「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

LODEN: でたらめに長持ちするコート

2011-01-24 16:43:36 | モノ・お金
ウェアの通販カタログを見ていると、くすんだ感じのグリーンを「Colour: Loden(ローデン)」と書いてあることが多い。この画像はL.L.Beanのインターネット・サイトであるが、ご覧のジャケットにも色の選択がいくつかあってこの色は「Loden Heather」とある。



こんな具合だからLodenのことをくすんだグリーンの色のことと思っている人も多いことだろう。しかしそれは違う。Lodenとは毛織物の種類の名前なのである。

これは私のコートのタグ。このコートは英国の店で買った安物だ。「40」はチェストのサイズ。普通私のサイズは42なのだが、なぜかこれは40でも余裕。画像に店の住所があるが、この店はイングランドのLeedsにある。と言うと「なぁ~~んだ、英国製ウールのコートか」と思われるかもしれない。それも違う。



Lodenとはオーストリア西部のチロルで生産される織物である。このコートはオーストリア製で、それを輸入した英国の店が自分のタグをつけて売っているのだ。



地理的には大ざっぱに、映画サウンド・オブ・ミュージックで出て来るオーストリアン・アルプスの画像をイメージすればよい。



そう言えば昔ザルツブルクに行った時、街でグリーンの衣装をよく見かけたのを思い出す。ではなぜ、織物の種類を指す言葉が「グリーン」の代名詞となったか。それは・・・オーストリアン・チロルの人々が、昔からこの生地を縫製した帽子やコートやズボンを着用していて、その多くがそういう色彩だったかららしい。彼の地のグリーンは同じグリーンでも濃淡いろいろあるが、Lodenはややくすんだ緑という気がする。インスブルックの画像をどうぞ。ずいぶん明るい緑色が目立つが。



しかし私のコートは、色が違う。ダーク・ブルーだ。先ほど「安物」だと書いたが本当だ。そもそも高級な織物ではないのだ。ものすごく密に織ったウールで、あまりに密なため水をはじく。防水機能もあるとされ、昔はチロルの羊飼いが霧の中でこれを着て濡れながら仕事をしたような防寒作業着だと思えば良い。出自からしてそんなもんなのである。

私はそれを着ている。とにかく重い。固い。密だ。



もう少し近くで。生地の感じがわかりますか?



同じ「Lodenコート」と呼ばれるものでもいろいろな形があるが、ひとつの外見的特徴としてはこれがある。ウィング・ショルダーだ。ちょっと飛び出している。



もうひとつはプリーツ。背中の肩甲骨下部の中心あたりにこれがある。



そしてそこから下へ真っ直ぐ、かなり長ぁ~~くプリーツが刻まれる。この長いプリーツは婦人物だけではない。紳士物もまったく同様である。私のも、長さ1mくらいある長いプリーツだ。



長いコート。温暖化もあり、ビジネスが多忙になり、どんどん薄く短く軽くシャカシャカした生地になるコート。カバンも同様。

たまにはドッシリした長いコートを着てみませんか?



頑丈で、おそろしく長持ち。長持ちするものは皆重くて固い。これはほとんど一生モノ。ウールなのに密だから驚異の防水機能。古典的防寒着。羊飼いになった気分で。どこか私立幼稚園の制服としてのコート的デザイン。
コメント (8)
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