夜な夜なシネマ

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『海賊じいちゃんの贈りもの』

2015年11月09日 | 映画(か行)
『海賊じいちゃんの贈りもの』(原題:What We Did on Our Holiday)
監督:アンディ・ハミルトン,ガイ・ジェンキン
出演:ロザムンド・パイク,デヴィッド・テナント,ビリー・コノリー,ベン・ミラー,
   アメリア・ブルモア,エミリア・ジョーンズ,ボビー・スモールブリッジ他

シネマート心斎橋で3本ハシゴの2本目。
前述の『アクトレス 女たちの舞台』に続いて鑑賞。

監督はイギリスのTVドラマを中心に活躍するコンビだそうな。
映画はこれが初めてらしいけど、そうとは思えない佳作。
最初からこんなのが撮れちゃったりするんですか。

ロンドンに暮らす5人家族、マクラウド一家。
夫ダグと妻アビーの仲は冷えきって別居中なのに、
スコットランド在住の祖父ゴーディが75歳の誕生日を迎えるため、
家庭円満のふりをして祝いに行かねばならない。

両親の不仲が子どもたちのストレスになっているのか、奇妙な行動が目に余る。
9歳の長女ロッティは、周囲の言葉をひとつも聞き漏らすまいとメモ魔に。
6歳の長男ミッキーは、勇者オーディンの登場をひたすら待つ空想癖。
4歳の次女ジェスは、怒られると失神するまで息を止めるのだ。

ようやくスコットランドに到着するが、ここでもまた大人の諍い。
ダグは兄のギャビンと喧嘩を始め、ギャビンの妻マーガレットはイライラ。
夫妻の息子ケネスは終始おどおどし、陰気にヴァイオリン練習。
ギャビンはゴーディの意思を無視して盛大なパーティーを企画している。

勝手な大人たちに呆れたロッティがゴーディと話をしに行く。
ゴーディはその昔、遺伝子検査を受けたことがあると明かし、
80%以上の確率でヴァイキング(海賊)の血を引いていると話す。
死ぬときはヴァイキングらしく死にたいと。

誕生パーティーの当日、用意に忙しい親たちから離れ、
ゴーディとロッティ、ミッキー、ジェスは海辺へとドライブ。
喧噪を忘れて楽しい時間を過ごすおじいちゃんと孫たちだったが、
なんとおじいちゃんが穏やかな表情のまま息を引き取ってしまい……。

ネタバレです。

おじいちゃんの死を知らせに走るも、大人はまったく当てにならないと悟った孫たちは、
自分たちの手で、大好きなおじいちゃんが望んでいたお葬式をしようと思い立ちます。
子どもたちが何かおぞましい儀式を執りおこなったのではと、マスコミの取材が殺到。
のどかな田舎町はとんでもない騒ぎになります。

世間体だけを考えていた大人たちは、
自分の夫が、妻が、子どもたちが、何を考えていたのか知りません。
大騒ぎの中で家族が絆を取り戻していく様子がめちゃめちゃイイ。
ポンコツ家族だっていいじゃないか。

はい、もちろん泣きました。
泣ける映画がいい映画とは限らないけど、これは大好き。
上映館が少ないのが残念な佳作です。

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