夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ミケランジェロ・プロジェクト』

2015年11月16日 | 映画(ま行)
『ミケランジェロ・プロジェクト』(原題:The Monuments Men)
監督:ジョージ・クルーニー
出演:ジョージ・クルーニー,マット・デイモン,ビル・マーレイ,ジョン・グッドマン,
   ジャン・デュジャルダン,ボブ・バラバン,ヒュー・ボネヴィル,ケイト・ブランシェット他

TOHOシネマズ西宮にて、『起終点駅 ターミナル』とハシゴ。

1年半以上前にバンバン予告編を目にして、とても楽しみにしていました。
このキャストで面白くないわけがない。
なのに、なぜかいきなり公開中止になりました。
販売済みだった前売り券も払い戻ししたそうで、理由は「諸般の事情により」。
お蔵入りするのかと思ったら、このたび公開。いったい何があったの。

原作はロバート・M・エドゼルのノンフィクション『ナチ略奪美術品を救え』。
未読です。文庫化してくれないかなぁ。

台詞にも登場する、原題の“Monuments Men”とは、
第二次世界大戦中の1943年から終戦後の1951年までにわたり、
連合軍の記念建造物・美術品・古文書部に所属していた兵士たちの呼称。
彼らの当初の任務は歴史的建造物の戦闘被害を抑えることでした。
ところが、ヒトラーが戦地で美術品や文化財の略奪に走り始めたため、
それらを探し出して救出・奪還することが彼らの任務へと移行しました。
そんなモニュメンツ・メンたちの物語。

第二次世界大戦末期のヨーロッパ。
ヒトラーの命を受けたナチスドイツは、侵攻先で美術品の略奪を繰り返している。
アメリカ・ハーバード大学附属美術館長ストークス(ジョージ・クルーニー)は、
この危機的状況をルーズベルト大統領に直談判。
美術品の奪還作戦を認めさせ、特殊部隊“モニュメンツ・メン”を結成する。

招集されたのは国籍問わず、芸術のエキスパートたち。
メトロポリタン美術館学芸員のグレンジャー(マット・デイモン)、
建築家のキャンベル(ビル・マーレイ)、
彫刻家のガーフィールド(ジョン・グッドマン)、
美術商のクレルモン(ジャン・デュジャルダン)、
現代美術の御大サヴィッツ(ボブ・バラバン)、
歴史家のジェフリーズ(ヒュー・ボネヴィル)、
そして、通訳兼運転手の兵士サム(ディミトリー・レオニダス)。

まずはグレンジャーがドイツ占領下にあるパリへ飛び、
ナチスドイツの士官の秘書シモーヌ(ケイト・ブランシェット)に接触を図る。
彼女は忠実な秘書のふりをしつつ、美術品の行方に目を光らせていた。
しかし、彼女から情報を得ようとするもなかなか信頼を得られない。

ストークスの指揮のもと、グレンジャー以外の面々もそれぞれの捜査を開始。
略奪された美術品を追ってヨーロッパ各地の前線へと乗り込むのだが……。

芸術のエキスパートたちは戦場ではずぶの素人。
銃弾を喰らいそうになって慌てふためきます。
こうした様子が面白可笑しく描かれているのが顰蹙を買ったのか、
批評家たちの評価はかなり低かった模様。

キャストがキャストですもの、そりゃ楽しくなってしまうでしょう。
ビル・マーレイが出ているだけで可笑しいし、ボブ・バラバンとのやりとりはまるでコント。
ジョン・グッドマンもいるだけで場を和ませる役者ですから。
史実を真面目に描くには、芸達者なコメディアンを揃えすぎた感はあります。

でも、ジョージ・クルーニーはきっと大真面目だったと思います。
なんとなく軽めになってしまったけれど、軽く扱う気はなかったでしょう。
命を賭けて美術品を守った、守ろうとした人たちがいたということ。
キャンバスや石に描かれた美術品は、人の歴史であり、魂の蓄積。
戦争を知らない世代が観れば、美術品を見る目が少し変わるかもしれません。

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