夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『エール!』

2015年11月06日 | 映画(あ行)
『エール!』(原題:La Famille Bélier)
監督:エリック・ラルティゴ
出演:ルアンヌ・エメラ,カリン・ヴィアール,フランソワ・ダミアン,エリック・エルモスニーノ,
   ロクサーヌ・デュラン,イリアン・ベルガラ,リュカ・ゲルベルグ,マール・ソデュープ他

今月は日曜日がちょうど「映画の日」。
前日の晩は飲みすぎというほどではなかったけれど、最後に飲んだグラッパが効きました。
大阪市内まで出向くのはしんどくなり、いちばん近所の映画館、109シネマズ箕面へ。
車なら家から5分で行ける映画館だけど、この日はダンナが車を使用。
駅まで歩いてバスで向かいました。なんだかんだで家から30分所要。

「音楽×映画」で、予告編からしてものすごく好みの作品。
そしてその期待を裏切られることはありませんでした。ちょっとイライラするけれど。(^^;

フランスの田舎町で酪農を営む、ベリエ一家(=原題)。
高校生の娘ポーラを除き、両親も弟も全員耳が聴こえない。
ポーラは生まれてからずっと家族の通訳係。
それに不満を感じることもなく、明るく楽しい家庭を築いていた。

新学期、親友マチルダと選択科目を何にしようか悩み中、
モテ男のガブリエルがコーラスを選択するのを目撃。
ガブリエルのことが気になっていたポーラもコーラスに決める。

新任の音楽教師ファビアン・トマソンは、それなりに名の通った人。
こんな田舎の高校に赴任させられたことを苦々しく思っていた矢先、
サラブレッドのガブリエルの実力はわかっていたが、
ポーラに歌の才能を見いだし、気持ちの高ぶりを隠せない。

自分にそんな才能があるなどとは思ってもみなかったポーラ。
しかもファビアンは、ガブリエルとポーラにデュオを組ませ、
パリの音楽学校のオーディションを受けさせたいと言う。
ガブリエルと一緒に練習できるなんて。ポーラは夢心地。
しかし家族には打ち明けられないまま、オーディションの日が迫ってきて……。

耳が聴こえないことがこれまでの暮らしで障害になったことはない。
そう言って町長選挙にまで出馬しようとする父親。
けれど、唯一の健常者である娘にこれまで頼ってきたことは歴然としていて、
娘がいなくなれば日常生活が立ちゆかなくなると母親は泣きわめきます。
自分の育て方がまちがっていたと言われたら、
ほなら私は一生チーズを作ってなあかんのかと、そら言いたくもなるわけで。

いっそみんなの耳となる役目を放り出したい。でも放り出せない。大好きな家族だから。
そんなポーラの葛藤が丁寧に描かれていて、ユーモアもたっぷり。
ガブリエルの歌が上手いと思えなかったところがひっかかるけど、ポーラの歌は絶品。
彼女の歌声を聴くことができない家族に贈る歌。涙せずにはいられません。

ガブリエルの声変わりの話に『ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声』を思い出します。
「音楽×映画」にはそうそうハズレなし。
これもオススメです。

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