月に1,2回、電話で繋がっているホンマさんは103歳で独り暮らし。
頭も耳もしゃべりもしゃんしゃんしている。
ホンマサンは、佐渡の北側、この大佐渡のお山を越えた集落に暮らしている。
12月の初めにお話をしたときは、
「さあむうなったし、炬燵につかまっとりますが」とおっしゃっていた。
たいていは「元気です」とか「変わりありません」で終わるのだが、その時はたまたま話が続いて。
「買い物はどうしてるんですか?」
と、日ごろ気になっていることを聞くことができた。
「店がねえもんだしの、困るっちゃ。時たま隣近所のもんに頼むけど・・・」
わあけえもんは、車があるから一時に買うてくるみたいだけど、わたしらはそうもいかん、って。
佐渡の北、シベリアからの北風がまともに吹きあたる地域に住んでいるのだから、一昔前は、両津に出てくるのさえ1日がかりだったところだから、それはそれは不自由なこととすぐに想像できる。
「豆腐、買おうと思っても買いに行けんもんねえ」
「はああ、そうだっちゃ、パンを食べてえなあと思ても食べられんから我慢しとるが。
1日、2食で済ますこともあるや」
それでも、親戚のもんがときどき、おかずを持って来てくれるからありがてえっちゃ。
そういう人がそばにいてくれことが分かっただけでも、少し安心した、ほんの少し。
それでも暖かい季節は、
畑に行って草むしりをしとりました
水をやってきましたが
散歩してきましたが
などと報告してくれて。。。
「何、作っとりますの」と聞くと、ナスやらキューリやらトマトやらかぼちゃだがさって。
「かぼちゃを一つ切り分けるのは大変だがね、食べるのも大変だけど」
私は力がないから、包丁の上から金槌でたたいとりますが。
冷蔵庫にかぼちゃがごろごろありますや。
って、電話の向こうとこっちで大笑いをしたり。
私は、自分が100歳を超えて一人暮らしを選択した時点で、ホンマサンのように覚悟を決めて暮らすことができるだろうかと、話した後いつも考える。