菅第二次改造内閣が発足した。
野党はもちろんのこと、民主党内からも、そして街の声を聞いても厳しい評価が多いようである。
端的に言うと消費税増税、TPP参加内閣ということか。
一方、財界からは、言ってることをちゃんと実行に移してほしいという期待の声が概して多いように思う。
以下は日経新聞からの引用である。
経済界の見方
米倉弘昌・日本経団連会長
重要政策を推進するための布陣が敷かれた。まず2011年度予算・関連法案を早期に成立させ、消費税率引き上げを含む税・財政・社会保障の一体改革、TPPをはじめとする「平成の開国」の実現に全力で取り組んでほしい。
桜井正光・経済同友会代表幹事
新内閣は税制抜本改革、社会保障制度改革、平成の開国の3つの重要課題で決断が求められる。実現には菅首相のリーダーシップが必要だ。「ねじれ国会」のなか、超党派の協議で新しい国会運営のあり方を実現させてほしい。
岡村正・日本商工会議所会頭
新内閣は日本の将来像を明確にし、新成長戦略を着実に推進しなければならない。とくに税・財政・社会保障の一体改革とTPPを含む経済連携協定の推進に向けて実行力を示すべきだ。内閣と民主党が一致結束してほしい。
志賀俊之・日本自動車工業会会長
日本経済の強みである「ものづくり」の維持・強化を図るため、為替の安定、実効性のあるEPA、FTAの推進など(国際的に競争条件を同一にする)イコールフッティング確立に取り組んで欲しい。
槍田松瑩・日本貿易会会長
日本経済の再生という喫緊の課題に対し、野党とも正面から真摯に協議を行い、早急に具体的施策を実行して欲しい。「再開国」に向けて農業など産業基盤強化の協議を加速し、速やかにTPPへの参加を表明してもらいたい。
天坊昭彦・石油連盟会長
大局的な視点に立って、日本の再生、強い経済の復活を最優先に全力で取り組んで欲しい。継続審議となっている地球温暖化対策基本法案は経済と地球環境対策が両立し、国益に資する政策となるよう、白紙に戻して再考を望む。
小林喜光・三菱ケミカルホールディングス社長
政治不信の極みにあるなか、政界全体で現在の危機的状況をきちんと認識し、早期に打開する方策を模索すべきだ。その上で成長戦略のための諸施策を早期に実行に移し、日本全体が自信回復することが重要。
大宮英明・三菱重工業社長
我が国の閉塞感を早期に払拭すべく、財政、社会保障、外交等の諸課題解決に全力で取り組むとともに、新成長戦略の推進により日本経済再生を成し遂げて欲しい。
(引用終わり)
「平成の開国」TPP参加への実行力が期待されている。昨年10月、唐突に出てきた感のあるTPPだが、基本的には米国の強い要請を受けて、日米同盟強化・米国追随路線をまい進する菅首相が飛びついたのが実情だろう。
私がよくわからないのは中国との関係である。
米国主導体制の強化に中国はおもしろいはずがないだろうに、と思いながらも、この間、尖閣諸島問題で中国の反応を気にする報道はほとんどなかったように思う(私が見てなかっただけなら失礼。あるいは経済誌では使えられていたのかもしれないが)。
昨日(1月13日付け)の朝日新聞では「TPP 中国はどう見る」という見出しで中国社会科学院アジア太平洋研究所長・李向陽さんのインタビュー記事が掲載されている。
この中で李さんは、これまで進めてきたASEANプラス日中韓の経済連携構想の調整が迫られるだろうとの認識を示し、さらにアジア地域で勃興する中国を抑制する狙いがあると警戒感を示している。日中韓で進めてきたFTAを推進する力も減少するとの見方を示している。
さもありなんという内容であった。
私がわからないのは、米国追随・日米同盟強化路線にまい進する菅内閣はともかく、すでに日米貿易より日中貿易が大きくなった日本経済の中で、なぜ財界が米国主導のTPPの実現を叫び続けているのかということである。
今、尖閣問題でギクシャクしているとはいえ、経済界にとっては政経分離しても中国とも関係を重視する経済政策を主張して当然ではないのか?
単純にTPPではなくFTAというつもりはないが、東アジア共同体を志向するならば、もう少しTPPに慎重な発言が財界から出てきてもいいのに、と思う私はどこかで大きな勘違いをしている?
どなたかご教授いただければ幸いである。
野党はもちろんのこと、民主党内からも、そして街の声を聞いても厳しい評価が多いようである。
端的に言うと消費税増税、TPP参加内閣ということか。
一方、財界からは、言ってることをちゃんと実行に移してほしいという期待の声が概して多いように思う。
以下は日経新聞からの引用である。
経済界の見方
米倉弘昌・日本経団連会長
重要政策を推進するための布陣が敷かれた。まず2011年度予算・関連法案を早期に成立させ、消費税率引き上げを含む税・財政・社会保障の一体改革、TPPをはじめとする「平成の開国」の実現に全力で取り組んでほしい。
桜井正光・経済同友会代表幹事
新内閣は税制抜本改革、社会保障制度改革、平成の開国の3つの重要課題で決断が求められる。実現には菅首相のリーダーシップが必要だ。「ねじれ国会」のなか、超党派の協議で新しい国会運営のあり方を実現させてほしい。
岡村正・日本商工会議所会頭
新内閣は日本の将来像を明確にし、新成長戦略を着実に推進しなければならない。とくに税・財政・社会保障の一体改革とTPPを含む経済連携協定の推進に向けて実行力を示すべきだ。内閣と民主党が一致結束してほしい。
志賀俊之・日本自動車工業会会長
日本経済の強みである「ものづくり」の維持・強化を図るため、為替の安定、実効性のあるEPA、FTAの推進など(国際的に競争条件を同一にする)イコールフッティング確立に取り組んで欲しい。
槍田松瑩・日本貿易会会長
日本経済の再生という喫緊の課題に対し、野党とも正面から真摯に協議を行い、早急に具体的施策を実行して欲しい。「再開国」に向けて農業など産業基盤強化の協議を加速し、速やかにTPPへの参加を表明してもらいたい。
天坊昭彦・石油連盟会長
大局的な視点に立って、日本の再生、強い経済の復活を最優先に全力で取り組んで欲しい。継続審議となっている地球温暖化対策基本法案は経済と地球環境対策が両立し、国益に資する政策となるよう、白紙に戻して再考を望む。
小林喜光・三菱ケミカルホールディングス社長
政治不信の極みにあるなか、政界全体で現在の危機的状況をきちんと認識し、早期に打開する方策を模索すべきだ。その上で成長戦略のための諸施策を早期に実行に移し、日本全体が自信回復することが重要。
大宮英明・三菱重工業社長
我が国の閉塞感を早期に払拭すべく、財政、社会保障、外交等の諸課題解決に全力で取り組むとともに、新成長戦略の推進により日本経済再生を成し遂げて欲しい。
(引用終わり)
「平成の開国」TPP参加への実行力が期待されている。昨年10月、唐突に出てきた感のあるTPPだが、基本的には米国の強い要請を受けて、日米同盟強化・米国追随路線をまい進する菅首相が飛びついたのが実情だろう。
私がよくわからないのは中国との関係である。
米国主導体制の強化に中国はおもしろいはずがないだろうに、と思いながらも、この間、尖閣諸島問題で中国の反応を気にする報道はほとんどなかったように思う(私が見てなかっただけなら失礼。あるいは経済誌では使えられていたのかもしれないが)。
昨日(1月13日付け)の朝日新聞では「TPP 中国はどう見る」という見出しで中国社会科学院アジア太平洋研究所長・李向陽さんのインタビュー記事が掲載されている。
この中で李さんは、これまで進めてきたASEANプラス日中韓の経済連携構想の調整が迫られるだろうとの認識を示し、さらにアジア地域で勃興する中国を抑制する狙いがあると警戒感を示している。日中韓で進めてきたFTAを推進する力も減少するとの見方を示している。
さもありなんという内容であった。
私がわからないのは、米国追随・日米同盟強化路線にまい進する菅内閣はともかく、すでに日米貿易より日中貿易が大きくなった日本経済の中で、なぜ財界が米国主導のTPPの実現を叫び続けているのかということである。
今、尖閣問題でギクシャクしているとはいえ、経済界にとっては政経分離しても中国とも関係を重視する経済政策を主張して当然ではないのか?
単純にTPPではなくFTAというつもりはないが、東アジア共同体を志向するならば、もう少しTPPに慎重な発言が財界から出てきてもいいのに、と思う私はどこかで大きな勘違いをしている?
どなたかご教授いただければ幸いである。
経済界の中には、かなり前から日中と日米関係でしのぎを削っています。
ご承知のように、経済面でみると中国が盛んにアジア市場で影響力を増してきています。米国はアジア市場での競争で自国の優位を狙って、実利も追求しているでしょうが、中国の席巻を阻止しようとする政治的な戦略も見えている。日本を巻き込んで、非関税地域をつくるといった見方もあり、そこに経団連の主流を占める、トヨタ、キャノン等がのっていると考えてもいいのではないでしょうか。
TPP関連記事は、日本農業新聞がかなり詳しく書いています。農協の支所等では必ず取っていると思います。また、農協はTPP反対ですし、先月大規模な学習会もやっています。意見交換をしても面白いと思います。
あの志賀町議会でも、12月議会ではTPP反対の意見書を出しています。
経済界でも当然ながら様々な考えがあり、日中、日米関係をめぐても各業界、あるいは個々の企業によって利害が対立して当然だと思います。
ところが、そうした報道がほとんどなく、TPP問題は経済界vs.農協・農家の対立の構図にされているように思います。
普天間問題のときもマスコミは辺野古で決めないと日米関係が大変なことになると煽りましたが、TPPをめぐる報道のあり方にもかなり意図的なものがあるように感じます。