徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

天才 美空ひばりと その師 川田晴久

2014-03-31 17:44:43 | 音楽芸能
 あれはたしか昭和27年、僕が小学校に上がったばかりの頃だったと思うが、祖母に手を引かれて熊本市公会堂へ「川田晴久とダイナ・ブラザース」を観に行った。川田晴久というボードビリアンについては祖母からさんざん聞かされていたし、彼のテーマソングともいうべき「地球の上に朝が来る」はラジオでよく聴いていた。しかし、彼が、昭和の大スター美空ひばりに最も影響を与えた人であることを知ったのはずっと後のことである。美空ひばりが川田晴久と出会ったのはまだ11歳の時だそうだが、川田の唄い方を実に上手くコピーしたらしく、それが後々までも歌手美空ひばりの基礎になったという。そんなエピソードをうかがわせる映像が残っている。

♪美空ひばりの「浪曲 紺屋高尾」

 これは松竹映画「とんぼ返り道中(1951)」の一場面だが、当時14歳の美空ひばりが披露しているのは、川田晴久が得意としていた歌謡浪曲の「紺屋高尾」。気持悪いくらいの上手さである。川田本人や堺駿二(堺正章の父)らの顔が見える。

【備 考】
「紺屋高尾」は、古典落語や浪曲の演目で、紺屋(染物屋)のしがない奉公人のもとに吉原一の遊女高尾大夫が年季明けとともに嫁いで来るという、男にとって夢のようなお話。

陸上競技 シーズン開幕!

2014-03-30 15:26:04 | スポーツ一般


 いよいよ2014年の陸上競技シーズンが始まった。熊本県民総合運動公園陸上競技場で熊本陸協春季記録会が行われ、快晴とはいかなかったが、雨も上がったスタジアムに若人の元気な声がこだました。2週間後の4月12・13日には早くも「2014年度熊本県陸上競技選手権大会兼国体1次予選」が迫っている。各選手たちの仕上がり具合が気になるところだが、僕が注目している女子短距離の北川愛菜(熊本学園大付高)は、足の故障からの回復中らしく、エントリーした200mは出場を回避、100mだけに出場したが、足の具合を確かめるような走りだった。あと2週間で完全回復となればいいのだが。



熊本民謡 キンキラキン

2014-03-29 17:37:35 | 音楽芸能
 熊本城下で旧藩時代から歌われていた古民謡は「キンキラキン」や「ポンポコニャ」など数えるほどしかないと、郷土史家の鈴木喬先生(2010年没)は自らの研究論文の中で述べている。なかでもこの「キンキラキン」は明らかに肥後熊本藩6代藩主細川重賢公の時代の「宝暦の改革」(宝暦:1751-1763年)による倹約令を風刺して生まれた民謡といわれている。錦綺羅(キンキラ)とは絹物のことで、藩の財政立て直しのためにキンキラを着ることは禁止されていた。歌詞の中の“がねまさ”どんとは、贅沢禁止を推進した堀平太左衛門のあだ名で、当時庶民の間では平太左衛門を揶揄してよく唄われていたという。以降、もっぱら座敷唄として料亭などで歌い踊られていたが、「ポンポコニャ」と同様、意外と歌いこなすのは難しく、近年ではあまり一般市民には歌われなくなっているようだ。




新天地でのスタートを切る野林祐実

2014-03-28 17:31:31 | スポーツ一般
 4月11・12日に行われる「第78回京都学生陸上競技対校選手権大会」において、九州学院高から立命館大に進学した女子短距離の野林祐実が新天地でのスタートを切る。エントリーしているのは「女子オ-プン100m」のみのようで、翌日から始まる「熊本県陸上競技選手権大会兼国体1次予選」にも出場するものとみられる。ハードスケジュールだけに体調維持には最大限の注意を、というのがファンとしての切なる願いだ。

▼女子オ-プン100m 予選1組スタートリスト
レーン No.  氏 名       所 属    資格記録
 2 515 味田 彩斗 (4) 甲 南 大 ・大 阪 12.33
 3 713 正垣 知保里(4) 東大阪大 ・大 阪 12.25
 4 499 本村 優華 (1) 立命館大 ・鹿児島 12.03
 5 497 野林 祐実 (1) 立命館大 ・熊 本 11.90
 6 494 大漉 真衣 (1) 立命館大 ・鹿児島 11.99
 7 520 五十嵐 理沙(4) 甲 南 大 ・山 形 12.14
 8 729 岡本 佑菜 (1) 東大阪大 ・大 阪 12.32

▼チームメイトとなった同世代3人

左から野林祐実と川薩清修館高(鹿児島)出身の二人、本村優華と大漉真衣

海達公子 とはいったいどんな存在だったのか・・・

2014-03-26 16:38:36 | イベント
 今日は、大正末期から昭和初期にかけて天才少女詩人と謳われた海達公子の没後81年にあたる日。荒尾市で行われている「第5回海達公子まつり」も今日が最終日。「評伝 海達公子」の著者、規工川祐輔先生の永年にわたる発掘作業によって、海達公子に再びスポットライトが当たり、顕彰事業も行われるようになったが、まだまだ荒尾市民の中でもその名を知らない人が多いという。海達公子とはいったいどんな存在だったのか。その手がかりとなる新聞記事が、荒尾メディア交流館に展示された史料群の中にあった。
 昭和43年7月19日付の熊日新聞記事(下に写真)だが、読みづらいのでその一部を書き直してみた。

 公子の遺稿集は、昭和26年10月、延原慶三(当時荒尾ペンクラブ事務局長)の編集
によって荒尾ペンクラブから発行されたもので、大正13年公子小学校2年のころから、
昭和3年小学6年までの作品5千余編の中から190編を選び、作品年代と掲載誌紙を入
念に紹介したかわいらしい詩集である。
 海達公子の詩集は、この遺稿集が初めてのものではない。正確には昭和8年5月公子の
没後40日目に、九州民謡協会発行の「海達公子嬢の遺稿集」というのがあり、ありし日
の公子の天分をたたえるとともに、その死を悲しんだ追悼詩集ともいうべきものである。
この詩集の巻末を飾る賛助員として、堀内敬三、野口雨情、栗島すみ子、山田耕筰、福田
蘭童、五所平之助、古賀政男、淡谷のり子、西条八十、北原白秋など当代日本一流の知名
人30数人が名を連ねていることは、公子の創作活動が当時の日本における児童詩の夜明
けに、いかに重要な役割りを果たしていたかうかがい知ることができる。
 大正7年鈴木三重吉によって創刊された児童文芸誌「赤い鳥」は、「世俗的な下卑た子
どもの読み物を排除して、子どもの純性を保全開発する」ことを呼びかけ、活発な童心主
義文学運動を展開したものであった。「赤い鳥」創刊の2年前(大正5年)に生まれた公
子は、三重吉らの児童文学運動の開花期ともいうべき大正12年に現在の荒尾第二小学校
に入学している。このめぐり会いは、父貴文氏の異常なまでの熱心な創作指導と相まって
「直感的で簡潔で珍しい詩才の持ち主である」と北原白秋を驚嘆させたほどの天分を、奔
放に発揮する直接的な要因となったものと想像されるのである。
 ともあれ、当時一寒村にすぎなかった荒尾の町にあって、恵まれた詩才をもって、手づ
かみの直截的な表現を駆使し、短い詩編とはいえ膨大な詩片を吐き続けたことは、公子の
幼い生活がそのまま直感的な鋭い詩に、なんの抵抗もなく移行していったのではないかと
思われ、特に2年~3年の作品が圧倒的に多く、高学年になるにしたがってその作品の量
が少なく、鋭さも失われてきていることからも容易に知ることができよう。



熊本城本丸御殿・春の宴 スケジュール

2014-03-25 11:04:51 | 音楽芸能


■日 程 : 平成26年4月5日~5月31日までの毎週土曜日
■時 間 : 18:00~19:30
■場 所 : 熊本城本丸御殿(櫻・梅の間)
■内 容 :
4月 5日 天草ハイヤ/ザ・わらべ、こわらべ(日本舞踊)
      【出演】天草南風凛風会、
          少女舞踊団「ザ・わらべ」、子ども舞踊団「こわらべ」、黒木界成
  12日 民話朗読と即興音楽
      【出演】高杉稔(朗読)、豊田隆博(ピアノ)
  19日 福島竹峰社中 郷土芸能 
      【出演】福島竹峰、福島竹峰社中
  26日 邦楽ユニット あうん
      【出演】ジェフ・ケアンズ(尺八)、
          蓑田由美子(三絃・十七絃箏)、藤川いずみ(新箏・二十一絃箏)
5月 3日 藤川いずみ 箏アンサンブル
      【出演】藤川いずみ(箏)、早川みゆき(フルート)
  10日 民話朗読と即興音楽
      【出演】高杉稔(朗読)、豊田隆博(ピアノ)
  17日 菊池千本槍・菊池一族ものがたり
      【出演】菊池女子高等学校 郷土芸能部、上村清彦(弁士)
  24日 伝統芸能雅太鼓/久蓮子古代踊り
      【出演】秀学館高等学校 伝統芸能部
  31日 山鹿灯篭踊り/ザ・わらべ、こわらべ(日本舞踊)
      【出演】鹿本農業高等学校 郷土芸能伝承部、
          少女舞踊団「ザ・わらべ」、子ども舞踊団「こわらべ」


花へんろ

2014-03-24 19:28:14 | その他
 今日は母と家内を連れ、春爛漫の一日を次の行程で巡った。

・笹尾の枝垂桜
・吉次公園
・半高山公園
・荒尾メディア交流館(海達公子まつり)
・JR新玉名駅前・菜の花畑
・玉名・梅林天満宮


笹尾の枝垂桜は気品漂う趣き。


吉次峠の桜の枝越しに田原坂を望む。


新玉名駅前は菜の花の匂いでむせ返るよう。

陸上競技 新シーズン到来!

2014-03-23 23:07:13 | スポーツ一般
 今週末から早くも陸上競技の新しいシーズンが始まる。30日(日)に行われる熊本陸協春季記録会は、記録は2013年度の記録となるが、2週間後に控えている「2014年度 熊本県陸上競技選手権大会」の前哨戦。各選手がオフシーズンにどれだけ力を付けてきているかが試される。今回の記録会のスタートリストを見ると男女とも見慣れた名前が見えない。有力な高校選手が進学して県外に主戦場を移したからだ。特に僕が注目しているのは、ダントツの存在だった野林祐実選手が抜けた女子短距離陣の動向だ。まだ走って見なければ誰が勝つのかわからない状態。個人的には2年生になる北川愛菜選手(熊本学園大付高)は僕の中学の後輩でもあり、今年の飛躍を期待している。


右から3人目が北川愛菜選手

明日晴れるかな!?

2014-03-20 16:46:33 | イベント
 明日からいよいよ「くまもと春のまつり」の中でもメインイベントの「城下町くまもと時代絵巻」。明日はまず第1部の「くまもとをどり」が二の丸広場で開催されるが、どうしても気になるのはお天気。天気予報は「曇のち晴」やや肌寒い一日になりそうだが、何とかもってくれそうで安心した。桜も開花宣言があったばかりで、一昨年のように満開の桜の下でというわけにはいかないが、多くの観客で大いに盛り上がってほしいものだ。
▼天気に恵まれた一昨年の「城下町くまもと時代絵巻 2012」の様子


くまもとをどり 2012 (HIROさん撮影)


城下町くまもと時代絵巻 2012

御花畑 能舞台

2014-03-19 19:19:07 | 歴史
 花畑町の産文会館ビルの解体がいよいよ始まったというニュースを見た。2年ほど前に熊本市が華々しくブチ上げた「桜町・花畑地区再開発構想」は産文会館の解体をめぐって住民監査請求が出されるなど、スッタモンダしていたが、はたしてこれで実現に向けて進んで行くのだろうか。再開発の目的は、市内商業地区の中でも通町界隈に比べて客足の落ち込みが大きい桜町・花畑地区を再び振興しようということにあるらしい。社会情勢の変化により、当初の構想から大きく変更せざるを得ない状況にあるようだが、この花畑町は旧藩時代、藩主のお屋敷「御花畑」があったところ。その歴史を活かしたデザインにはこだわってほしいものだ。


旧藩時代の御花畑

 ところで、かつての「御花畑」の広大な敷地の中には、南側に白川から水を引いた泉水と築山で構成された庭園が整備されていて、泉水の北側には能舞台まであったという。(現在のみずほ銀行熊本支店辺り)この能舞台でいったいどんな演能が行われていたのか、興味津々でいろんな史料を調べてみた。すると、金春流肥後中村家のサイトの中にいくつか記述があった。中でも寛文5年(1665)に行われた、金春流肥後中村家の二代目・中村伊織の舞い納めの記述が目を引いた。おそらくお歳を召して引退されるのだろう。シテ方と演目の一覧を見ると、中村伊織の演目が奥義中の奥義と言われる「関寺」というのが何とも興味深い。
その部分を引用してみる。

▼中村伊織 「関寺」を舞い納める
菊池高木家蔵「寛文細川家御能番組」には伊織の出演が能、拍子合わせて□番記録されている。
細川綱利公初入国の寛文元年から始まる同番組では喜多流の志水一学、中村伊織嫡子庄右衛門が中心であり、流儀が違っていても両者とも長老の伊織の指導をうけたものと思われる。
「寛文細川家御能番組」に付いては後述するが、此処には 中村伊織の舞納めとも言うべき寛文5年細川綱利公在国中の演目を記して伊織の項を締め括りたい。

10月28日 御花畑
  梅が枝  一学
  朝長   庄右衛門
  関寺   伊織
  船弁慶  一学
  芦刈   一学
  羅生門  三郎左衛門
  猩々乱  庄右衛門

尚、当日のワキには上方にも良く知られた横田善太夫、京都狂言役者野村又三郎、藤崎宮雇太夫佃三郎左衛門、江戸細川家屋敷で幕府囃方と共演する菊池高木次兵衛など匆々たる名手が揃い、その評判が江戸、上方に伝わることも意識されていたと想像される。「関寺」は江戸五流家元のみが許される演目であった。


関寺小町

 今から350年前に演じられたこれらの番組は、どれも今日もなお演じられているものばかり。観阿弥・世阿弥による能の大成から600年という歴史の重みと壮大なロマンを感じるのである。

新作能 「草枕」

2014-03-18 20:47:57 | 音楽芸能
 2002年に法政大学能楽研究所が発表した新作能「草枕」は、夏目漱石の新体詩「鬼哭寺の一夜」の物語を、小説「草枕」の世界の中で展開するという、何とも不思議な能らしい。一度見てみたいものだが、そんな機会があるだろうか。

【あらすじ】
 旅の詩人が肥後の山里を訪ねる。菜の花が咲き、雲雀が鳴くのどかな春の山路をどんどん登って行く。「山路を登りながらこう考えた。智に働けば角が立つ 情に棹させば流される 意地を通せば窮屈だ とかくに人の世は住みにくい。住みにくき世から住みにくき煩いを引き抜き ありがたき世界をまのあたりに写す それが詩それが画・・・」などと思いめぐらせながら歩を進める。峠の茶屋も越え、七曲りも過ぎ、今宵の宿、那古井温泉も近くなった頃、俄かに雨が降り出す。やがて古い伽藍が見えてくる。さては峠の茶屋の姥が話していた長良乙女ゆかりの寺であろうと、ここで一夜を明かすことにした。すると仮寝の枕辺に女の霊が現れる。女の霊は詩人の問いに答えて、自分は長良乙女の霊だと告げる。二人の男に思いを寄せられ、どちらとも決めかねたあげく、鏡池に入水した身の上を語り、水底の舞を舞う。そして思いの丈を謡に託し、春の暁の中に姿を消す。