「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

超気持ちイイっ!

2017年03月30日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

オークションで手に入れたデッカのリボン型ツィーター「DK-30R」について登載したところさっそく仲間のMさん(奈良県)からメールが入った。

           

タイトルは「DECCAの俄か情報」について
 

「DKー30Rですがまず黒い四角い箱がなぜ付いているのか疑問に思い調べてみました。こんなことすでに知っていたら失礼をお許しください。
 
DKの型番の由来はStanley kelly's 氏のデザインでDECCAのDとKellyさんでDK30とのこと、リボン自身のインピーダンスが0.7Ωでマッチング用トランスが乗っているんですね!
 
1950年代から60年の製品!製品に設計者の名を冠するとは設計者の冥利に尽きます。」

これに対して、すぐに返信。

「さっそくの情報ありがとうございます。おかげさまで疑問が氷解しました。黒い四角い箱がとても気になりましたので、もしかしてネットワークが内蔵されているのかもと、出品者に問い合わせましたところ、委託品とのことで<分かりません>とのことでしたが、中味はマッチングトランスだったのですね!

名前の由来とともに、このたびは大変ありがとうございました。感謝です!」

さて、実際に鳴らしてみたデッカのリボン型ツィーターだが、その素晴らしさにはホトホト参ってしまった。これまでのオーディオ人生の中でも5指に入るほどの衝撃度といっていい。

               

クラシックからジャズ(シンバル)、演歌まであらゆるジャンルに対応できるのが頼もしいが、何といっても中低音域との繋がりが自然だし、しかもヴァイオリンの音色が抜群。

シットリと濡れたような響き、それでいてクリヤーで透明感があるし、ブリティッシュ・サウンド特有の奥床しさもきちんと備えている。もしかして我が家の至宝「AXIOM80」(最初期版)より上かもしれないと、「うれしさ」と「悲しさ」が半分織り交じって複雑な心境だ(笑)。

執筆者の特権として臆面もなく、うまくいった要因を列挙してみよう。

1 高音域専用アンプとして「171シングル」アンプの活用

          

これまで度々登場してきたこのアンプだが、改めて概要を述べるとインターステージトランス内臓で、球の構成はオール・ナス管、初段管が「AC/HL」(英国マツダ:最初期版)、出力管が「171」(トリタン・フィラメント使用)、整流管が「SPARTON」(アメリカ)と極めてシンプルな構成。

いずれも1940年代前後の真空管で出力は1ワットにも満たないが、緻密かつ繊細な表現力はどんなアンプを持ってきても負けない自信がある。

もの足りないのは重低音だけといっていいが、これらの特質がツィーターを鳴らすのには持って来いで、今回のデッカの場合にもメチャ相性が良かった。何よりも小出力なのでユニットの破損の恐れもないし音の暴れもいっさいなし。

これからツィーター専用に使うことにしよう。

そして面白いことに気が付いた。

実は、もう1台同型タイプの「71Aシングル」アンプを持っているのだが、ツクリが違うせいか奥行感の表現力にやや難点があって、普段は予備役に編入しているのだが、ツィーター専用に鳴らすくらいなら使えるだろうと踏んで繋いでみたところ明らかにアウトだった。何だか騒々しく聴こえるのだ。

全体をバランス良く鳴らすことが出来ないアンプはツィーター専用にも使えないことが分かって、これは大きな収穫(笑)!

2 フィリップスのユニットとの組み合わせがうまくいった

いくらツィーターの音がいいといっても可聴帯域(20~2万ヘルツ)の中ではごく一部に過ぎず、中低音域を受け持つユニットとの相性が良くないことには話にならない。

正直言ってデッカのツィーターに組み合わせるのに「フィリップス」にするかグッドマンの「AXIOM150マークⅡ」にするか随分迷ったが、前者に決めた要因は音のスピード感だった。

音声信号に対するフィリップスの小気味よい反応ぶりは実に爽快で、グッドマンはその点やや劣る。その代り、渋みがあってじっくり音楽を聴かせてくれるところがあり、こればかりは一長一短だが、デッカとの相性となるとフィリップスに一日の長があるようだ。

また、「171」アンプは中低音域用に使っているPX25アンプとの能率がピッタリで、どちらのアンプともいっさいボリュームを絞らないで済むのが大いに助かる。

3 ネットワークの部品(コイルとコンデンサー)に良質のものを使用した

その昔、ウェストミンスターに内蔵されていたタンノイさんのユニットを取り外し、JBLのD130を取りつけて3ウェイで鳴らしていた時期があり、この時代の名残りの部品が今回は大いに役に立った。短気を起こしてオークションに出さなくてほんとうによかった(笑)。

たとえば、ムンドルフのゼロ抵抗コイルはドイツ本国から取り寄せるのに3か月ほどかかり、いざというときには間尺に合わないし、ウェスタン製のブラック仕様の「オイル・コンデンサー」も、今となっては簡単には手に入らない代物だ。

以上、「自慢たらたらだ」と受け取る向きもあろうが、これは事実だから仕方がない(笑)。

さて、独りで悦に入るのも悪くないが、自信が確信に変わるためにはやはり強力な援護射撃が必要だ。土曜日(25日)にクルマで10分ほどの所にお住いの
Yさんに来ていただき試聴していただいた。

日頃、お客様にはなるべく謙虚に対応しているが、(ときどき衣の下からチラッと鎧が見えるかもしれないが~笑~)今回ばかりは「絶対に悪かろうはずがない」と自信があったが、やはり想像どおりだった。

「リボン型ツィーターでこういうホーンが付いているのは初めて見ました。これはメチャ音がいいですね!これまで聴かせていただいた中では最高でしょう。いやあ驚きました。」

日頃、辛口で終始するYさんも脱帽といったところで、「超気持ちイイッ!」(笑)。

そしてデッカのリボン型ツィーター導入を契機に我が家のシステム群は大変貌を遂げていく。

詳細は後日に~。


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DECAA(デッカ)のリボン型ツィーター

2017年03月28日 | オーディオ談義

どうやらオーディオの好みも周期があるようで、仰々しい低音を敬遠するようになってから3年ほど経つが、それに反比例するかのように中高音域にはウルサくなった。

透明感がある、瑞々しくて麗しい、繊細かつ美しい艶に満ち溢れた高音域を求めて連日悪戦苦闘しているが、オークションでも日頃から「高品質のツィーター」のアンテナを張っていたところ、いきなり目に飛び込んできたのが「デッカのリボン型ツィーター」だった。

デッカといえばEMIと並んでイギリスを代表するレコード会社だが、その名前を聴いただけで古い音楽ファンにとっては一流の演奏者と優れた音質の記憶がすぐに蘇り、思わず胸が震えてしまうほどの存在感がある。

記憶の中にはウッスラと、どなたかの「デッカのツイーターの素晴らしさ」を謳った記事が残っている。

入札する前に二人の仲間に相談したところ、「DECCAの製品は見た目も音も良いですよね。私も一時はデコラに憧れました。レコードに関しても録音・プレス共にビカイチで、DECCA社は正にイギリスの良心と言えるでしょうね。」

もうお一方は「滅多にオークションに出ない稀少品ですよ。よくぞ見つけましたね。〇〇さんの代わりに私が入札したいくらいです。」と一押し。

リボン型といえば1年ほど前に最高級ともいえる国産某社のツィーターをゲットしたが、鳴らし方の工夫が足りなかったせいもあろうがとうとう音色が気に入らず、オークションで売り払ってしまった。ただし、購入価格よりも高く売れたのがご愛嬌だった(笑)。

さて、デッカのツィーターのオークションでの画像と解説はこうだった。

             

・DECCA DK30R(ペア)を出品いたします。

・付属品等:写真の本体+ホーン2本と元箱です。

・動作状態:出品前、5000~2万Hzのサイン波をスイープして入力してみましたところ、「チィー」という音が2本とも歪む事なく綺麗に出ました。

・外観:ヤニ汚れ、たばこ臭はございませんが、経年による小傷、薄汚れはございます。ドライバー本体とダイヤフラムの外観は、大変綺麗です。

・動作保証等:40年ほど経っている古い製品になりますので、保証はございません。

これまで20年近くネットオークションにハマってきたがデッカのリボン型ツィーターは初対面である。思わずヤル気にスイッチ・オン(笑)。

すぐに出品者に質問。
 

「ご教示ください。 リボン型は一般的に能率が低いのですが、デッカはどのくらいでしょうか。」

すると、

「リボン型でも一般的に能率は90db以上あるのが普通ですが、ホーン型、ドーム型のトゥイーターに比べ、刺激音が無く、聴感上、聞こえていない様な音が出ますから、能率が低く感じるのだと思います。DK30Rですが、大きなホーンが付いていることも影響してか、一般的なPIONEER、フォステクス等の能率90dbを超えるリボン型より音は大きく聞こえます。」

具体的な数値、たとえば「98db」とかの数字が欲しかったのだが、ま、いっか~。


さっそくデッカの「相場」の情報収集に取り掛かってオーデイオ機器の中古品販売で有名な「〇〇堂」さんの販売履歴を調べてみると「〇〇万円」で「ソールドアウト」だった。

高っ!

程度もまあまあだし、この7割程度で手に入れば上出来だと踏んで上限価格を設定。

そして、おそらく熱心さに神様が微笑んでくれたのだろうか、何と「〇〇堂」さんの5割以下という信じられない価格で無事落札(笑)。

ただし、喜ぶのはまだ早い、とにかく現物を見て、そして鳴らしてみなければ手放しで喜べない。

品物が届いたのは23日(木)の19時頃だったが、運動ジムで疲れ果てているのでもうダウン寸前。梱包を解く気力も失せてバタンキュー。いくらオーディオ好きといっても睡魔には勝てない(笑)。

翌日はヤル気満々、朝一でセットに取り掛かった。きちんと音が出るのか、左右の能率差がどのくらいあるのか不安と期待が交錯する中での音出し。

はじめにパイオニアのDIVIDING NETWORK「DNー6」(2ウェイ:クロス4000ヘルツ)を使ってみた。
        

フィリップス(口径30センチ)との組み合わせだったが、これは残念なことにアウトだった。能率に大きな差がありフィリップス(100dB)の方が断然高過ぎて音のバランスが悪い。

しかし、きちんと音が出ることが分かってほっと一息。

今度はまったく違ったやり方でアプローチ。

まずフィリップス側のSPコードにムンドルフ(ドイツ)のゼロ抵抗コイル(0.15mH)を挿入して「9000」ヘルツ(6db/oct)あたりでハイカットする。

その一方、デッカの方のSPコードにはウェスタンのブラック仕様の「オイル・コンデンサー」(2.19μF)を挿入して「9000」ヘルツ(6db/oct)あたりでローカットする。

したがって、システムは2ウェイ方式により2台のアンプを使うことになる。

周波数帯域(~9000ヘルツ)

プリアンプ(出力2系統のうち1系統使用) → パワーアンプ「PX25シングル」 → 「フィリップス」

周波数帯域(9000ヘルツ~)

プリアンプ(出力2系統のうち1系統使用) → パワーアンプ「171シングル」(インターステージトランス入り) → 「デッカ」

              

出てきた音を聴いて思わず息を呑んだ!!!

以下続く。
 


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男性は女性よりなぜ早死に?

2017年03月26日 | 復刻シリーズ

今回の「復刻シリ~ズ」は7年前に登載した「男性はなぜ女性より早死に?」である。それでは以下のとおり。

周知のとおり男性はXYの染色体(女性はXXの染色体)を持っているが残念なことにそれは基本仕様ではなく、生まれたときに片方にそのY遺伝子という貧乏くじを引いたばかりに女性よりも短命になっているという話である。

    「本が好き」〔光文社月刊誌:2008年6月号)    

本誌に「できそこないの男たち~Yの哀しみ~」(36頁)というのがある。著者の福岡伸一氏は青山学院大学理工学部(化学・生命科学科)教授。

2009年7月17日時点で日本人男性の平均寿命(生まれたばかりの男子の平均余命)は79歳であり、対して女性の平均寿命は86歳。ゼロ歳の時点ですでに7年もの差がある。

「女性の方が長生きできる」
この結果はすでに人口比に表れている。現在、日本では女性の方が300万人多いが、今から50年たつとその差は460万人にまで拡大する。

男女数の差は年齢を経るほどに拡大する。80歳を超えると男性の数は女性の半分になる。100歳を超える男性の数は女性の5分の1以下にすぎない。中年以降、世界は女性のものになるのである。

どうして男性の方が短命であり、女性のほうが長生きできるのだろうか。

☆ 
男の方が重労働をしているから

☆ 
危険な仕事に就くことが多いから

☆ 
虐げられているから

☆ 
男の人生の方がストレスが大きいから

いずれももっともらしい理由だが、7年もの平均寿命の差を生み出す理由としては薄弱である。

著者が着目したのは上記の理由がいずれも環境的要因に限られていることで、むしろ生物学的な要因
に原因があるのではと焦点を当ててさらに検証が進められていく。

その結果、世界中のありとあらゆる国で、ありとあらゆる民族や部族の中で、男性は女性よりも常に平均寿命が短い。そして、いつの時代でもどんな地域でも、あらゆる年齢層でも男の方が女よりも死にやすいというデータが示される。

結局、生物学的にみて男の方が弱い、それは無理に男を男たらしめたことの副作用
とでもいうべきものなのだという結論が示される。

その証として、取り上げられるのが日本人の死因のトップであるガン。

ガンは結構ポピュラーといっていい病だがそれほど簡単にできるものではない。細胞がガン化し、際限ない増殖を開始し、そして転移し多数の場所で固体の秩序を破壊していくためには何段階もの「障壁」を乗り越える必要がある。

つまり多段階のステップとその都度障壁を乗り越えるような偶然が積み重なる必要があって、稀なことが複数回、連鎖的に発生しないとガンはガンにはなりえない。

それゆえに、確率という視点からみてガンの最大の支援者は時間
であり、年齢とともにガンの発症率が増加するのは周知のとおり。

もうひとつ、ガンに至るまでに大きな障壁が横たわっている。それが個体に備わっている高度な防禦システム、免疫系
である。

人間が持つ白血球のうちナチュラルキラー細胞が、がん細胞を排除する役割を担っているが、何らかの理由でこの防禦能力が低下するとガンが暴走し始める。

近年、明らかになってきた免疫系の注目すべき知見のひとつに、性ホルモンと免疫システムの密接な関係がある。

つまり、主要な男性ホルモンであるテストステロンが免疫システムに抑制的に働く
という。

テストステロンの体内濃度が上昇すると、免疫細胞が抗体を産生する能力も、さらにはナチュラルキラー細胞など細胞性免疫の能力も低下する。これはガンのみならず感染症にも影響を及ぼす。

しかし、テストステロンこそは筋肉、骨格、体毛、あるいは脳に男性特有の男らしさをもたらすホルモンなのだ。

男性はその生涯のほとんどにわたってその全身を高濃度のテストステロンにさらされ続けている。これが男らしさの魅力の源だが、一方ではテストステロンが免疫系を傷つけ続けている可能性が大いにある。

何という「両刃の剣」の上を男は歩かされているのだろうか。

以上が「Yの哀しみ」の概略。

結局、「男性がなぜ女性よりも早死に?」の理由は「男性に生まれたばかりにYというありがたくない染色体を無理やり持たされ、男らしさを発揮した挙句に早死に」というのが結論だった。

しかし、何やかや言ってみても今度生まれ変わるときはまた男性に生まれたいと願っているが、皆さまはどう思われますか?(笑)


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新たなオーディオ交流

2017年03月24日 | オーディオ談義

これまでいろんなお宅を訪問させていただいて「音」を聴かせていただいたが、その結果はあまり芳しいものではなかった。

大いに気に入って、このまま(このシステムを)持ち帰って我が家で鳴らしてみたいと思ったことは一度もないし、「まあまあ」と思ったのがおよそ3割程度、あとの7割はタダでくれるといっても要らない代物だった(笑)。

のっけから過激な発言だが何が言いたいかというと、それほど音に対する感受性は各人でマチマチだということ。もちろん自分の耳だけが正しいと唯我独尊のように思ったことは一度もない。

そういうわけで、つい先日、大分市内のまったく見知らぬオーディオ愛好家の方から「ブログを拝見しました。参考のために一度試聴させてください。」と、メールが届いたときも我が家の音は自分で勝手にいいと思っているだけなので、実際にお聴きになってガッカリさせたとすると、「お気の毒だなあ」と、そちらの心配の方がつい先に立ってしまった。

ブログに書いてる内容と現実のギャップは確実に存在するし、「聴かぬが花」で想像の世界に留めておくのが一番だと思うが、ま、反面教師という言葉もあるし、それでもいっか~(笑)。

メールを受け取ってからお互いに日程調整をし、実際にお見えになったのは1週間後の小春日和となった3月中旬の午後のことだった。

予定が13時半だったので、12時半ごろに自宅の周囲を(昼食後の)ウォーキングをしていたところ携帯が震えた。「現在、目印の〇〇商店のところに来ております。」

「エッ、そのまま待っててください。すぐに行きますから。」

何しろ初めての見知らぬ土地だから道に迷って遅くなってはいけないと、きっと早めにお見えになったに違いない。とても丁寧かつ慎重な方のようである。

「いやあ、どうもはじめまして~」

お見えになったのはお二人だった。さっそくオーディオルームにご案内して、自己紹介。

すると、年恰好も似ていてお互いに3歳以内に収まっているし、職業の方も3名とも元公務員と分かった。道理で醸し出す雰囲気が何だか皆よく似ている、というわけですぐに意気投合(笑)。

しかも、お二人さんともとても年期の入った真空管アンプ・ビルダーさんだった。うち、お一人は製作したアンプをオークションに出品され700件を越える取引をされているほどでたいへんな場数を踏まれている。

お好みの音楽のジャンルを伺ってみると、お二人とも「ジャズ系です。」

そうですか・・・。

これは余談になるが「大分は日本のスペインだ」と喝破したのは評論家の大宅荘一氏だが、スペインといえばフラメンコとギターだが、いずれにしてもややウェット気味のクラシックのイメージとは程遠い。

大分の県民性は開放的で熱しやすいが、移り気なところがあって絶対安全だとされていた大物代議士がいきなり選挙で落選するという波乱がよく起きることで有名な土地柄だった。

それに革新系が強く、かっての村山富市元首相のおひざ元とあって、現在凋落の一途を辿る社民党だがいまだに人気があっておそらく全国一だろう。

これはおそらく大分の海岸部の主要都市が乾き気味の「瀬戸内式気候」の圏内にあるせいで出来上がった気風かと勝手に推測しているが、風土的にも明らかにジャズに合っていそうだ。

以上、福岡で生まれ育った人間が長年大分で暮らして客観的に感じている印象である。

そういうわけで今回の試聴盤は「エラ&ルイ」「サキソフォン・コロッサス」そして「加藤登紀子詠歌集」に絞った。

さっそく試聴に入ったが、前もってインプットしていたシステムのプログラムは次のとおり。

          

鳴らすスピーカーは4系統とし、その順番は「AXIOM80」、「AXIOM 150マークⅡ」、「フィリップス」、そして最後がタンノイ「ウェストミンスター」。

当然「順番への思惑」がある。まず最初が肝心である。ぐっと興味を引き付けておいて二番目でさらに展開力を発揮し最後のウェストミンスターでトドメをさす(笑)。

しかし、この目論見はあえなくお客さんのリクエストで覆された。

「AXIOM80」をしばらく聴いた後で「今度はウェストミンスターを聴かせていただきませんか。」

やっぱりというか大型スピーカーの誘因力は凄い。

2時間ほどかけてひとおとおり聴き終ったが、元公務員とあって皆さま一様に慎重で口が堅い(笑)。

音がどうのこうのとハッキリ仰らないので、「どれが一番お気に召しましたか。」と、そっと水を向けると異口同音に「本格的にペアで聴いたのは初めてですがAXIOM80です。」

ヤッパリ(笑)。

「今度はアンプを替えてみましょうかね」と「171シングル」から噂の「6FD7シングル」へと繋ぎ替え。

「見事にAXIOM80の重心が下がりましたね」とお客さん。

「テレビ用の球ですけど中低音域の分厚いところが
とても気に入ってます。まだエージングの段階ですからこれからもっと音がこなれてくると思いますよ。」

初対面の緊張も何のその、肩が凝らずにとても楽しい試聴会だった。

「今度は私のほうから近日中にお伺いしますので是非試聴させてください。」とお願いすると、「はい、いつでもどうぞ~。」

交流圏が広くなればなるほどオーディオは面白くなる!

オーディオの新しい交流もまた良き哉~(笑)。
 


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吸音材の入れ替え

2017年03月21日 | オーディオ談義

オーディオ仲間から借りた真空管の専門誌「管球王国」(2017・冬季版)に実に興味深い記事が載っていた。

                

それは「30センチ口径フルレンジユニットのチューニング法 大公開」(159頁)という記事で、5タイプのオールドユニットを実例として、そのチューニング法を詳しく述べてあり、我が家でも「口径30センチンフルレンジユニット」を愛用しているので、大いに参考にさせてもらおうと興味深く拝読した。

結論から言うと、記事の中で挙げてあった主なチューニング法は次のとおり。

 箱の裏蓋の木ネジを緩める

2 箱の内部にティッシュペーパーを張り付ける

 相性のいいパワーアンプを選択する

4 スピーカーを角材に載せる

といったところだが、一番興味を惹かれたのがのティッシュペーパーの活用で、ほとんどすべてのユニットの実験に用いられていた。

「たった2~3枚のティッシュペーパーを箱の内部に張り付けただけで音が変わるの?」といささか驚いたが、専門誌に登載するほどの専門家の言だから信用に値するだろう(笑)。

そもそも「吸音材の研究」は音質に多大の影響を与える割には、どうも“なおざり”にされている感が拭えない。

市販されているスピーカーの大半がユニットとエンクロージャーが一体型となっており、それらを購入する人が圧倒的に多い。したがってすべてメーカー任せとなり吸音材の研究がなおざりにされているのもよく理解できるが、ユニットとエンクロージャーは別物なので、それぞれ個別に対応するクセを身に付けないとオーディオの楽しみは半減すると言っても過言ではない。

「メーカー製のオリジナル・エンクロージャー何するものぞ」という気概が欲しい、
ま、要らん世話だが(笑)。

いずれにしても、本書を読んで我が家の自作のエンクロージャー(AXIOM80用)の吸音材はこれでいいのかとガンと頭を叩かれた思いがした。

           

これは1か月ほど前の製作当時の画像だが、1センチ厚ほどのフェルトを内部にびっしり張り付けている。このままでも音質には十分満足しているものの、もっと薄い吸音材に変えればさらに音が良くなるかもしれないという誘惑にはとても抗し難かった(笑)。

思い立ったが吉日「過ちを改むるに憚ることなかれ」と、すぐにフェルトをはぎ取った。接着剤ボンドで部分的に張り付けているだけだから簡単だった。

実際にはぎ取った量を見てみると両チャンネル分合せて大きなゴミ袋いっぱいになったが、これほどの量が箱の容積を占めていたのかと思うと、思わず背筋がゾッとした。

フェルトの代わりに張り付けたのが薄~いウール材でグッドマンの箱に使用してあったのを流用。ティッシュペーパー2~3枚で代用できるくらいだからこのくらいの厚さで十分。

            

これまたボンドで根気よく張り付けていって完成後が次の画像。

            

ちなみにX型の補強材は強度のupとともに箱の内部の定在波防止の役割も兼ねている。また、昔使用していた羽毛の吸音材(白色の袋)をユニットの真後ろに配置しているがこれはご愛嬌で精神安定剤だ(笑)。

さあ、問題は音だ。

はたして、これでどういう風に変わったか、ハラハラ、ドキドキの一瞬!

ここから先は「また、いつもの我田引水か」と言われそうだが
、特筆しておきたいこととして「音がメチャ明るくなった。これがAXIOM80本来の音だろうと思わせる。また周波数レンジが拡大し、音が軽やかになってより繊細な表現力が出来るようになった、それに低音域の量感が増えてサブウーファーが不要になった。」

と、いいことだらけ!(笑)
 


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音のエチケット

2017年03月20日 | 復刻シリーズ

 春日和の3連休(18~20日)ということで、「復刻シリ~ズ」2日つづきのサービスです。今回は8年ほど前に投稿したタイトル「音のエチケット」です。

それでは以下のとおり。

小さい頃からなぜかミステリーが大好きで、江戸川乱歩やコナン・ドイルにはじまって、名作「Yの悲劇」で有名なエラリー・クィーン、あるいは推理作家の登竜門といわれる江戸川乱歩賞受賞作品まで内外の話題作はほとんど読んでいるつもり。

もちろん謎解きの面白さに魅かれてのことだが、加えて雑学的にもタメになることが多い。

最近、偶然読む機会があって面白いと思ったのが次の本。

 「人生に必要なすべてをミステリーに学ぶ」(1994年:同文書院)  

著者は馬場啓一氏である。ご覧になった方もあるかと思うが、この中の「古今東西”音のエチケット”」が特に印象に残ったので紹介しよう。

さて「マフィアに”おなら”」とかけて何と解く。

ご承知かと思うが欧米では身体から発する音は全てエチケット違反である。おならに限らず、ゲップもダメ、お腹が鳴る音もだめ、ものを飲み込む音でさえもアウト。

これらを我慢するのは日本人にとっては結構大変なことだが、なにしろ生活上のルールだから彼らとお付き合いをする以上従わなければしようがない。

当然スープを飲む音もダメでバリバリとかバシャバシャと噛む音も絶対ダメなのである。欧米人には民族的歴史や経験の違いがあるのだろうが、彼らは固いフランスパンだって音もなく食べてしまう。

深田祐介氏のエッセイに部下にラーメンを音を立てて食べろと命令するのがある。ところがこの部下が英国人であったから、この命令がとてつもなく大きな意味を持ってくる。

取り澄ました紳士の代名詞である英国紳士に、音を立ててラーメンを食べさせようというのである。さあ、どうなる?

結果は英国人の負けで、彼はどうしてもズルズルと音を立てて食することが出来なかったのである。もちろん、英国人だってラーメンをズルズル食べることは可能である。

しかし、それは英国人である誇りとメンツを失うに等しい、というのがその部下の本音だったのであろう。彼の歯と口には音を立ててものを食するというデータがインプットされておらず、それを行うには民族としての誇りを失う必要があったのである。こうして「エチケット=マナー」には意外と深い意味が込められているのだ。

冗談でよくいわれるのは、もし日本が太平洋戦争に勝っていたら、食後に歯を楊枝でシーハーする作法を世界中の人々が学ばねばならなかっただろうという話で、この逸話はマナーというものには絶対的な基準というものがなく相対的な存在であることを示している。

戦争に強いアングロ・サクソン系のマナーが、幸か不幸か世界の一般的常識となってしまったのでやむなく我々東洋人もこれに右を倣えしなくてはならないのだ。

さて随分と寄り道をしたが「マフィアに”おなら”」への解答である。

リチャード・コンドンの書いた「プリッツイズ・ファミリー」でいつでも好きなときに低音から高音まで自由自在に音を発する”おなら”の名人が登場し、マフィア・ファミリーの余興の人気者になる。

西洋人にとって大切なルールを平気で破る芸をあえて賞賛することで治外法権といえば大げさだが”ムラ”的な存在であるマフィアと”おなら”とが、彼らの中で一本ちゃんとつながっているのが分る。

したがって「マフィアに”おなら”」とは、「ファミリー独自のルール=マナーでお互いに結束を確認し合っている」と解く。

これを敷衍すると、洋画をみていると登場人物がヒックをしたりゲップをしているシーンを時折見かけるが、あれはその人物がルールに従わない人間であることを暗示しており、またその場に相手がいる場合にはその人物を軽んじていることを示唆しているそうだ。

ところで先般、ネットでヤンキースの松井選手が居並ぶ外人記者の前で大きな音で”おなら”をして平然としていたとの記事をみかけた。本年で契約切れとなる松井には高額年俸に見合う実績が伴なっていないとかでシーズン当初から放出の噂みたいな記事が絶えない。

松井ほどの人物が西洋人のエチケットを知らぬはずがないので、これはそのウップン晴らしなんだろうか。それとも単に神経が図太いだけなんだろうか。真相は松井のみぞ知る。            

 


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耳トレ!

2017年03月19日 | 復刻シリーズ

今年(2017)から「日曜 ~ 月曜日」に限って、これまでのブログの中でいまだにアクセスが絶えない記事をピックアップしてお届けしているが、今回は5年ほど前に投稿したタイトル「耳トレ!」である。それでは以下のとおり。 

「音楽&オーディオ」を愛する人間にとって「耳が遠くなる」ことほど悲しいことはない。自分などは、そうなるともう死んだ方がマシとさえ思うが、悲しい現実として聴力は20歳ころをピークに徐々に低下しはじめていき、65歳以上の4人に1人、75歳以上の2人に1人は補聴器が必要な状態だ」と、ショッキングな書き出しで始まるのが「耳トレ!」(2011.10.3)である。

                      
 

大学教授で現役のお医者さんが書いたこの本には「耳の健康」に対する情報が満載で実に”ため”になる本だった。

以下、とりわけ興味を引いた点を自分自身のために忘れないように箇条書きスタイルで整理してみた。

なお、の部分は自分勝手な独り言なのでけっして鵜呑みにしないようにしてくださいな(笑)。

☆ 難聴の大きな要因は「騒音」と「動脈硬化」

2007年10月、日本の国立長寿医療研究センターから「加齢と難聴には相関関係がない」というショッキングなニュースが発表された。主として難聴に関係していたのは「騒音」と「動脈硬化」の二つだという。

「騒音」の原因には「騒音職場」とともに「ヘッドフォン難聴」「イヤフォン難聴」が挙げられ、
一方の「動脈硬化」は言わずと知れたメタボリック・シンドロームである。

この二つは日常生活の中で十分予防が可能だが、今の段階から一人ひとりが心がけていかない限り、近い将来「大難聴時代」がやってくることは必至だ。

☆ 日本語は世界一「難聴者」にやさしい言語

どの国の言語にもそれぞれ固有の周波数帯というものがあり、母国の言語を繰り返し聞いて育つうちにその周波数帯以外の音を言語として聞き取る脳の感受性が失われていく。

そのため生後11歳くらいまでには母国語を聞いたり発音する能力に特化した脳が出来上がる。

日本語で頻繁に使われる周波数帯は125~1500ヘルツで、英語は200~12000ヘルツと随分と違う。日本語は世界の言語の中でもっとも低い周波数帯の言語で、英語は世界一高い周波数帯の言語である。

したがって、英語民族は高齢になると早い段階で高い音が聞き取りにくくなって不自由を感じるが、日本人はすぐには不自由を感じない。その点で日本語は世界一難聴者にやさしい言語である。

 これは一人で二か国の言語を操るバイリンガルの「臨界期」が10歳前後と言われる所以でもある。また、英語圏の国で製作されたアンプやスピーカーなどのオーディオ製品には、高音域にデリカシーな響きをもったものが多いが、これで謎の一端が解けたような気がする。その一方で、とかく高音域に鈍感な日本人、ひいては日本のオーディオ製品の特徴も浮かび上がる。

☆ 聴力の限界とは

音の高い・低いを表す単位がヘルツなら、音の強さや大きさ(=音圧レベル)は「デシベル(dB)」であらわす。
 

人間が耳で聞き取ることのできる周波数の範囲は「20~2万ヘルツ(空気中の1秒間の振動が20回~2万回)」の間とされているが、イルカやコウモリなどは耳の形や構造が違うのでこの範囲外の超音波でさえ簡単に聞き取れる。 

ただし人間の場合は20ヘルツ以下の音は聴覚ではなく体性感覚(皮膚感覚)で感じ取り、2万ヘルツ以上の音(モスキート音)は光や色として感じ取りその情報を脳に伝えている。

 人間の耳は一人ひとりその形も構造も微妙に違うし、音を認知する脳の中味だって生まれつき違う。したがって同じオーディオ装置の音を聴いたとしても各人によって受け止め方が千差万別というのが改めてよくわかる。

自分でいくら「いい音だ」と思ってみても、他人にとっては「それほどでもない」という日常茶飯事のように起こる悲劇(?)もこれで一応説明がつくが、音に光や色彩感覚があるように感じるのは超高音域のせいだったのだ!

☆ 音が脳に伝わるまでの流れ

耳から入った空気の振動は外耳道と呼ばれる耳の穴を通り、アナログ的に増幅されて鼓膜に伝わり、アブミ骨などの小さな骨に伝わってリンパ液のプールである蝸牛へ。そこで有毛細胞によって振動が電気信号に変換され、聴神経から脳に伝わる。これで耳の中の伝達経路はひとまず終了。

この電気信号が言語や感情と結びついた「意味のある音」として認識されるまでにはもう少し脳内での旅が続く。

電気信号が聴神経や脳幹を経て脳内に入ると、まず、大脳の中心部にある「視床」に送られる。ここは、脳内の情報伝達の玄関口となっている。視覚、聴覚、皮膚感覚などあらゆる感覚情報が必ず通る場所で、単純に音だけを聴いているつもりでも、様々な感覚情報とクロスオーバーしている。

また「視床」を通過すると音の伝達経路は「言語系ルート」と「感情系ルート」の二つに大きく分かれる。前者は最終的に「言語野」に到達するが、後者は大脳の一次聴覚野を通らず、いきなり「扁桃体」に直結していて「イヤな音」「うれしい音」というように音を直感的・情緒的に受け止める。

※ 音楽を聴くときにカーテンなどでスピーカーを隠してしまったり、あるいは目を瞑って聴いたりすると、機器の存在を意識しないでより一層音楽に集中できるのは経験上よく分かる。

さらに、直感的なイメージとしてオーディオマニアが音楽を聴くときには主として「感覚系ルート」がはたらき、それ以外の人たちが(音楽を)聴くときには主として「言語系ルート」が働いているように思うが果たしてどうだろうか・・・。

ほかにも本書には「音楽好きための難聴予防テクニック」など貴重な情報が満載で、末永く「音楽&オーディオ」を楽しみたいと思われる方は是非ご一読されることをお薦めしたい。
 
 


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グッドマン「AXIOM 150マークⅡ」の帰還

2017年03月17日 | オーディオ談義

作家の「開高 健(かいこう たけし)」さんの著書の中にこういう一節があった。

「久しぶりにミステリーを読み直してみたが、やはりシャーロック・ホームズものを書いたコナン・ドイルの作品が面白い。同じイギリスのアガサ・クリスティーの作品はどうも退屈感を覚えてしまう。」という趣旨のことが書いてあって、芥川賞作家を引き合いに出すのはまことに畏れ多いが、「まったく同感です」と頷いたことだった。

「シャーロック・ホームズの冒険」を嚆矢(こうし)として、ホームズ物はすべて楽しく読ませてもらったが、その一連の作品の中に「シャーロック・ホームズの帰還」というのがある。

ややマンネリ化したホームズシリ~ズを打ち切るためにドイルがストーリーの中でホームズを谷底に落として「これでこのシリーズはお仕舞い」としたわけだが、読者から物凄いブーイングが起こったため、再びホームズを生き返らせ、その第一作目が「…帰還」である。

そこで我が家のオーディオの話(笑)。

部屋のスペース上の問題があって、やむなく谷底に落としていたグッドマン「AXIOM 150マークⅡ」(口径30センチのフルレンジ型)だが、このほど図体の大きなウェスミンスターを部屋の片隅に追いやったおかげでめでたく居場所が出来て無事「帰還」と相成った。

これで我が家のスピーカーは次の3系統となった。

「ウェストミンスター」、「AXIOM80+フィリップス」、「AXIOM 150マークⅡ」(以下「マークⅡ」

いずれも、それぞれに持ち味があってとても捨て難いが、この中で一番地味な音が「マークⅡ」といっていい。

やや中低音域が籠り気味で「ちょっと聞き」ではとうていその良さが分かってもらえないが、気にせずに聴いているとまるで「いぶし銀」のような独特の持ち味に魅せられ、このままず~っと聴いていたいという気になるから不思議なスピーカーである。

たとえば我が家のフィリップス(口径30センチ:ブラウンコーン:アルニコマグネット)は大概のお客さんが絶賛する素性のいい音の持ち主だが、2時間も続けて聴いていると何だか耳が疲れてきてアンプのスイッチを落としたくなるが、マークⅡだと1日中聴いていてもそういうことがない。

一言でいえば「リスナーの気持ちに寄り添ってくれる」スピーカーだと言えるが、グッドマン(イギリス)のユニットは総じてそういう傾向がある。

とはいえ、帰還後の第一声を2時間ほどじっくり聴いていると、「もう少し高音域の華やかさがあってもいいかもねえ」という気になったので試験的にツィーターを付け加えることにした。

つまり原形を壊さずに高音域だけ追加する「フルレンジ+ツィーター」方式。

初めにドイツ製のコーン型ツィーターを加えてみたが、クラシックではたしかに効果があったが、ジャズとりわけソニーロリンズの「サキソフォン コロッサス」の冒頭のシンバルの一撃が何とも冴えない(笑)。

あのチャリ~ンという刺激的で麻薬的な音が聴きたいばかりにとうとうJBLの075ツィーターの出番と相成った。

「グッドマン+JBL」といえば、まるで「水と油」みたいな組み合わせだが、とにかくシンバルさえ鳴ってくれればそれでいいという気持ちになるから不思議。これでは「音キチ」と言われても仕方がない。

低音病は克服した積りだが「高音病=シンバル病」はこれからもずっと克服できない気がする(笑)。

このシンバルの響きをいかに違和感なくミックス出来るか、ここがオイラの腕の見せ所だ。ま、大した腕でもないが(笑)。

           

周知のとおり「075」の能率はメチャ高くて110db前後あるが、これに比べて「マークⅡ」の方はせいぜい95db前後といっていい。「075」に音量調整用のアッテネーターを入れると(音が)台無しになるので「マイカコンデンサー」でボリューム調整することにした。

初めに1個(0.075μF)だけで聴いてみたところ、明らかに効果ありだったがもっといけそうなので今度は2個をパラってみた。したがって「0.075+0.075=0.15μF」となったが、シンバルを十全に聴くにはこれで十分!

使用しているアンプは一番のお気に入りの「171シングル」(インターステージトランス入り)。オール・ナス管。

         

そういえばオーディオ仲間の「じゃじゃ馬の075ツィーターをうまく鎮めるためには71系統のアンプに限る」という言葉を思い出した。どうにか全体的な音の姿の調和が保てているのはこのアンプのおかげかもしれない。

最後にもう一つ味付けして、フルレンジの方の高音域をわずかにハイカットしてみた。

            

ムンドルフ(ドイツ)のゼロ抵抗コイル(0.15mH)を使って、マークⅡを1万ヘルツ以上でハイカットしたところ見事に高音域の濁りが取れてスッキリ爽やかとなって大満足。

最後に一つ疑問が湧き起こった。

スピーカー側の「マークⅡ」のインピーダンスは15Ω、そして075のインピーダンスは8Ωだが、アンプ側の出力端子は8Ωと16Ωと二つある。どちらの端子に繋いだらいいんだろう?

こういうときは、いつものように「北国の真空管博士」のご登場だ。

率直に疑問をぶつけてみると、

「マークⅡの方が広い周波数帯域を受け持っていますのでそれに合わせて16Ωに繋いだ方がいいでしょう。」と一刀両断。

いつものことながら大いに助かります~(笑)。
 


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二兎を追うもの一兎を得ず

2017年03月14日 | オーディオ談義

我が家のオーディオルームの広さは5m×6mだから30㎡となる。日本間でいえば15畳といったところで、あと2倍ほどあれば言うことなしだが贅沢は言えない。

音響効果における部屋の広さの重要性は周知のとおりだが、スピーカーを1系統(1ペア)置くだけならこれでもいいのだが、3系統のスピーカーを駆動するともなるとちょっと手狭になる印象は拭えない。

となるとどうしても、部屋のレイアウトにおいて二者択一の選択を迫られる。

 すべてのスピーカーをそこそこの音で鳴らす配置にする

 思い入れの強いスピーカーを際ただせるため、片方のスピーカーを部屋の片隅に追いやる。

それもこれも「AXIOM80+サブウーファー」がなかなかの仕上がりなので「一強」態勢にしようと思ったことがことの発端だった。

そういうわけで今回は2を選択した。「二兎を追うもの一兎を得ず」だからねえ(笑)。

作業時間はものの1時間もかからなかった。

           

ご覧のとおりタンノイのウェストミンスターを片隅に追いやったわけだが、やはり気になるのはどのくらい音が劣化したんだろう?一番付き合いが長くて大切な長男を不憫な目に合わせたようで申し訳ない気持ちも当然ある(笑)。

恐る恐る鳴らしてみたところ、なかなかいけるじゃない!

そもそもタンノイのかってのフラッグシップモデル「オートグラフ」は部屋の片隅に置くような形状になっているし、その後継機種ともいえる「ウェストミンスター」も部屋の片隅に置いても十分聴けるように設計されているのかもしれない。

長大なバックロードホーンを有しているせいかスピーカー自体で奥行き感などの音響効果をあまり部屋の力を借りずに表現できるところがこのスピーカーのメリットだろう。たとえば比較的狭い部屋で鳴らしてあるオートグラフを何度も聴いたことがあるがあまり違和感はなかった。

とは言いながら、もっと前に出した方がいいことは自明の理なので、これもおそらく自分にとって都合のいいように「脳が何かと言い訳をした」結果だろう(笑)。

なお、この際、興味深い現象があったので紹介しておこう。

些細な変化でも聞き逃すものかとウェストミンスターを身構えて試聴していたところ左側のスピーカーから出てくる音が右側よりも小さいのだ。おかしいなあ、まずアンプの真空管の劣化を疑った。しかし、前段管、出力管を左右入れ替えても異常なし。いよいよ、おかしいなあ。

そしてやっと分った。左側のディヴァイデイング・ネットワーク(テクニクス製)を「降圧電源」(200V → 100V:デジタル機器用)のすぐ近くに置いていたせいで磁界の影響をモロに受けていたのだ!

          

画面右側奥の黒い塊がその「降圧電源」で、手前が「ディヴァイディング・ネットワーク」。これに使ってあるコイルに降圧電源の強力な磁界がモロに作用したようだ。

オーディオに付きものの「磁界」と「振動」はまったく目に見えることがないので始末に悪いが、前者の場合にはとにかく相互の距離を離すに限る。すると、すぐに左側チャンネルが正常の音量に戻った。


ああ、良かった!

最後に、実はこのレイアウトの変更でスペースに余裕が出来て再び「AXIOM150マークⅡ」(グッドマン:口径30センチ)が見事に蘇ってくれた。後日その顛末を記載するとしよう。


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爆笑!大江戸ジョーク集

2017年03月13日 | 復刻シリーズ

今年(2017)から「月曜日」に限って、これまでのブログの中で今でもアクセスが絶えない記事をピックアップして登載しているが、今回は7年ほど前に投稿したタイトル「爆笑!大江戸ジョーク集」である。それでは以下のとおり。

たまには肩の凝らないジョークの紹介をしてみよう。

「爆笑!大江戸ジョーク集」(2007.11.10、笛吹明生、中公新書刊  


「幕府高官、大名から市井の人々まで、彼らはこの天下太平の江戸時代をどのように過ごして「笑い」にしてきたか。それは現代のサラリーマン社会に通じるものがあるはず。いつだってジョークは庶民の楽しみ!」
という前置きのもとに本書の中から三点ほど抜粋してみた。

☆ “唐渡り”

中国製品というと現時点では”やや不安"のイメージが拭いきれないが、当時の「唐渡り」というとありがたいように思える。これは、江戸の昔、中国からの輸入品に偽装があったという話である。

【唐渡りの雀を、お殿様に献上することになった。ところが目録の記載に一羽足りない。目録を直すのはたいへんなので、日本の雀を一羽加えて誤魔化しておいた。

ところが、目の肥えたお殿様は、一目で日本の雀を見破った。「唐の雀とは珍しい献上品よのう。だが、日本の雀が一羽混じっておるようじゃな」

殿様に言い当てられた日本の雀、「恐れながら申し上げます。私は通訳なのでございます」】

☆ “素行調査”

【江戸城表御殿で、密談が行われていた。
「このたびの人事でござるが、この者を勘定方へ役替えいたす所存でござる」
「ふむ、いかような人物じゃ?」
「それはもう。文武に励み、性は篤実。生活ぶりも質素倹約。勘定方へうってつけの人物でござる。」
ならばよかろう、と決しかけたとき、別の者が口を挟んだ。
「お待ちください、目付けによる人物評価が届いてござる。それによると、なんと、長唄の稽古に通っているとのこと」
一同は嘆息した。
長唄といえば、色っぽい女師匠がつきもの。弟子はそれを目当てに入門する。謹厳実直な幕府高官でも、それぐらいは知っている。
「長唄はいかんな。別の者にいたせ」
こうしてせっかくの出世をふいにした御家人の趣味は、実は和歌、ウタ違いの三十一文字を習っていたのであった。】

☆ “・・・・・臭い”

江戸時代は建前社会である。建前さえあればどんな理不尽でも横車でも通る。

【土屋能登守野泰直は急な病に倒れた。まだ23歳の若さなので跡継ぎもいない。どうも病が重そうだというので、弟を養子にする届出をした。根回しを受けた老中は
「病と申すが、まだ能登守は若い。急いで養子をせずともよいのではないか?」
「いえいえ、こればかりは・・・・・・・・」
「ふうむ、・・・それでは養子ということで。大事にいたせ」
養子の手続きには大目付が出向き、親戚なども立ち合う。むろん、病気療養中の土屋能登守泰直本人も・・・・・・・。
さて、手続きが済み、養子となった弟・土屋英直は病臥中の兄に改めて、「父上」と挨拶する。
大目付も能登守に「このたびは跡継ぎを得られて祝着(しゅうちゃく)至極」
と言葉少なに挨拶して終了する。
さりげなく座を外した一同、いっせいに外の空気を吸って、「やれやれ、臭い病人だ」
土屋能登守はとっくに死んでいるのだった。】

解説

実話である。常陸土浦藩九万五千石の土屋能登守泰直は23歳の青年大名であったが、亡くなったのは寛政二年(1790)五月三日で、現代の暦では六月十五日にあたる。実際に亡くなったのはもっと前なので、季節柄かなり臭かった・・・はずである。

手続きに立ち合う大目付も、許可した幕府もとうに亡くなっていることは知っているが、そこは目を瞑(つむ)って、生きているつもり、で押し通したのである。
                        


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脈々と受け継がれる「長岡教」

2017年03月09日 | オーディオ談義

つい先日のブログ「大画面の迫力」の中で紹介させてもらったオーディオ仲間のYさん宅のシステム。

           

構成はエソテリックのCDトランスポート、TADのDAコンバーター、プリアンプは無しでマークレヴィンソンのパワーアンプ(モノ×2台)に直結。ちなみに前段機器は大型のバッテリー電源による駆動だ。

スピーカーもとても凝っている。5ウェイ方式で、スーパーウーファー、ウーファー(2発)、中音域は片チャンネル9個の小型ユニット、ツィーター、スーパーツィーターという構成。

以上のように、そんじょそこらにはない独特の5ウェイシステムを紹介したところ、すぐに敏感に反応されたのがメル友の「I」さん(東海地方)だった。その「I」さんから次のようなお問い合わせがあった。

「将来機会がありましたら、またYさん邸の取材をしていただけませんか。知りたいポイントがいくつかありますので。(本当に、機会があればで結構です)  

1 ご使用のユニット名
 
2 クロスオーバー周波数
 
3 ミッドの小口径ユニット9本のつなぎ方

「了解しました。お安い御用です。次回にYさんがお見えになったときに確認しておきましょう。」

その機会がすぐにやってきたので、Yさんにお訊ねしたところ、「分かりやすいように紙に書きましょう。」と、すぐにしたためてくれた。

             

これをパチリとやって添付ファイルで「I」さんに送信したところ、すぐに次のような返信メールが届いた。

「おこがましい言い方ですが、よく考えられた構成ですね。ワンアンプでどのように鳴らすのか私には見当もつきませんでした。総合インピーダンス2.7Ωでもマーク・レビンソンなら大丈夫でしょうね。
 
ネットワークのLが一個だけで、鮮度が凄く高いだろうなと感じます。エンクロージャも上流機器も高級で、間違いなくいい音がしているでしょうね。

もし九州に行けたとして、聴きたい音が一つ増えました。
 
Yさんは高級機をお使いですが、故長岡鉄男さんの影響も少し感じました・・・ちがうかな・・・。じつは当方、評論家の方では、長岡鉄男さんの影響を最も強く受けています。
 
今回は本当にありがとうございました。Yさんによろしくお伝えください。」

これに対して次のように返信。

「仰る通りです。Yさんはかって長岡教の信者だった方です。音の変化がとても大きいSPいじりが45年にも及ぶベテランです。この5ウェイシステムの設計思想はミッドの9個のユニットがメインとなっておりコイルもコンデンサーも使わずにダイレクトにつなぐ、それに低音と高音を加えるものです。「I」様の4ウェイシステムと設計思想がまったく同じですね!

それでは失礼します。Yさんに感謝の言葉を伝えておきます。」

さて、「長岡鉄男さん(1926~2000年)て誰?」という方も多いかもしれない。手っ取り早くネットから引用すると、

「東京都出身。初めは放送・コント作家であったが、1959年(昭和34年)頃からオーディオ評論家として活動。作家ならではの筆力とユーモアあふれる文章でメーカーに媚びない辛口の批評を書くことによって人気を博した。

コストパフォーマンスを重視した廉価製品の評価、自作スピーカーの工作記事およびソフト紹介(主に外盤)でも知られ、生涯に600種類もの自作スピーカーの設計を発表、生涯に保有したレコード、CD、LDの数は総計5万枚に及ぶ。

晩年には究極のホームシアタールームを実現するため、埼玉県越谷市の自宅に「方舟(はこぶね)」と自称する建物を建てて話題となった。レコード評論家としても有名であった。趣味はアンティークカメラの蒐集。」

歴戦のオーディオ愛好家で「長岡鉄男」さんを知らない人はモグリといっていいかもしれないほど当時は有名。

                                    

「出来るだけ少ない投資額でいい音を出す」のがポリシーでオーディオ界に「コストパフォーマンス」という意識を深く浸透させた方である。

もちろん、「藝術を鑑賞するのにコストパフォーマンスという言葉はふさわしくない」と、反対派も多かったが、最後までその姿勢がブレることはなかった。

自分にとってはちょっと肌合いが違う評論家だったので信奉とまではいかなかったが、そのポリシーには大いに共感を覚えていた。

そもそも、高額の投資によって「いい音」が出たとしてもあまりうれしい気持ちがしない。はたして自分はビンボー性なんだろうか(笑)。

それにしても、長岡さんが亡くなられてからもう17年も経つがいまだに脈々と受け継がれる「長岡教」の影響力に今さらながら感心。


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失敗は成功の母

2017年03月07日 | オーディオ談義

前回のブログでもちょっと触れたが、妙案(とはいっても自分で勝手にそう思うだけだが・・)は拘っている対象から心身ともに離れたときに、ふと湧いてくることが多いようだ。

自分の場合は「朝のウォーキング時」、「お風呂に入っているとき」そして運動ジムでの「エアロバイク」の機会がそれに当たる。

今回は、「失敗」した翌日になって無心で「エアロバイク」を漕いでいた時に思わず閃いた。

その「失敗」というのは前々回のブログに記載したようにSPユニット「AXIOM80」の「最初期版」と「復刻版」をクロスオーバー「1000ヘルツ」で鳴らし分けたところ音像定位が無茶苦茶であえなく惨敗したことにある。

どうやらこの惨敗が無意識のうちに頭の片隅に引っ掛かっていたようだ。

「待てよ~、最初期版をフルレンジで鳴らして復刻版をサブウーファー代わりにして100ヘルツ以下で鳴らしてみたらどうなんだろう!」

つまり「フルレンジ+サブウーファー」方式。

これはすこぶる妙案!もしかしたら自分はオーディオの天才かもしれないと思ったほど(笑)。

通常は「フルレンジ+スーパーツィーター」方式が圧倒的に多いのだが、「AXIOM80」に限っては低音域の補強の方が理にかなっている。

早々に運動を切り上げて飛ぶように自宅に戻った。

低い周波数でハイカットするためにはコイルが必需品となるが、たしか200ヘルツ前後でカットするコイルがあったはずだがと、ゴソゴソと倉庫を探してみたところ「在りました!」。

           

左側2個(ペア)はムンドルフ社(ドイツ)のゼロ抵抗コイルで値は「8.2」mH(ミリヘンリー)、右側2個は名門イェンツエン社(デンマーク)のもので値は「12mH」。デンマークといえばカートリッジのオルトフォンがすぐに思い浮かぶが、この国のオーディオ製品はおしなべてセンスがいい。

両方のコイルとも、その昔、ウェストミンスターに容れていたJBLの「D130」(口径38センチ)から重低音を出そうと躍起になっていたときの名残りの部品である。まさか今ごろになって出番がやってくるなんて夢にも思わなかった(笑)。

さ~て、どちらを使おうか。

音質はゼロ抵抗コイルというだけあってムンドルフに軍配が上がるが、「8.2」mHは周波数早見表によると、SPユニットのインピーダンスが8Ωのときがおよそ「170ヘルツ」でハイカット(6db/oct)でき、16Ωのときはその倍でおよそ「340ヘルツ」でハイカットとなる。

その一方、イェンツェンの「12mH」は、およそ「100ヘルツ」(8Ωの場合)でハイカット(6db/oct)できるし、16Ωの場合はその倍でおよそ「200ヘルツ」でハイカットとなる。

となると、やっぱり出来るだけ低い周波数でカットしたいので「イェンツェン」の出番となった。接続ははごく簡単、赤子の手をひねるようなものでSPコードのプラス側に挿入するだけでいい。

         

コイルは簡単に外せるように「ハンダ付け」をせずにSPターミナルの部分で締め付けた。

ただし、ネットワークに使用するコイルやコンデンサーはアンプの出口部分で接続するよりも出来るだけSPユニット側に近づけて挿入するのがコツ。

ここで改めてシステムの流れを整理しておこう。

CDトラポ → DAコンバーター → プリアンプ(出力2系統)。

プリアンプの1系統はパワーアンプ「171シングル」 → 「AXIOM80」(フルレンジ方式:最初期版)へ。

もう1系統はパワーアンプ「6FD7シングル」 → 「フィリップス」(100ヘルツでハイカット)へ。

フィリップスの代わりに同じ「AXIOM80」の復刻版を使いたいところだが、あくまでも実験レベルなので「フィリップス」にしてみた。それに「AXIOM80」のインピーダンスは15Ωに比べてフィリップスのインピーダンスは8Ωなのでより低い周波数でハイカットできるので有利だ。

また、プリアンプの2系統の出力を同時に使う弊害も当然あるのだが、「6FD7シングル」の製作者「チューブ オーディオ ラボ」さんに確認すると、「このアンプは入力インピーダンスが比較的高いので同時接続の影響はほとんどありません」とのお墨付きを得た。

そこで、まずこういう配置で鳴らしてみた。

     

ビックリしたねえ!たった100ヘルツ以下を補強してやるだけでこんなにも豊かな音になるのか・・・。肝心の音像定位の方もフルレンジをメインにして正対させているせいかまったく違和感がない。

そもそも低音域は無指向性傾向にあるし、ユニット相互間の振動板の位置づれも高音域に比べるとそれほどシビアではない。

「これならいけそう!」と勇気百倍(笑)。

次に試した配置がこれ。

         

これだと何だか杓子定規のような音になった。ちょっと生真面目すぎるようだ。そこで、次の配置に。

         

サブウーファーをちょっとリスナーに傾けてやるだけでかなり変わった。これが一番バランスが良い。

いろんなCDを次から次に試聴したが、まったく破綻を来たさず「グッド」の一言だった。何よりも豊かな音になるのがいいし、音響空間は広大になるしで、やや神経質な「AXIOM80」の面影はいっさい感じられない。

取り分け大編成のオーケストラやオペラを聴くときなどは威力絶大だが、その一方ボーカルや小編成となるとフルレンジ方式と比べて好き好きが分かれるだろう。そういうときはサブウーファー用のアンプのスイッチをオフにすればいい。

今回の妙案はまさしく前回の無残な失敗が無いと考え付かなかった事例で、月並みな言葉だが「失敗は成功の母」だった。

ただし、「妙案」に固執するあまり脳にフィルターが掛かっている状態だから、ほとぼりが醒めるまでしばらく待って冷静に判断するとしよう。

とりあえずオーデイオ仲間に試聴してもらい評価を聞くのが一番だが、アッサリ否定されてルンルン気分に水を差されるのが少々怖い(笑)。
 


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脳は何かと言い訳する

2017年03月06日 | 復刻シリーズ

今年(2017)から「月曜日」に限って、これまでのブログの中で今でもアクセスが絶えない記事をピックアップして登載しているが、今回は7年ほど前に投稿したタイトル「脳は何かと言い訳する」である。それでは以下のとおり。
 
「脳はなにかと言い訳する」(平成18年9月15日、祥伝社刊)   

本書は脳にまつわる知識や考え方を述べた本、といえばかた苦しそうだが従来の「脳の本」には載っていないような新しい知見が紹介されている。興味を引いたものを2項目紹介してみよう。

なお、著者の池谷裕二氏は薬学博士で、現在東京大学大学院薬学系研究科・講師。

☆ 脳はなにかと錯覚する~ヒトも動物も、なぜか「赤色」が勝負強い~

2005年5月の「ネイチャー」誌に掲載された科学論文に英ダーラム大学の進化人類学者ヒル博士の研究成果として「赤い色は試合の勝率を上げる」という話題。

たとえば、ボクシングやレスリングなどの格闘競技では、選手のウェアやプロテクターに赤色と青色がランダムに割り当てられる。

ヒル博士がアテネ・オリンピックの格闘競技四種の試合結果を詳細に調査した結果、すべての競技について、赤の勝つ勝率が高いことが分かった。赤の平均勝率は55%というから、青よりも10%も高い勝率になる。実力が拮抗した選手同士の試合だけを選別して比較したところ、赤と青の勝率差はなんと20%にまで拡大した。

赤は燃えるような情熱を、青は憂鬱なメランコリーを暗示する傾向があるのは民族を越えて普遍的であると考えられている。

自然界においても赤色は血や炎に通じるものがあるようで、サルや鳥類、魚類でも一部の体色を赤色に変えることで攻撃性を増したり異性に強くアピールしたりする種がある。

ヒル博士は赤色が相手を無意識のうちに威嚇(いかく)し、優位に立ちやすい状況を作るのではないかと推測している。もしかしたら「真っ赤な顔」
で怒るというのもそれなりに意味のあることなのかもしれない(笑)。

☆ 脳はなにかと眠れない~睡眠は情報整理と記憶補強に最高の時間~

何かを習得するためには、ひたすら勉強すればよいわけではない。睡眠をとることもまた肝心であるという話。

2004年7月「ニューロサイエンス」誌に掲載されたチューリヒ大学のゴッツェリッヒ博士の論文は、睡眠による「記憶補強効果」を証明した。

ある連続した音の並びを被験者に覚えさせ、数時間後に音列をどれほど正確に覚えているかをテストしたところ、思い出す前に十分な睡眠を取った人は軒並み高得点をはじき出した。

ところが驚くことに、目を閉じてリラックスしていただけでも、睡眠とほぼ同じ効果が得られることが分かった。つまり学習促進に必要だったのは睡眠そのものではなく周囲の環境からの情報入力を断ち切ることだった。つまり脳には情報整理の猶予が与えられることが必要というわけ。

それには、ちょっとしたうたた寝でもよいようで、忙しくて十分な睡眠が得られなくても、脳に独自の作業時間を与えることが出来れば、それで十分なのである。

これは不眠症の人や、重要な仕事を明日に控えて緊張してなかなか寝付けない人には朗報だろう。眠れなくともベッドで横になるだけで、脳にとっては睡眠と同じ効果があるのだから。

そう、眠れないことをストレスに感じる必要はないのだ。ただし同博士によるとテレビを見ながらの休憩は効果がないとのこと。あくまで外界から情報を隔離する
ことが肝心。

以上のとおりだがこれは自分自身でも体験して思い当たる節がある。というのは、ときどき夜中にバッチリ目が覚めてしまい以降なかなか寝付けないことがあるが、眠れなくてもいいと開き直って目を瞑って横になっているだけでも随分と違う。

逆に途中で起き上がってゴソゴソやったりするのが一定期間続くと耳鳴りとかいろんな体調不良を覚えた経験がある。生体リズムが狂って自律神経(?)がおかしくなったのかもしれない。

作家:吉村昭さん(1927~2006)の本に出てくる話だが、吉村さんは若い頃結核だった時期があり、それも手術を要するほどの重症患者で、長期間、日中でも絶対安静にしてじっと寝ていたそうだが「意識は覚醒したまま横になって体を休めておくというのも慣れてしまうとなかなかいいものだ」という記述があった。

自分に言わせると死んだ方がマシともいえるこういった退屈な時間をそう思えるほどの境地になるのはなかなかできないことだと思った。吉村さんの作風には他の作家にはないゆったりとした時間の流れを常々感じていたのだが、若い頃にそういう体験が背景にあったのかと思わず頷いたことだった。

これを読んで以来、寝付けなくてもあまり苦にしないようにしたが、逆にこの頃では外界の情報を遮断して冷静に考えるには1日のうちで最も適した思考の時間
ではないかと大切にするようになった。

眠れなくてあれほどあせっていた人間が今度は逆に不眠の時間を楽しむようになる、ほんとうに人間は気持ちの持ちようで随分と変わるものである。

とはいえ、やっぱり熟睡できるのが一番だ。

これも結局、自分の脳がなにかと言い訳をした結果かもしれない(笑)!
 


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徒労には終わらなかった実験

2017年03月03日 | オーディオ談義

50年近くやってきたオーディオだがようやく「最強の布陣」を敷くことができたと思っているのが、このところの我が家のスピーカー群。

          

左から紹介すると、自作のエンクロージャーに容れたグッドマンの「AXIOM80」(最初期版)、グッドマン指定のエンクロ-ジャーに容れた「フィリップス」そして後ろにでんと控えるのがタンノイのウェストミンスター。聴くときはそれぞれキャスターで移動できるようにしている。

簡単に存在価値を述べると、「いい音」なのはAXIOM80、「好きな音」はフィリップス、長時間聴いても疲れない音は「ウェストミンスター」といったところ。

毎日これらのスピーカーを切り替えながらモーツァルトを聴いていると夢のようなひと時になる(笑)。

それでも、懲りないというか衰えようとしないのが、飽くなき実験欲である。

「AXIOM80」の復刻版(以下「復刻版」)を持っているので、グッドマン指定のエンクロージャーに容れて鳴らしてみたい!

いったんそういう思いに取り付かれるともう止まらない。一昨日(1日)フィリップスを外して「復刻版」を新しいバッフルに取りつけてみた。もちろん取りつけは外側からのマウントである。

5時間ほどの作業で完成。内訳はバッフルの穴開け作業に1時間。本体とバッフルのネジ合わせに2時間、SPユニットをバッフルに取り付けるのに1時間、そしてネジの選定やハンダ付け、それから試行錯誤に要する時間が1時間といったところ。

玄関先でブルーシートを敷いて作業をしていたところ隣の奥様が出てこられた。

「何をやってるんですか?」

「いやあ、やかましいでしょう?どうもスミマセ~ン。ジグソーを使ってスピーカーの穴開け作業をやってます。」

「いいえ、ちっともやかましくないですよ。ご主人は日曜大工をされない方だと思ってました。」

「ハイ、日曜大工はまったくしないのですが、オーデイオとなると話は別です。」(笑)。

ジグソーで木を切り裂く作業はけたたましい音がするので悩みの種である。かといって糸ノコギリでやると果てしない時間がかかるので仕方がない。まあ、年から年中ではないので我慢してもらおう。

ようやく午後2時ごろに完成した。

        

さあ、「AXIOM80」の「最初期版」と「復刻版」の聴き比べである。どこがどう違うのか改めて興味津々。

入り口のCDトラポからパワーアンプ(171シングル)まで同じ条件で、SPユニットだけ違うので純粋な比較が出来る。

すると明らかに違っていた。

「復刻版」は饒舌かつ開放的で陽気なイギリス人といったところだが、「最初期版」は一転して寡黙で品のいいゼントルマンといった趣。

これはもう好き好きの範疇だろうが、自分は「AXIOM80」から陽気な音を聴くつもりはないので「最初期版」に軍配を上げた。

ただし、厳密にはそれぞれエンクロージャーが違うので断定は禁物といったところ。

そういうわけで「復刻版」をアッサリ「フィリップス」に戻したが、その前にせっかくの機会なのでコイルとコンデンサーを使って実験をやってみた。

           

ウェスタンのコイル(2.0mh)とコンデンサー(10μF)で、クロスオーバー「1000ヘルツ」前後のネットワークを構築してみた。

つまり、「1000ヘルツ以下」を「復刻版」に持たせ、「1000ヘルツ以上」を「最初期版」に持たせるという奇想天外の実験だ(笑)。

接続は次のとおり。

プリアンプの2系統の出力端子を利用して、低音用(復刻版:1000ヘルツ以下)には話題の「6FD7」アンプを、高音用(最初期版:1000ヘルツ以上)には「171シングル」を繋ぐ。こうしてマルチアンプ方式にすると低音域の増強は思いのままである。

しかし、おそらくダメだろうとは思っていたがヤッパリだった。量感はたしかに増えるが肝心の「音像定位」が良くなかった。縦一列のユニットの配置ならOKかもしれないが、横二列の配置となるとよほど部屋が広くないとどだい無理である。

「音像定位」はオーディオの最優先事項の一つだから「スケール感」は二の次になっても仕方がない。もしかして「音像定位って何よ?」という方がいるかもしれないのでクリックしてみてください。

それはともかく、最終的には今回の実験で「フィリップス」の凄さを改めて確認できたので良かった。

けっして「徒労には終わらなかった実験」だったと思いたいところ(笑)。
 


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