夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『アクトレス 女たちの舞台』

2015年11月08日 | 映画(あ行)
『アクトレス 女たちの舞台』(原題:Sils Maria)
監督:オリヴィエ・アサイヤス
出演:ジュリエット・ビノシュ,クリステン・スチュワート,クロエ・グレース・モレッツ,
   ラース・アイディンガー,ジョニー・フリン,ブラディ・コーベット他

文化の日。
前日は久々におじゃました六甲でそこそこの量のお酒をいただき、
早起きするのは辛かったけれど、映画のためなら起きられる(笑)。
3本ハシゴするために、シネマート心斎橋へ。

フランス/ドイツ/スイス作品。
観ようと決めたときから、岩崎宏美の“女優”が頭の中を回る回る。

スイス・チューリッヒに向かう特急列車。
女優のマリアとその個人秘書ヴァレンティンが乗車中。
20年以上前、マリアは18歳のときに偉大な劇作家ヴィルヘルムに見いだされ、
『マローヤのヘビ』という舞台劇の主演シグリット役に抜擢された。
そのおかげでキャリアを着実に伸ばし、今や大女優としてもてはやされている。

今回彼女がチューリッヒに向かっているのは、
ある賞を受賞したマスコミ嫌いのヴィルヘルムに代わって授賞式に出席するため。
ところが車中に連絡が入り、たったいまヴィルヘルムが亡くなったとのこと。
恩人の訃報に打ちひしがれつつも、マリアは授賞式でスピーチ。聴衆を魅了する。

授賞式後のパーティーで、マリアは新進気鋭の演出家クラウスと会う。
クラウスは『マローヤのヘビ』のリメイク版の構想を練っており、
マリアにぜひとも出演してほしいと言う。
しかし、オファーされた役は18歳の彼女が演じたシグリット役ではなく、
シグリットに翻弄されて追い詰められてゆくレズビアンの中年女性ヘレナ役だった。

シグリット役は若手のハリウッド女優ジョアン。
彼女に振り回されるヘレナ役など演じたくはないが、渋々引き受けることに。
ヴィルヘルムの妻ローサとも懇意だったマリアは、
夫妻が暮らしていたシルス・マリア(=原題)の山荘を借り受け、
ヴァレンティンを台本読みの相手に、役作りに没頭するのだが……。

舞台上の女優のバトルかと思ったらそうではなく、
第1部は特急列車内から授賞式会場、第2部はシルス・マリアでの日々が描かれています。

私はジュリエット・ビノシュがどうも苦手。
素晴らしい女優で、美しい人だとは思うのですが、若い頃からオバサン臭い気がして。
年を取るとさらにそれが顕著になり(オバサンなんだから当たり前ですが)、
どうも女性が老けてゆく姿をまざまざと見せつけられるようでキツイ。

だけど本作はその事実を上手く生かしたような作り。
ヴァレンティン役のクリステン・スチュワートは、飾り気のないラフな格好で、
疲労感あらわなのにやっぱり若い、美しい。
湖畔で水浴びをするシーンではスチュワートはもちろん脱ぎません。
ビノシュの色気もクソもない脱ぎ方と崩れた体型にドン引き。
ジョアン役のクロエ・グレース・モレッツは憎たらしいぐらい傲慢で、
マリアの演技アドバイスにも、オバハンが何言うてるのとでもいう態度。

ジュリエット・ビノシュは、若さだけで売れるものではないと
デビュー当時からしっかりわかっていたのかなと思いました。
若さにしがみつかない演技にオバハン臭さを感じてしまっていたけれど、
女優はこうあるべきなのかもしれません。

真後ろの席の女性が上映中に不定期に足を踏みならすのが気になって、
映画にイマイチ集中できなかったのが残念至極。
それを割り引いても、十分に面白い作品でした。

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