市議選の投票日まで80日を切った。
珠洲市では依然14人目の候補者として名乗り出る人がいない(定数14)。
もちろん、市内各地域では様々な方の名前が浮いては沈んでと日々動きがあるので、最終的には数人オーバーの選挙戦になるとは思うが、市民の皆さんの関心はまだまだ低いと感じる。
根本的には議会や議員への期待が低下し、存在感も薄れているのではないかと危惧する。
先日1月26日のブログでは、無競争選挙区が大量発生しそうな県議選情勢について、1人区(小選挙区)の問題にも絡めて少し書いたが(「ちょっと異常!?県内の県議選情勢」)、市町村(政令市は除く)議会選挙はもっと慢性的で深刻な問題を抱えているのではないか。
今日届いた「世界」3月号の「片山善博の『日本を診る』」は「統一地方選から地方議会改革を考える」というテーマで、こちらは大選挙区制という切り口から市町村議会の問題点を指摘している。
まず大選挙区制では議員の「品質管理」が難しいと指摘する。
珠洲市議会は定数が14と市町村議会の中では小規模に属するが、それでも全候補者の主義主張などの情報を把握して投票している人は少ないだろう。まして都市部のように30~40くらいの定数となれば選択肢が多すぎて「いい人」を選びようがない。
有権者がある程度自信を持って選べるのは候補者がせいぜい数人の場合ではないかと片山氏はいう。
加えて、大選挙区制では自ずと当選ラインが低くなるので、議員は市全体、市民全体の利益より特定の「部分益」に目を向けがちになる。
これが議員の口利きの温床ともなる。
こんな議員は便宜を受けた人以外の人からは嫌われるので次の選挙では落選すると思いきや、10人中9人に嫌われても当選できるのが大選挙区制。
片山氏は「憎まれっ子世は憚る」が大選挙区制の特徴だと指摘する。
うん、うんとうなずく方も多いのではないか。
さらに大きな問題として、大選挙区制は選挙に際しては議員同士みんな敵となるので単独行動に走りがち。
二元代表制の下、首長に対峙する議員は議会としてのチームプレーが大事だが、足の引っ張り合いになり制度がうまく機能しない。
まさに構造的な欠陥ありと指摘する。
たまたま珠洲市議会でもこうした動きがあったことを1月29日のブログで紹介した。
こうした問題を解決するため、片山氏はアメリカの自治体議会選挙のような小選挙区制を推奨しつつ、中選挙区制、あるいは小選挙区制と大選挙区制の併用もありと提案する。
私は、英米のような政党政治が自治体にまで及んでいるところと違い、日本の自治体選挙に小選挙区制を導入すれば「飯田町の市議会議員」「三崎町の市議会議員」といったように「地域益」の代表が集まった議会にしかならないと思うので片山氏の提案に全面的に賛同するわけではないが、地方議会改革の議論の中で選挙制度改革も大事な課題だと言う指摘は同感。
市町村単位の選挙区を基本とする公職選挙法第15条第6項の改正を全国で議論すべきだと思う。
わずか3ページの文章なので、うちのまちの議会(議員)はケシカランと思っている皆さんには、議員定数や議員報酬以外の改革の切り口としてぜひ一読をお薦めしたい。
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