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夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』

2015年11月29日 | 映画(は行)
『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』(原題:Fehér Isten)
監督:コルネル・ムンドルッツォ
出演:ジョーフィア・プソッタ,シャンドール・ジョーテール,
   ラースロー・ガールフィ,リリ・ホルヴァート他

平日の晩、ダンナは飲み会。またまた仕事帰りに映画を観に行くチャンス。
4DX3Dを初体験した109シネマズ大阪エキスポシティにて、今度は普通の作品を。

座席は前日にオンライン予約済みだから、焦る必要もなし。
開映までに1時間ほどあるので、海遊館プロデュースの水族館NIFREL(ニフレル)へ。
綺麗な魚たちを見るのは楽しいけれど、私は動物ゾーンのほうが楽しいなぁ。
ホワイトタイガーのじゃれる姿がめっちゃ可愛かったです。

さて、おそらくシネコンではかからないだろうと思っていたミニシアター系の本作。
封切り早々、終業後10分以内に駆け込める劇場でかかるなんて超シアワセ。
エグゼクティブシートの端っこ席をいつもどおり確保して入場したら、
ほかに客がいない。開映時間になっても誰も入って来ない。マ~ジ~で~!?
開業後1週間だというのにまさかの“おひとりさま”
5分経過してもう誰も来ないと確信、荷物をまとめて中央席へ移りました。
靴を脱ぎ、座席に体操座りをして鑑賞に臨んだ私を許してください。

第67回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品され、
同部門グランプリとパルムドッグ賞をダブル受賞したハンガリー/ドイツ/スウェーデン作品。
監督はハンガリー出身で、俳優としても活躍するコルネル・ムンドルッツォ。
「カンヌを打ちのめした衝撃作」との触れ込みで、その惹き文句に偽りなし。

たぶんハンガリー、ブダペスト
所属する楽団でトランペットを吹いている13歳の少女リリ。
両親が離婚し、母親とともに暮らす。
孤独な彼女の心の支えとなっているのは雑種の愛犬ハーゲンのみ。

あるとき、母親が仕事で3カ月間海外へ出張。
その間、リリは父親ダニエルのもとに預けられることに。
当然のことながらハーゲンも連れていくと、ダニエルは不快感あらわ。
同じアパートに住む老婦人も汚らわしいものでも見るような目つき。

翌朝、老婦人が通報したらしく、役所の職員がやってくる。
雑種犬の飼い主に税金を課す法律ができたから、税金を払えと。
そんなものを払うつもりなどないダニエルは、ハーゲンを捨て去る。
ハーゲンはリリを、リリはハーゲンを、懸命に探すのだが……。

なまっちょろい感動物語とは180度異なります。
そもそも冒頭のの場面から相当厳しい話になることは予想され、
もしも『ある精肉店のはなし』(2013)を観ていなかったら
直視できなかったかもしれないと思いました。

捨てられたハーゲンは幾多の困難に遭い、
やがて野生の本能に目覚めると獰猛な野良犬に。
人間の勝手な気分で虐げられてきた数百匹に及ぶ犬の反乱は圧巻。
“猿の惑星”の犬版とも言われていますが、あちらはCG。
こちらはCGではないというのですからビックリ。凄いです。

心温まらない動物もので、ホラー並みに残酷なシーンあり。
なのに、なぜでしょう。この圧倒的な余韻。
切なく哀しくも美しい最後は、今年観た中で最高のラストシーンかも。

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