北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

一般質問原稿、ご笑覧を!

2016-09-13 | 珠洲市政
今日は珠洲市議会本会議で一般質問。
9人が登壇し、私は7番目。

以下、質問原稿です。ちょっと長いですが時間があるときにご笑覧ください。
(質問要旨はこちらから)
答弁は近日中にアップします(再質問に対する答弁の方が長いかも

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NHKスペシャルが2年前、巨大災害 MEGA DISASTER という5回シリーズの番組を放映しました。地球規模で急激に進む異常気象、あるいは地震や火山活動など地球規模で進む異変を、最新の研究成果を踏まえて解明しようという力作で、放映直後から大きな反響を呼びました。昨年はその続編MEGA DISASTER IIが、日本に迫る脅威をテーマとして4回シリーズで放映され、最新のCGも交えた迫力ある映像は、日常生活の隣り合わせに巨大災害が潜んでいるという現実を突きつけました。
そして今月4日、MEGA CRISISシリーズがスタートし、第1回は「巨大危機 異常気象との闘い」というテーマでした。番組冒頭、直前に東北・北海道を襲い大きな被害をもたらした台風10号と地球レベルの異常な気候変動との関係が指摘され、さらに北極圏の永久凍土が急激な勢いで溶け出し、これにより大量のメタンガスが放出されるシーンが映し出されました。これは気候変動の議論にはなかった未知のリスクで、気温上昇の連鎖はもはや引き返せないところまで来ているという研究者の発言は衝撃的でした。
 さて、番組をPRするつもりは全くありませんし、これら地球規模の異常気象や地殻変動の動きに珠洲市の防災対策、直ちに対応せよと言うつもりもありません。しかし、近年の巨大災害や異常気象は、決して運悪く続いたのではないということだけは認識しておかなければなりません。テストの点数に例えるなら、選挙事務は100点満点が当たり前、1点でも減点があれば全国ニュースとなるのに対して、防災対策はどこまでやっても満点はなし、まして対象となる災害は常に進化しています。そういう意味で、今回の台風10号をはじめとした相次ぐ全国各地の深刻な豪雨被害からも直ちに教訓をくみ取り、可能な対策をとるべきだと思います。
 今回の豪雨災害を受け、総務省消防庁は水害や土砂災害に対する防災体制を再点検するよう各自治体に指示しました。すでに防災関係者から様々な教訓が指摘されていますが、台風の上陸、豪雨が予想されていたにも関わらず対応が後手後手に回ったことが何より反省点だろうと思います。一方、いくつもの自治体がタイムラインと呼ばれる防災行動計画に基づき早めの備えをおこなったことにも注目が集まりました。
タイムラインと言えば米国のハリケーン対策としての有名ですが、国土交通省の日本型タイムラインの定義は、災害の発生を前提に、防災関係機関が連携して災害時に発生する状況を予め想定し、共有したうえで、「いつ」「誰が」「何をするか」に着目して、防災行動とその実施主体を時系列で整理した計画とのことです。主たる災害の発生時点をゼロ・アワーとし、そこから遡って個々の防災行動を実施するタイミングやそのために必要な時間などを整理し、ゼロ・アワーの時点の被害を最小にしていきます。
2年前から国土交通省が1級河川の氾濫浸水区域を対象に導入の検討をはじめ、今年8月末の時点で全国589の市区町村が策定しています。国土交通省は今年8月、自治体のタイムライン導入を進めるため、新たに策定・活用指針を示しました。対象となる災害も2級河川などの水害にも広げ、地震など突発的災害でも人命救助の「72時間」を意識したタイムラインも紹介しています。本市でも若山川など11本の2級河川があり、決して油断はできません。防災計画の中に新たにタイムラインを盛り込んでいくべきだと思いますがいかがでしょうか。

次にボランティア災害補償制度の創設についてお聞きします。
一言でボランティアと言っても活動内容は実に様々です。世界の紛争地域で人道支援活動を行う日本国際ボランティアセンターのようなNGOもあれば、観光客を案内する観光ボランティアガイド、福祉施設で洗濯物をたたむボランティア、道路脇の花壇の手入れをするボランティアなど、身近なところで活躍するボランティアもたくさんあります。自助・共助・公助とよく言われますが、ボランティア活動をはじめとした共助の拡大が今後ますます求められ、行政にとってもボランティアの市民活動支援は重要な政策課題となっています。先般策定された珠洲市まちづくり総合指針でも市民が幸せを実感できる自治体運営の推進としてボランティア活動へのサポートが盛り込まれています。
さて、ボランティアは基本的には本人の自発的な意思に基づく奉仕活動ですが、何らかの事故やトラブルがあった場合、ボランティアだからしょうがないよねと笑ってすますわけにはいかないケースも多々あります。福祉施設でボランティア中に入所者にケガをさせてしまった、あるいは帰宅途中に交通事故に遭ってケガをしたといったケースもあるでしょう。実はこうした事故・トラブルに備えての保険として、社会福祉協議会がボランティア活動保険やボランティア団体保険などを設けており、保険料への県の助成制度もあります。
一方、市内各集落では春先から秋にかけて江堀や川払い、道普請など地域の環境保全のための様々なボランティア活動も行われています。しばしばケガや対人、対物の責任を問われるような事故が発生しているようですが、保険に入っているという話を聞きません。草刈り機を使用した作業が最も危険を伴うと思いますが、社会福祉協議会のボランティア保険は、そのリスクゆえか草刈り機を使用する活動は保険の対象外としています。もちろん、区単位でも保険会社と交渉すれば保険加入は可能だと思いますが、手間や保険料負担を考えたら現実的には容易ではありません。結果的に、トラブルの多くは自己責任での対応となっていると聞きます。
しかし、全国他市の様子を調べてみると、草刈り機を使用した活動も含め様々な市民活動をサポートするボランティア補償制度を設けて、保険会社と契約している自治体があちこちあります。本市としても、広く市民が安心して地域の環境保全のボランティア活動に取り組めるよう、補償制度を創設すべきではないかと思いますがいかがでしょうか。

質問の3番目は禄剛埼灯台の文化財指定についてです。
「遅ればせながら」という市長のコメント付きで見附島の市文化財指定のニュースが報じられました。この見附島の文化財指定が議題として上った8月23日の教育委員会定例会を私は傍聴していましたが、見附島が漏れていたならもしかして狼煙の灯台も、と思い帰宅し確認してみなますとやはり指定されていません。
かつての能登半島ブームで湧いた頃、珠洲市を代表する観光地、見附島と狼煙の灯台は多くの観光客にとって少し眺めて、記念写真を撮るスポットでしかありませんでした。
近年、見附島はシーカヤックなども利用して新たな魅力を発信していますが、地球の歴史から見附島の形成過程に想いを馳せたとき、見附島一帯はミニジオパークとしての新たな魅力が浮かび上がります。
同様に狼煙の灯台、正式には禄剛埼灯台ですが、その魅力は半島先端の台地にそびえる白亜の勇壮な外観だけではありません。歴史的、文化的価値があることは平成21年2月、経済産業省から近代化産業遺産に認定されていることにも示されています。初点灯は明治16年7月10日、「日本の灯台の父」と呼ばれるスコットランド出身のリチャード・ヘンリー・ブラントンの設計を踏襲しつつも、日本人の手による最初の洋式灯台であり、灯台正面に掲げられた菊の紋章が国産の証と言われています。灯台を設置・管理する海上保安庁も、数ある明治期灯台の中でもその価値・保存状況はAランクと位置付けており、同種の灯台を見れば、国の登録文化財に登録されているものもあります。日本海航路の要として日本の近代化をささえた灯台であり、その歴史的・文化的価値は観光客だけでなく、市民も改めて学ぶ価値があるように思います。所有者である海上保安庁の意向は踏まえなければなりませんが、今後の文化財指定への所見をお聞きしたいと思います。

 関連してもう一点、珠洲市教育振興基本計画によれば珠洲市は自然と歴史の宝庫と評価される一方で指定文化財の件数は県内19市町の平均を下回っており、保護活動が追いついていない現状が明らかにされています。昨年12月議会で触れました国史跡「珠洲陶器窯跡」の整備活用に向けた整備基本計画の取りまとめも進んでいないのではないでしょうか。非常に残念なことです。計画では法的な保護の根拠となる文化財指定に向けて、調査研究と手続きを進めるための専任担当を確保すると記しているわけですが、人員体制の充実に向けた今後の見通しをお聞きしておきたいと思います。

質問の最後は学校現場の業務の適正化を巡る教育課題についてです。
この5年半、私は何回となく学校現場の超勤多忙化の実態を指摘し、その改善を訴えてきました。しかしながら現場の実態は年々悪化する一方と言わざるをえません。ブラック企業化する職場で日々苦闘を強いられている教員からは、採用試験を控えた教育実習生に「頑張れよ」と激励するのもためらわれると言われます。こうした職場環境は、子どもたちの成長の場としてもいいわけがありません。
私は、現在の教育政策の諸悪の根源は、グローバル化した企業が求める人間像を文科省に押し付ける財界、そして復古主義的な国家感、家族観、人間観を振りかざし民主教育を歪めている一部の政治勢力にあると思っています。そして文科省の中ではこうした流れに追随し、一緒になって突き進もうとする役人と、ブレーキをかけ文科省の存在感を少しでも示していこうとする役人がいるように感じます。
このような文科省に昨年、かなり長い名称の組織が新たに設けられました。「次世代の学校指導体制にふさわしい教職員の在り方と業務改善のためのタスクフォース」という組織です。タスクフォースというのは、もともとは軍隊用語ですが、特定の目的のために一時的に編成される特別作業班的な意味合いで、戦略性と機動性が重視される組織を指すとのこと。この組織がまさに機動性を発揮し、1年余りの検討を経て、今年の6月に「学校現場の業務の適正化にむけて」というタイトルの報告書をまとめました。学校現場の多忙化や長時間労働の実態を踏まえた具体的な改革の考え方や改善方策が示されており、県教育委員会や本市教育委員会に対して従来の見解や方針の転換を迫る内容が盛り込まれていると思えます。そこで今回はこの報告書をベースにしながら以下、教育長の所見をお聞きしていきたいと思います。

まず、基本的認識について2点お聞きします。
超勤多忙の勤務実態を巡っては、従来は「多忙か、多忙感か」という前教育長のこの議場での答弁に象徴されるように、教員の意識や働き方に起因するとの分析が主流を占めてきました。中でも露骨だったのは3年前に県教委が発行した「子どもと向き合う時間の充実を図るために」という見出しのパンフレットです。この議場でも紹介したことがありますし、教育長もご覧になられたことがあるかと思いますが、あらためて紹介しますと「教員は、効率的に事務処理を行ってワーク・ライフ・バランスを良好にするといった発想に乏しく、大多数の教員が業務と日常の生活の境目が曖昧である」と、多忙や多忙感は教員自らの責任と言わんばかりの記述があります。
これに対して今回の報告書は「教員は多忙を極めている状況」と実態を直視し、改革は待ったなし、「長時間労働の是正を図ることが不可欠」との基本的な考えを示しています。まず、この認識を教育長は共有できるでしょうか。

さらにこの報告書では長時間労働の是正にとどまらず、「教職員が本来の労働時間で退校することを理想の姿として目指す」という、文科省としては画期的な記載まであります。教育長はこの目標も共有できるでしょうか。

次に具体的な業務の適正化、長時間労働の是正に向けて以下5つの課題についてお聞きします。
まず、長時間労働是正の大前提である勤務時間の実態把握についてです。平成13年には労働安全衛生法に基づき厚労省労働基準局長通知が出され、さらに平成16年にはこの通知を踏まえた文科省初等中等教育企画課長通知が出され、各学校での適正な労働時間把握が求められてきました。5年前にはこの議場で私もこれらの通知に従った対応を求めました。
法律が求める勤務時間把握のポイントは4点あります。1つは管理職が教職員の労働日ごとに始業、終業時刻を確認し記録すること、2つ目は、記録方法は現認か、あるいはタイムカードなど客観的な記録を基礎とすること、3点目は記録した書類は3年間保存すること、そして4点目は労務管理責任者が労働時間管理上の問題点を把握しその解消を図ること。いずれも守られていません。そんな違法状態にあるにもかかわらず、1項目すら実施するという答弁はありませんでした。まさに教育委員会と管理職のコンプライアンスが問われています。これでよく道徳の教科化など語れたものだなぁとも思います。今回、報告書はあらためて管理職に対して「教職員の勤務時間外における業務の時間数を適正に把握するなど、適切に管理する責務を有する」と明記し、教育委員会に対してもイニシアチブをとるよう求めているわけですが、今後の対応についてお聞きします。

次に、学校給食費など学校徴収金会計業務の負担からの解放です。教員の業務見直しの具体的なテーマとして報告書が真っ先に掲げています。本市では学校給食費はほぼ口座引き落としとなっているかと思います。ただ、引き落としできない未納者がいた場合の大変さ、苦労は教育長ご自身も体験してこられたかと思います。また、これ以外にも修学旅行費や教材費の集金業務などもあり大きな負担となっています。イギリスでは「教員がしなくてよい業務」を明確化し、本来の業務に集中できるような環境整備を推進しているとのこと。日本でもまずは集金業務からというのは遅きに失した感もありますが、改善に向けた本市の対応方針をお聞きします。

次はICT支援員の配置についてです。ここ数年で市内小中学校のICTのハード面の整備は大きく前進しました。普通教室、特別教室のLAN整備事業や、大型モニター、パソコン、実物投影機、デジタル教材、そして今年は全小学校でタブレットも導入されました。近隣自治体や金沢方面から移動してこられた教員からも、かつては移動前の学校でやっていた授業が珠洲ではできないと嘆かれましたが、今ではハード面に関する不満は大きく減少しました。これについては評価をするわけですが、本来セットで行われるべき教育委員会のサポート体制が大きく遅れています。かねてから文科省は学校のICT化のサポート体制としてICT支援員の配置を推奨しています。昨年新たに文科省から示された「業務改善のためのガイドライン」でも同様です。授業での操作補助、クラスに見合ったデジタルコンテンツの作成、ICT機器を使う授業の事前準備、ホームページの作成、学校行事などで撮影したデジタル写真の整理や加工、ICT機器のメンテナンスやウィルスチェック、もちろん危機のトラブル対応や教員への個別の研修やアドバイスでスキルアップにもつながります。ICT支援員がいる自治体から移動してきた教員によると業務の効率化効果は一日当たりの1時間はあるだろうとのこと。もちろん効率化だけではなく授業の質の向上にも直結します。ハードを整備したんだからあとは現場で考えろというのは、政策としてあまりに杜撰です。ICT支援員の配置は必須の課題だと思いますが教育長いかがでしょうか。
実はICT支援員については5年前、そして昨年も配置を提案してきましたが、現場のニーズはもちろんのこと、業務内容すら理解しているとは思えない答弁の繰り返しでした。私の質問は適当に聞き流しても結構ですが、ICT支援員の必要性について文科省がまとめた報告書すら全く読んでいるとは思えない答弁は、ここであらためて紹介するのも恥ずかしいくらいです。すでに能登町や穴水町でも配置による大きな効果が確認されています。この課題については配置するまでしつこく繰り返すつもりですので、教育長はじめ教育委員、教育委員会事務局職員にはぜひ視察研修をおこない、ICT支援員の役割や具体的業務内容、教員の授業力の向上、そして業務改善の効果を学んできていただきたいと思います。教育長、いかがでしょうか。

業務改善を巡る4つ目の質問は学校と家庭、地域との連携のあり方についてです。現在本市が進める小中一貫教育の目的は、大きく一つは9年間を見据えた一貫した教育課程の編成や異学年交流の推進など学校の中の新たな仕組みの中で子どもたちを育てること、そしてもう一つは地域の中に学校を残すということではないかと思います。地域に学校を残す意義は2つあり、一つは9年間、子どもたちが暮らす地域とより近い関係を保つ中、地域の教育力を生かして子どもたちを育てるということ、もう一つは、「子どもは地域の宝」という言葉にもあるように、地域の中に学校があり、子どもたちがいて、地域の皆さんにとっても大きな励みになるということです。先人から受け継いできた歴史や伝統、環境をバトンタッチできる子どもたちがいることが地域のエネルギーにもつながります。
学校と地域の連携が従来にも増して大切になっていると思いますが、業務改善との関係で課題も忘れてはなりません。連携の名の下、本来は地域が主体的に担うべきことまで学校が安易に請け負っていることはないでしょうか。これでは逆に地域の力が弱体化していきます。
家庭との関係も同様です。今回の報告書は、教科指導だけでなく生徒指導、部活動指導を学校で一体的におこなう日本型教育は、国際的に高く評価されているとする一方で、複雑化・多様化する教育課題が教員に集中し、授業などの教育指導に専念しづらい状況だと指摘しています。本来は家庭が、あるいは教育行政ではなく福祉行政が対応すべきことまで学校が次々と抱え込んでいる現状があります。教員が子どもたちの全人格的成長に大きな役割を果たしていると言えば聞こえはいいですが、こんな国は世界中どこにもありません。
先ほど紹介した「業務改善のためのガイドライン」では「学校現場における負担軽減という視点を持ち、学校がやるべきこと、家庭がやるべきこと、地域がやるべきことの役割分担を図っていくことで教職員が子供と向き合う時間の確保へとつながる」としています。
泉谷市長も地域のニーズや家庭からの要望をなんでも請け負うために地域に学校を残す方針を打ち出したわけではないと思います。家庭や地域との連携は、直接は各学校長の判断で対応することになるとは思いますが、教育委員会が基本的な考え方をしっかりと示していくべきだと思います。教育長の所見、および学校現場の負担軽減に向けた教育委員会の役割についてお聞かせいただきたいと思います。

最後に出張研修の見直し・削減についてお聞きします。業務改善を関わる様々な課題が提起されている今回の報告書の中で、実はこの問題については触れられていません。私は珠洲市固有の非常に深刻かつ重要な課題だと思っています。そしてこの2学期からでもすぐに改善できる課題だとも思っています。
なぜ珠洲市固有の課題かと言えば、一つは研修の会場が多くの場合、金沢市内であり、珠洲が最も遠く、時間的、体力的負担が大きいということ。もう一つは、珠洲市は県内で唯一、小規模であっても地域に学校を残すという学校配置の方針をとっており、各学校の教員配置がぎりぎりの中で運営されているからです。
教職員を対象とした研修、実にたくさんあります。初任者研修にはじまり、初任者フォローアップ研修、5年、10年、20年経験者の研修、教科ごとの研修、いじめ問題への対応など今日的な様々なテーマを取り上げた研修などなど。夏期休業期間中だけではなく、授業がおこなわれる1学期や2学期の平日でも出張研修が頻繁に入っているようです。多忙化解消が叫ばれる中にあっても全く減少する気配がありません。教科担任制の中学校では1学期、時間割通りできた週はほとんどなかったという学校もあります。学級担任制の小学校はもっと大変です。特に複式が2クラスある小規模校が市内に4校ありますが、複式2クラス目の教員の加配がありませんので、自習の時間となって校長先生が教室に行く、さらに本来あってはならないことですが養護の先生まで教室に行くということも珍しくはないようです。級外の教員が何人もいる大規模校ならば対応が可能でも、小規模校ではこのような事態を招きます。
出張研修の問題は教職員の多忙化にとどまらず、自習が増加し、子どもたちの学習環境にもマイナスの影響を及ぼします。見直し・削減は学校現場の業務改善の最重点課題の一つだと思います、教育長の所見をお聞きします。

私は、子どもたちを残してなぜ先生がしょっちゅう研修に行かなければならないのか不思議でなりません。教育公務員特例法第22条第2項では「教員は、授業に支障のない限り、本属長、校長を意味しますが、承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる」と定めているわけで、振替の授業すら満足に確保できないなら、出張研修は断ってもいいのではないでしょうか。なぜ校長は出張命令を出すのでしょうか。ぜひわかりやすい説明をお願いしたいと思います。

そもそもなぜ金沢まで行かなければいけないのかもわかりません。県教委が学校管理についての見解をまとめた「石川県学校管理必携」によれば、出張とは「電信、電話、郵便等の通信手段によって公務の円滑な遂行を図ることができない場合」に勤務場所を離れて旅行するものとされています。グループ討議や実習などがある研修を除けば、いまや県教育センターのWeb上で研修講座を受講できるのではないでしょうか。教室を空け、往復5時間、ほぼ一日がかりで教育センターへ走ることは無駄としか思えません。県庁の17階で仕事をしている方々は発文一枚で県内中の学校から教員を集まることを当然だと思い込んでいるようです。これに対して学校現場の実情を踏まえ「ちょっと待った」と言える校長先生、残念ながらいないようです。個々の出張命令は校長の専権事項ですが、校長任せではいつになっても改善はないだろうと思います。ここは現場からの信頼が厚い多田教育長の出番ではないでしょうか。本当に行かなければならない研修内容なのか、そして学校運営上問題のない日程なのか、ネットを通じた研修ができないのか、こうした点を精査したうえで出張研修の判断をするよう校長会で確認していくべきではないでしょうか。

 私はこれまでも小規模校ゆえの多忙化の問題を指摘し、対応を求めてきましたが、残念ながら現状は厳しさを増す一方です。残念というのは、私の要望が通らないことを嘆いているわけではありません。小規模であっても地域の学校を残していこうという本市の方針、私も支持をしてきましたが、その政策のマイナス面への手当てが遅れ、問題が深刻化していることが残念でなりません。総合教育会議を主宰する市長にもぜひこのような課題に対して、知恵と財源を絞り出していただきたいということをお願いし、質問を終わります。


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