徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

清少納言と父 清原元輔

2024-02-23 21:21:31 | ドラマ
 大河ドラマ「光る君へ」の第6回にいきなり清原元輔が出て来てビックリした。ききょう(清少納言)に関連して名前は出てくるかもしれないがおそらく登場することはないだろうと思っていたからだ。藤原道隆が開いた漢詩の会に講師として招かれ、お題「酒」を出していた。三十六歌仙の一人として名高い歌人である元輔と娘の清少納言の関係を説明するために創られたエピソードなのだろう。
 「元輔集」(清原元輔個人の和歌集)を読んでいたら前書きに次のような中宮定子と清少納言の歌のやり取りが紹介されていた。
 
定子が
  元輔が後といはるる君しもや今宵の歌にはづれてはをる
  (歌人として名高い清原元輔の後を継ぐべきあなたなのに、今宵の歌会には参加しないのね)

これに応えて
  その人の後といはれぬ身なりせば今宵の歌をまづぞよままし
  (その元輔の子だと言われることがない身でしたら、今宵の歌会では真先に詠んだことでしょう)

 ドラマはこれからどういう展開になって行くのかわからないが、清少納言は才気煥発な女性であったことは間違いないようだ。


肥後国司を務めた清原元輔を祀る清原神社(北岡神社の飛地境内)

「光る君へ」を見ながら

2024-01-07 21:58:05 | ドラマ
 今日から始まった今年の大河ドラマ「光る君へ」を見たが、登場人物が多く、しかも藤原だらけなので、まずは人物を識別するのに精一杯といったところ。
 それはさておき、見ながら思ったのは、この時代に肥後国司として赴任した人の中にもドラマの登場人物ゆかりの人がいる。まずは清原元輔(きよはらのもとすけ)。「枕草子」でおなじみ清少納言の父である。清少納言は一条天皇の中宮・藤原定子に仕えた。元輔は肥後や周防などの国司を務めて都を離れていた期間が長いのでドラマには登場しないだろう。もう一人は藤原保昌(ふじわらのやすまさ)。この人は武勇に秀で、道長四天王とも称されているので登場してもおかしくない。また和泉式部への恋を成就するため、紫宸殿の紅梅を手折って北面武士に射かけられるという武勇伝も残っている。まだ登場人物リストにはあがっていないが、そのうち登場する可能性がある。

来年の大河ドラマは!

2023-11-28 21:38:21 | ドラマ
 来年のNHK大河ドラマは吉高由里子が紫式部を演じる「光る君へ」だそうだ。戦国時代ものや幕末ものに飽きていた僕にとって久々に観てみようかという気にさせる。脚本を担当するのは大石静。大河ドラマは2006年の「功名が辻」以来実に18年ぶりの担当だが、数々のドラマで実力は証明済み。「源氏物語」に描かれたエピソードをはさみながら物語を紡いでいくと思われるが、そのお手並み拝見といったところ。僕が興味を持っているのは清少納言との関係性がどう描かれるのかである。藤原定子(高畑充希)と清少納言(ファーストサマーウイカ)のラインが面白そうだ。


平安絵巻さながらに優雅な「代継宮 曲水の宴」

名優の微笑ましいエピソード

2023-01-22 22:35:25 | ドラマ
 今日は冷たい雨が断続的に降るという陰鬱な日曜日、家から一歩も出ずに過ごした。
 そんな中、TKUテレビ熊本で郷土の偉人シリーズとして名優笠智衆さんの人生を描いたドラマが放送された。笠智衆さんに扮したのは小日向文世さん、その奥様を松下由樹さんが演じた。これからTVerなどでご覧になる方にネタバレとなってはいけないので内容については省略する。
 ドラマを見ながら、11年前、笠智衆さんの生家である玉名市天水町の来照寺へ母を連れて訪問した時のことを思い出した。その時、ご住職の奥様からお聞きした笠智衆さんのエピソードを再掲したい。
 それは笠智衆さんが亡くなる少し前、「おじいさん 笠智衆写真集」の撮影のため、この生家、来照寺へ帰って来られた時の話。余計な気を使わせまいと何の連絡もせず来照寺へ帰って来た笠さん。ところが、たまたまこの日はご家族全員お出かけで家にも本堂にも入れない。しかたなくガラス戸が締め切られたままの本堂の縁側で撮影をすませたそうだ。それを聞いて写真集を見直してみると、たしかにお寺の縁側で着物姿でくつろいではいるものの、うしろのガラス戸は締め切られたままというなんとも不自然な写真。笠さんのお人柄を偲ばせるエピソードに、あとから笑いがこみ上げてきた。


来照寺境内に立てられている出演映画の看板

最近のテレビドラマから

2022-10-25 21:30:55 | ドラマ
 テレビドラマといえば最近見るのはBS放送でやっている古い時代劇ばかり。現代劇は見ようという気も起らない。そんな中で久しぶりに見てみようかという現代劇のドラマが始まった。それが「エルピス」(フジ系)。理由は簡単。20年来の渡辺あやファンだから。2003年の映画「ジョゼと虎と魚たち」に始まり、以来、彼女の作品は映画、ドラマを問わずほとんど見ている。テレビドラマは2009年の「火の魚」以来、ずっとNHKばかりだったが、今回初めて民放制作のドラマというのも興味深い。まだ昨夜の第1回を見ただけで評価はしかねるが、業界モノかと思ったらサスペンスのようでもあり、これから彼女のドラマ構成の巧みさが発揮されるのではないかと期待している。

 上述のBS放送の古い時代劇の1本が「斬り捨て御免!」(BSフジ)。今夜放送されたのは1982年に放送された第3シリーズの最終話だったようだ。今夜見ていたら、中村吉右衛門演じる花房出雲の敵役に森次晃嗣演じる森軍兵衛なる人物が登場した。天草島原の乱で一揆軍を率いた森宗意軒の子孫だという設定だった。森宗意軒は山田風太郎の「魔界転生」はじめ、小説や映画で悪役として登場するが今夜の子孫も腕は立つがなかなかのワルである。
 実はわが家の近くに森宗意軒のご子孫がいらっしゃる。以前、このブログでも紹介したことがあるが元航空自衛隊のパイロット、今、老舗米穀店のご主人森さんがその人である。今夜ご覧になったていたとすれば、どんなお気持だったのだろうか。今度お伺いしてお尋ねしてみよう。

アイドル

2022-08-13 21:40:02 | ドラマ
 一昨日、NHKで特集ドラマ「アイドル」という番組を放送していた。昭和初期から戦後間もない頃までの20年弱、新宿角筈に存在し、軽演劇やレビューで一世を風靡した「ムーランルージュ新宿座」のトップアイドルとして活躍した明日待子の半生を描いたドラマだった。見ながら僕は11年前の思い出を振り返っていた。
 それは2017年に他界された「評伝 海達公子」の著者規工川祐輔先生に、公子物語の映像化を提案し、いろいろアドバイスをいただきながらスライドムービー化したことがある。脚本作成に当たっては規工川先生の著書のほかいろんな資料を調べたり関係者に聴き取りしたりした。特に興味を持ったのは、著書の中に、公子が昭和7年に、大牟田に巡業に来たムーランルージュの舞台を観に行ったという記述があり、ムーランルージュの舞台を見たことが公子に少なからぬ影響を与えたと記されていたことだ。天才詩人と謳われた公子は体育面でも能力を発揮していて、同級生の話ではダンスの腕前は際立っていたという。僕は公子が何を感受したのかを確かめるべく、ムーランルージュ大牟田公演の開催日や開催場所、演目、出演者などを調べたことがある。大牟田の劇場関係の方の話では、昭和7年といえば、大牟田は炭鉱景気で栄えていた頃で、劇場もたしか三つくらいあったはずだと言っておられた。しかし、それ以上のことはわからなかった。
 ともかく、公子物語のムービーは完成し、友人知人にご案内をして試写会を開くことになり、熊日新聞も取材に来ていただいた。
 僕がそんなことをやっていたちょうどその頃、記録映画「ムーランルージュの青春」が公開された。熊本でも電気館さんあたりがやってくれないかと期待していたが、結局見るチャンスを逃した。それっきり、この記録映画のことは忘れていたが、今回のテレビドラマをきっかけに一度見ておきたいと思った。レンタルビデオが出ているはずなので近いうちに探してみよう。


【特集ドラマ】アイドル

天城越え

2022-05-07 20:38:02 | ドラマ
 昨夜、ドラマ「天城越え」(NHK_G)が放送された。今から44年前の1978年に松本清張の同名小説をドラマ化したものである。初回放送から今回まで僕は4回見たことになる。2009年と2018年の2回、ブログのネタにしている。2009年の記事には、他局でのドラマ化作品や映画化作品よりも、この和田勉演出版が一番いい、というようなことを書いている。2018年の記事には、同じ天城越えを題材にしながら、清張の「天城越え」と川端康成の「伊豆の踊子」との小説世界の違いについて触れている。
 昨夜のドラマ放送後引き続いて、新日本風土記「松本清張 昭和の旅」が放送された。その中でも研究者による「天城越え」と「伊豆の踊子」の比較論が紹介された。曰く、清張は川端康成の設定をことごとく反転しているという面白い分析があった。この二人の作家は10歳違いだが、天城越えをした時期はほとんど変わらない。おそらく二人の出自や人格形成の環境に大きな違いがあったのだろう。そんなことも踏まえながら両作品の読み比べを今一度してみるのも面白いかなと思っている。


ドラマ「天城越え」(1978年 NHK)


映画「伊豆の踊子」(1963年 日活)

On The Sunny Side Of The Street

2022-04-03 22:40:11 | ドラマ
 朝ドラ「カムカムエヴリバディ」はいよいよ最終週。ネット上では伏線回収の納得性について様々な意見が飛び交っている。たかが創作ドラマと言うのも憚られる状況だ。
 それはさておき、このドラマほど「音楽が立った」朝ドラも珍しい。サッチモ(ルイ・アームストロング)が歌う「On The Sunny Side Of The Street」がモチーフになっているし、ヒロインの名前にも引用されているくらいだから当然といえば当然なのだが。
 また、主題歌「アルデバラン」が素晴しい。しっとりとしたラブバラードから始まり、後半はまるでゴスペルだ。作詞・作曲の森山直太朗はすごい。しかし、この歌は「カムカムエヴリバディ」のために書き下ろしたわけではなく、環境問題のメッセージソングとして書いた原型があったらしい。それにしてもこの波乱万丈のドラマにふさわしい良い歌をあてたものだと思う。
 さて、最終週の展開やいかに。

   ▼On The Sunny Side Of The Street(ルイ・アームストロング)


   ▼アルデバラン(AI)

蝉しぐれ

2022-01-13 20:44:06 | ドラマ
 正月三が日のテレビ三昧の中で、一番うれしかったのは元日の夜、BSPの「蝉しぐれ」再放送。本放送ではたしか7回シリーズだったが、今回は後半の3回が放送された。藤沢周平ものでは一番好きなドラマで、原作も読んだし、テレビ版、映画版とも見た。
 NHKの放送案内にはつぎのように紹介されている。

 東北の小藩・海坂藩を舞台に、非業の死を遂げた父の無念を晴らすため、微禄の武家の青年・文四郎が、ふりかかる悲運と忍苦を克服し、雄々しく戦って父の仇を討つまでを、初恋の女性・ふくとのラブストーリーを主旋律に、力強く清冽に描く。

 とあるように基本的には切ないラブストーリーであることが好きな最大の理由だ。

 テレビ版、映画版とも脚本は熊本出身の黒土三男。映画版では監督も務めた。黒土さんは同じく藤沢周平の「用心棒日月抄」も映画化の構想があるらしい。実現が楽しみだ。
 昨日の熊日新聞・文化面に藤沢周平没後25年に当たり、文芸評論家の湯川豊さんの「海坂藩に吹く風 藤沢周平を読む」が刊行されたことが紹介されていた。これもぜひ読んでみたい。

     ▼映画版「蝉しぐれ」のイメージソング 一青窈「かざぐるま」

いだてん第2回 ~ 坊っちゃん ~

2022-01-12 23:00:24 | ドラマ
 もう3年前になるが、大河ドラマ「いだてん」の放送が始まり、その第2回「坊っちゃん」が放送されたのがたしか1月13日。全編の中でも忘れられない回となった。それは、主人公の金栗四三の生い立ちが熊本ロケの映像で見られたこともあるが、その日の放送直後からこのブログへ尋常ではないほどアクセスが集中したからだ。なぜアクセスがあったかというと、番組内で綾瀬はるかが「熊本自転車節」を歌ったのだが、多くの視聴者がこの唄を検索し、随分前にこの唄を掲載した僕の記事がヒットしたというわけだ。そんなことを思い出しながらNHKアーカイブスの映像をあらためて再見した。


※上の写真をクリックすると動画に飛びます。
後に四三の妻になるスヤ(綾瀬はるか)の自転車爆走シーンが見もの。


「熊本自転車節」を唄いながら自転車に乗って登場するスヤ(綾瀬はるか)※ロケ地:番所の棚田


科学は未来予測

2021-07-04 06:41:48 | ドラマ
 先週、朝ドラ「おかえりモネ」を見ていたらこんなシーンがあった。モネが憧れる気象予報士朝岡が発した「リードタイム」という言葉が気になったモネが朝岡に質すと、その言葉の意味とともにこんな話をする。
「今、私たちの頭の上で起きている気象現象は、数日前、南の海や北の大陸で起きている現象に必ず起因します。だからそれを分析すれば未来に何が起きるかがわかります。」

 このシーンを見ながら僕はなぜか、表計算ソフトのことを思い出した。今から40年ほど前、会社業務のOA化が始まり、好むと好まざるとにかかわらずパソコンを使わなければならなくなった。当初は厄介なプログラミングに悩まされたが、やがて表計算ソフトが導入され、大半の業務はプログラミングから解放された。その頃、表計算ソフトの宣伝文句が「将来予測型ソフト」という言葉。最初はきれいな集計表を作ることしかできなかったが、使い始めて10年以上過ぎたころから統計分析に使うようになった。そしてその分析データから将来予測もできる機能を表計算ソフトが持っていることを理解した。リタイアして20年以上経った今、表計算ソフトを使うこともほとんどないが、よく思うのは「科学というのは未来を予測すること」なのではないかということだ。

だれかに話したくなる山本周五郎日替わりドラマ

2021-02-25 20:40:19 | ドラマ
 BSプレミアムの「だれかに話したくなる山本周五郎日替わりドラマ」5話シリーズを見た。テレビ草創期には多かったが、近年では珍しい30分のドラマ。近頃のドラマにありがちな刺激的な映像や音もない。必要以上の説明もない。簡にして要。山本周五郎の小説世界で、行間を読み取るのも、読後の余韻を楽しむのも、視聴者に委ねられている。まだあまり知られていない若手俳優陣が起用されていることも新鮮に感じた。このシリーズは今後、第2、第3のシリーズが企画されているようだ。その折にはぜひ、熊本藩を舞台とした「よじょう」をドラマ化してもらいたいものだ。昔、渥美清主演で一度ドラマ化されたそうだが見ていない。


伊呂波太夫とは?

2021-01-12 19:57:11 | ドラマ
 「萌の朱雀」(1997)以来の尾野真千子ファンとしては、「麒麟がくる」の登場人物の中でも彼女が扮する伊呂波太夫に注目している。この役柄は架空の人物だが、ネット上ではモデルとなった人物が誰なのかが話題になっているようだ。旅芸人一座の女座長という設定から「出雲阿国」がモデルではという意見もあるが、「出雲阿国」はもう少し後の時代の人だし、モデルはおそらく一人ではないのではないかと思う。諸国の有力大名や京の公家に顔のきく存在と言えば、当時、そういう立場にいたのは茶人、連歌師、僧などであり、光秀に近かった津田宗及(茶人)、里村紹巴(連歌師)、心前(真言宗の僧)などの存在が、伊呂波太夫の人物像に反映されているのかもしれない。先日の第41回「麒麟がくる」では信長軍に攻められた松永久秀が信貴山城で自害して果て、彼が所有していた茶釜「平蜘蛛」を預かった伊呂波太夫が密かに光秀に届けるという場面があった。松永久秀がそれを誰かに託したという説にもとづき、それを伊呂波太夫という架空の人物で表したのだろう。


伊呂波太夫に扮した尾野真千子

細川ガラシャの後半生

2020-11-19 17:10:48 | ドラマ
 昨夜の「歴史秘話ヒストリア」(NHK総合)は、戦国の世を気丈に生きた細川ガラシャを取り上げた。
 大河ドラマ「麒麟がくる」は来年2月のエンディングに向けて終盤に入っていくので、その番宣の意味もあったのだろう。しかし、昨夜の「歴史秘話ヒストリア」におけるガラシャの後半生の部分は「麒麟がくる」では放送されない。ガラシャが20歳の時、父明智光秀は死んでしまうからだ。このドラマの企画は10年ほど前、京都府と兵庫県の11市町が「細川ガラシャを主人公とした大河ドラマを!」という誘致活動を始めたことが実現のきっかけとなった。しかし、ドラマは明智光秀を主人公とする物語となり、前述のようにガラシャの後半生の部分は描かれないことになった。昨夜の「歴史秘話ヒストリア」はそのエクスキューズの意味もあったのかもしれない。


堂本印象 画「 栄光の聖母マリア(一部」


(2014.6.5 熊日新聞)


オペラ「勇敢な婦人 細川ガラシャ」より

がらしゃ

2020-05-10 21:14:10 | ドラマ
 大河ドラマ「麒麟がくる」は「見るともなく見る」状態で、なんとなくあらすじは理解している。
 いまだに「がらしゃ(たま)」を主役とするドラマにならなかったことを根に持つ私である。(^_^.)
 新型コロナウイルス騒動のおかげで、立田自然公園(泰勝寺跡)の休館が続いており、四つ御廟への定期的なお参りもできなくなっているが、終息のあかつきにはいつにも増してねんごろなお参りをするつもりだ。


熊本市観光ガイド「garasha」より


ガラシャが幽閉された味土野


オペラ「勇敢な婦人 細川ガラシャ」より