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病より癒えたる者の感謝の歌

2024-02-06 21:00:00 | 古典
枚方は雨です。

流石に部屋隔離は飽きてきました。
しかし、熱が取りきれません。
4日飲みきれば熱が下がるということかな。薬は今晩が最後。
治ってくれるといいな。

ルードヴィヒ ファン ベートーヴェン(1770-1827年)神聖ローマ帝国ケルン選帝侯領ボン生まれ、オーストリア帝国ウィーン没の

1820年
弦楽四重奏曲第15番イ短調 op132。
1825年に作曲しました。
11月6日にシュパンツィヒ四重奏団によって初演されました。
5楽章で構成されている。第12番、第13番とともに、ロシア貴族ニコライ・ガリツィン
ニコライ ガリツィン(1794–1866年)ロシア帝国サンクトペテルブルク生まれ、ロシア帝国コロチャ没
に献呈されました。
「熱意あるアマチュア、貴殿の才能を賛美するものとして、勝手ながらひとつ、ふたつ、もしくはみっつの新作四重奏曲を作曲されるおつもりはないかとお尋ねすべく筆を執っています。このお手間に対して貴殿がふさわしいとお考えの金額であれば、いくらなりとも喜んでお支払いしましょう。」
ガリツィンはチェロを弾いていたと言われています。

作曲順は第12番、第15番、第13番です。

1824年から第1楽章と終楽章のスケッチが進められ、この時点でベートーヴェンは通常の4楽章構成を考えていました。

しかし病気のために作曲が中断。快復して再着手した際に、リディア旋法による第3楽章が挿入されました。

第3楽章 "Heiliger Dankgesang eines Genesenen an die Gottheit, in der lydischen Tonart" Molto Adagio - Andanteには
ヘ調のリディア旋法、五部形式
「リディア旋法による、病より癒えたる者の神への聖なる感謝の歌」と題されています。
最も長い楽章で全体のクライマックスに位置しています。ゆっくりとしたヘ調の教会旋法による部分と、より速めの「新しい力を得た "Neue Kraft fühlend"」ニ長調の部分の交替で構成されています。

この楽章は、ベートーヴェンが恐れていた重病から快復した後に作曲されたため、上記のような題名が付されています。

全曲の構成
弦楽四重奏曲第15番イ短調op132

第1楽章 Assai sostenuto - Allegro
イ短調、序奏つきソナタ形式

短いながらも緩やかな序奏が、作品全体と『大フーガ』にも登場する動機の基礎となっています。

第2楽章 Allegro ma non tanto
イ長調、三部形式

トリオつきのメヌエットです。トリオは、主音(ここではラ)の保続音の上に旋律が奏でられるため、ミュゼットを思い起こさせられます。

第3楽章 "Heiliger Dankgesang eines Genesenen an die Gottheit, in der lydischen Tonart" Molto Adagio - Andante

第4楽章 Alla Marcia, assai vivace (attacca)
イ長調、二部形式

短い間奏曲。行進曲風の前半部ののちに、レチタティーヴォ風の楽句があり、すぐに終楽章につながっています。

第5楽章 Allegro appassionato - Presto
イ短調、ロンド形式

ベートーヴェンのスケッチ帳には、イ短調のロンド主題に似た主題があり、これは当初は交響曲第9番の、放棄された器楽による終楽章のつもりだったらしいです。2段構えのコーダにおいてイ長調に転じて終わります。