やはり汗ぼとぼとになって歩く。一番やぐら前の暗い林の中に知らない人影。無難に前を通り過ぎようとしたら、こっちに向かってくる。・・・ん。
ああ大将か。私は相変わらずである。 久しぶりに出会った。 聞くとサンコウチョウとのこと。 サンコウチョウはやや南側の二番やぐら跡方向に飛ぶ、
そちらに向かうと数人が撮影中。よく飛び回るが低い所に出てくるので、観察撮影も良好なサンコウチョウ。 やがてもう1羽いるとのこと。
音楽堂西側上ウバメガシでは、20人ほどのカメラマンが取り囲んでいる。 コルリの♂若らしい。 今朝のコルリは、他に飛騨の森で♀と愛の森で♂若の3羽。 ここ数日は4~7羽くらいが毎日観察されている。 今朝の3羽は少ない。午後からもう少し増えるかもしれない。
いつも同じ事を言うが、コルリの渡りは 「春は遅く=遅刻 秋は早い=早退」 「遅刻して早退する」 タイプ。
ちなみに昨年2018年は9月2日に11羽が最多だった。 2017年は8月27日の5羽だった。 ともにオオルリやキビタキの通過が始まったころ。 ピークはまだまだ後ろになる。 でもコルリは早い。もうすでにピーク。
センダイムシクイは市民の森、六番やぐら、飛騨の森などで4羽。
コサメビタキは音楽堂西側上と天守閣東側配水池。
エゾムシクイは天守閣東側配水池と一番やぐら前。
キビタキは♀型1、一番やぐら。
オオルリは♂若1羽が修道館裏。♀が天守閣東側配水池。
夏鳥の渡りは順調に進んでいる。と言うより、今のところでは、より好調にスタートしていると言ってもいい!
机の端に娘が読みかけの文庫本があった。通り掛けにふと表紙が目に入った。「オーデュボンの祈り」 (伊坂幸太郎 新潮文庫) 思わず手に取った。
「オーデュボン」 はアメリカの著名な鳥類画家。野鳥の出てくる小説かとパラパラめくってみたが野鳥は出てこない。たまたま同じ名前だったのか。
「オーデュボン伝」 という本を読んだことがある。(コンスタンス・ルーアク著 大西直樹訳 平凡社) 帯には、・・・・あらゆる困難を乗り越えて大著 「アメリカの鳥類」 を完成させた・・・などとある。
彼の絵は植物とともに動きのある野鳥の画。特徴的できっと皆さんも気付かないうちに目にしていると思う。
アメリカの自然保護団体の名前は 「オーデュボン協会」 彼の功績を記念したものだろう。日本の 「日本野鳥の会」 のようなものだ。シンボルマークはダイサギ。
ちなみにイギリスは 「RSPB イギリス鳥類保護協会」 でシンボルマークはソリハシセイタカシギ。 それぞれドラマもある。またの機会に。
●今日の鳥たち
カワラヒワ、センダイムシクイ、シジュウカラ、メジロ、コサメビタキ、コルリ、コゲラ、エゾムシクイ、オオルリ、キビタキ、サンコウチョウ、カワウ、カルガモ、キジバト、ハシブトガラス、ヒヨドリ、ムクドリ、スズメ。
◆◆オオルリ (1992.10.2 豊国神社裏)
今年の春に日本で生まれた幼鳥が、越冬のために南へ渡る途中にこの公園を通って行く。未知の国への旅立ち前の休息だ。そして半年過ごし、来春になれば再び帰ってくる。 日本と南の国でそれぞれ5か月ずつ暮らして、春と秋ごとに往復を繰り返すという大変な一生を過ごす。彼らにとってどちらの国が故郷なのだろうか。 夕食時にこんな話をしていると、「鳥にとっては、どちらの国といった区別はないのでは」と言われ目覚めたように気付いた。
地球は鳥の星なのだ。人間が国などを決めているだけで、鳥にすれば地球全てが故郷だ。ダイニングキッチンで食事し、居間でくつろぎ、寝室で寝る。さて、どの部屋が自分の家でしょうか?と聞いているようなもの。地球には地図のような国境線の1本も引かれていないのだ。
この鳥は幼鳥のため、頭部や背面は青くならず、茶色のままであるが幼い印象はなく一人前に見える。 渡りの途中に暴風に巻き込まれたり、過労で落ちたり、他の鳥に襲われるなど危険は多く、無事に帰ってくる率は低いらしい。一人前に見えても幼いこの鳥が、再び帰ってくる事を祈らずにはいられない。