「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

安全・安心 VS スリル・サスペンス

2016年10月29日 | オーディオ談義

このところ、ブログの話題になっている「6FD7」アンプを貸し出している期間中に我が家で大活躍しているのが「171」アンプ。

          

低音域は「6FD7」アンプのエネルギー感には及ばないが、中高音域は「ハッと息をのむほどの美しさ」で魅力度に関してはいずれも甲乙つけ難し。インターステージトランスが入っていて、出力管は「171」(トリタン仕様)だが、整流管に「OK-X 213」(メッシュプレート型)を使いだしてから音が激変した。

いずれも今から80年ほど前の1930年前後に製作された真空管だが、「出力管と整流管は製作時期が一緒のものを使う方がいいですよ。」との北国の博士のアドバイスどおりだった。

さて、現在このアンプでグッドマンのフルレンジ「AXIOM110」(口径25センチ:箱はウェストミンスター)を鳴らしているのだが、まことに「安全・安心」とでもいうべきサウンドで、家庭で音楽を聴くのならこれで十分だと思うが、安全・安心ばかりではどうしても物足りない。やっぱり「スリル・サスペンス」がないと胸がワクワクするような楽しい気持ちになれない(笑)。

また、つい先日のブログで「サキコロ」のシンバルがうまく鳴ってくれなくて「オーディオは捨てることも肝心だ」なんて、つい調子に乗って偉そうにホザイテしまったが、舌の根も乾かないうちに「降参するのも癪に障るなあ。何とかチャレンジしてみっか」とアッサリ心変わり。

な~に、実験用のシステムだから大いに楽しませてもらおう、マズったら元に戻せばいいだけの話。

というわけで、恰好の道具があった。YL音響製の「3ウェイ ネットワークシステム」で、フルレンジから3ウェイへと変身するための必須の道具だ。

          

半年ほど前に購入したものだが満を持しての登場と相成った。クロス周波数は「1100ヘルツ」と「9000ヘルツ」。

まず1100ヘルツ以下のSPユニットはこれまでどおりの「AXIOM110」を、1100~9000ヘルツの間は同じグッドマン製のドライバー「ミダックス」を、9000ヘルツ以上にはJBLの075ツィーターという布陣で臨むことにした。

日頃からSPコードは長さ毎に幾つか種類を準備しているので接続は簡単そのものだった。留意したのは075の能率が傑出しているので(何と110db!)、マイカ・コンデンサーをボリューム代わりに使って「0.15μF」でカットしたことぐらい。

さあ、どんなサウンドになるんだろうとハラハラドキドキしながら音出ししてみたところ、これはイケマセヌ!

中音域の「ミダックス」の音が目立ち過ぎてウルサくてかなわん。オリジナルのストレート型ホーンのせいか直に音が出過ぎるのだ。ホーン鳴きもあるようだ。ふとJBLの小型蜂の巣ホーンがあったのを思い出した。よし、ホーンを付け替えよう。

ネジ穴はずっと以前に加工していたのでミダックスとはバッチリ。これで音出ししてみるとぐっと渋くなって違和感が無くなった。中音域はやはり控え目な方がいい。「蜂の巣」効果侮るべからず。

フルレンジのときと比べると全体的に明らかに高音域方向へのレンジが拡大しているのが分った。ただしジャズ系のサウンドはいいものの、クラシック系のヴァイオリンの響きとなると「?」。

075のせいでどうも響きが冷たいというかやや人工的な弦の音になってしまう。さあ、シンバルとヴァイオリンのどちらを選ぶか・・・。「二兎を追うもの一兎を得ず」なので、とりあえず「弦の響き」を優先してみるかなあ。

そこで075の代わりにワーフェデールのコーン型ツィーターの出番となった。

            

1年ほど前に「赤色マグネットに駄作なし」なので飛び付くように落札したが、やはりその伝説は脈々と受け継がれていることを実感できる代物だ。

075と入れ替えてすぐに結線完了。能率はおそらくグッドマンのユニットと同じくらいだろうからコンデンサーは挿入せず、直に接続。

これで、グッドマン+ワーフェデールという典型的なブリティッシュ・サウンドの組み合わせになったが、聴いてみると、音色がピタリと合っていて実に聴きやすい。その一方、075のような華やかさも欲しいところだが、ま、いっか・・・。

           

やはりいろいろ冒険はしてみるものだった。

それにしても今回は「そのうちオークションにでも出そうか」と、チラリと脳裡をよぎった機器が大活躍だった。

たとえばグッドマンの中音域用ドライバー「ミダックス」、JBLの「小型蜂の巣ホーン」、ワーフェデールの「コーン型ツィーター」、YL音響製の「3ウェイ・ネットワークシステム」など。

使わくなったオーディオ機器といえどもいつ心変わりするか分からないので、うかつにオークションには出せませんね~(笑)。

そして、本日(29日)は遠路はるばるお客人がお見えになるが、どういうご感想を洩らされるだろうか、楽しみ~。
 


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魅惑の真空管アンプ~その5~

2016年10月27日 | 魅惑の真空管アンプ

ブログの原稿をツクルのは嫌いでもないがそれほど好きでもないし、まあ厭わないという程度だが、この「魅惑の真空管アンプ シリ~ズ」のときだけはいつも胸がワクワクするのはいったどうしてなんだろう?

それは、お値段とかブランドとか外見にいっさい惑わされない「ホンモノの真空管アンプを紹介できる喜びと痛快さにある」といえば言い過ぎだろうか(笑)。

さて、前回の「シリーズ~その4~」で述べたように、低域不足で悩んでおられる関西在住のMさんに急いで試聴していただこうと、この「6FD7」アンプを送付したのが23日(日)、そして翌日の午後には無事到着の運びとなった。

          

Mさんの第一声は「真空管って人間と同じだなと思いました。外見と肩書だけで判断は出来ませんね。3時間くらい聴き惚れていました。明日、試聴レポート送ります。」

そして、25日(火)の夜に期待のメールが届いた。

「簡単なレポートお送りします。
 最初にオーディオルームですが、自宅ではなくおよそ2Kmくらい離れた所に以前、八百屋を営業していた店舗を改造(防音設備無し)道楽部屋にしました。広さは50帖位、30年位になります。

システムは現在4セットありまして、そのうちの1つアルテックA4は結納が済み嫁入り前です。

低域不足はJBLシステム(150ー4C×2+375+075)とアルテック822システム(803A×2+803C)です。

マイルスのカインド・オブ・ブルー(LP)聞きました所、ポールチェンバースのベースが今まで引き込んでいたのに前に出てきました。CDだともっと出てくるでしょうね。

中低域がこれだけ安定した音がでるので非常に聞きやすいです。低域が出なければ、つまらないと何時も思っていますので、6FD7アンプは<凄い!>の一言です。

部屋が広いので音量はかなり上げますが、それでもつまみ位置は11時~1時の間です。2ワット以内の出力だそうですが、余裕ありすぎです。

また、CD直出し時の再生周波数レンジの広い事。今まで聞かれなかった音が聞こえますのでビックリです。

RCA845シングル、WE300Bパラシングル等大小5セット所有していますが、ディスプレイになりそうです。

アルテックA4(515B×2+288C×2)とアメリカ・タンノイ(ゴールド15インチ・国産箱?)の低域は何とか出ている感じでしたが、メリハリのあるしっかりした低域に変わりました。

中高域は直熱3極管アンプの方がいいかな?と思ってましたが、いやいや負けていません。同等以上です。

というわけで、すぐにでも注文したいのですが〇〇様にお願いできるのでしょうか。

またはメーカー様へ注文すればいいのでしょうか?6FD7アンプが1日も早く手に入れられるようご協力宜しくお願い致します。」

これは大変なことになった。想像以上といっては失礼になるが、部屋の大きさを含めてこんな豪華なシステムはおそらく日本でも有数だろう。いくら低域不足といっても我々とはちょっとレベルが違う(笑)。

慎重に一考してから、次のように返信した。

「Mさんは凄いシステムをお持ちですね!あの高名なJBLのウーファー<150-4C>を片チャンネル2発とは恐れ入りました。50畳の部屋といい、私のシステムとはスケール感が桁違いです。

舞台が大きくなればなるほど6FD7アンプが実力を発揮できたようでうれしくなりました。

実は<このアンプは一通りオーディオ仲間たちの試聴が済んだあとは私に引き取らせてください>と、製作者様に申し上げて了解をいただいていたのですが、この株をM様にお譲りしましょう。<6FD7アンプ>もその方がきっと喜ぶと思います(笑)。

話が複雑にならないように出来るだけ早期の引き渡しなども含めて製作者様には私の方から交渉してみます。」


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魅惑の真空管アンプ~その4~

2016年10月25日 | 魅惑の真空管アンプ

この「魅惑の真空管アンプ シリ~ズ」も早くも4回目を迎えた。最初の稿を登載してから丁度1週間が経過したが、なかなかの反響振りで、まず1日当たりのアクセス数がこれまでで最高の「800 IP」台に到達するなど通常の2割増し近い伸びには驚いた(笑)。

おそらく、巷には高額な真空管アンプが溢れかえっており、少々食傷気味のところに「安価なテレビ用の真空管からいい音が出る!」
という意外性と新鮮さが受けたのだろう。

改めて製作関係者に敬意を表し、「真空管オーディオの真髄ここにあり」と言いたいところだが、「いい音」かどうかを最後に決めるのは当事者である。

関西の読者の方(仮にMさんとしておこう)から「JBL、アルテックのスピーカーを使ってますが低音不足に悩んでいます。6FD7の記事を拝見して、これだと思いました。ぜひアンプ製作の依頼をしたいのでお願いします。」という趣旨のメールが届いた。

当方の記事の内容を信じていただいたのはありがたいし、まことに光栄の至りだが、自分は過去にオーディオ専門誌の記事を鵜呑みにして散々涙を流してきたのでMさんに同じ轍(てつ)だけは踏んでほしくない(笑)。

そこで「音の好みやシステムとの相性の問題がありますので、一度試聴されてから決めた方がいいと思いますよ。試聴が一段落したらこのアンプを送付しますのでしばらくお待ちください。」と、返事した。

真空管アンプの低音域の問題は自分もメチャ苦しんできたのでMさんのお気持ちは痛いほどよく分る。できるだけ早く送ってあげよう。

さて、オーディオ仲間のNさん(大分市)にお貸ししていた「6FD7」アンプだが、貸与期間の三日が経過したのでさっそく回収に出かけて持ち帰った。結局Nさんから「このまま置いていって欲しい」という言葉は最後まで聞けなかった(笑)。

しかし、このアンプはまだ来たばかりなので、いろいろ鳴らし方を研究するところがあって興味が尽きない。

不在中の3日間で頭に描いていたのが「今度はプリアンプを通さずに聴いてみよう」だった。これほど(音の)重心の低いアンプならプリアンプ無しでもうまく鳴ってくれそうな気がする。

レコードと違ってCDオンリーの愛好家の場合「プリアンプ不要論」は延々と続く「古くて新しいテーマ」である。

何ごとも「シンプル・イズ・ベスト」なので、プリアンプ無しでいい音が出ればそれに越したことはない。「プリアンプは必要悪だ」という思いはずっと変わらない。

ちなみに6年半ほど前に投稿した「プリアンプはもう要らない?」は、いまだに過去記事の閲覧数ではいつも上位に食い込むほどの常連組だ。

そのくらい「プリアンプ不要論」に対して読者の関心度の高さが伺えるわけだが、当時と違ってこのテーマに対する(現時点の)じぶんの結論は「結局、相性の問題に尽きる」と考えている。

つまりDAコンバーター、メインアンプ、スピーカーがそれぞれの長所と欠点を補い合い「三位一体」として、うまく調和してくれればそれでヨシ、もし、そうじゃないときはプリアンプを介入させた方がマシ。

もちろんDAコンバーターにボリューム調整機能が付いていることが前提条件である。プリアンプの代わりにアッテネーターを使うなんてのは論外だ(笑)。

今回の実験ではDAコンバーターに「27ixVer3.0」(ワディア)、メインアンプに「6FD7シングル」、スピーカーに「AXIOM110」(グッドマン:箱はウェストミンスター)という組み合わせだった。

ちなみにこのDAコンバーターは初めからプリアンプを使用しなくてもいいような仕様になっており、出力インピーダンスは「1Ω以下」となっている。

胸をワクワクさせながら聴いてみたところ、これぞこれまで聴いた中でベストのサウンドだと唸ったねえ!(笑)。

周波数レンジの広さ、音の立ち上がりの早さ、低音域の力感と制動力も申し分なし。しかもDAコンバーターのボリュームが「60/100」あたりで十分な音量が確保できるのでエネルギー感にも余裕がある。さらにプリアンプを入れていた時よりも明らかに高音域が素直になっている!

これなら「WE300B」アンプや「PX25」アンプの出番はもうないと一瞬思ったが、瞬間風速での感想は危険だし、後々ブログが書きづらくなるので、断言するのは止めておこう(笑)。

このアンプの生みの親の「北国の博士」にこの状況をぶつけてみると「ケース・バイ・ケースですがプリアンプを入れると、どうしてもレンジが狭くなりがちです。その点この6FD7アンプは低音域から高音域までレンジの広さが持ち味なのでたしかに直結の方がいいかもしれませんね。」

そういうわけで、これからこのアンプを持っていって他流試合をする場合、プリアンプを使わなくて済むように予備のワディアのDAコンバーターも携帯してセットにして試聴しようと決めた。

実は思い当たる節がある。このDAコンバーターはつい最近コンデンサーを36個も替えたりしてオーバー・ホールしたのだが、その効果が如実に出てきたようなのである。以前、パワーアンプと直結したときにはもっとボンヤリした音だった記憶がある。成る程、あのときは10年以上も経過してコンデンサーが劣化していたせいで性能をフルに発揮できなかったのか・・・。

大枚をはたいて懐が痛かったけど、やっぱり修繕して良かった(笑)。

             

というわけで、調子に乗って次から次にテスト盤を試聴した。

エンヤの「Caribbean Blue」では冒頭の「ガツン」という衝撃音に対して真空管アンプによってはスピーカーから「ザザッ」という音が出て(アンプが)クリップするのが常だったが、この「6FD7」アンプはその気配が微塵もなくスンナリ通り過ぎていったのには感激。

ジャズの「サキソフォン・コロッサス」(ソニー・ロリンズ)の1曲目「セント・トーマス」の冒頭のシンバル(マックス・ローチ)はマニア泣かせの一撃だが、こればかりは惜しいことにきらびやかさがイマイチだった。

これは明らかにスピーカー(フルレンジ)のせいだろう。こういう音はJBL「075ツィーター」の独壇場だが、もう拘らないことに決めた。

これまでこの1曲のためにどれだけ苦労し、そのせいでシステム全体がおかしくなったか、身を持って体験している。

オーディオは捨てることも肝心だ。

と、偉そうに吐(ぬ)かしてみたが、単に根気が失くなってしまっただけかもしれない…(笑)。
 


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名画「羊たちの沈黙」の放映

2016年10月24日 | 独り言

本日(10月24日)、NHK BSプレミアム(21時~23時)で名画「羊たちの沈黙」(1991年)が放映されます。

同年のアカデミー賞として「作品部門」「監督」「主演男優」「主演女優」など主要5部門を総なめにした作品ですが、ミステリーとしても非常に良くできた映画だと思います。まだご覧になっていない方は是非~。

このブログでも9年前に次のように紹介しています。(再掲)
  
概  要

サイコ・スリラーの傑作である。猟奇殺人犯を追うFBI女性訓練生クラリスは、かって同様の事件を起こして服役中の天才博士レクターに助言を請いに監獄を訪ねるが・・・・・。

感  想 

冒頭のシーンでFBIの訓練学校の入り口近くの木に「”苦しみ、悶え、痛み”を愛せ」という標語が掲げてあるのが印象的だった。自分自身が楽をしたがる性質(たち)なので戒めとして強烈に記憶に残っている。もちろん、実行はできなかったが(笑)。

貧しい家庭に育った利発なクラリスはFBIの訓練課程で立派な成績を残し、それがもとで教官から見出され、監獄にいる殺人鬼レクター博士の尋問に向かう。

ここでクラリスはおざなりに備えた靴と、気を入れて買ったハンド・バッグとのグレードの違いをレクター博士から指摘され、はっとする。ただの殺人鬼だとたかをくくっていたレクターが、観察力に優れたインテリであり、その発想には深い洞察が含まれていると知るからである。こうして、クラリスは凶悪犯に、いわば人生の師を見出していく。 

この映画は猟奇的な殺人事件とそれを解決するのにFBIが凶悪な天才犯罪者の手を借りるというのがストーリーの核となっているが、一方でこういう若い女性と初老のインテリとのかかわりを描いた映画としても楽しめる。

どちらかといえば殺人捜査のミステリーの展開に関心が行きがちだが、むしろ、こういう人と人との関わり合いの中で若い女性が成長していく物語としてもよく出来た映画だという思いがした。人生の妙味とは優れた師とのめぐりあいでもある。
 

主役を演ずる、ジョディ・フォスターは知的な雰囲気があって含羞を感じさせる表情が実に豊かで、この映画をみてファンになったが今では押しも押されぬ大女優となっている。これは余談だが、男児を二人生んだ(父親をあかさないが人工授精との噂)そうだが・・・。

また、もう一人の主役アンソニー・ホプキンスも入魂の演技だ。超インテリと人肉を食する凶悪殺人犯との2つのイメージを演じ分けているが、複雑怪奇で不気味な雰囲気を見事に醸し出している。

映画の中程で、警官を惨殺するシーンの直前にバッハの「ゴールドベルク変奏曲」を聴いていたのが知的な静謐と残忍さの両極端を暗示して印象的だった。
 

なお、馬場啓一氏の著書「人生に必要な全てをミステリーに学ぶ」によるとトマス・ハリスの原作ではクラリスが貧しい境遇に育ったことが重要な背景になっており、「貧乏は恐ろしくない、しかし恥じる気持ちが人間を卑屈にしてしまう。」という信念のもとで、さまざまな苦境を乗り越えて雄々しく生きていく若い女性の自立の過程を実にたくみに表現していて、ミステリーでありながら文学作品の香りがすると評されている。  


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魅惑の真空管アンプ~その3~

2016年10月23日 | 魅惑の真空管アンプ

前回からの続きです。

久しぶりに低音域が充実した真空管アンプに出会って、ついウキウキしてしまうが(笑)、このアンプ、我が家ではうまく鳴ってくれたけど、「よそ様のお宅ではどうなんだろう、もしかして内弁慶かもしれないなあ」なんて思いながらいそいそと武者修行のたびに出掛けた。

コンパクトな「6FD7」アンプをクルマに積み込んで目指すは大分市内のMさん宅、Nさん宅と巡回の予定だ。

まずMさん宅のタンノイ・オートグラフとクリプッシュホーンの2台のスピーカーとの対戦。

       

オートグラフを駆動している「KT88プッシュプル」(新藤ラボ)、クリプッシュホーンを駆動している「マランツ8B」アンプをわざわざ外しての対決と相成った。いずれも真空管アンプとしては高出力を誇っているので有名だ。

これに対して、この「6FD7」アンプはたかだか出力が2ワット前後だが、そのハンディにもめげず十分伍していける戦いぶりだった。個人的な感想では「クリプッシュホーン」の方とより相性がいいようで、両者ともアメリカ出身らしい屈託がなくて伸びやかな音が大きな魅力。

そして肝心のMさんのご感想といえば終始当たり障りのない表現で、一言でいえば「そんなに飛び付くほどでもない」という印象を受けた(笑)。ご本人の好みやプリアンプとの相性などいろいろあるのでこればかりは仕方がない。

1時間半ほど試聴して今度はNさん宅へ向かった。いよいよ「アルテックA5」との対戦だ。

             

接続されていたアンプは泣く子も黙る「WE300Bシングルアンプ」(モノ×2台)で、カンノのトランスを使った逸品だが、これを「6FD7」アンプと入れ替えて試聴した。お値段からすると月とスッポンだ(笑)。

結果的には本日の3台のスピーカーとの試聴の中では「アルテックA5」が一番相性がいいように思えた。シンプルな回路の持ち味が存分に発揮されているようで、音の立ち上がりや低音域への制動力など、まるで水を得た魚のよう。

とりわけマイルスの「カインド・オブ・ブルー」は圧巻。ベースが奥に引っ込んで鳴らしづらいという定評がある盤だが、さすがはアルテックでとてもバランスが良くて我が家ではとてもこんなにうまく鳴ってくれない。

           

「このアンプはなかなかいいですねえ。」と、Nさんがポツリと洩らされた。

「2~3日ぐらいなら置いていってもいいですよ。折角なのでWE300Bアンプとじっくり比較試聴してください。」

このアンプは鳴らせば鳴らすほど音が良くなっていく感じがするが、来年の春までたっぷりと貸与期間をいただいているので、これからいろんなお宅にお邪魔して「道場破り」をさせてもらうのが楽しみ~(笑)。


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魅惑の真空管アンプ~その2~

2016年10月20日 | 魅惑の真空管アンプ

前回からの続きです。

真空管オーディオに嵌り込んで40年以上になるが、ときどき真空管(出力管)の種類っていったいどのくらいあるんだろうと考えることがある。同種の球でもプレート電圧などいろんな仕様の違いがあり、おそらく気が遠くなるほど夥しい数があるに違いない。

そういう中から実際に使われてみてクチコミで段々と評判が伝わっていき「WE300B」や「PP5/400」などの名管伝説が生まれていくのだろうが、実は秘めたる実力を有しながら誰も知らない、使わない、そして注目されない球だってきっとあるに違いない。ましてやテレビ用の球なんて「オーディオ用には無理」とハナから無視されてもちっとも不思議ではない。

こういう市井の中に埋もれてしまい一顧だにされない球の中から「回路などの工夫次第でいい音が出る」球を発掘することは、まるで砂浜の中から一粒のダイヤモンドを見つけるようなもので、これこそ真空管を愛好する人間の醍醐味だといっても過言ではあるまい。

北国の真空管博士が掘り出された「6FD7」はまさにそういう球だった。

          

再掲画像左側の2本がそうだが、ミニチュア管を一回り大きくしてふっくらさせたような可愛らしい図体だ。用途は1970年前後のカラーテレビ用(アメリカ)で、家庭で長時間点けっぱなしという酷使される環境を前提として作られた丈夫さと、アメリカにおける長きにわたる古典管製造のノウハウを併せ持った球だという。

ドライバー機能と出力機能が一体化した複合管のため、きわめてシンプルな回路が持つ優位性が存分に発揮されたアンプというのが第一印象だった。

試聴しながら「低音域の制動力が見事です。ウェストミンスターのバックロードホーンを苦もなくコントロールしてますよ。アンプがスピーカーを牛耳ってます。こんな小さな球からこれほど力感の溢れるサウンドが聴けるなんてとても信じられません。これは凄いアンプですよ。」

一緒に聴かれていたKさんも「いやあ、これほどとは思いませんでした。(ジャズの)ベースの音はこれが一番ですね。周波数レンジも広くて録音された音声信号をそのまま出してくれる感じです。回路がシンプルな分、音のスピード感も申し分ありません。たしかに、これは凄いアンプです。」

二人でひたすら、凄い、凄いを連発(笑)。

「お値段が安い割には音がいい」という次元を明らかに突き抜けており、目隠しでこの音を聴いたらどなたもこんな小さなアンプから出てくる音とは信じられないに違いない。

無論、人によって評価が左右されることは否めない。どちらかといえばアメリカ系サウンドで「音声信号をいっさいの装飾なしにそのまま出す」ところにプラス面とマイナス面が同居していて、その辺が好き嫌いが分かれるところだろう。

自分の場合は「音の粒立ちとエネルギー感」が圧倒的に買いで(笑)、現用の「PX25」アンプや「171」アンプには求められない持ち味があるので、ぜひこのアンプをメイン・アンプの一角として戦列に加えようと決心した。

ただし、この「6FD7」は国内では製造されなかったし、オークションにも出品されることはまずない。したがってアメリカからの直輸入品に頼らざるを得ないのが実状だ。

また、独自の工夫が為された回路、個人が手巻きした出力トランス(これがたいへんな優れもの!)、小粒だけどピリッと辛い整流管(6BW4)、配線材はウェスタン製、使用ハンダはナッソといった「絶妙なバランス」のもとに成り立っているので、この球を使いさえすれば誰が作ってもいい音が出るという保証はない。

アンプ製作者のKさん(新潟県)によると、ヒアリングテストでは片チャンネルにはオートグラフを、もう片方にはローサーを繋いで最後の音質調整をされた由。

「低音が出過ぎて困るほどで対策に苦労しました。」とのことで、通常のアンプとは真逆なのがユニークだ。

こんな凄いアンプを独り占めするのは勿体ないし、いろんなスピーカーを試したい気が湧き起こったので、さっそく武者修行の旅に出ることにした。

行く先は大分市内のMさん、Nさん宅でこのアンプによる試聴テストの申し込みをしたところ両者とも一言のもとにご快諾(笑)。

対戦相手はタンノイ「オートグラフ」、「クリプッシュホーン」(アメリカ)そして「アルテックA5」という強敵たち。

相手にとってまったく不足なしだが、この一騎打ちの結果やいかに~。

以下、続く。
 


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魅惑の真空管アンプ~その1~

2016年10月18日 | 魅惑の真空管アンプ

1か月ほど前からちらほら耳にはしていた。

「1970年前後のカラーテレビ(アメリカ)に使用されていた球を使ったアンプを作って楽しんでいる方がいる。テレビ用の真空管ともなると誰も見向きもしないのでお値段は格安だが、信じられないほどいい音が出るらしい。」

この話題の出力管は「6FD7」という、ドライバー機能と出力機能が一体化した珍しい複合管でこれまで聞いたこともない球だが、こういう稀少球の出所となると例によって北国の真空管博士にトドメをさす(笑)。

博士に詳しくお伺いしたところ、近隣にお住いのウェスタンの名管「205D」に精通した名うてのアンプ・ビルダー(Hさん)が、博士のお薦めで子供さん用にとこの球を使ったアンプを作ってみたところあまりの音の良さに驚かれたとのこと。

その話を聞きつけられたのが新潟県で老舗の真空管オーディオショップを経営されるKさん。この方もまた百戦錬磨のアンプ・ビルダーさんだ。「名人は名人を知る」で、博士とはご昵懇の仲である。

先日(10月9日~10日)開催された「第22回真空管オーディオ・フェア」(東京)で、この「6FD7シングルアンプ」を製作し出品したところ、こんな小さなアンプからこれほど力強い音が出るのかと、注目の的だったそう。

こういう話を聞きつけて黙って見逃す手はない。このアンプをお借りしてぜひ我が家で試聴させてもらおう!

「真空管アンプはパワーとお金をかければかけるほど音が悪くなる」という通説があるが(笑)、「誰にも手が届く価格帯で音がいいアンプこそあるべき姿だ」と思っているので、(博士のご紹介のもとに)Kさん(新潟県)にお願いした。

「6FD7アンプにたいへん興味がありますので是非試聴してみたいです。よろしかったら真空管オーディオ・フェアの終了後に我が家に送付していただけませんでしょうか?」

すると「ハイ、いいですよ。じっくり試聴してください。期間は来年の春ごろまでOKです。その頃にはエージングも済んで一段とレベルアップした音で戻ってくることでしょうから。」とご快諾。

いやあ、厚かましいお願いに対してありがたいことです!心構えとして球もコンデンサー類も何もかも新品なのでエージングが完全に済んでいないことを念頭に置きながら聴いたほうが良さそうだ。

そして、間髪を入れず真空管オーディオ・フェア終了後の11日に「6FD7」アンプが新潟県を出発。別府到着は13日(木)。

さっそくオーディオ仲間のKさん(福岡)に連絡した。

「噂の6FD7アンプが13日に我が家に到着予定です。クロネコに問い合わせたところ、通常の配達なら夕方になるそうですが、営業所まで取りに来てくれれば14時頃にはお渡しできるとのことですがどうされますか?」

「ハイ、是非試聴させてください。もう今から胸がワクワクしています。」(笑)

さあ、当日は朝からの曇り空だったが暑からず、寒からず、「オーディオ三昧」にはもってこいの日だった。

いつものように10時半ごろにお見えになったKさんと、とりあえず我が家のシステムを試聴。

前回と変わったところはグッドマンの「AXIOM110」(ウェストミンスターの箱入り)の導入と、前段管に「LS7」(GEC)を導入した「PX25シングルアンプ」だった。

最初にクラシックを聴いていただいたがジャズの方が音の変化が分かりやすいので試聴に選んだCD盤はシェリー・マンの「マイ・フェア・レディ」。

すると「クラシックもジャズも両方うまく鳴ってくれますねえ。音を聴くのならともかく、音楽を聴くのであればスピーカーはやっぱりグッドマンですよ。」と、ご満悦。

ちなみに、オーディオシステムの音をクラシックで調整するか、それともジャズで調整するか、なかなか興味深いテーマだと思う。

オーディオの世界では「その道の権威だ!」と自称される方がたくさんいらっしゃるので、「物言えば 唇寒し 秋の風」だが(笑)、自分の拙い経験で述べさせてもらうと「クラシックで調整したシステムはジャズがうまく鳴らないことが多い」、その一方、「ジャズで調整したシステムはクラシックもうまく鳴ることが多い」というのが正直な感想だ。

つい先日、ジャズマニアの「I」さん(東海地方)からメールが来て「いつもジャズで調整したままでクラシックを聴きます。」とあったので、思わず頷いたことだった。ジャズを聴くときのスピード感(音の立ち上がり)重視とクラシックを聴くときの量感重視について
優先すべきはどちら?答えは自ずとわかるだろう。

ま、各人の好みの問題だが(笑)。

さて、そうこうするうちに待望の14時近くになったので、クルマで15分ほどのクロネコさんの営業所にアンプを受け取りに出かけた。

予定の定刻通り到着して取り置きされていたのでひと安心。図体もコンパクトだし重量もそれほどではないので腰を傷めなくて済む。年寄りに優しいアンプだ(笑)。

すぐに我が家に持ち帰って梱包を解いて設置しケーブル類を繋いだ。最初の試聴スピーカーは「AXIOM110」で、材料代がたかだか5万円程度というこの破格の小型アンプがウェストミンスターのバックロードホーンをどう鳴らすのか、半信半疑ながらKさんともども固唾を呑んで耳を澄ました。

そして「こんな小さな球から・・・」と、二人ともビックリ仰天(笑)。

          

以下、続く。
 


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カボス と にごり酒

2016年10月16日 | 独り言

前回のブログ「逃がした魚は大きかった」についてだが、登載後すぐにオーディオ仲間から次のようなメールが届いた。

「今朝のブログを拝見しました。ハートレーの8Ω物は見送って正解でしたね。私がプリアンプを作成して貰った〇〇さんは、グッドマンとハートレーを愛用されているのですが、どちらのスピーカーも8Ω物のユニットは駄目だとおっしゃってました。

惜しいのはトライアキショム12です。かって友人が英国から持ち帰ったトライアキショム12を聴かせて貰った事があるのですが、これまでに聴いたグッドマン・ユニットのなかでも一番良い音でした。音の品性と全域のバランスからしたらアキシオム80より上だと感じました。グッドマンの中で一番と言うことは、ある意味フルレンジユニットの最高傑作かも知れません。」

これに対して次のような返事をした。

「そうですか!大魚を逸したかもしれませんね。“念ずれば通ず”なので、またの機会を狙いましょう。」

閑話休題


周知のとおり今年の夏は史上最高ともいえる猛暑だったので、さぞや残暑も厳しいことだろうと覚悟していたら、何と9月に入ったら連続して襲来する台風と延々と続く長雨だけの記憶になってしまった。

そうこうするうちに10月に入ってからは朝晩冷え込んできていかにも秋らしくなり、とうとう厳しい残暑は来ず仕舞い。

今や朝のウォーキングでは日陰から一転して日向を選んでの歩行となる始末だが、はたしてこれで良かったのかどうか季節感の喪失を考え合わせるとどうも落ち着かない。

そして季節の変化に応じてアルコールの趣向も変わっていく。

今年の8月に投稿した記事の中の画像がこれ。

           

「夕方運動ジムから帰ってきて冷えたビールをグイッと一杯、後はカボス入りの麦焼酎を氷で割ってチビリチビリとやりながらモーツァルトを聴く~至福の時間である~」という中味だった(笑)。

段々肌寒くなるとこうはいかない。

運動ジムの終了後、今度は「にごり酒」にカボスを絞り込んで電子レンジで程良く温めてチビリ、チビリとやるのが多くなった。これもなかなか美味しい。まるで「いぶし銀」のようなグッドマンの音が一層味わいを引き立ててくれる。

            

もちろん「にごり酒」以外にも使い道はある。庭のカボス(2本)も9月の最盛期を終えて、段々酸味が少なくなってきており、秋の風物詩「秋刀魚」にかけると味わいが程良くなった。折しも先日の日経新聞に次のような記事が出ていた。

           

今年も日頃お世話になっている県外の知人に送って喜んでいただいたが、先日、再送しようと最後のひと踏ん張りでようやくカボスの収穫が一段落した。

「カボスといえば大分県」、「大分県といえばカボス」、弱小県の一県民として特産カボスの宣伝と消費拡大に一役かってますので読者の皆様、カボスを見かけたら使ってくださいな。
 


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逃がした魚は大きかった

2016年10月14日 | オーディオ談義

今回はネットオークションに出品されたスピーカーを泣く泣く見送った話を2件紹介してみよう。

まず、

☆ 「ハートレー ホルトンA220MS」

「滅多に出てこないハートレーの逸品がオークションに出品されてますよ。もう我が家には置き場所がないんですけど、ぜひ欲しいですねえ。とても迷ってます。」と、オーディオ仲間に相談した。


「ハートレーですか。これはまた珍しいスピーカーが出てきましたね。噂はかねがね聞いてますよ。たしかイギリスからアメリカに途中で身売りしましたよね。 」     

                            
                 

ご覧のとおりマグネットの部分が赤色になっているが、これはグッドマンの「AXIOM80」などに見られるとおり「音質保証」の代名詞みたいな優れもの(笑)。

口径25センチの理想的なフルレンジで箱付きで売られており、最初に見
かけたときの入札額は2万円前後だった。安いっ!10万円以下なら絶対に買いだと、思わず意気込んだ。

ところが、その後グングンと値が上がって、とうとう落札時刻(8日 22時)の3時間前ともなると15万円に!

それでもグッドマン(3台)を持ってなければ絶対落札するんだがと、切歯扼腕しながら涙を呑んであきらめた。

とうとうハートレーとは縁がなかったか・・・。

さっそく仲間に連絡して「とうとう15万円になりましたよ。この調子なら最終的に20万円を超えると思います。もう諦めました。興味を示されていましたが、わたくしは降りましたので遠慮なく入札に参加されて結構ですよ。」

「そんなに値上がりしましたか!世の中にはまだハートレーの凄さを知っている方がいるんですね。わたしも欲しいことは欲しいのですが、インピーダンスが8Ωというのはちょっと気になりますね。

15Ωならイギリス時代のものと断定していいのですが、8Ωだとアメリカ時代のものかもしれません。止めておきます。それから、ハートレーは密閉箱に吸音材をいっぱい詰め込んで鳴らすのが一般的です。〇〇さん宅のウェストミンスターには合わないと思いますよ。」

「ああ、それもそうですね~。」

実はこれには後日談があって、万一落札したときは我が家のオーディオルームにおくスペースがないので、近隣にお住いのYさんが運営されている「老人ホーム」の施設内に置かせてもらう手筈を整えていた。もちろん、Yさんのご快諾のもとにである。

そのときに描いていた筋書きは次のとおり。

まず箱に容れたまま施設内で聴かせてもらう。アンプは自宅から比較的軽い71Aシングルなどを持って行く。それほど凄くない音だったら、箱の中からユニットだけを取り出して自宅に持ち帰る。箱はYさんに進呈する。

その一方、メチャ音が良かったら箱からユニットを取り出すのを止めて、週1回ぐらいのペースで訪れて音楽を聴かせてもらう。「通い妻」ならぬ「通い夫」だ(笑)。

結局、これは前述どおり夢と終わった。

最後に気になる落札価格だが皮肉にも諦めたときから値上がりせず、15万円のままだった。いっそのこと20万円以上だったらいさぎよくあきらめがつくものをと、何だか複雑な心境に~(笑)。

次に、

☆ グッドマンの「TRIAXIOM12(112C)」(トライアクショム12)

こちらは前述のハートレーと同時並行的に出品されていたグッドマンの3ウェイ式同軸ユニットで、泣く子も黙る(?)「トライアクショム」シリーズの逸品。口径30センチでこれも滅多にオークションに出てくることはない。

           

何といっても「グッドマンのアルニコ・マグネットに駄作なし」だし、落札日が見逃したハートレーの1日遅れ(9日 20時半)だったので、俄然ヤル気が出てきたが落札時刻の1時間前になって急に入札者が出現した。ずっと「音無しの構え」タイプで、よくあるパターンである(笑)。

そこで、出発価格が5万円だったので6万円なら大丈夫だろうと入れてみたら、何と「再入札の要請」。相手が入札した価格にまだ届かない。何をっと、反発して6万5千円にしたところこれも追い付かず。

頭を冷やすために仲間と相談した。

「例のトライアキショムを入札したんですけど6万5千円でもアウトでした。これ以上粘るとキリがないバトルになりそうです。それほどの価値があるかどうか正直言って迷ってますがどうですかねえ。」

「そうですねえ。〇〇さんは同じ口径30センチのAXIOM300でとてもいい音を出されてますからそんなに無理しなくてもいいんじゃないですか。それに赤色のマグネットなら絶対に買いですが、そうではありませんからねえ・・。」

というわけで、いさぎよく見送った。結局、落札額は6万6千円だった。バトル次第ではもっと値上がりしたことだろう。

「逃がした魚は大きかった」(一度手に入れかけて失ったものは実際よりも大きく素晴らしく見えるものだ。 )と思うことにした。

、いっか(笑)。 


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「知らぬが花、見ぬが花」そして「聞かぬが花」

2016年10月10日 | 独り言

さ~て、どうしようか・・・・。

人間生きていくうえで「知らない方が幸せ、見ない方が幸せ」といったことが沢山あるが(笑)、ネットオークションで何気なしに目に入ったのが型番「LS7」という古典管(ナス管)。

英国の名門ブランドで音質がいいことで有名なGECの製品で、しかも未使用とあれば黙って見過ごす手はないが、似たような真空管を沢山持っているしなあ・・・。

             

まず我が家の「PX25アンプ」に使えるかどうか、それが先決なので例によって北国の博士に問い合わせてみた。

「あっ、それはμ(ミュー=増幅率)が12前後ですね。ピンの配置も合いますのでPX25アンプに十分使用できますよ。ナス管は滅多に出てきませんし、お値段の方も(ナス管にしては)適正な値付けだと思います。」

どんなマイナーとされる真空管でも博士に仕様をお訊ねすると即座に具体的な数値が瞬間的に返ってくるのだから凄い。40年以上にわたるオーディオ人生の中でもこれほど頼りになる方は初めてである。

アンプ・ビルダーとしてもたいへんな凄腕を発揮されるので、
オーディオ仲間のKさん(福岡)ともども「あれほどの天才と知り合えて私たちはとても運が良かったですねえ。」といつも喜び合っている

その強力な後押しを得て即決で2本落札した。きっといい音がすることだろうとワクワクして待つこと3日間。出品者が東京なので別府まではどうしても延べ3日かかる。

ご丁寧にもわざわざ真空管を縦置きの梱包のもとに到着したので「古典管の扱いに長けた方だ」とすぐに分かった。胸をワクワクさせながらさっそく「PX25アンプ」に装着して試聴してみた。

           

左から前段管「LS7」(GEC)~出力管「PX25」(GEC)~整流管「10E/378」(ムラード:軍用管)と、オール・イギリス勢。スピーカーもグッドマンだから典型的な「ブリティッシュ・サウンド」の組み合わせとなる。アッ、そういえばCDトランスポートもDAコンバーターもdCS(イギリス)だ!

それはさておき、耳を澄ますとアレ~、何と左側からガサゴソとノイズがするではないか!

これはいけませぬ。原因は定かではないが60年以上も前の真空管ともなるとハンダが劣化して接触不良が起きても少しも不思議ではない。

オークションの解説文に「受け取り後1週間以内にノイズ発生やGmデータが標準値の70%未満と判明した場合、宅急便60cm以下クラスで着払い返品=返金で対応します。」とあったので、出品者にすぐに連絡をとった。

「本日(10月1日)到着しましたが、2本のうち1本からガサゴソとノイズが発生しています。該当の1本を交換していただくか、2本とも返品するか、それとも該当の1本を返品するか、ご判断をお待ちします。」

すると、出品者側から「交換に応じますので返送してください。返送料は当方で負担します。」

その日のうちに返送して、交換品の到着を待つこと6日間(行きに3日+帰りに3日)。

新しい1本がこの6日(木)に到着。

梱包を解くと、返送料が1088円だったのに100円プラスして1188円同封されている!

すぐに連絡をとって「100円オーヴァーしてますけど、このまま受け取っていいんでしょうか?」

「持込割引なら100円サービスで1088円なのですが、荷作りやお店への持参など返送の手数料としてお納め下さい。」

というわけで「ご配慮ありがとうございました。100円ありがたく頂戴します。」(笑)。

「生き馬の目を抜く」とも称されるネットオークションの世界だが、初秋にふさわしい爽やかな一服の清涼剤だった。

そして、肝心の「LS7」の音だが、これまでで一番相性のいい真空管だった!中低音域の厚みが素晴らしい。さすがはGEC。

これまでPX25アンプの前段管として使ってきたのはSTCの「3A/109B」「3A/107B」「3A/110B」そして「171A」「112A」で、この中では「112A」がダントツだったが、それをも凌ぐ勢い。

この音を聴いたらきっとオーディオ仲間が驚くことだろうと思っていたら、たまたま昨日(9日)の午後に近隣のYさんが試聴にお見えになったので、「AXIOM300+スーパーツィーター」を一緒に聴いたところ「この音ならもうAXIOM80は必要ありませんね。」(笑)

さっそくこの件を北国の博士に報告したところ、「そうでしょう!お薦めした甲斐がありました。STCはどちらかといえば通信管ですから帯域の幅はLS7の方が上だと思います。ただし、GECではもっとμの低いLS8Aという球もありますよ。これも相性がいいはずです。」

「知らぬが花、見ぬが花」そして「聞かぬが花」なんだけどなあ・・・(笑)。
 


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ノーベル賞受賞3か条

2016年10月08日 | 独り言

このたび、めでたくノーベル賞(医学・生理学)を受賞された大隅良典氏(東京工大栄誉教授)。

何と我が母校「福岡高校」の先輩と分かって喜びもひとしお。

ちなみに福岡市の場合、学区制があって東部地域の大学進学希望者は「福岡高校」へ、西部地域の進学希望者は「修猷館高校」へと勢力地図がくっきりと色分けされている。

今はどうか知らないが、当時の福高は模擬試験の結果を1番から100番くらいまで廊下の壁を利用してずらっと名前を張り出してあったが、かっての同級生によると「大隅さんはいつもトップだった」というから、じぶんのような「落ちこぼれ」とは大違い(笑)。

父は元九州大学工学部教授、長兄は東京女子大名誉教授だそうで、学者一家である。

その大隅さんの受賞インタヴューを興味深く拝見したところ、次のような言葉が強く印象に残った。

「誰もやってないことをやる」、「ワクワクすることが科学の醍醐味」、「面白いと思ったことはとことんやってみよう」

この3点セットに思わず膝を打った。いわば「ノーベル賞受賞3か条」だ。

少しでもあやかりたい一心で、これらを少々強引だが我がオーディオに、こじつけてみた(笑)。

☆ 誰もやってないことをやる

オーディオシステムへの取り組み方を大まかに分けると、評判のいい機器を組み合わせて事足れりとする「常識派」と、一方では誰もが考えもしない、あっと驚く組み合わせをやってのける「異端派」とに区分されるようだ。

どちらがいいとか悪いとかいうことではないが、「音は人なり」という言葉もあるし、せめてオーディオくらいは人に迷惑をかけることがないのだから思いっきり個性を発揮したいところ。

というわけで、自分はどちらかといえば「異端派」だと自認している。

たとえば手元にあるオーディオ機器のうち、さすがにデジタル系の機器には手を出せないが、アンプやスピーカー類は個人に作ってもらうか、あるいは市販のものを購入しても必ずといっていいほど自分好みに改造している。いわばオリジナル排斥主義者 兼 オンリーワン主義者。他人と同じことをやっても仕方がない。

とりわけ、オーディオ仲間たちから「随分思い切りましたねえ!」と言われるのが、タンノイ・ウェストミンスターの改造。

                

タンノイのフラッグシップモデルともいうべきウェストミンスターを改造して他のユニットを取りつけるなんて「常識的には考えられず、とても怖くてできない。」そうだ(笑)。

自分でも当時を振り返ってみるとつくづく「盲目蛇に怖じず」だったと思うが、随分長いこと回り道して、このほどようやく素晴らしいSPユニットに巡り会えて「誰もやってないことをやって正解だった」と思えるようになってきた。

まあ、その反面、弄る楽しみはなくなったのでそういう意味では「良かったか、悪かったか」の差し引き勘定は当分お預け(笑)。

次に、

☆ ワクワクすることが科学の醍醐味

☆ 面白いと思ったことはとことんやってみる

オーディオシステムの構成機器となると、前段機器(CDやレコードプレイヤー)~プリアンプ~パワーアンプ~スピーカーとなるが、これらのどこを弄っても音は変わる。

そして、弄るところが多ければ多いほどオーディオは楽しくなる。一部を変えて、新たに音出しするときのあのドキドキ、ワクワク感は何物にも代えがたく、まるで少年時の未知の体験に目を輝かした頃に戻ったかのような気持ちになる。

仲間たちも「よくもまあ、熱心に取り組んで~。いつも来るたんびにどこかシステムの一部が変わってるなあ。」と、呆れ顔だが、理由の第一は代えてから音が出るときのあのスリル感が忘れられないからである。

また、とことんやるのも性格的に合っている。いわば凝り性である。

古今東西の有名なミステリーはたいがい読破したし、波止場釣りは「仕掛けつくり」から「竿さばき」まで極めた積りでいるし、大好きなクラシックのオペラ「魔笛」(モーツァルト)に至ってはトチ狂ってしまいCD、SACD、DVD合わせて指揮者の違うものを50セット近く収集している。

おそらく数としては日本で一番だろう。オーディオだって、まだまだ知らない世界があって道半ばだと思っているのでとことん突き詰めるつもり。

アッ、そうそう、このブログだってこの10月21日で11年目を迎えるが、投稿した記事の数は1572件(2016.10.8現在)に上り、これからも病気にでもならない限りとことん続けるつもり。

こうして、とことん詰めていく趣味があると日常まったく退屈感を覚えることがないので大いに助かる。

ただし、学問の方は面白いと思ったことがないため、とことんやることもなく結局、大隅教授みたいに世の中に貢献できなかったのが残念無念(笑)。
 


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これぞ求めていたサウンドか!~最終回~

2016年10月06日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

いつも思うのだが試聴にお見えになったお客さんたちの感想に対して持ち主はどう対応するんだろう。

たとえば、辛口の意見を聞いたときに「俺の感覚が一番正しいんだ」とばかりに一笑に付す方、あるいは考え込む方、また「いい音ですねえ」を額面通りに受け止める、あるいは逆に懐疑的に受け止める方など様々だろう。

何といっても一番多いのは「・・・・」の「沈黙は金なり」だが、こういう場合こそ用心すべきで、まず否定的な意見に傾いていると考えて間違いない。お客さんが帰った後で、どこが気に入らなかったのかあれこれ類推するのも「音づくり」の参考になる。


さて、つい先日我が家にお見えになったMさん、Nさんのお二人のご感想といえば手放しで絶賛に近いものだった。前述どおり、はたして額面通りに受け取っていいものかどうか、それこそが問題だがシステムに対してこれまでになく自信があったので素直に受け止めて「ハイ、そうだと思います。」にさせてもらった(笑)。

はじめに新装なったばかりの「AXIOM110」を聴いていただいた。試聴盤はシュワルツコップの「4つの最後の歌」(リヒャルト・シュトラウス)から「眠りにつこうとして」と「夕映えの中で」の2曲。

「ヴァイオリンの響きが重層的に聴こえてすごくいいですね。明らかにフィリップスのユニットのときよりも上だと思います。しかも歌声に気品がありますよ。」とMさん。

音を言葉で表現するのは難しいので、つい情感的な表現になってしまうことが多いが、仲間うちでは「音に色気がある」や「気品がある」は最高の褒め言葉になっている。

とりわけ、音に気品が漂ってくれれば「ブリティッシュ・サウンドの証し」
なのでしめたものである。

「とても伸び伸びと唄っている印象を受けました。こんな素敵な箱に容れてもらってありがとうとユニットが喜びの声を上げているみたいですよ。」と、今度はNさん。

37年間もの長きにわたる宮仕えの間、がんじがらめの閉塞状態だったので(笑)、せめてSPユニットくらいは朗々と、伸び伸びと唄わせたいというのがモットーなので、これもたいへんありがたいお言葉。

非常に好意的な評価に根が単純なものだからついうれしくなって、次のように誰もが忌むべき自画自賛へ。

「そうでしょう!取り換えてみて分かったのですがフィリップスのユニットはコーン紙のカーブが深すぎてウェストミンスターのバックロードホーンに合わなかったみたいです。今になってみるとチョット中低音域がボケていましたね。その点このAXIOM110はカーブの具合とバックロードホーンとの相性がとてもいいようです。たった25センチの口径なのに奥深い低音がきっちり出ています。期待以上の成果でしたよ。」

以降、次から次にいろんなCDを聴いてもらったが、このシステムはクラシックからジャズまでどんなソースも万能選手みたいにうまくこなしてくれるので大いに助かる。

ひと通り破綻なく鳴らし終えたところで、今度は「AXIOM300+JBL075」スピーカーの試聴に移った。

ここから、DAコンバーターは「エルガー プラス」、プリアンプは「
大西式プリ」、パワーアンプは「PX25シングル」となって我が家のエース級が登場する。

はじめにヴァイオリンを聴いてもらったところ「ちょっと冷たい響きになってますねえ。075のせいかもしれません。ジャズを聴くならこれでいいんでしょうが・・。」

「075を外してみましょうか。結線を外すだけですから簡単ですよ。」

「やっぱりクラシックはこちらの方がいいと思いますよ。とても素直な響きになりました。」

ふと思いついて「それでは不要になったスーパーツィーターを075の代わりに付けてみましょうか。」

マイカコンデンサー(0.2μF)との結線を手早く済ませて聴いてみたところ、うまくいったようで「コンサートホールの雰囲気感が出てきましたよ。スーパーツィーターの効果絶大ですね。」

これも合格(笑)。

続いて我が家の本命中の本命「AXIOM80」の試聴へ移った。ソースはもちろん十八番(おはこ)のヴァイオリン。

Mさん、Nさん異口同音に「やっぱりこれが一番ですねえ!何も言うことありません。」(笑)。

         

結局、好きな音の順番はMさん、Nさんともども「AXIOM80(画像の真ん中) → AXIOM110(左側) → AXIOM300(右側)」という結果になった。ただし1番と2番の差は限りなく近いとのこと。

最後に持ち主の感想を言わせてもらおう。

「AXIOM80はたしかに一頭地を抜いているが長時間聴くとなるとちょっと疲れる。どうも聴き手に緊張感を強いるところがあってつい身構えてしまう。隙のない秀才というのはあまり可愛げがない(笑)。

その点AXIOM110は懐が広くて長時間にわたって気楽に受け入れてくれるのがいい。AXIOM300はちょうど両者の中間に位置して緊張感とユッタリ感を程良く中和してくれる得難い存在。」

そういうわけで、あえて好みの順番を付けると「AXIOM300+スーパーツィーター → AXIOM110 → AXIOM80」となり、これは仲間たちの評価とは真逆。

やっぱり自分は「へそ曲がり」だった(笑)。 


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これぞ求めていたサウンドか!~第2弾~

2016年10月04日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

人に誇れるほどのさしたるオーディオ人生でもないが、これまで数々のスピーカーに挑戦してきた。

ビクターやパイオニアなどの国産ものから海外のタンノイ、JBL、フィリップスまで様々だが、「グッドマン」(イギリス)のおかげで、ようやく求めていたサウンドに出会えた気がしている。

「周波数レンジはそこそこでいいからハーモニーの方が大切」ということを教えてくれたスピーカーである。

それにグッドマンに組み合わせるのは真空管アンプに限るが、アンプのグレードが上がれば上がるほど(グッドマンは)本領を発揮してくれるところがいい。

手元にある「AXIOM80」、「AXIOM300」ともに、期待を裏切らないサウンドを提供してくれるが、このほど「柳の下の3匹目のどじょう」を狙って落札したのが「AXIOM110」(口径25センチ)だった。

仲間たちから「フルレンジの理想形は口径25センチにある」と、かねがね聞かされてきたことも頭の片隅にあった。

これ以上口径が大きくなると空気を動かす量が大きくなって抵抗力が増えるため音声信号に対する追従性が鈍くなるし(アンプとの兼ね合いもあるが)、これ以下だと中低音域の厚みに物足りなさが残る、といった具合。

そして、期待感に胸を弾ませながらこのユニットを(前回記載したように)実験用のエンクロージャー「ウェストミンスター」に収めて音を出してみた。

第一声に全神経を集中したが、すぐに失望感に変わった。「やっぱりあきまへん。もっと中低音域の厚みが欲しいなあ!」というのが正直な印象だった。

さあ、ここからが「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス」(笑)。

代わりになるほかのユニットを納めることも一案だが、現実問題として2日以上かかって苦労して取り付けたユニットをおめおめと取り外す気にはなれないので“藁をもすがる”思いで次のような対策を講じてみた。

☆ 駆動するアンプの交換

使用していた真空管アンプ「2A3シングル」から「71Aプッシュプル」に交換。これはアンプのいい、悪いではなくて相性の問題になるが、経験上、シングル型式よりもプッシュプル型式の方が中低音域に厚みが出るように感じているので、弱点を補完する意図があっての交替。

☆ プリアンプを活用

これまでパワーアンプをDAコンバーター(ワディア)に直結して聴いていたのだが、音の鮮度よりも雰囲気感を出すことを重視して真空管式プリアンプ「出力管:E80CC」を経由させることにした。

☆ スーパーツィーターを取り外す

これまで使っていたフィリップス・ユニットの高音域の個性が強すぎたので、ムンドルフの「ゼロ抵抗コイル」を挿入して1万ヘルツ辺りから減衰(6db/oct)させ、スーパーツィーターを追加していたのだが、「AXIOM110」の高音域がとても澄んでいてスーパーツィーターは不要と判断した。もちろん同時にコイルも取り外してSPコードを「AXIOM110」と直結させた。

以上により、システムを上流から眺めてみると次のようになった。

CDトランスポート「ヴェルディ・ラ・スカラ」(dCS) → DAコンバーター「27ixVer3.0」(ワディア) → 真空管式プリアンプ「出力管:E80CC」 → 真空管式パワーアンプ「71Aプッシュプル」 → スピーカー「AXIOM110」(箱はウェストミンスター)

さあ、手直ししたシステムで再度の音出し。今度こそはと祈る思いである。試聴盤に選んだのはモーツァルトのヴァイオリン協奏曲。

ウ~ン、これは素晴らしい!まるで生まれ変わったようなサウンドになった。低音域から高音域まで過不足がないし、朗々と音が出てくる感じ。

艶やかな中高音域、小さな口径のせいか程良い低音がしっかりと分解能を確保しながら出てくる。このユニットの周波数特性は「40~15KZ」だが、40ヘルツ以下の心地よい量感は
ウェストミンスターの長大なバックロードホーンのおかげだろう。

音の量感と質感のバランスがとてもよくて何時までも聴いていたいような魅力的なサウンド。この音ならますます音楽を聴くのが楽しくなる。

とりわけ貢献してくれたのは「71Aプッシュプル・アンプ」だろう。

          

1930年代製造の古典管(「227」と「171A」を4本づつ
)のオンパレードだが、運よくオークションで落札したときはそれはひどいものだった。

「部品を1/3ほどに激減しましたよ」と大改造を施していただいた「北国の博士」によると「非常にシンプルな回路です。インターステージ・トランスはパーマロイ・コアが使ってありますし、出力トランスはピアレス製ですから音が悪かろうはずがありませんよ。」
          

これで我が家の3系統のスピーカーはすべてグッドマンになった。「AXIOM80」「AXIOM110」「AXIOM300」と続くアルニコ・マグネット シリーズ。

それぞれにいいところがあって、とても優劣をつける気なんてさらさらなかったところ、つい先日
の午後のことだった。

去る9月19日の福岡で開催した試聴会に同行してもらったMさんとNさん(大分市)が試聴にお見えになったので、この新装なったシステムを中心に3系統のスピーカーを順次聴いていただいたところ、それぞれ思いのままに試聴結果の感想を述べられ好みのスピーカーの序列まで教えていただいた。

はたしてその結果やいかに~(笑)。

以下、続く。


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