北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

3月定例会最終日 活発な論戦が展開される

2019-03-15 | 珠洲市議会


3月定例会最終日。
珠洲市手話言語条例が可決、成立するということで奥能登ろうあ協会の皆さんらが傍聴に来られ、閉会後、議場で記念撮影。
私としては、条例制定には賛同するが、 今議会の一般質問で取り上げたように、珠洲市の条例には多くの先進条例では置かれている前文がないことが残念。

さて、今日の最終日、珠洲市議会としては珍しく(これが当たり前にならなければ)活発な発言が相次いだ。
まず議会議案として委員会条例と会議規則の改正案が議会改革特別委員会大兼政委員長から提案がある。
続いて予算特別委員長(こちらも大兼政委員長)の報告、そして一般会計予算に対する修正案が「新生すず」から提案され、これに対し反対(同志会・森井議員)、賛成(私・以下の原稿)の討論が行われた。
次に総務、教育民生、産業建設の各常任委員長から付託案件の審査報告。この委員長報告に対して米田議員から、元気の湯の指定管理者の指定案件を巡って質疑。教育民生常任委員会の番匠委員長が答弁。
そして、この議案の採決に当たっても反対、賛成の討論が行われた。

予算を巡って最も議論となったのは実は議会費。
対面式の議場のスタイルの導入(議場の修繕とマイクの設置)とタブレットと情報共有システムの導入について、増額補正を求めるという異例の修正案が提案された。
増額補正は市長の予算提案権の侵害にあたるとの解釈が一般的であり(多数説?)、また仮に増額補正の修正案が可決されても、市長が執行を拒否すれば求める事業は実現されないので、予算の議決権は議会にあるととはいえ、増額補正は通常おこなわれない。
今回の異例の修正案の背景には、議会側からの全会一致の要求を拒否し、議会改革に抵抗をし続ける泉谷市長の対応がある。

以下、私の討論原稿。ご笑覧を。
前半は一般会計予算の中の奥能登国際芸術祭を巡る問題点をまたまたしつこく指摘し、議会としてさらに議論を深める必要性を説いている。
後半はまさに議会機能強化に向けた議会予算の増額を盛り込んだ修正案への賛成意見を述べている。
そして最後の最後に付け加えた一段落は、討論の趣旨から逸れた内容で本来ここで述べるべき内容でないことは承知をしているが、今春の選挙には立候補しない旨を表明させてもらった。
この件についてはあらためてきちんと書かなければいけないと思っているし、すでに支援団体の了解を得、地域の皆さんにも報告済みでもあるが、一部報道機関から「ホントにホントに出ないのか」との声も寄せられているので、あえて議場で「正式表明」をさせていただいた。

なお。この討論が余程気に入らなかったのか、閉会にあたっての市長のあいさつでは、今春再選を目指す議員の健闘を祈る旨の発言はあったが、引退する議員へのねぎらいの言葉はなし(私はいらないが、大兼政議員や赤坂議員も引退するのでいかがなものか)。

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議案第1号平成31年度珠洲市一般会計予算に対する修正案に賛成の立場から以下理由を述べ、討論とします。
平成31年度珠洲市一般会計予算原案については、教育、福祉、社会資本整備、防災など市民生活に直結する重要な予算が盛り込まれている一方で、さらに議論を深めなければいけない事業も数多く含まれているものと思います。
一例を上げれば、この間、予算執行における契約内容の不透明さなど数多くの問題点、疑問点を指摘してきた奥能登国際芸術祭関連の予算についてです。次回開催に向けて約8000万円の予算が計上されているにもかかわらず、明確なコンセプトや開催目的は策定中とのことで示されませんでした。前回と概ね同様との答弁もありましたが、前回第一回のコンセプトや開催目的はコロコロ変わった経緯があり、何をもって前回同様なのかわかりません。途中までは初回だからやむを得ないと見守っていましたが、閉会後に公表された総括報告書でも新たな目的が付け加えられており、成果として強調されているわけです。行政の仕事としてありえない、場当たり的でご都合主義的対応であり、次回もこのようなことが繰り返されるようなことはあってはなりません。
一方、目的の中で一貫して掲げられてきたのは、地元に対する誇りの醸成です。5億円もの事業費をかけたイベントを3年に一回開催しなければ市民は珠洲に対する誇りを持てないんでしょうか。イベントではなく運動と言い換えても本質は同じです。つましい暮らしの中にも地域にあるものを長年の知恵で活かし豊かさを実現してきたはずの珠洲の市民がいつの間にかなんとも贅沢になったものだと私はただただ戸惑いを感じます。芸術祭に対する私の最大の疑問点であり、議会でも今後さらに議論を深めていただきたいと思います。
運営体制の見直しも、新たに21世紀美術館の館長を副実行委員長に迎える方針は示されたものの、総合ディレクターの利益相反の問題は放置されたままとなったことは残念と言わざるを得ません。唯一、珠洲市予算と実行委員会予算にまたがる芸術祭開催予算の全体像がようやく示されたことについては評価をします。今後の芸術祭をめぐる議論の深まりにつながるものと期待をしたいと思います。
芸術祭については、SDGs未来都市のビジョンにも盛り込まれ、取り組みが強化されていくものと思いますが、市民の理解や共感は果たしてどこまで得られているのか、私には市長の前のめり姿勢が気になります。
先日、「キャバレー準備中」であるイベントが開催されました。バーレスクダンスやポールダンスが登場する企画で、素晴らしいと評価する声がある一方で、市の施設でここまでやるのか、やっていいのかと、市民の間で戸惑いも広がりました。市民はどこまでをアートとして許容するのか、あるいは逆に行政はアートを掲げた企画をどこまで規制できるのか、行政が主体となる芸術祭の在り方にも通じる難しい問題が提起されたと思います。
珠洲焼プロジェクト2019にも驚きました。珠洲焼復興40周年の記念イベントが芸術祭のプレイベントとのこと。珠洲焼の魅力発信、ファンの拡大の方向として果たしてこれでいいのでしょうか。石川県は来年の国立工芸館の金沢移転を控え、昨年も数多くの工芸に関するイベントが催され、国内外からの工芸ファンを魅了しました。来年に向けても、さらに工芸石川をアピールする企画が続きます。珠洲焼も県指定伝統工芸です。県をあげての伝統工芸を発信するこのタイミングを逃さず、工芸石川を担う伝統工芸のひとつとして魅力を発信し、勝負していくべきではないでしょうか。渋谷ヒカリエでのイベントがダメとか無駄とまで言い切るつもりはありませんし、将来的には現代アートと珠洲焼のコラボもありかとは思いが、県政や工芸関係の業界の動きと離れた世界で、珠洲焼一人我が道を行くという感はぬぐえません。芸術祭を軸にいま市政は回っていますが、なんでも芸術祭に巻き込めばいいというものではないと私は思います。
以上はほんの一例ですが、市政全般課題が山積し、議会としても一層議論を深めていかなければなりません。来年度以降は今年度以上に厳しい財政運営も予想されます。市政に対する市民の視線は厳しく、議会に対する視線はそれ以上に厳しいものがあります。2元代表制の一翼を担う議会はその役割と責任の重さを自覚し、さらなる改革を進めていかなければなりません。議会はこの間、議会改革の取り組みを重ね、昨年12月には議会基本条例の制定に至りました。定数が2減の12となる次期改選後の議会では基本条例で定めた改革の方向性を踏まえ、議会の機能強化をさらに進めていかなければなりません。
こうした中、議会改革の議論を重ねる中で浮上し、議会が全会一致の下、再三再四市長に対して予算化を求めてきた議場の対面式スタイルの導入、そしてタブレット端末及び文書共有システムの導入について、今回、予算化されなかったことは極めて遺憾といわざるを得ません。予算の提案権、執行権は市長にあるとはいえ、このような議会を軽視した予算の提案は容認できるものではありません。増額補正の修正案は異例ではありますが、必要な議会費であると考えます。
まず、議場の対面式スタイルの導入ですが、議員が活発に質問、再質問、再々質問を行い、執行機関側もより説得力ある答弁を重ねるという、より緊張感ある、またわかりやすい議会運営に適した議場の形です。他所の議会では一問一答方式の導入に合わせて議場への対面式スタイル導入を図ったところが多いように思いますが、本市のように分割質問方式であっても有効な議場スタイルであることに変わりはありません。
現在の珠洲市議会の議場の配置は国会の衆参両院の議場をまねたものですが、決してこのスタイルが万国共通の議場というわけではありません。日本の国会の議場はドイツ型と言われますが、ワイマール憲法に変わる前の帝政ドイツ時代、いわゆるビスマルク憲法下の、議会が宰相の協賛機関であった時代の議場の形です。最近、EU離脱問題でテレビにもよく登場するイギリス議会の議場はこれとは全く異なる配置だとお気づきの方も多いかと思います。政府与党と野党が向き合う対面式になっています。雑然とした印象がありますが、実際、与野党の幹部以外の議員の議席は与野党分かれるだけで自由席となっているそうです。
かつて憲政の神様、議会政治の父と言われた尾崎幸雄はこのようなことを述べています。
高い演壇、大きなテーブルで原稿を広げ、水を飲んでから「諸君」と切り出すと、せんでもいい見えを切るのが人間の心理だと指摘し、「いっそのこと演壇を取り払い、議員は皆自分の議席で発言するようにすれば、派手ではないが、実のある熟談協議ができるであろう。その点でイギリスの議場がおあつらえ向きにできている。」
実に先見の明ある発言だと思います。議会は言いっぱなし、聞きっぱなしの演説会場ではありません。多くの自治体議会は執行機関との討議、議員間の討議を重視する方向で議会改革を進めており、議場が討議に適した形へと変わってきているのも当然の流れといえるでしょう。ただいま上程された修正案を元に、改選後、速やかにこの議場でも対面式の討議が展開されることを期待したいと思います。
次に、タブレット等のシステムの導入についてですが、言うまでもなくビジネスの世界では特段珍しいことでもなんでもありません。議会での導入が遅れてきたのは、導入費用に対して効果が不透明だったこと、議員活動に適したソフトの開発が遅れていたこと、そして何よりデジタル機器に対する議員間のスキルと意識の差が大きく、一斉導入が前提となるシステム導入には難があったことが大きな原因ではなかったかと思います。しかしいま、ペーパーレス議会システムの先行事例が全国各地の議会で積み重なり、それに合わせてソフトの機能も向上し、会議の効率化や議員活動へのプラス効果は明らかとなっています。石川県内でもすでに加賀、小松、白山、内灘の各議会で導入されています。知り合いの小松市議と金沢市内の会議で同席したときのこと、彼のタブレットに議会事務局からメールが届きました。PDFで作成された議会だよりの最終版を至急校正してほしいとのことで、彼は素早く訂正箇所をチェックして返事を送ります。ベテラン議員がちゃんと使いこなせるのか心配される方も多いかと思いますが、知り合いの加賀市議に聞くと、ベテラン議員も含め、委員会審議中でもすばやく必要な資料を検索し、より踏み込んだ質疑につなげているとのこと。
私どもの議会でもタブレットの導入を巡り1年以上前から研修会や先進議会の視察を重ね、他所の議会の活用状況も把握してきました。こうした積み重ねを経て、議員間でのタブレットの必要性に対する認識のずれも解消されてきました。
最後に残るのが財源問題です。本システム導入に要する経費は、1年目は初期投資含め約400万円、2年目以降のランニングコストは約280万円が見込まれますが、議員定数削減により来年度は1000万円以上の議会費が削減となります。システム導入のタイミングとしてもこの改選期が最適であると考えます。議員定数は削減しても、それに比例し珠洲市の面積が狭くなるわけではありません。人口は減少しても市政に対にする要望は減ることなくむしろ一段と多様化しています。改選後の議員は今まで以上に広域的かつ密度の濃い活動が求められています。スピーディな情報の共有と活用は基本中の基本です。まさにそのために必要な経費であり、市民の皆様の理解も得られるものと考えます。
議会はかつての帝政ドイツの時代のような市長の協賛機関ではありません。議会が議事機関としてその機能をはたしていく、そのために必要な環境整備に対して極めて後ろ向きの市長の下で111億円もの予算が計上され、そして執行されていくことに対して、異議を唱えざるを得ません。
以上の理由から珠洲市一般会計予算の修正案に賛成し、原案には反対であり、議員各位の賛同を求めたいと思います。
以上、討論としますが、最後に一言付け加えさせていただきたいと思います。この討論が私のこの議場での最後の発言となります。この間、叱咤激励をいただいたすべての皆様に感謝を申し上げたいと思います。4月30日以降は一市民として、珠洲市議会のさらなる充実発展に向け口出しをしていきたいと思います。議会と市長はじめ執行機関が政策を競い合う中で、珠洲市がますます発展することを祈念し、発言を終わります。皆さま、どうもありがとうございました。


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