音楽の喜び フルートとともに

フルート教室  久米素子 松井山手駅 牧野駅 090-9702-8163 motokofl@ezweb.ne.jp

暗い郵便馬車

2024-02-15 21:09:00 | ロマン派
子育てサロンの後は免許更新のための講習でした。
優良ドライバーから、一般になったので一時間の講習でした。
「この講習に何か得ようと期待してきた人?帰ってから本を読む人?」
「はい。」と、素直に手を上げたら…1人でした。
「あれっ?」
「100人に1人くらいです。」
なんだか褒められた気がしない。恥ずかしい!

枚方市役所前
でもおもしろかったですよ。
10年前は対向車が無い時はハイビームを付けることが決まったばかりで、そのことが、メインテーマでした。
今回は歩行者優先。
横断歩道に人が立っていれば、止まること。
それと自転車の違反も逮捕されること。などが加わっていました。
令和4年中の大阪府下の交通事故死者は141人。
昭和36年がピークで1038人から減ってますが、現在はこれでも全国ワースト1位だそうです。
…残念。
気をつけて運転したいと思います。

車のない時代、車といえば郵便馬車でした。

フランツ シューベルト(1797-1828年)神聖ローマ帝国オーストリア大公国リヒテンタール生まれ、オーストリア帝国ウィーン没

フランツ・アイブルによって描かれたシューベルトの肖像画(1827年)

が「郵便馬車」という曲を書いています。
「冬の旅」(Winterreise)D911, Op.89の中の1曲目です。
シューベルトが死の前年の1827年に作曲した連作歌曲集。

歌詞はドイツの詩人ヴィルヘルム ミュラー(1794-1827年)アンハルト デッサウ生まれ、ベルリン没

彼の詩「美しき水車小屋の娘」もシューベルトが歌曲にしています。が、生前会ったことはないそうです。

の詩集によるもので、全2部計24曲で構成されています。

 失恋した若者が街を捨ててさすらいの旅を続けます。全曲を通して絶望感と失われたものへの憧れに満ちていて、唯一の慰めである「死」を求めながら旅を続けます。

 この曲を作った頃のシューベルトは梅毒で処方された水銀中毒のため、すでに健康状態が悪化し、経済的にも困窮していました。
絶望感に打ちひしがれ、死について考え始めました。尊敬するベートーヴェンの死も大きな打撃となりました。

この曲で描かれている絶望の中で生き続ける若者は、シューベルト自身の姿でもあります。シューベルトは最初に前半12曲を完成させ、友人たちに披露しましたが、あまりの内容の暗さに彼らも驚愕したと伝えられています。

フランツ・ショーバーが「菩提樹は気に入った」と口にするのが精一杯でした。


シューベルトはこの12曲で作品を完成としましたが、ミュラーの詩の続編の存在を知った彼は再び作曲に取り掛かり、続編の後半12曲を10月に完成させます。第1部は1828年1月に出版。第2部は彼の死後の12月に出版されました。

第2部冒頭の曲が
「郵便馬車」(Die Post)です。
別れた恋人や捨ててきた街を忘れることが出来ない若者の痛切な心を歌います。

Von der Straße her ein Posthorn klingt.
Was hat es, daß es so hoch aufspringt, Mein Herz?

通りの方から郵便馬車のラッパが鳴り響く。
どうしてそんなに高鳴るんだ、僕の心よ?

Die Post bringt keinen Brief für dich.
Was drängst du denn so wunderlich, Mein Herz?

あの郵便馬車はおまえに何の手紙も持ってこないぞ。
なのにどうしてそれほど変に急かすんだ、僕の心よ?

Nun ja, die Post kommt aus der Stadt,
Wo ich ein liebes Liebchen hatt', Mein Herz!

そうだ、あの郵便馬車はあの街から来たんだ、
僕が恋人を愛したあの街から。僕の心よ!

Willst wohl einmal hinüber sehn
Und fragen, wie es dort mag gehn, Mein Herz?
 
きっとあっちの方を見て
あの街がどんな様子なのか尋ねたいんだろ、僕の心よ?