってもうるさくならないはずだ。」

いっちょう実験してみるか。な~に、悪ければ元に戻せばいいだけの話。何せ時間はたっぷりあるんだから~(笑)。

前述のとおり我が家のシステムを“いじる”ときは決まってお客さんたちがお帰りになった後になるが、この日も16時ごろからゴソゴソとシステムの改変にとりかかった。以下、ちょっとマニアックな話になるが悪しからず。

 低音域のユニットのJBL「D130」のSPコードに挿入しているコイルをムンドルフの「8.2mh」(ミリヘンリー)に交換し、クロス周波数を200ヘルツ(ハイカット)ほどに一気に下げた。こういうこともあろうかと、コイルの交換はワンタッチで出来るようにSPターミナルを片チャンネルに4個接続しているので非常に便利である。

 低音域のクロス周波数を200ヘルツにすると、中音域のJBL2440ドライバーのクロス周波数(ローカット)が600ヘルツほどなのでその間に400ヘルツほどの隙間が出来る。その空白を埋めるために新たにSPユニットを加えることにした。都合よく、以前にテレビの試聴用として準備していた「リチャードアレン」の口径20センチのユニットがあったのでそれを使うことにした。

 当然、これを駆動するアンプが要るので予備役中の「71Aプッシュプル」を使うことにした。プリアンプの出力が3系統あるのでそのうちの1系統とピンコードで接続。SPコードには中音域に被らないように500ヘルツクロス(ハイカット)のコイルを挿し込んだ。この71Aプッシュプル・アンプは出力トランスがメチャ小さくて低音域がサッパリ出ないが、今回の出番ではこれが功を奏してローカット用のコンデンサーを挿入しなくて済むので大助かり。まさに適材適所だと我ながら感心。

作業自体はものの30分もあれば十分だった。これでJBL4ウェイ・マルチチャンネル・システムの出来上がり~。

スピーカーはシンプルなフルレンジが理想なので「4ウェイなんて相互のユニットが干渉しあって碌な音にならない」と、眉をひそめる向きが多いと思うが、実を言うとこれまでの自分がそうだった。成り行きというものはほんとうに恐ろしい(笑)。

まあ、ひとまずこれで聴いてみよう。何ごともチャレンジである。手持ちの材料ですべて済んだのでお金は一銭もかからないのがたまらなくうれしい(笑)。

           

実際に聴いてみるとこれがなかなかいい。

ズシンと腹に響く重量感のある低音といい、全体的な音の密度感といい、期待以上である。まあ性急な判断は禁物なのでいろんなソースを聴いてみてから改めて判断することにした。

結局、システムの概要は次のとおりになったが後日のために記録しておこう。

☆ 低音部( ~200ヘルツ)

プリアンプ1号機 → PX25シングルアンプ → JBL「D130」ユニット(38センチ口径)

☆ 中低音部(~500ヘルツ)

プリアンプ1号機 → 71Aプッシュプル・アンプ → リチャード・アレン「ニューゴールデン8」(20センチ口径)

☆ 中音部(600ヘルツ~7000ヘルツ)

トランス式アッテネーター → 古典管シングル・アンプ2号機 → JBL「2440ドライバー」(ホルン付き)

☆ 高音部(7000ヘルツ~ )

プリアンプ2号機 → 古典管シングル・アンプ1号機 → JBL「075ツィーター」(ステンレスホーン付き)

以上のとおりだが、このブログを登載する時点で早くも三日ほど経ったものの、今のところ聴感上は大満足である。しかし、このせいで「AXIOM80」(復刻版)をウェストミンスター(エンクロージャー)に収納する計画がず~っと遠のいてしまった。

まあ、楽しみは最後の最後までとっておくことにしよう(笑)。


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「オームの法則」ならぬ「オーディオの法則」

2015年02月22日 | オーディオ談義

昨日の朝食時に家内がこう言う。「お父さんはオーディオという趣味があるから退屈することがなくていいわねえ。退職後に何もすることがなくて困っている人が沢山いるみたいよ。」

「オーディオは時間がいくらあっても足りないからな。俺が手持無沙汰にしていないのでお前だっていいだろう。」「そうねえ。寄りかかられなくて済むので助かるわ。」

熱中できるものがあると人生はバラ色になる。オーディオに感謝しつつ今回もまたオーディオの話(笑)。

我が家のWE300Bアンプ(モノ×2台)といえばSN比もいいし、なかなかの音だが絶対的なエースかとなるとそうでもない。

そもそもライバルが「1920年代製の真空管」を使ったアンプ(3台)、「刻印付きの2A3」アンプ(2台)だから、そうは問屋が卸さない(笑)。

原因はアンプというよりも真空管そのものにあるようで、「評判ほどでもない」という印象をどうしても拭いきれない。現に周囲のオーディオ仲間たち(福岡)は長年愛用してきた「WE300B」から「1920年代製の真空管」へと、この1年余りの間にまるで草木がなびくように移行してしまった。


しかし、前々回のブログに記したように我が家ではWE300B(1951年製ペア)真空管をずっと手元に置いておくことに決めたので、例によって「勿体ない精神」から何とかもっとうまく鳴らす方法はないものかと思いを馳せる今日この頃。マニアはとても欲張りなのです(笑)。

           

巷には中国製の300Bも含めてこの系統の球を使った真空管アンプがそれこそ山のように溢れ返っているが、これまでいろんなお宅で聴かせてもらったものの、いずれも「いい音」だとは思ったが「振るい付きたくなるほど!」というわけにはいかなかった。

もし、そうなら手っ取り早くそっくり同じアンプを購入するか作ってもらうかするのだが、その気になることは皆無だった。

さて、300Bの使い方のノウハウとなると、何しろ稀代の名管なのでこれまでいろんなウワサが入ったり、出ていったり~。出ていくとはつまり使い物にならなかった情報のことである(笑)。

そういう中で前々回のブログに登場していただいたM女史の言はなかなか参考になりそうである。

今回、オークションに出品するためにWE300B真空管(オールド)を測定してもらおうと相談を持ちかけたときに「どうもWE300Bは肌身に合わないような気がします。アンプのせいかもしれませんが。」と、メールに“こぼした”ところ次のような回答があった。

「だと思います。300Bは本来AC(交流)点火の球でしょう。WEのアンプはそうなっています。で、WE曰く、“DCの場合は~”になるのですね。それを皆さん最初からDC(直流)点火にしている。DC点火すると音が硬くなり雰囲気(余韻)が消えます。AC点火で残留ハム6mV、これが基本ではないでしょうか?」

文面から「貴方はWE300Bのほんとうの価値を知らない」というお叱りの声が聞えてきそうだが(笑)、これはいまだに論争が続く300Bのヒーター点火の問題である。

オーディオは煎じ詰めれば個人ごとの“こだわり”の世界なのでいろんな論議があっても当然で、その中から自分にとってピンときたものを選択すればいいだけの話だが、例によってこれも「オームの法則」ならぬ「オーディオの法則」が働く。

つまり「こちら立てればあちら立たず」というわけで、オーディオは常にプラス・マイナスの差し引きで総合的に考えるクセを付けた方が大火傷(無駄遣い)しなくて済む。

今回の件もオーディオ仲間(福岡)によると「これまで交流点火の300Bアンプをいろんなところで聴かせてもらいましたが、常にブ~ンというハム音に悩まされていました。ハムバランサーではどうも取りきれないようです。結局“いい音”をとるかわりにハム音に悩まされるか、それとも直流点火にしてハム音を追放するかのどちらかの選択になってしまいます」。

自分ならどんなにいい音が出ようと、少しでもハム音が出れば凄く気になるので絶対に直流点火にする。

音楽の真髄は音がふと鳴り止んだときの音響空間に漂う余韻にこそある。静けさこそが“壺中の天”をもたらしてくれるというのに、そういうときに微かなハム音でも聴こえるとまったくの興ざめ。したがって(ハム音は)虫唾が走るほど嫌いなのである(笑)。

はてさて、交流点火の時にM女史がおっしゃる残留ハム6mVとは自分にとって我慢できる範囲なんだろうか。そもそも残留ハムを極限まで押さえるノウハウはいったいどういうのがあるんだろうか?この稀代の名管に対して興味は尽きない。

そういえば、前々回のブログ「縁は異なもの味なもの」に登場していただいたYさん(名古屋)も「WE300Bは交流点火がいい」と、力説されていたのを思い出す。

ほかにもWE300Bのノウハウは沢山あるんだろうが、「オームの法則」に疎い「温泉おじさん」には茨の道が果てしなく続く~(笑)。


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捕らぬ狸の皮算用

2015年02月17日 | オーディオ談義

前々回のブログに記載していたように、昨年(2014年)から身辺整理の一環として不要になったオーディオ機器を順次オークションに委託出品している。

値が張りそうなものはあらかた片付いたが、最後に大物がでんと控えていた。泣く子も黙る真空管「WE300Bオールド」(1951年製のペア)である(笑)。何せ“音がいい”うえに稀少管とあってオークション相場では程度次第にもよるがおよそ50万円はいくほどの代物だ。

WE300Bはツクリが丈夫で長寿命で知られており、現在手元に5本あるのでそのうち2本くらいは出してもどうせ使い切ることはあるまいと踏んだが、およそ60年ほど前の古典管だから程度の方がサッパリ分からない。

これまで「勿体ない精神」であまり実装はしてきていないものの、購入した時点でかなり使い込まれていた可能性は否定できない。たしか20年ほど前のことだが、周知のとおり真空管は消耗品なのでピークを過ぎると性能が劣化するばかりで本来の実力とは程遠くなる。

やはりこういう値の張りそうな古典管は「測定数値付き」で出品する方が明らかに説得力が増すし、オークションの入札者に強力にアピールするのは間違いない。

さて、どなたに測定を頼もうかと考えたときに、ふと浮かんだのが関西在住の「ひま人」ことM女史。昨年(2014年)の暮に、刻印付きのWE300B(ペア:1930年代前後の製造)を「911000円」で落札された御仁である。

とにかく真空管の収集と造詣の深さ、そして熱意は並々ならぬものがあって、ホームページ「ひま人の館」をご覧になっていただければどなたも頷いていただけよう。

先日、オーディオ仲間(福岡)から連絡があって「“ひま人の館”を見ましたが凄いコレクションですね。ほんとに女性なんですか?お幾つぐらいの方ですか?領土問題の主張も理解できるし一度お会いして話してみたいですね。」

「会社員とだけ伺ってますが、女性に年齢を訊く訳にはいきませんのでその辺はまったく不明です。興味は尽きませんが・・・」(笑)と、とりあえず回答しておいた。

そのM女史に単刀直入に「WE300B真空管の測定をしていただけませんか。ついでに測定結果による真空管の相場(適価)についてもご教示いただければ幸いです。」とお願いしてみると、次のようなメールが返ってきた。

そのWE300Bはゲッターが十分あって、フィラメント点灯時に輝度差がないもの、電極間のタッチがないものということでよろしいでしょうか?問題のない品なら測定しますが、高価な品ですので、測定時の破損は保証できません。 

それでよろしければ、送ってください。 
フィラメントのみ2.5Vで30分、4Vで60分点灯後、以下の条件で測定します。①Ep=300Vにて、Ip=60mAとなるEgの測定 ②Ep=300Vにて、Ip=50mAとなるEgの測定 ③①と②よりGmの算出 ④Ep=350Vにて、Ip=60mAとなるEgの測定 ⑤Ep=350Vにて、Ip=50mAとなるEgの測定 ⑥④と⑤よりGmの算出 ⑦ペアとなりうるか否かを総合的に判断 ⑧ノイズの測定はしません。 
 
測定途中でのIpの暴走等、不具合があれば測定は中止します。また、測定以前の問題がある場合も同様です。」

以上のとおりだったが、もちろんそれでOKですよ~。

送付してから待つこと1週間、画像付きで次のようなメールが返ってきた。

             

300Bの測定が今終わりました。測定環境は添付画像の通りです。測定器は自作で菊水の定電圧電源を組み合わせて、実際の使用条件でどういう数値を示すかを測っています。(クラシックバルブの著者の大塚さんと同じ方法です)
 
①ゲッターの多い方

Ep=300V、Ip=60mA、Eg=-62.5V、Ip=50mA、Eg=-64.8V、Gm=4.3mA/V
Ep=350V、Ip=60mA、Eg=-75.9V、Ip=50mA、Eg=-78.6V、Gm=3.7mA/V

②ゲッターの少ない方(ほぼ消失)

Ep=300V、Ip=60mA、Eg=-58.1V、Ip=50mA、Eg=-60.4V、Gm=4.3mA/V
Ep=350V、Ip=60mA、Eg=-71.2V、Ip=50mA、Eg=-73.2V、Gm=5mA/V
 
です。数値的には、やはりゲッターの少ない方は厳しいですね。管頂やステムの着色状態から、かなり使われた物と推定できます。「いくらぐらいか?」のご質問ですが、オールドと言えど状態が悪いので、①¥8~10万 ②¥3万ぐらいでしょうか・・・

以上のとおりだったが、な~んだ、夢に描いていた50万円とは程遠い金額にガックリ!

これこそまったく「捕らぬ狸の皮算用」だった。それにしてもオークションにすんなり出さなくて良かった。危うくトラブルのもとになって「詐欺師呼ばわり」されるところだった(笑)。

このWE300Bはこれから頻繁に使って我が家で生涯を全うさせることに決~めた。

 

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縁は異なもの味なもの

2015年02月13日 | オーディオ談義

「縁は異なもの味なもの」という諺がある。

広辞苑によると「男女の縁は不思議なものである」とある。まるで官僚答弁みたいな素っ気ない解説だ
(笑)。そこでググってみたらこうあった。現代では用語の意味はネットを利用する方が“微に入り細をうがつ”ようで著名な辞書ももはや形無しである。

「男女の結びつきはどこでどう結ばれるか分からず、非常に不思議で面白いものだということ。理屈では説明できない縁があるという意味。異性関係以外で使うのは本来は誤りだが、現在ではそれ以外の結びつきにも使われるようになっている。」

今回は(異性関係以外の意味で)実に「不思議な縁」に遭遇したので記してみよう。

昨年の10月にオークションで手に入れた念願のオリジナルユニット「AXIOM80」(最初期版)。既に復刻版を2セット持っていたが、こればかりは「似て非なるもので全然別物」との周囲の大合唱にとうとう根負けした(笑)。しかし、鳴らしはじめて4か月ほど経過したが、期待通り非の打ちどころがない音質に十分満足している。

購入当時、「これほどのユニットを手放す人はいったいどういう人なんだろう」と思ったが探る術(すべ)はまったくなかったし、送り主の住所氏名も心当たりがまったくなかった。まあ分かったとしても“詮無い”ことではある。ただ唯一の手がかリとなるオークションの解説文にはこうあった。

「オーディオマニアの叔父が使っていたもので定かではありませんが1940年代終わりか1950年の初めごろに購入されたと聞いております。GOODMANS社のAXIOM80の最初期タイプ保管品の出品です。目視チェックしたところコーン紙の状態は非常に良く破れや補修跡が無い備品状態です。

このような極上ユニットは今後出品されることはまずないと思います。ヴァイオリン、ピアノ、ボーカル、ジャズのピアノトリオはスピード感のあるこれ以上ないサウンドを聴かせてくれます。また、AXIOM80のレプリカユニットもありますが外観は同じでもオリジナルとは似ても似つかないサウンドですからレプリカをお持ちの方はぜひ最初期タイプのオリジナルユニットを落札して聴いてください。

2本で一セットになります。テスト試聴では2本とも問題ありませんでした。65年前のユニットですから写真を参考にしてノークレームノーリターンでお願いします。」

           

以上のとおりだが、
単なる遺品整理にしては随分と詳しい解説だと思ったことを記憶している。

オーディオ仲間に(ネットを)見てもらったら「これは紛れもなくコーン紙の色具合といい、カンチレバー(白色で囲んだ部分)といい、極めて珍しい最初期版のユニットです。当時は日本で発売されてなかったので熱心なマニアがイギリスからわざわざ直輸入したものでしょう。」と太鼓判を押してもらったので、「清水の舞台から飛び降りる」思いで購入した。

ところが、この出品者の素性がこのほどようやく判明したのである。

それは一通のメールからだった。(2月10日)

名古屋市にお住いのYさんは中部地区真空管アンプ研究会のお世話役として活躍されていてすでに存じあげている方である。「無線と実験」誌にその活動記録を掲載されるなどその筋では著名な方でもある。

一時ブログを通じて「吸音材に羽毛を使用する」などの情報交換をしていたが、自然消滅でこのところ3年余り音信不通でまったく忘却の彼方だった。なぜ今ごろになってメールがという思いだが、名管「PP5/400」真空管の愛好家なので、おそらくつい最近の当方のブログが偶然目に触れて思い出されたのだろう。

Yさんからのメールの中身は次のとおり。

「〇〇さん、お元気で何よりです。axiom80は名ユニットです。このユニットに関してキット屋の私のコラムに使いこなしを載せてあります。写真を見れば気が付くかも知れませんがこのユニットは私が出品したaxiom80ですよ、まさか〇〇様が落札とは不思議な縁ですね。
 
まだ手元に1セットありますからじっくりと調整しようと思って現在大阪のショップに点検中で送ってあります。私のシステムはCDPからPCオーディオに切り替えました、PCオーディオにトランスをかませますと音は激変します。CDとアナログを比較しましたらCDのがよりコクとふくよかさ細かいニュアンスが出ています。マスターテープを聴くような音です。ちなみにトランスはWEの618Bです。このトランスは最高のサウンドを聴かせてくれます。」

これを読んで、エ~ッとビックリ仰天。(送り主の名前が違っていたのでおそらく委託出品だったのだろう。)

「人生には上り坂と下り坂があるがもう一つ“まさか”という坂がある」とは、小泉元首相の弁だがその“まさか”である(笑)。

すぐに次のようなメールを送った。

「いやあ、驚きました!そうでしたか・・・。とても程度のいいAXIOM80を、しかも最初期版を手に入れて大喜びでしたが、まさかY様の出品とは想像もつきませんでした。改めてお礼申し上げます。実に不思議なご縁だと思います。こんなに程度のいいものを手離す出品者の気がしれませんでしたが、もう1セット持ってあるとお伺いして納得です。それにしても現用中のAXIOM80は実にいい音を出してます。ただし、お好みのロンドン・ウェスタンに近い音かどうかは定かではありませんが。」

すると、折り返しYさんから次のメールが到着。(2月11日)

「別府と名古屋は遠いですが何かの縁ですね、叔父が残した秘蔵品はまだありました、WEのVT52刻印が10本、WE-274B刻印それとWE-618B昇圧トランスがありました、まだ色々ありますが幻の名トランスWE-618Bは巷ではぺア80万円以上だそうです。このトランスを使いますと次元の違うサウンドに変身します。

axiom80が帰ってきしだいこのトランスでエージングします。凄い音になりそう、またWE-VT52のアンプも設計開始します。出力トランスはドイツのクラングフィルムがありますからこれを使って作ります。整流管は274B刻印を予定しています。
私もaxiom80の同好会に入れてください。同好会の一番下っ端の補欠でも良いですよ(笑)」

以上のとおりだが、何しろ「AXIOM80」のおかげで全国的に「交流の輪」が広がってまさに「オーディオ人生花盛り」である。オーディオは孤でやるよりも大勢でワイワイガヤガヤする方が絶対楽しいもんねえ~(笑)。


最後になったがYさんのサイト「キット屋のコラム」を紹介させていただこう。

「私のオーディオ人生~第35回・GOODMANS AXIOM80を鳴らす~」

 

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久しぶりの試聴会

2015年02月10日 | オーディオ談義

オーディオを長いことやっていると今後使う見込みのない機器がいろいろ出てくる。まだ現役として十分通用するモノばかりだが、まったく出番がないでは可哀想だし他所で活躍の場を与えてやるに越したことはない。

その点、現代は一昔前では考えられないネット・オークションという非常に便利なツールがあるので大いに助かる。もちろん資金繰りも大いに助かる(笑)。

そこで、長年愛用してきた機器だから多少の未練はあるもののスッパリ断ち切って、昨年から不要になった機器を順次同じオーディオ仲間のNさん(大分市)にお願いしてオークションに出品している。

たとえばワディアのCDトランスポートからウェスタンのトランス、WE300B(1952年製)、TR式のプリアンプ(3台)、不要になった古典管など大物小物を含めて引く手あまたで総額でいくと100万円近くにはなったが、すべて他のオーディオ機器に変身したので差引ゼロどころかむしろ赤字になってしまった。

dCSのCDトランスポート、オリジナルの「AXIOM80」(最初期版)、出力管「PP5/400」、1920年代製の真空管アンプ(4台)などに化けてしまったわけだが、まさに「お金は天下の回り物」(笑)。

そして、このたび「北国のおじさん」からJBL375ドライバー用のホルンをいただいてからおよそ1か月ほど経ったが、これがいたく気に入ってこれまで使ってきたウッドホーンは部屋の隅に放ったらかし。もう使う見込みはありましぇ~ん。

クラシックファンがジャズ向きとされるJBLを使うことの難しさも一因だが、とにかく性能を十分発揮させることが出来なかった自分に責任があるのだろう。それはともかく潔くオークションに出すことにしてNさんに相談してみると「そんなに早く決断していいんですか!勿体ないなあ~。」

「どうも自分が求めている音とは違うようです。(Nさんの)ご自宅に持って行くといいのでしょうが、取りに来ていただくついでに一度ホルンの音を実際に聴かれてみませんか」と、お誘いしてみた。

「そうだね、久しぶりにお伺いしようか。仲間と相談して後で訪問日時を連絡します。」

そして、6日(金)の14時に決定。訪問者はNさんをはじめMさんと初対面のAさんの3名となった。

わざわざ来ていただくほどの音ではないので、まるでボランティアみたいなものだがほんとうにオーディオ仲間はありがたい。ちなみに、某オーディオ評論家は自宅のシステムをお客さんに聴かせるのに1時間当たりでお金を取ると風の噂に聞いたが、自分の場合はむしろお金を払う方だと思っている(笑)。

さて、今回の試聴会のテーマは次の2点。

 JBL3ウェイシステムに使用する新しい「ホルン」とこれまで使ってきた「ウッドホーン」との違い

☆ 
同システムに最近取り付けたウーファー「D130」とこれまで使ってきたタンノイの「HPD385」との違い

後者については、Mさんがタンノイの時の音を熟知されているので、ご意見を伺うのにはもってこいのチャンス。

当日は朝から快晴で絶好の日和となった。

定刻通りきっかり14時にお見えになったのでさっそく試聴開始。クラシックからジャズ、歌謡曲までいろんなジャンルをひととおり聴いていただいた。

         

持ち主の面前で音質について手厳しいことを言うのは誰もが多少なりとも控えるだろうから、幾分割り引く必要があるとしても、(自分の)主観を交えずにありのままのご意見を紹介してみよう。おそらく仲間たちもこのブログを読んでいるだろうから“真っ赤なウソ”はとてもつけない(笑)。

 こういうユニークなシステムを試聴できる機会があるとはほんとうにありがたい。このホルンは見かけからしてキンキンする音が出てくるかと思ったら意外と“しっとりとした音”が出てくる。人の声のサシスセソが刺激的にならないのには驚いた。金管楽器などはもう抜群の鳴り方をしていて、まるで目の前で演奏しているみたい。こういう音を聴くとスピーカーは楽器であることをまざまざと実感する。これならウッドホーンを売る気になってもおかしくない。

 この前聴かせてもらったときはウーファーがタンノイだったがそれなりの良さはあった。たしかに中高音域とのスピードがやや合ってなかったが、逆にボーカルの時などはふわっと包み込むような感覚があってとても聴き心地が良かった。

その点、オールJBLのユニット(3ウェイ)になると全体のスピード感がそろってたしかにジャズなどはいいのだがクラシックやボーカルとなるとあまりにストレート過ぎて逆に味わいが薄くなる傾向がある。〇〇さんはクラシックを主体に聴かれるんだから、むしろ元のタンノイのユニットの方がJBLらしさを上手く中和して良かったような気がする。

 ホルンもたしかにいいのだがエンクロージャー(タンノイのウェストミンスター)がしっかりしているのが全体的によく利いている。低音域がしっかりしていないとホルンの良さがこれほどは目立たないと思う。やはりオーディオは総合的な視点から考えないと~。

 (「JBLシステムとAXIOM80を両方聴いてもらった後で、単刀直入にどちらの音が好きですか?」との問いに対して)それぞれに良さがあってどちらがいいとは言えない。強いて言えば「ありのままの音がJBL」で「やや着飾った音がAXIOM80」かな。まるでお国柄を聴いているみたいで、開放的で力強さを備えたアメリカと、その一方貴族の上流社会を思わせるような上品なヨーロッパの伝統の味との対比が実に鮮やか。


とまあ、以上のようなご意見だった。総じて、新しいホルンは好評で皆さんに大いにその良さを愛でていただいたのは持ち主としてうれしかったが、気になるのはのウーファーユニットの比較でJBLの「D130」とタンノイの「HPD385」との聴感上の違い。

そう言われてみると、まさに正鵠を射たご指摘のように思った。


オーディオはほんとうに「こちら立てればあちら立たず」で機器を交換したからといってまず、すべてが良くなるということはあり得ない。得るものがあれば何か失うものもある、長いこと機器をとっかえひっかえ試行錯誤をやってきたが、これの繰り返しである。この点をオーディオ仲間のGさん(福岡)に嘆くと「それだからこそオーディオは面白いんですよ!」

成る程!

なお、ウッドホーンを持ち帰り際にNさんが洩らされた何気ない言葉「見かけはウッドホーンの方がずっといいんだがなあ」にはちょっと身につまされた。

たしかに「見かけも音のうち」かも知れないが「目に映る美」と「耳に響く美」とどちらを優先するかとなると、そこはオーディオマニアなんだから・・・・。まあ、たしかに自分は“なりふり構わない”実利派タイプではある。

とはいえ、中にはオーディオを室内装飾の一部と考える方もたしかにおられるようで・・・。皆さまはいかがですか?


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宝の持ち腐れ

2015年02月07日 | オーディオ談義

真空管アンプの愛好家として40年を越えるが、その間いろんなタイプの真空管に接してきた。

ミニチュアタイプの電圧増幅管から、交流を直流に変える整流管、そして出力管など様々だが、その中で、まあいろんな考え方があるんだろうが、何といっても王様に位置するのは出力管で、その他の真空管はその引き立て役といってよかろう。

丁度、オーディオはスピーカーが王様でその他の機器は引き立て役という構図と良く似ている。

真空管アンプの音質を最終的に左右する役割を担っているのは出力管というわけだが(出力トランスも大事だがそれはこの際措いておこう)、ときどきベテランの真空管マニアに「一番音のいい出力管は何ですか?」と訊ねることがあるが、答えは個人的な好みもあっていろいろ分かれる。

例えば「DA100」であったり、「刻印付きWE300B」だったりするが、その中で必ず候補の一つとして上がるのが「PP5/400」(英国マツダ)である。あるオーディオ仲間の「お師匠さん」筋に当たり、これまで真空管アンプを軽く1000台以上は作ってきたという強者(つわもの)が「一番音のいい出力管はPP5/400です」と断言されるほどだからこれは間違いなし(笑)。


欧州の名三極管として知られる「PX25」系統の球として、ピン配列が同じなので差し換えが利くことでも有名だが、我が家にもPX25アンプが1台ある。「いつかは、この出力管を我が胸に」と夢を抱いても叱られはしないだろう(笑)。

        

そしてこの待望の「PP5/400」がオークションに出品されているのを偶然見つけたのである!

実を言うとこれは昨年末(2014年)の12月31日のことだった。「何だ、1か月も経ってブログに登載するのか!」という声が上がりそうだが、なにせ「北国のおじさん」からJBL375用のホルンをいただいたりと、書きたい記事が年頭から山のように押し寄せてきたものだからとうとう出番が今ごろになってしまった(笑)。


            

オークションの解説文には「ソケットもお付けします。現用機にて動作確認済です。」という素っ気ないコメントがあるのみ。即決価格は25万円!

ウ~ン、どうしよっか。高額真空管ともなるとちゃんとした測定器による数字的なデータがぜひ欲しいところである。購入したはいいものの使い始めて1か月ほどで寿命が来ましたではお金をドブに捨てるようなものだから泣くに泣けない。

顔の見えない相手をむやみに信用するわけにもいかないが、念のため出品者のオークション評価の履歴を見てみると「非常に良い」が479件、「悪い」が0という結果なのでまあ安心のできる方なのだろう。

とにかく落札時刻がもう目前に迫っている。こういうときは頼りになるオーディオ仲間に相談するに限る。現在、この球を使っておられるのは同じ「AXIOM80」仲間のSさん(福岡)である。現在、東京に単身赴任中だが、お正月休暇で帰省されているに違いないとにらんだ。以前このブログで紹介したことがあるが、Sさんは世界中で2台しかないイギリス製の凄いアンプの持ち主である。

         

メールでは間に合わないのでいきなり携帯にかけてみた。

「PP5/400がオークションに出品されてますがどうしようか迷ってます。現在〇〇万円です。落札時刻が後1時間ほどに迫ってますのでちょっと見ていただけませんか。」

すぐにご返事があって「PP5/400は前期と後期がありますがこれは音がいいとされる前期のものですね。オークションで見かけるのは珍しいです。しかも程度が良さそうですよ。私も4ペア確保してますが前期分は1ペアしか持ってません。〇〇万円くらいなら私が欲しいくらいです。」

この言葉が強力に背中を後押ししたのは間違いなし(笑)。

それにしても終了日時が(12月31日の)「13時」の真昼間というのが面白い。全国津々浦々の大勢の真空管マニアが目を皿のようにして競り合う夜間帯ではないところに、出品者の“おおらかさ”が垣間見えるようだ(笑)。

と、ここまで書いてふと思った。そうか、大晦日の夜ともなると紅白歌合戦とか一家団欒の時間でオークションなんて野暮なことをする人間は少ないかもねえ。そこまで見込んだとすれば出品者はなかなかの深慮遠謀家だ!

とにかく結果は競り合った末に(入札件数85件)、〇〇万円という
Sさんが大いに乗り気になられた破格の値段で自分が落札した。何せ早寝早起きなので夜間のオークションはすべて白川夜船だが、昼間のオークションともなると無類の勝負師に変身~。

休暇中は金融機関がお休みなので、5日(月)に代金を振り込んで現物が到着したのは8日のことだった。

半日ほど慎重にエージングして(といっても自己流で随分“ずさん”だが・・・)、祈るような気持ちで音出ししたが無事立派な音が出てくれてほっと一息。高額真空管は心臓に悪い(笑)。

しかも「勿体ない」気持ちの一点張りで、それ以降この真空管の出番はまったく無し~。

こうなりゃあ、まったく「宝の持ち腐れだ!」(笑)。


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ミステリーを読む

2015年02月05日 | 読書コーナー

先日、図書館から「予約されていた本が入りました」と、ありがたいメールが入った。本のタイトルは「闇に香る嘘」と「秘密(上下巻)」。

昨年末に娘が帰省したときに持って帰ってきた「このミステリがすごい!2015年版」では前者が国内編では堂々と3位に輝き、後者は海外編で2位と上位にランクされている作品である。きっと面白いに違いないと、すぐにネットで図書館に予約したが、ようやく1カ月待ちでの朗報というわけ。

飛ぶようにしてすぐに図書館に駆けつけて3冊を持ち帰った。

         

JBLシステムの編成もどうやら一段落したことだし、この4日間は日がな一日ミステリー三昧。「オーディオ三昧」と「ミステリー三昧」は“暇つぶし”にはもってこいである(笑)。

それでは書評に移ろう。(あくまでも私見です)

まず、「闇に香る嘘」だが残念ながら手放しで絶賛というわけにはいかなかった。まだ新進作家としてデビューしたばかりなので、謗(そし)るよりも今後の成長を見守らなければいけない作家だが、それでも歴史ある「江戸川乱歩賞」の受賞作品となると心を鬼にして注文をつけざるを得ない。

物語のあらすじはこうだ。

「孫娘の病気がきっかけで、村上和久(主人公)の脳裏に妄想めいた考えが浮かびはじめる。故郷で老いた母と暮らす兄はもしかして他人ではないのか。和久の一家は満州からの引揚者だったが兄は途中ではぐれ生き別れになっていた。27年後中国人に育てられた兄は残留孤児として帰国することが出来た。だが和久はその頃既に病気のために失明しており大人になった兄の顔を見ることは不可能だった。

和久は盲目の身を押して兄の仲間や残留孤児の支援団体を訪ね歩き兄のことを調べ始める。だがそれと前後して暗号めいた手紙が届いたり和久の周辺で不穏な動きが続き、ついにはほんとうの兄を名乗る人物からの電話がかかってくる。」

盲目という大きなハンディを背負った男を主人公に据えるという高い難易度に挑戦した意欲作であることに異論はない。謎が解明されるとともに当事者たちの人生が一変するという結末の意外性もシンプルであるが故に非常に印象的だ。

だが、しかしである。どうも全体的に見て小細工が多すぎるようで何だかチマチマしていてスケールが小さい印象を受ける。あえて言わせてもらえれば「木を見て森を見失う」という感覚に近い。

オーディオに喩えて言えば低音とか高音がどうのこうのと言って細部にばかりこだわり、全体的な「音の佇まい」に気が付かないタイプだ。たとえば自分のような~(笑)。

また「中国残留孤児」問題がテーマになっているが、これは現代において取り扱うにはいかにも色褪せ過ぎていて時代遅れの感がある。それに加えてあまりにも悲惨で深刻な問題なのでつい身につまされてしまう。

したがってミステリーの分野で扱うにはちょっと手に余るのではあるまいか。テーマの重さに引きずられてミステリーの味が薄くなってしまうのである。つい、同種のテーマを扱った名作「大地の子」(山崎豊子)と比べたくもなるが、それは著者にとっても本意ではあるまい。

しかし、皮肉な結末は完全に意表をついたもので実に鮮やかなお手並みだった。この結末だけのために読んでみるのも一興かもしれない。才能がありそうな作家なので次回作に期待しよう。

次に「秘密」(上下巻)。

結論から言うと、近年稀に見る秀作である。上巻はまどろこしくてやや退屈だが、下巻に入ると読者をグイグイ引っ張っていく。読んでいると背筋がゾクゾクするほどの面白さで、こういう本に出会うのは年間に一作あるかないかと言っていいくらい。

大概の作品が始めのうちは大上段に振りかぶってみるものの、読み進むにつれて竜頭蛇尾に終わってしまうのがオチだが、ほんとうに力量のある作家は後半になればなるほど充実してくるというこれまでの確信に間違いはなかった。マラソンに例えると後半に強いランナーが最終的に栄冠に輝くという真理は厳然としてある。そういえば「人生」だってそうですよね(笑)。


あらすじを述べてみよう。

「物語は1961年夏から始まる。その日、妹たちと遊ぶ16歳の少女ローレルは訪ねてきた見知らぬ男を母親のドロシーがいきなり刺殺する場面を目撃してしまうが、彼女の証言も味方し正当防衛で母は罪を免れる。それから50年の月日が流れ、ときは現代。イギリスで女優として成功を収めたローレルは死を目前にした母を病院に訪ね、一枚の古い写真に目を留める。そこに彼女の過去を垣間見たローレルは自分が母親についてあまりに知らないことに改めて気づき、ベールに包まれた過去を調べ始める。」

「なぜ母親は見知らぬ男に出会った途端に殺意を抱いたのか」、この謎解きを基軸に物語は1940年代の過去と2010年代の現代との時間軸を行きつ戻りつしながら展開されていく。

全編を流れる一貫したテーマは人間の持つ複雑な多面性についてである。

人間の心の中には善と悪が混在しており、その場その場の状況に応じて悪人にもなれば善人にもなる。たとえば、上巻43頁に「生身の人間がひとりいれば、その背後に必ず“語られない部分”(ブラック・スポット)が控えている」という“くだり”があるが、まるでストーリー全体を象徴しているかのような含蓄のある言葉である。

とにかく情景描写の巧みさや、人間心理の細かい襞をえぐるような筆致は群を抜いていて、初めのうちはこれはミステリーではなくてむしろ純文学の香り高い作品だと感心しながら読み進んだが結末の鮮やかなどんでん返しの意外性からするとこれは明らかに上質のミステリーだった。

これから読む人がいるかもしれないので絶対にタネを明かすわけにはいかないが「こういう動機があれば誰だって相手を殺すわいなあ」と、いやでも納得させられた。

上下2巻、細かい字がびっしり詰まっていて文庫本に直すと3冊くらいの分量になるが、それにひるまない根気を持ち合わせの方に是非お薦めしたい本である。結末が分かった後でも再読したくなるようなミステリーとはこういう本をいう。

 


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真空管300Bあれこれ

2015年02月03日 | オーディオ談義

先日、オーディオ仲間のU君(福岡)から次のようなメールが届いた。

「年末年始の読み物として図書館で借りた“MJ無線と実験”のバックナンバーに、同好の志が集まり、300Bを各メーカーの8種類集めて聴き比べした上で順位を出すという記事がありましたが、ご存知でしょうか。」

「音がいい」ことと「ツクリ」の確かさで名管の誉れが高い「300B」のテスト記事は、これまでオーディオ専門誌で数えきれないほど読んできたので結論はおよそ見当がつく。すぐに次のようなメールを送った。

「まだ読んでませんが、結果はおそらくオリジナルのWE300Bが1番で、その他は似たり寄ったりだと推測できます。なおオーディオ仲間から、WE以外では“スヴェトラーナ”製がいいとは聞いてますが。」

すかさずU君から次のようなメールが届いた。

「残念でした!実は投票順位はこうなっていました。

1.プスバン 300B (中国) 2.JJ 300B (チェコ) 3.ゴールドライオン DX 300B (ロシア) 4.CCI 300B-98 (中国) 5.WE300B '97 (米国) 6.WE300B '87 (米国) 7.高槻電器工業 TA-300B (白ベース/日本) 8.EH 300B GOLD (ロシア)

意外に思われるかも知れませんね。試聴条件が気になるかも知れないので、「MJ無線と実験」に掲載の当該記事を添付します。」

その記事によると、2013年3月30日、ジャズ喫茶「MEG」で30人のオーディオマニアによる投票結果によるもので、先入観を排するために「ブラインドテスト」だったそうで、たいへんな念の入れよう。

いやあ、実に面白い結果ですねえ。「WE300B’97」と「WE300B’87」がそれぞれ5位と6位の中程とは、これいかに?


ちなみに、1990年代半ば以降に製作されたWE300Bは非常に故障が多いと聞いている。1980年代以前のものとはまったく似て非なるものでこればかりは声を大にして叫んでおこう。よくオークションに故障の片割れとして1本だけ出品されているケースが多いが、くれぐれも相場以上の高値で買い物をされませんように~。

我が家にはWE300Bの1951年製(2本)、1967年製(1本)、1988年製(2本)、そして中国製が2本あってそれぞれの音質は熟知している。「ちょっと聞き」では中国製などの近代管が華やかな音を出していかにも「いい音」のように聴こえるが、時間が経つにつれて何だか表面的で薄っぺらな音に変貌していくのを何度も体験している。

一方、オリジナル製は一聴すると中高音域の派手さが無くいかにも地味な音だが時間が経てばたつほど、まるで「いぶし銀」のような光沢を放ってくる。喩えて言えば朴訥で飾り気のない逞しいアメリカ西部のカウボーイみたいな印象かな。

そういう地味な面が前述のような短時間の試聴テストでは大きなハンディになったような気がしてならない。

いずれにしても真空管の持ち味は周辺環境によって変わるので一概に決めつけられないし、まがい物の300Bだってご本人が気に入ってさえいれば傍からあれこれ言うこともなし!

ちなみに前述した「スヴェトラーナ」だが、つい最近のオークションにペアで出品されていたので注視していたところ結果は「入札結果:57件」で「落札額:37000円」。WE300Bの類似管としてはやや高値のようで皆さまは性能をよくご存知のようだ。

それから、先日「ひま人」という真空管マニアの方からメールが届いて「実は私が刻印付きのWE300Bを落札しました」とのことだった。てっきり中国系の成金ルートの仕業と思っていたのでビックリ。

           

この件については昨年(2014年)の12月11日付の記事「高値を呼ぶ真空管」で紹介している。ペアで「911000円」という破格の落札価格に驚いたが、「ひま人」さんによると「購入動機は投資目的の人に落札されるのがイヤだった、そして出品者が長年の取引を通じて信頼が置けたこと」を挙げておられた。

しかも、この方は「北国のおじさん」や同県内の「真空管博士のMさん」もご存知だそうで、その道では有名な方のようだ。なお、性別は女性だそうで二度ビックリ。女性の熱心なオーディオマニアは自分が知る限り初めてである。オーディオマニアになぜ男性が圧倒的に多いのか、いずれ理由を考察してみたいものだ。

以前のブログで「指揮者に女性が少ない理由」を登載したことがあるが理由は簡単だった。大きな胸をユサユサして指揮棒を振られると楽団員が気が散るというものだった(ジョークです)。

とにかくこの女性のホームページ「ひま人の館」を教えていただいたので覗いてみたところ真空管の宝の山だった。興味のある方はぜひググってみてください~。
 


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穴があったら入りたい!

2015年02月02日 | オーディオ談義

前回のブログ「クロスオーバー周波数の選択」の記事について「北国のおじさん」から昨日(1日)ご指摘があった。

「ウェスタン製のコイルを使った実験をされていましたが、このコイルは通常、アンプの回路にチョークコイルとして使用するものです。したがって直流抵抗が大きいのでネットワーク用のコイルとして使っている例はこれまで見たことも聞いたことがありません。」という趣旨だった。

           

「いやあ、ウェスタンの製品なら何でもいいとばかり深く考慮もせずに使ってました。直流抵抗のことはすっかり考慮の外でした。」

オーディオ界の名門「ウェスタン」の製品なら何でもいいだろうという「ブランド信仰」への猛烈な反省とともに自分の「知識不足」に思わず赤面

穴があったら入りたい!

ことほど左様に自分のブログはあまり当てにならないので皆様けっして鵜呑みにしないようにしてくださいねえ。半信半疑で読み流すのが一番ですよ~(笑)。

そういうわけで我が家のJBLシステムについても現在使っているタンノイさんのネットワークも盛大にコイルを2個ほど使ってあり内部抵抗が高そうなので不安になった。

そこで、これをアッサリ廃止してKさん(福岡)ご推奨の「JBLのD130にはコイルを使わないのが一番です」の安全運転でいくことにした。

ちなみに、31日(土)の午後にお見えになった近所のYさんと、WEのコイルとタンノイのネットワークの比較試聴を行ったところ、「前者の方がいい音がしますよ」だった。したがってタンノイさんの出来もあまりよろしくないようだが、まあ、タンノイ・トーンがお好きな方は別なんだろう(笑)。

今回は訂正記事なのでこれでオシマイ。

 


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