武藏からすりゃ
あそこらへんは若者時代を過ごした故郷だ
あちこち行って遅くなったのだろう
私の最初の赴任先もその近く
もうすっかり様子が変わってるって
高層ビルだらけになっちゃったそうだ
私の母校（高校）もその近くだ
高層ビルだらけってなあ
こまったこっちゃ
小さい子は遊び場がないんじゃないか？
かいじゅうやちびちゃんママたちがうまれたのも
そこらへん
東大が子供のころ遊び場だった
今は学生以外は入れないようになってる大学だらけだ
でもちびたちの住んでるところは
子供にはいい環境だ
自然いっぱいの遊び場
雨だってへっちゃら
室内の遊び場があるってさ
だいじょうぶかな？
お互い老化が激しくって
武蔵は私の認知症を心配してくれるが
武藏とは言っても
一歳半ぐらい年上だ
どうしよう
武蔵も入院ってなったら
私一人で暮らすのは恐ろしい
老人ってこういう悩みがあったのね
ここのところ眩暈がひどくて
出歩くの不安
今日は近場の薬局兼スーパーみたいなところに
買い物に行った
不安だからシルバーカーにつかまって
歩いて行った
前はこれを使うのは重いものを持てないからだった
年はとりたくないものだ
然し高齢化社会は
こういう問題が噴出してるのだろう
明日は油絵の道具なくて注文に応ぜられなくて
困ってたが
守谷に連れてってくれそうだ
絵具を溶く油もえのぐ筆を洗う油もない
パレットも見つからないんだ
キャンバスもあるので描こうと思ったが
Mのがいいな
M版の額は即は手に入らないかもだ
宮大工さん作ってくれないかなあ
この間の展覧会
何をじろじろ見てるのさ
と思ったら
額縁の研究をしていた
フフフ
だから宮大工さんって
いろいろな仕事でお勉強になる人だ
机の上片付えたら
ジャンじゃか武蔵の荷物が乗っかってくる
今日は武蔵は東京の病院に受診だ
いいな
私も故郷に帰りたい
主治医は私の後輩になるらしい
あそこらへんも画材屋はいろいろあるんだ
ムサシが「相棒」の新しいの借りてきて見てる
ともかく見覚えのあるような景色とか
やたら豪邸とか出てくる
私は貧困層だからそんな家は住んだことも
入ったこともないが
かつて友人にはそういう家に住んでた人もいた
ものすごく貧しいものの家
って
ぼろぼろで土間から入っていく家ってあったが
どこかな
池袋か御徒町に住んでた頃はそういう家だった
戦後まだ間もないころは
それでも家があるだけまし
野外生活の人もいっぱいいた
戦争を起こすのはそういう階層ではなく
何事からも儲ける階層だ
ものすごい音がしたが
雷か外を見たが見たがよくわからなかった
武蔵は道場に行ってたから
帰ってらから聞いたら
あれはやっぱり雷だったみたいだ
怪獣からメールが来た
日曜に来てくれるみたいだ
パソコンのこと悩んでたからやってくるんだろう
ちびちゃんママに聞いたら
ネットのつながらなかっただけで
しばらくすれば直るってあることだそうだ
ともかく車に乗れないと郵便局も
連れてってもらわないと行かれない
供託のことを伝えて任せるっきゃない
画材買ってきてくれるっていうけど
大量に不足だから
父ちゃんに守谷まで連れてってもらうよ
といった
田舎で一番気に食わないのは画材屋がないことだ
