今日の一般質問の原稿です。ちょっと長いですがご笑覧を。
質問時間は29分30秒ほどです。
質問の通告書はこちら です。参考までに。
答弁は近日中にアップします。
質問の最後、集団的自衛権についての市長答弁だけ紹介。
「珠洲市長として、珠洲市議会においてお答えする見解は持ち合わせておりません!」
これまで歴史認識や特定秘密保護法についてはそれなりの答弁していた市長だが、さすがに今日、この時点(午後2時ころ)で慎重に議論を、とも言えなかったか。
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2040年には人口半減、さらには自治体消滅というショッキングな予測が相次ぐ中、多くの市民の中には、珠洲上空に吹く追い風への期待より、足元に吹き付ける逆風、寒風に対する危機感、悲観論も少なくありません。
こうした中で実施された先の市長選挙は、市政60年を迎えた珠洲市の将来像を巡る論戦が大いに期待されました。結果的には市長の信任投票だったとの声も聞かれるわけですが、政策面で問われたのは何だったのか、市民の選択は何だったのか、少数意見であったとしても汲むべき点はないのか、そんな観点から市長選挙を振り返っておくことも大切ではないかと思います。
私なりに争点というか論戦の深まりを期待した3点を挙げてみたいと思います。まず人口急減、そして世帯数急減時代の地域づくりです。コンパクトシティという政策があります。都市の郊外への拡大を抑制して中心市街地の空洞化を防ぎ、コミュニティの再生や利便性の高いまちづくりを目指す都市政策です。富山市がしばしばモデルとして紹介されますが、この視点を過疎化が進む珠洲のまちづくりにも当てはめようという提起がありました。住宅地の整備しかり、学校の配置しかり、買い物弱者への対応しかり。一見、暮らしやすく、財政効率も良くなりそうですが、裏を返せば農村集落からの撤退論でもあります。山林や農地の維持がますます困難となり、地域の特色や文化の継承も課題となります。結果としてコンパクトシティ論への支持は広がらず、地域に密着した暮らしと元気づくりを行政が後押ししていく方向性が支持されました。ただし、将来の不安が解消されたわけでは決してなく、集落分散、低密度居住の地域構想を打ち出すことが急務です。
2点目は地域活性化の方向性です。地域の食の魅力に光を当て、スモールビジネス、ローカルビジネスの創出を図り、交流人口の拡大と一次産業の振興に取り組んできたのが泉谷市政の8年間だとするならば、危機的な人口減少の中、その歩みはのろ過ぎる、日本全国を駆け回り、今まで珠洲市になかった新しい仕事を誘致し、雇用の場を増やすんだという主張が展開されました。企業誘致による活性化は60年前の市制発足直後から言われ続けた課題であり、最大の企業誘致計画が原発でした。もちろん、市内には誘致活動の成果としての企業もありますが、今後の雇用拡大の基本は世界農業遺産にも認定された地域資源のさらなる活用であり、新たな企業誘致も珠洲市の特性を生かした分野で追求するという方針が支持されました。
3点目は教育です。市内を4ブロックに分け、小中一貫校を軸に学校をできる限り地域に存続させる現方針に対して、宝立小中学校以外の学校は市内中心部に統合するという対案が示されました。私が特に注目したのは学校選択制の提案です。イギリスの教育改革の大失敗例ですが、国内でも一部の自治体が実施し、経済界からは依然導入に向けた提案が繰り返されています。地域の教育力を活かし、地域の中で子どもたちを育てていこうという方針とは対極にある提起であり、こちらも支持は広がりませんでした。
冒頭申し上げたように、論戦が深まらなかったことは非常に残念でしたが、この選挙結果を単なる現状追認ではなく、市民の皆さん自らが選択した方向性として自覚することが大切だと思います。同時に行政もその方向での政策の深化を図ることが求められます。そうでなければなんのための選挙だったのかということになります。
そこで私が注目したいのは、市長が新たに策定の意向を示されている総合指針です。現在の第5次珠洲市総合計画は平成27年度で終了します。その後については2011年の地方自治法の一部改正で、基本構想策定の義務付けが撤廃され、議会の議決を含め、基本構想を策定するか否かは自治体の判断に委ねられています。
そこで新たに策定する予定の総合指針について以下4点、お聞きをしたいと思います。
まず、総合指針策定は、法律の根拠はないわけですが、行政内部の任意計画とするのか、独自に条例を制定し、条例に根拠をもつ計画とするのか、いかがお考えでしょうか。
2点目、総合指針の構成についていまひとつイメージがわかないわけですが、市長からは議会答弁で「普遍的な目標となるよう、幸福度を取り入れた総合的な指針とすべきではないか」との思いが示されています。計画は何年のスパンを考えているのでしょうか。指針ということですから従来の総合計画とは異なり、目標達成年度は定めず、方向性だけを示すということなのでしょうか。
3点目、総合計画の問題点として市長交代と連動できないことが指摘されていました。確かに現在の第5次総合計画は貝蔵前市長の下で策定されており、泉谷市政8年間、この計画の縛りがあったとしたなら非常に奇妙なことです。一方、新たな総合指針は普遍的な目標を掲げるとのことですが、泉谷市政が未来永劫都続くわけでもありません。市長の任期との関連をどのようにお考えでしょうか。
4点目は議会との関係です。従来の総合計画は、基本構想のみ議会の議決事項となっていました。総合指針に対する議会の関与のあり方、特に議会の議決を要する計画とするのかどうかお聞きをしたいと思います。
次の質問に移ります。国内の雇用情勢、ここ数カ月で大きく変貌しています。東日本大震災からの復興や東京オリンピックに向けた建設業界の労働需要に加え、外食・小売り業界でも人手不足が理由で、ある大手居酒屋チェーン今年度中の60店舗閉店を決め、ある大手牛丼チェーンは120店舗が休業に追い込まれたとのこと。慢性的な人手不足状態の看護や医療関連の業界でも他の業種への人材の流出で不足感が一層増しているとも言われます。日本全国、まるでにわか人手不足現象といった感があります。県内でも、先の知事選あたりで能登地域の有効求人倍率が1倍を超えたと話題になりました。もっともこの時点での求人増は非正規雇用が中心で雇用情勢は依然厳しいとのことでしたが、最新の珠洲市内の求人情報を見ますと、正規雇用も増えているのではないでしょうか。
そこでまず1年前と比較し、市内の雇用情勢はどのように変化しているでしょうか。求人倍率など数値も含め、お聞きしたいと思います。
ついこの前までの就職難がウソのようですが、中小零細企業を中心にした人手不足倒産が、今年は1.5倍から2倍に増加するのではないかという東京商工リサーチの指摘もあります。そこで市内の事業所で人手不足による経営の縮小、倒産の心配はないか、念のため、お聞きします。
実は日本経済の人手不足は、いま新しく浮上したわけではなく、少子化による構造的な課題です。リーマンショックによる不況で一時的に隠れていただけです。市長は交流人口の拡大などで経済を活性化させ、雇用の拡大につなげ、人口の減少に歯止めをかけたいと述べていますが、雇用の場があっても実際に雇用の拡大につながらない事態となれば、市の活性化の基本方針が揺らぎかねません。高卒者の地元就職、U・Iターンの呼びかけなど、地元雇用の確保に向けた対応を強化すべきではないかと思いますが見解をお聞きします。
依然求人と求職のミスマッチは大きく、景気の先行きも不透明感が残りますが、当面の傾向としては、人手不足感は続くのではないでしょうか。この際、賃金を含め労働条件の改善も進めばいいと思いますが、安倍政権は労働者保護ルール改悪の動きを一段と強めようとしています。財界の要望を受けて、残業代ゼロの長時間労働への道を開くホワイトカラーエグゼンプションや首切り自由化につながる解雇の金銭解決制度の導入、さらには生涯派遣で低賃金労働を固定化させる派遣法の改悪など、企業に依存した暮らしではますます息苦しくなるのではと心配されます。
こうした中、都市部と比べて珠洲の強みは、藻谷浩介さんが提唱し有名になった「お金に依存しないサブシステム」としての「里山資本主義」の実践に適した地域という点にあるのではないかと思います。働き方と暮らし方をセットで捉え、市内で就職する魅力をアピールすべきではないかと思いますがいかがでしょうか。
次に県内の自治体で珠洲市だけという話を二つさせていただきたいと思います。
連合石川という労働組合のローカルセンターがあります。そしてその下部組織として県内4地区に地域協議会も組織されています。毎年秋から年末にかけて、連合石川は県に、各地域協議会はそれぞれのエリア内の自治体に政策制度要求として、労働者の生活向上や労働者の立場からのまちづくりの提言など盛り込んだ要請書を提出しています。谷本知事はじめ、ほとんどの自治体では首長に対応していただき、後日、要請書に対する回答を文書でいただいています。
そこで珠洲市だけという話の一つ目ですが、県を含め県内20自治体の中で文書回答をいただけないのは珠洲市だけ、毎年お願いしていますがいまだ一度もいただけません。おそらく、連合石川能登地域協議会に対してだけ回答をしないという差別的な対応ではなく、基本的に文書回答をしないという方針かと思います。
市長への要望、陳情の類は年間通じて数多くあると思いますし、口頭のやり取りで終わることもあるだろうと思います。その一方で、言いっぱなし、聞きっぱなしではよくないというケースも多々あるのではないでしょうか。もし文書回答をおこなわないという方針や慣例があるのならば、県内で珠洲市だけとなります。提出団体から要望があった場合は文書回答を行うべきだと思います。如何でしょうか。
次に、先般マスコミでも大きく報道されましたが、北陸電力の株主で構成される「北陸電力と共に脱原発を進める株主の会」という団体があります。すでに25年間の活動実績があり、今年ははじめて株主提案権を行使できる3万株以上の株を保有するに至り、先月26日に開催された株主総会では会社の定款に脱原発を明記することなど5つの議案を提出しています。
この株主の会が5月に石川、富山両県の36自治体すべてに対して、北陸電力の株式保有状況について調査依頼の文書を送付しました。保有しているか否か、保有しているとすれば何株かというシンプルな照会であり、その調査目的も明記されています。回答状況を聞いたところ、4つの自治体は無回答でしたが、他は石川県庁、富山県庁を含めて回収されたとのこと。
そこで珠洲市だけという話の二つ目です。回答があった32自治体中、珠洲市だけがこの調査依頼に対して、北陸電力の株式保有は情報公開請求の対象であり、市外の団体は条例に定められた請求権者ではないため、回答できないとの回答だったそうです。
行政組織にはマスコミや大学、研究機関など多くの組織からアンケートなど調査依頼が数多く寄せられます。珠洲市も基本的には丁寧に調査に協力しておられるものと思います。今回、他の自治体は情報公開の請求対象とはせず、この調査依頼に対応しています。珠洲市だけなぜ情報公開条例を盾に回答を拒否したのか、よっぽどたくさんの株を持ってるんじゃないのと笑われてますので、ぜひその判断基準について明快なお答えをいただきたいと思います。
次に教育委員会制度の見直しについてお聞きします。
戦前の「お国のための教育」の反省からスタートした戦後教育ですが、安倍首相はこれをあらゆる面で変えてしまいたいようです。第一次安倍政権での教育基本法改悪に続き、現在の第二次政権の下でも新たな「お国のための教育」復活に突き進んでいます。教科書検定基準を変えて政府見解を記載するようし、子どもの発達段階にはお構いなく小学教科書に領土問題を記述させ、道徳を教科にする動きも進めています。戦後の民主化の中で導入された教育委員 会制度の見直しも安倍首相の悲願の一つで、先の通常国家ではついに地方教育行政法も改訂されました。
今回の教育委員会制度の見直し内容を簡単に整理すると、首長は教育委員会と話し合う総合教育会議という新たな会議を主宰し、教育行政の大方針となる総合的な施策の大綱を定めます。そして首長が自ら選んだ常勤の教育長が非常勤の教育委員を束ね、事務方の実務を仕切ることになります。
先の市長選挙では、市長自ら珠洲の教育のあり方について有権者の皆さんに訴えました。議会では教育に関する答弁の多くは教育長になりますが、市長は教育委員会関係も含めた予算編成権を持ち、また小中学校の設置者は市でもあるわけですから、教育政策も含めて有権者の皆さんから審判を受けたことは、今後の教育施策の推進にプラスだろうと思います。しかし、一方で、安倍首相のように教育の中身にまで政治が手を突っ込み、また大阪の橋下市長のように「選挙で選ばれた市長こそ民意を反映できる」と主張してズカズカと教育行政に踏み込んでは、教育が政治に振り回されることになりかねません。賛否両論渦巻いた今回の60年ぶりの制度見直しですが、いずれにしても、従来以上に教育に関する権限が拡大する市長に、新たな役割に臨む基本的姿勢と、教育の政治的中立性の確保についての見解をまずお聞きしたいと思います。
教育長の権限も強化され、新たに従来の教育委員長の役割も兼ねた新教育長となります。日本教育新聞社が全国の市区町村教委の教育長に行ったアンケートでは、半数の教育長が今回の制度改革は有効ではないとし、有効と考えた教育長は2割にとどまっています。首長の権限強化に加え、教育委員会がますます形骸化し、教育長と事務局主導の組織になるのではないかとも懸念されますが、法改正のメリット、デメリットをどのように捉えておらえるかお聞きをしたいと思います。
二転三転しながらの今回の制度見直しについて端的に評価するなら、戦後の教育行政を転換させたが大転換には至らなかったということかと思います。中央教育審議会の教育制度分科会長として答申をまとめた小川正人放送大学教授は次のように述べています。
「今回、教育委員会制度は執行猶予をもらった。本来期待されている取り組みを本気で進めないと、廃止の流れが一気に強まるだろう」
私は、教育委員会の執行機関としての位置づけがギリギリ残されたのは重要だと思います。多様な民意が反映される合議制の機関としての原点に立ち帰り、教育委員会改革をさらに進めるため、若干の提案をさせていただきたいと思います。
地教行法は第5条で、市長が教育委員を任命するにあたっては、委員の年齢、性別、職業等に著しい偏りが生じないように配慮することとしています。そこでまず、現在、5人のうち1人だけである女性委員を少なくとも二人は増やすべきでしょう。男女共同参画の理念からしても当然のことだろうと思います。さらに加えて教育委員の公募制も導入してはどうでしょうか。すでに導入している自治体では教員委員会に対する市民の関心が高まったとの声もあります。また教育委員は市外の人でも就任可能ですから、より広く人材を募り活性化につなげる一つの手法としても有効ではないでしょうか。
もう一点、情報発信については少し改善されましたが、依然、弱いなぁと感じます。子どもたちや保護者、教職員、地域住民の声をどのように教育行政に反映させているのか、ホームページや広報すずなどを活用して積極的に情報を発信し、合わせて透明性も高めていくべきだと思いますがいかがでしょうか。
次に、いじめ対策基本方針についてお聞きします。
6月20日の第6回教育委員会で珠洲市いじめ防止基本方針が了承されました。若干の文言修正が残っているようですが、今月中には公表されるかと思います。この間、5月、6月の定例会で協議が重ねられてきたわけですが、率直に言って傍聴していても何を論点として議論しているのかよくわかりません。国の方針をそのまま受け入れるだけなら、それはいじめ防止対策推進法の趣旨からも逸れることになります。
そこで質問の一点目ですが、いじめ対策法では、地方自治体の方針策定にあたっては地域の実情に応じて定めるよう記されています。今般、了承された市の方針は、地域の実情をどのように捉えて策定されたのか、まずお聞きをしたいと思います。
私は国の方針自体、数多くの問題があると思っています。いじめの防止や解決にあたっては、なによりいじめを受けた子の権利を尊重する視点が大切だと思いますが、いじめている子にどう対処するかに比重が置かれているように思えてなりません。相談態勢や生徒指導、研修など様々な制度や体制整備が総花的に羅列されていますが、すべてメニューの基本に子どもの権利、子ども主体の視点がないと結果的に傷ついた子がさらに傷を受けることにもなりかねません。隠ぺいがあってもいけませんが、隠ぺい批判を恐れての過剰反応や子ども不在の早期対応はかえって問題を悪化させかねません。市の方針では、いじめられている子どもの最善の利益を優先することを明記すべきと考えます。いかがでしょうか。
先般はOECDの調査で日本の先生が加盟国の中で一番多忙という勤務実態が明らかにされました。いじめの防止や早期発見に向けてたくさんのメニューを盛り込んでも、そのために現場がますます多忙になり、子どもと接する時間が奪われてしまっては本末転倒です。教員の多忙化解消はいじめ防止指針の基本中の基本ではないでしょうか。また、学校教育のあり方自体が過酷な競争を強いられる現代社会の縮図となり、いじめを生む土壌となっている点も見逃せません。いじめの傍観者を生む点数学力偏重の学びのあり方なども私は反省が必要だと思います。こうした点も視野に入れたいじめ防止指針にすべきと思いますが見解をお聞きします。
あと一点、子どもへの権利侵害はいじめに限りません。虐待や体罰、不登校など様々な問題があります。先ほど指摘しましたように、なにより子どもの権利を守るという視点からスタートするならば、いじめに特化したいじめ対策法ではなく違った法律になったのではないかと私は思います。全国的には兵庫県川西市が1998年に川西市子どもの人権オンブズパーソン条例を制定したのを皮切りに、各地で公的第三者機関としての子どもオンブズ制度が広まっています。子どもの権利救済で数多くの具体的成果をあげ、自治体間の情報の共有化、そして学び合いが進んでいます。いじめ対策法は、こうした自治体の実践には学ばず、別の文脈の中から飛び出したかのような違和感のある法律です。国に追随ではなく、むしろ先進自治体にこそ学び、子どもの権利侵害に総合的に応えていくことが重要です。少なくともそうした動きを視野に入れながら今回のいじめ防止基本方針も検討していただきたいと思いますがいかがでしょうか。
次に新図書館建設についてお聞きします。
今議会冒頭の提案説明の中で、早急に検討委員会を立ち上げ、平成30年度の開館を目指す方針が示されました。4年後の新図書館オープンに向け、市民の皆さんの夢が膨らんでいくことを期待したいと思います。
教育委員会はさる6月20日、委員の公募を含む新図書館建設検討委員会設置要綱をすでに制定しています。図書館を所管する教育委員会の下で検討委員会が設置され、そこで構想が練られること自体はなんら不思議ではないのですが、市長はこの間、「児童館と併設」あるいは「子育て支援機能を有する複合施設」とする意向を示してきました。さらには本市出身の画家や芸術家の方々の作品の展示についても新図書館の整備と併せて考えていく意向も示されています。児童館との併設が児童館プラス子育て支援センターの併設へ、さらにはギャラリーでしょうか、ミニ美術館でしょうか、そういった施設も併設へと、だんだん膨らんできているように思います。果たしてここでうち止めなのかもわかりません。
そこでお聞きしますが、近く立ち上げる検討委員会で検討するのは新図書館に限ってのコンセプトや機能、規模といったことになるのか、あるいは児童館や子育て支援センター、さらには美術品の展示スペースも合わせ持つ複合施設のあり方やその是非も含めて検討するのでしょうか。今日発行の広報すずではさっそく募集のお知らせが掲載されていますが、これによって公募に応じる市民も違ってくるかもしれません。また、検討委員会の事務局も教育委員会だけでなく福祉課も必要ということになるかもしれません。
次に開館に向けてのスケジュールです。平成30年度という目標が示されましたが、合わせて検討委員会ではできるだけ時間をかけて様々な意見を聴きたいとの意向も示されました。そこで、今後のおおよそのスケジュールをお聞きしておきたいと思います。
質問の最後は、今日にも閣議決定されようとしている集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の変更についてです。
集団的自衛権の意味をあらためて確認しますと、他の国家が武力攻撃を受けた場合に直接攻撃を受けていない第三国が協力して共同で防衛を行う国際法上の権利のこととされます。そして第三国が集団的自衛権を行使するには、宣戦布告を行い中立国の地位を捨てる必要があります。つまり、どのような屁理屈をこねようと、日本が攻撃されてもいないのに戦争当事国になるということです。
しばしば友だちが殴られているのに放っておけるのかという例えが出てきます。しかし、友だちが殴られたからといって割って入って相手を殴るのはヤクザの論理です。ケンカにならないよう仲裁に入るのが市民社会です。限定的に殴るのは1発だけと決めていると言っても、相手がどう出るかはわかりません。おれはお前にケンカを売ったわけじゃないのに何で手を出すんだと2発3発殴り返され、蹴りも入るかもしれません。一対一のケンカのつもりだったが、お前が加勢するならおれも仲間を連れてくるぞとなるかもしれません。大げんかに拡大です。
いまから100年前の6月28日、サラエボでオーストリア皇太子が一発の銃弾で暗殺されました。これが引き金となり戦禍がヨーロッパ全土に拡大し、900万人の戦闘員、そして1000万人もの市民が犠牲者となる第一次世界大戦になるとは誰も予測できませんでした。
抑止力を高めることが目的ともいわれますが、この100年、世界で最も戦争をしてきたのは同盟国と言われるアメリカに他なりません。他国への攻撃や軍隊の侵攻も含めると実に40回。常に世界のどこかで米軍は戦火を交えていると思った方がいいでしょう。戦後69年間、他国を攻撃したり、攻撃されたりといったことがなかった日本ですが、アメリカの戦争に巻き込まれ、戦争当事国となる可能性が一気に現実味を帯びてきました。
今日、7月1日は自衛隊が発足してちょうど60年の節目となります。60年間、他国の人を殺さず、また戦争犠牲者を出さなかった自衛隊ですが、これからは殺し、殺される時代に入ります。韓国はかつて、アメリカとの集団的自衛権を行使し、ベトナム戦争で5000人もの犠牲者を出しています。 戦争当事国ですから国内にも反撃が及び市民が巻き込まれる危険性もあります。石川県も日米合同演習を繰り返す小松基地はじめ、金沢、輪島にも自衛隊基地があり、さらに志賀原発もあります。攻撃対象とならない保障はありません。
平和憲法の下、非軍事の分野で世界に貢献し、国際的評価を受けてきた戦後日本の歩みが一気に覆ることになります。まさに歴史の大転換です。にもかかわらず、憲法改正手続きを経ることもなく、憲法解釈変更の閣議決定で突破しようとしています。権力の暴走を憲法によって防ぐという立憲主義を全く理解せず、これでは世界に対して法治国家から軍事独裁国家になったと宣言するようなものです。
アメリカと緊密な関係を築いてきた中曽根首相や小泉首相ですら集団的自衛権は憲法上行使できないと国会で明言してきました。多くの憲法学者はじめ各界各層、多くの国民が全国各地で今現在も抗議の声をあげています。そして住民の安全を守るべき立場にある自治体の首長からも安倍政権の暴走を危惧する声があがっています。最後に集団的自衛権行使容認の是非、そして解釈改憲という手法の是非について市長の見解をお聞き、質問を終わらせていただきます。
質問時間は29分30秒ほどです。
質問の通告書はこちら です。参考までに。
答弁は近日中にアップします。
質問の最後、集団的自衛権についての市長答弁だけ紹介。
「珠洲市長として、珠洲市議会においてお答えする見解は持ち合わせておりません!」
これまで歴史認識や特定秘密保護法についてはそれなりの答弁していた市長だが、さすがに今日、この時点(午後2時ころ)で慎重に議論を、とも言えなかったか。
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2040年には人口半減、さらには自治体消滅というショッキングな予測が相次ぐ中、多くの市民の中には、珠洲上空に吹く追い風への期待より、足元に吹き付ける逆風、寒風に対する危機感、悲観論も少なくありません。
こうした中で実施された先の市長選挙は、市政60年を迎えた珠洲市の将来像を巡る論戦が大いに期待されました。結果的には市長の信任投票だったとの声も聞かれるわけですが、政策面で問われたのは何だったのか、市民の選択は何だったのか、少数意見であったとしても汲むべき点はないのか、そんな観点から市長選挙を振り返っておくことも大切ではないかと思います。
私なりに争点というか論戦の深まりを期待した3点を挙げてみたいと思います。まず人口急減、そして世帯数急減時代の地域づくりです。コンパクトシティという政策があります。都市の郊外への拡大を抑制して中心市街地の空洞化を防ぎ、コミュニティの再生や利便性の高いまちづくりを目指す都市政策です。富山市がしばしばモデルとして紹介されますが、この視点を過疎化が進む珠洲のまちづくりにも当てはめようという提起がありました。住宅地の整備しかり、学校の配置しかり、買い物弱者への対応しかり。一見、暮らしやすく、財政効率も良くなりそうですが、裏を返せば農村集落からの撤退論でもあります。山林や農地の維持がますます困難となり、地域の特色や文化の継承も課題となります。結果としてコンパクトシティ論への支持は広がらず、地域に密着した暮らしと元気づくりを行政が後押ししていく方向性が支持されました。ただし、将来の不安が解消されたわけでは決してなく、集落分散、低密度居住の地域構想を打ち出すことが急務です。
2点目は地域活性化の方向性です。地域の食の魅力に光を当て、スモールビジネス、ローカルビジネスの創出を図り、交流人口の拡大と一次産業の振興に取り組んできたのが泉谷市政の8年間だとするならば、危機的な人口減少の中、その歩みはのろ過ぎる、日本全国を駆け回り、今まで珠洲市になかった新しい仕事を誘致し、雇用の場を増やすんだという主張が展開されました。企業誘致による活性化は60年前の市制発足直後から言われ続けた課題であり、最大の企業誘致計画が原発でした。もちろん、市内には誘致活動の成果としての企業もありますが、今後の雇用拡大の基本は世界農業遺産にも認定された地域資源のさらなる活用であり、新たな企業誘致も珠洲市の特性を生かした分野で追求するという方針が支持されました。
3点目は教育です。市内を4ブロックに分け、小中一貫校を軸に学校をできる限り地域に存続させる現方針に対して、宝立小中学校以外の学校は市内中心部に統合するという対案が示されました。私が特に注目したのは学校選択制の提案です。イギリスの教育改革の大失敗例ですが、国内でも一部の自治体が実施し、経済界からは依然導入に向けた提案が繰り返されています。地域の教育力を活かし、地域の中で子どもたちを育てていこうという方針とは対極にある提起であり、こちらも支持は広がりませんでした。
冒頭申し上げたように、論戦が深まらなかったことは非常に残念でしたが、この選挙結果を単なる現状追認ではなく、市民の皆さん自らが選択した方向性として自覚することが大切だと思います。同時に行政もその方向での政策の深化を図ることが求められます。そうでなければなんのための選挙だったのかということになります。
そこで私が注目したいのは、市長が新たに策定の意向を示されている総合指針です。現在の第5次珠洲市総合計画は平成27年度で終了します。その後については2011年の地方自治法の一部改正で、基本構想策定の義務付けが撤廃され、議会の議決を含め、基本構想を策定するか否かは自治体の判断に委ねられています。
そこで新たに策定する予定の総合指針について以下4点、お聞きをしたいと思います。
まず、総合指針策定は、法律の根拠はないわけですが、行政内部の任意計画とするのか、独自に条例を制定し、条例に根拠をもつ計画とするのか、いかがお考えでしょうか。
2点目、総合指針の構成についていまひとつイメージがわかないわけですが、市長からは議会答弁で「普遍的な目標となるよう、幸福度を取り入れた総合的な指針とすべきではないか」との思いが示されています。計画は何年のスパンを考えているのでしょうか。指針ということですから従来の総合計画とは異なり、目標達成年度は定めず、方向性だけを示すということなのでしょうか。
3点目、総合計画の問題点として市長交代と連動できないことが指摘されていました。確かに現在の第5次総合計画は貝蔵前市長の下で策定されており、泉谷市政8年間、この計画の縛りがあったとしたなら非常に奇妙なことです。一方、新たな総合指針は普遍的な目標を掲げるとのことですが、泉谷市政が未来永劫都続くわけでもありません。市長の任期との関連をどのようにお考えでしょうか。
4点目は議会との関係です。従来の総合計画は、基本構想のみ議会の議決事項となっていました。総合指針に対する議会の関与のあり方、特に議会の議決を要する計画とするのかどうかお聞きをしたいと思います。
次の質問に移ります。国内の雇用情勢、ここ数カ月で大きく変貌しています。東日本大震災からの復興や東京オリンピックに向けた建設業界の労働需要に加え、外食・小売り業界でも人手不足が理由で、ある大手居酒屋チェーン今年度中の60店舗閉店を決め、ある大手牛丼チェーンは120店舗が休業に追い込まれたとのこと。慢性的な人手不足状態の看護や医療関連の業界でも他の業種への人材の流出で不足感が一層増しているとも言われます。日本全国、まるでにわか人手不足現象といった感があります。県内でも、先の知事選あたりで能登地域の有効求人倍率が1倍を超えたと話題になりました。もっともこの時点での求人増は非正規雇用が中心で雇用情勢は依然厳しいとのことでしたが、最新の珠洲市内の求人情報を見ますと、正規雇用も増えているのではないでしょうか。
そこでまず1年前と比較し、市内の雇用情勢はどのように変化しているでしょうか。求人倍率など数値も含め、お聞きしたいと思います。
ついこの前までの就職難がウソのようですが、中小零細企業を中心にした人手不足倒産が、今年は1.5倍から2倍に増加するのではないかという東京商工リサーチの指摘もあります。そこで市内の事業所で人手不足による経営の縮小、倒産の心配はないか、念のため、お聞きします。
実は日本経済の人手不足は、いま新しく浮上したわけではなく、少子化による構造的な課題です。リーマンショックによる不況で一時的に隠れていただけです。市長は交流人口の拡大などで経済を活性化させ、雇用の拡大につなげ、人口の減少に歯止めをかけたいと述べていますが、雇用の場があっても実際に雇用の拡大につながらない事態となれば、市の活性化の基本方針が揺らぎかねません。高卒者の地元就職、U・Iターンの呼びかけなど、地元雇用の確保に向けた対応を強化すべきではないかと思いますが見解をお聞きします。
依然求人と求職のミスマッチは大きく、景気の先行きも不透明感が残りますが、当面の傾向としては、人手不足感は続くのではないでしょうか。この際、賃金を含め労働条件の改善も進めばいいと思いますが、安倍政権は労働者保護ルール改悪の動きを一段と強めようとしています。財界の要望を受けて、残業代ゼロの長時間労働への道を開くホワイトカラーエグゼンプションや首切り自由化につながる解雇の金銭解決制度の導入、さらには生涯派遣で低賃金労働を固定化させる派遣法の改悪など、企業に依存した暮らしではますます息苦しくなるのではと心配されます。
こうした中、都市部と比べて珠洲の強みは、藻谷浩介さんが提唱し有名になった「お金に依存しないサブシステム」としての「里山資本主義」の実践に適した地域という点にあるのではないかと思います。働き方と暮らし方をセットで捉え、市内で就職する魅力をアピールすべきではないかと思いますがいかがでしょうか。
次に県内の自治体で珠洲市だけという話を二つさせていただきたいと思います。
連合石川という労働組合のローカルセンターがあります。そしてその下部組織として県内4地区に地域協議会も組織されています。毎年秋から年末にかけて、連合石川は県に、各地域協議会はそれぞれのエリア内の自治体に政策制度要求として、労働者の生活向上や労働者の立場からのまちづくりの提言など盛り込んだ要請書を提出しています。谷本知事はじめ、ほとんどの自治体では首長に対応していただき、後日、要請書に対する回答を文書でいただいています。
そこで珠洲市だけという話の一つ目ですが、県を含め県内20自治体の中で文書回答をいただけないのは珠洲市だけ、毎年お願いしていますがいまだ一度もいただけません。おそらく、連合石川能登地域協議会に対してだけ回答をしないという差別的な対応ではなく、基本的に文書回答をしないという方針かと思います。
市長への要望、陳情の類は年間通じて数多くあると思いますし、口頭のやり取りで終わることもあるだろうと思います。その一方で、言いっぱなし、聞きっぱなしではよくないというケースも多々あるのではないでしょうか。もし文書回答をおこなわないという方針や慣例があるのならば、県内で珠洲市だけとなります。提出団体から要望があった場合は文書回答を行うべきだと思います。如何でしょうか。
次に、先般マスコミでも大きく報道されましたが、北陸電力の株主で構成される「北陸電力と共に脱原発を進める株主の会」という団体があります。すでに25年間の活動実績があり、今年ははじめて株主提案権を行使できる3万株以上の株を保有するに至り、先月26日に開催された株主総会では会社の定款に脱原発を明記することなど5つの議案を提出しています。
この株主の会が5月に石川、富山両県の36自治体すべてに対して、北陸電力の株式保有状況について調査依頼の文書を送付しました。保有しているか否か、保有しているとすれば何株かというシンプルな照会であり、その調査目的も明記されています。回答状況を聞いたところ、4つの自治体は無回答でしたが、他は石川県庁、富山県庁を含めて回収されたとのこと。
そこで珠洲市だけという話の二つ目です。回答があった32自治体中、珠洲市だけがこの調査依頼に対して、北陸電力の株式保有は情報公開請求の対象であり、市外の団体は条例に定められた請求権者ではないため、回答できないとの回答だったそうです。
行政組織にはマスコミや大学、研究機関など多くの組織からアンケートなど調査依頼が数多く寄せられます。珠洲市も基本的には丁寧に調査に協力しておられるものと思います。今回、他の自治体は情報公開の請求対象とはせず、この調査依頼に対応しています。珠洲市だけなぜ情報公開条例を盾に回答を拒否したのか、よっぽどたくさんの株を持ってるんじゃないのと笑われてますので、ぜひその判断基準について明快なお答えをいただきたいと思います。
次に教育委員会制度の見直しについてお聞きします。
戦前の「お国のための教育」の反省からスタートした戦後教育ですが、安倍首相はこれをあらゆる面で変えてしまいたいようです。第一次安倍政権での教育基本法改悪に続き、現在の第二次政権の下でも新たな「お国のための教育」復活に突き進んでいます。教科書検定基準を変えて政府見解を記載するようし、子どもの発達段階にはお構いなく小学教科書に領土問題を記述させ、道徳を教科にする動きも進めています。戦後の民主化の中で導入された教育委員 会制度の見直しも安倍首相の悲願の一つで、先の通常国家ではついに地方教育行政法も改訂されました。
今回の教育委員会制度の見直し内容を簡単に整理すると、首長は教育委員会と話し合う総合教育会議という新たな会議を主宰し、教育行政の大方針となる総合的な施策の大綱を定めます。そして首長が自ら選んだ常勤の教育長が非常勤の教育委員を束ね、事務方の実務を仕切ることになります。
先の市長選挙では、市長自ら珠洲の教育のあり方について有権者の皆さんに訴えました。議会では教育に関する答弁の多くは教育長になりますが、市長は教育委員会関係も含めた予算編成権を持ち、また小中学校の設置者は市でもあるわけですから、教育政策も含めて有権者の皆さんから審判を受けたことは、今後の教育施策の推進にプラスだろうと思います。しかし、一方で、安倍首相のように教育の中身にまで政治が手を突っ込み、また大阪の橋下市長のように「選挙で選ばれた市長こそ民意を反映できる」と主張してズカズカと教育行政に踏み込んでは、教育が政治に振り回されることになりかねません。賛否両論渦巻いた今回の60年ぶりの制度見直しですが、いずれにしても、従来以上に教育に関する権限が拡大する市長に、新たな役割に臨む基本的姿勢と、教育の政治的中立性の確保についての見解をまずお聞きしたいと思います。
教育長の権限も強化され、新たに従来の教育委員長の役割も兼ねた新教育長となります。日本教育新聞社が全国の市区町村教委の教育長に行ったアンケートでは、半数の教育長が今回の制度改革は有効ではないとし、有効と考えた教育長は2割にとどまっています。首長の権限強化に加え、教育委員会がますます形骸化し、教育長と事務局主導の組織になるのではないかとも懸念されますが、法改正のメリット、デメリットをどのように捉えておらえるかお聞きをしたいと思います。
二転三転しながらの今回の制度見直しについて端的に評価するなら、戦後の教育行政を転換させたが大転換には至らなかったということかと思います。中央教育審議会の教育制度分科会長として答申をまとめた小川正人放送大学教授は次のように述べています。
「今回、教育委員会制度は執行猶予をもらった。本来期待されている取り組みを本気で進めないと、廃止の流れが一気に強まるだろう」
私は、教育委員会の執行機関としての位置づけがギリギリ残されたのは重要だと思います。多様な民意が反映される合議制の機関としての原点に立ち帰り、教育委員会改革をさらに進めるため、若干の提案をさせていただきたいと思います。
地教行法は第5条で、市長が教育委員を任命するにあたっては、委員の年齢、性別、職業等に著しい偏りが生じないように配慮することとしています。そこでまず、現在、5人のうち1人だけである女性委員を少なくとも二人は増やすべきでしょう。男女共同参画の理念からしても当然のことだろうと思います。さらに加えて教育委員の公募制も導入してはどうでしょうか。すでに導入している自治体では教員委員会に対する市民の関心が高まったとの声もあります。また教育委員は市外の人でも就任可能ですから、より広く人材を募り活性化につなげる一つの手法としても有効ではないでしょうか。
もう一点、情報発信については少し改善されましたが、依然、弱いなぁと感じます。子どもたちや保護者、教職員、地域住民の声をどのように教育行政に反映させているのか、ホームページや広報すずなどを活用して積極的に情報を発信し、合わせて透明性も高めていくべきだと思いますがいかがでしょうか。
次に、いじめ対策基本方針についてお聞きします。
6月20日の第6回教育委員会で珠洲市いじめ防止基本方針が了承されました。若干の文言修正が残っているようですが、今月中には公表されるかと思います。この間、5月、6月の定例会で協議が重ねられてきたわけですが、率直に言って傍聴していても何を論点として議論しているのかよくわかりません。国の方針をそのまま受け入れるだけなら、それはいじめ防止対策推進法の趣旨からも逸れることになります。
そこで質問の一点目ですが、いじめ対策法では、地方自治体の方針策定にあたっては地域の実情に応じて定めるよう記されています。今般、了承された市の方針は、地域の実情をどのように捉えて策定されたのか、まずお聞きをしたいと思います。
私は国の方針自体、数多くの問題があると思っています。いじめの防止や解決にあたっては、なによりいじめを受けた子の権利を尊重する視点が大切だと思いますが、いじめている子にどう対処するかに比重が置かれているように思えてなりません。相談態勢や生徒指導、研修など様々な制度や体制整備が総花的に羅列されていますが、すべてメニューの基本に子どもの権利、子ども主体の視点がないと結果的に傷ついた子がさらに傷を受けることにもなりかねません。隠ぺいがあってもいけませんが、隠ぺい批判を恐れての過剰反応や子ども不在の早期対応はかえって問題を悪化させかねません。市の方針では、いじめられている子どもの最善の利益を優先することを明記すべきと考えます。いかがでしょうか。
先般はOECDの調査で日本の先生が加盟国の中で一番多忙という勤務実態が明らかにされました。いじめの防止や早期発見に向けてたくさんのメニューを盛り込んでも、そのために現場がますます多忙になり、子どもと接する時間が奪われてしまっては本末転倒です。教員の多忙化解消はいじめ防止指針の基本中の基本ではないでしょうか。また、学校教育のあり方自体が過酷な競争を強いられる現代社会の縮図となり、いじめを生む土壌となっている点も見逃せません。いじめの傍観者を生む点数学力偏重の学びのあり方なども私は反省が必要だと思います。こうした点も視野に入れたいじめ防止指針にすべきと思いますが見解をお聞きします。
あと一点、子どもへの権利侵害はいじめに限りません。虐待や体罰、不登校など様々な問題があります。先ほど指摘しましたように、なにより子どもの権利を守るという視点からスタートするならば、いじめに特化したいじめ対策法ではなく違った法律になったのではないかと私は思います。全国的には兵庫県川西市が1998年に川西市子どもの人権オンブズパーソン条例を制定したのを皮切りに、各地で公的第三者機関としての子どもオンブズ制度が広まっています。子どもの権利救済で数多くの具体的成果をあげ、自治体間の情報の共有化、そして学び合いが進んでいます。いじめ対策法は、こうした自治体の実践には学ばず、別の文脈の中から飛び出したかのような違和感のある法律です。国に追随ではなく、むしろ先進自治体にこそ学び、子どもの権利侵害に総合的に応えていくことが重要です。少なくともそうした動きを視野に入れながら今回のいじめ防止基本方針も検討していただきたいと思いますがいかがでしょうか。
次に新図書館建設についてお聞きします。
今議会冒頭の提案説明の中で、早急に検討委員会を立ち上げ、平成30年度の開館を目指す方針が示されました。4年後の新図書館オープンに向け、市民の皆さんの夢が膨らんでいくことを期待したいと思います。
教育委員会はさる6月20日、委員の公募を含む新図書館建設検討委員会設置要綱をすでに制定しています。図書館を所管する教育委員会の下で検討委員会が設置され、そこで構想が練られること自体はなんら不思議ではないのですが、市長はこの間、「児童館と併設」あるいは「子育て支援機能を有する複合施設」とする意向を示してきました。さらには本市出身の画家や芸術家の方々の作品の展示についても新図書館の整備と併せて考えていく意向も示されています。児童館との併設が児童館プラス子育て支援センターの併設へ、さらにはギャラリーでしょうか、ミニ美術館でしょうか、そういった施設も併設へと、だんだん膨らんできているように思います。果たしてここでうち止めなのかもわかりません。
そこでお聞きしますが、近く立ち上げる検討委員会で検討するのは新図書館に限ってのコンセプトや機能、規模といったことになるのか、あるいは児童館や子育て支援センター、さらには美術品の展示スペースも合わせ持つ複合施設のあり方やその是非も含めて検討するのでしょうか。今日発行の広報すずではさっそく募集のお知らせが掲載されていますが、これによって公募に応じる市民も違ってくるかもしれません。また、検討委員会の事務局も教育委員会だけでなく福祉課も必要ということになるかもしれません。
次に開館に向けてのスケジュールです。平成30年度という目標が示されましたが、合わせて検討委員会ではできるだけ時間をかけて様々な意見を聴きたいとの意向も示されました。そこで、今後のおおよそのスケジュールをお聞きしておきたいと思います。
質問の最後は、今日にも閣議決定されようとしている集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の変更についてです。
集団的自衛権の意味をあらためて確認しますと、他の国家が武力攻撃を受けた場合に直接攻撃を受けていない第三国が協力して共同で防衛を行う国際法上の権利のこととされます。そして第三国が集団的自衛権を行使するには、宣戦布告を行い中立国の地位を捨てる必要があります。つまり、どのような屁理屈をこねようと、日本が攻撃されてもいないのに戦争当事国になるということです。
しばしば友だちが殴られているのに放っておけるのかという例えが出てきます。しかし、友だちが殴られたからといって割って入って相手を殴るのはヤクザの論理です。ケンカにならないよう仲裁に入るのが市民社会です。限定的に殴るのは1発だけと決めていると言っても、相手がどう出るかはわかりません。おれはお前にケンカを売ったわけじゃないのに何で手を出すんだと2発3発殴り返され、蹴りも入るかもしれません。一対一のケンカのつもりだったが、お前が加勢するならおれも仲間を連れてくるぞとなるかもしれません。大げんかに拡大です。
いまから100年前の6月28日、サラエボでオーストリア皇太子が一発の銃弾で暗殺されました。これが引き金となり戦禍がヨーロッパ全土に拡大し、900万人の戦闘員、そして1000万人もの市民が犠牲者となる第一次世界大戦になるとは誰も予測できませんでした。
抑止力を高めることが目的ともいわれますが、この100年、世界で最も戦争をしてきたのは同盟国と言われるアメリカに他なりません。他国への攻撃や軍隊の侵攻も含めると実に40回。常に世界のどこかで米軍は戦火を交えていると思った方がいいでしょう。戦後69年間、他国を攻撃したり、攻撃されたりといったことがなかった日本ですが、アメリカの戦争に巻き込まれ、戦争当事国となる可能性が一気に現実味を帯びてきました。
今日、7月1日は自衛隊が発足してちょうど60年の節目となります。60年間、他国の人を殺さず、また戦争犠牲者を出さなかった自衛隊ですが、これからは殺し、殺される時代に入ります。韓国はかつて、アメリカとの集団的自衛権を行使し、ベトナム戦争で5000人もの犠牲者を出しています。 戦争当事国ですから国内にも反撃が及び市民が巻き込まれる危険性もあります。石川県も日米合同演習を繰り返す小松基地はじめ、金沢、輪島にも自衛隊基地があり、さらに志賀原発もあります。攻撃対象とならない保障はありません。
平和憲法の下、非軍事の分野で世界に貢献し、国際的評価を受けてきた戦後日本の歩みが一気に覆ることになります。まさに歴史の大転換です。にもかかわらず、憲法改正手続きを経ることもなく、憲法解釈変更の閣議決定で突破しようとしています。権力の暴走を憲法によって防ぐという立憲主義を全く理解せず、これでは世界に対して法治国家から軍事独裁国家になったと宣言するようなものです。
アメリカと緊密な関係を築いてきた中曽根首相や小泉首相ですら集団的自衛権は憲法上行使できないと国会で明言してきました。多くの憲法学者はじめ各界各層、多くの国民が全国各地で今現在も抗議の声をあげています。そして住民の安全を守るべき立場にある自治体の首長からも安倍政権の暴走を危惧する声があがっています。最後に集団的自衛権行使容認の是非、そして解釈改憲という手法の是非について市長の見解をお聞き、質問を終わらせていただきます。
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