今任期最後の定例会の最終日。
市長提出議案はすべて全会一致で可決されたが、戦争をさせない石川の会から提出された「特定秘密保護法の廃止を求める意見書の採択を求める請願」と「『慰安婦』問題の早期解決を求める意見書の採択を求める請願」(いずれも私が紹介議員)については総務委員会で不採択にすべきとなったので私は賛成討論をおこない、起立採決となる。
12月議会では集団的自衛権と日米ガイドラインについての請願でも討論をおこなっている。
国政に関するこの種の請願や意見書は全国どの議会でも様々な立場からたくさん出されるが珠洲市議会はかなり少ない。
特に政友会(自民党系)からは2012年12月議会で国家緊急事態基本法の制定を求める意見書が提出されて以降、一本もない。
私が必ず反対の立場から討論を行うので、私の出番づくりはアホらしいということで出さないのかナとも思っているが、それだけでなく外交や安全保障に関わるような問題は、珠洲市みたいなちぃっちゃな自治体で云々してもしょうがないじゃないかという発想があるようである。
(実際、国政に関することでもTPPに関する意見書などは可決し提出している)
外交・安全保障は珠洲市とは関係ないという発想は大間違い。
一例をあげれば今年6月には佐渡で東アジア農業遺産学会が開催され、珠洲市からも参加する予定だ。
中国や韓国からも参加する。
「『慰安婦』なんて捏造だよ」なんて認識の議長が参加したらどうなることか。
漁業が重要な産業である珠洲にとって、日本海が「平和の海」か「争いの海」かは重要な問題で、近隣諸国との関係改善は珠洲市の産業、市民の安全にも関わる課題だ。
漁業だけでなく交流人口の拡大でも「平和の海」は大切だ。
世界農業遺産が縁で佐渡と珠洲の交流が拡大している。
海路での交流は海の安全が大前提だ。
残念ながら今回も2本の請願はいずれも不採択となったが、特定秘密保護法に関する請願は反対9人に対して賛成は3人!
慰安婦に関する請願は賛成は私ひとり。
以下、討論原稿である。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
請願第2号「特定秘密保護法の廃止を求める意見書の採択を求める請願」および請願第3号「『慰安婦』問題の早期解決を求める意見書の採択を求める請願」の採択を求め、以下理由を述べ、討論とします。
まず請願第2号についてです。特定秘密保護法の問題点は日本弁護士連合会をはじめとした多くの法律家団体、映画監督や小説家、演劇人など表現活動に関わる多くの人たち、憲法や刑事法、歴史学者など多くの専門家団体、国際人権団体など把握できないほど多くの団体・個人が問題点を指摘し、廃案を求めてきました。法案が審議された1昨年秋の臨時国会でも疑問は深まりこそすれ解決することはありませんでした。残念ながら法案は自民・公明両党などの賛成多数で可決・成立し、昨年12月10日に施行をむかえましたが、この法律が抱える深刻な問題点に鑑み、あらためて廃止を求める意見書の提出を求めるものです。
特定秘密保護法の問題点を端的に言うならば「何が秘密か、それは秘密です」という言葉に凝縮されていると思います。
「特定秘密」の範囲が曖昧で、行政機関の恣意的判断で指定することが可能です。国民の批判を受け急きょ複数の監視機関を設けましたが、とても第三者機関とは言えず、チェック機能は働きません。事実上「不特定」の秘密保護法であると言わざるをえません。結果としてかつての沖縄密約など本来、開示されるべき情報が次々と秘密指定されていっても国民にはまったくわからないということになります。
加えて誰が特定秘密の取扱者であるかもわかりません。報道機関や多くの国民にとって、特定秘密へのアクセスの疑いで、いつどこで逮捕、起訴されるかもわからない時代を迎えたわけです。何が犯罪になるか事前にわからず、だけど知らなかったではすみません。今国会で問題となっている政治資金規正法とは大違いで、憲法で規定される罪刑法定主義にも反することから刑法学者も反対を表明しています。
なぜこのようなひどい法律がつくられるのか、多くの識者が米軍との軍事一体化が目的だと指摘しています。事実、特定秘密保護法成立の次には集団的自衛権の行使容認、自衛隊の活動範囲の拡大、武器使用の拡大、辺野古の新基地建設強行などの動きが相次いでいます。
自由な取材活動、自由な市民活動が脅かされ、委縮効果も大きく、国民の知る権利は大きく制限されることになります。すでにマスコミの報道自粛の動きが毎日のように見られます。このままではますます政府の暴走を許し、国民主権、民主主義の原理は形骸化していきます。
そうは言っても情報漏えいへの対策は必要だという方もおられると思いますが、現行法でも自衛隊法や国家公務員法で情報漏えいに対する罰則が規定されており、過去の運用の経緯から、新たな法整備の必要性は全く認められません。
もちろん諸外国でも「安全保障のための秘密保護」と「知る権利の確保」の両立は重要な課題です。国連関係者を含めた世界70か国以上の専門家によって作成された「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」いわゆるツワネ原則というものがありますが、特定秘密保護法の多く規定はこの国際原則にも反していると指摘されています。
以上の理由により特定秘密保護法の廃止を求める意見書の提出を求める本請願の採択を訴えます。
次に請願第3号についてです。いわゆる『慰安婦』問題の早期解決を求める意見書の提出を求めるものです。
「慰安婦」問題は当事者の証言に加え、国内外の多くの公文書でも確認されている歴史的事実であり、昨年、安倍内閣の下で実施された河野談話検証作業でも再確認されたところです。
この「慰安婦」問題の解決が戦後70年を経たいま、求められている背景について若干の説明をしたいと思います。先の大戦で日本軍が設置した軍人・軍属専用の慰安所の全貌についてはいまだ明らかになっていません。被害女性は朝鮮、台湾、日本、中国、フィリピンなど公文書や証言などで確認されている国だけでも13国に及び、その数は5万人とも20万人とも言われます。しかし、戦時中に砲弾や病気で倒れた人も多く、生き残った元慰安婦の人たちも耐え難い屈辱から名乗り出ることはなく、長く証言は得られず、軍の資料も十分な公開がなされませんでした。韓国で「慰安婦」問題が大きな運動課題となったのは1990年代に入ってからのことです。
こうした中、1993年には宮沢内閣の下で河野談話が発表され、1995年にはアジア女性基金がスタートし賠償なども行われてきました。しかし、その責任について、被害女性側が政府や軍による戦争犯罪と捉えているのに対して日本側は道義的責任との表現を使用したり、賠償も国会賠償ではなく見舞金と受け取られたこともあり、被害女性の多くは謝罪や賠償を拒否し、今日にいたっています。
いま、『慰安婦』問題の早期解決が叫ばれるのは、戦後70年を経て、いまだに「慰安婦」とされた女性たちの傷は癒されていないということ、そして「慰安婦」とされた女性たちの多くは死亡し、生き残った人たちも高齢化し、多くの時間は残されていないという被害女性側の事情が一つあります。
それだけでなく、国連女性差別撤廃委員会を皮切りに人権委員会、拷問委員会など多くの国連機関が日本軍『慰安婦』・性暴力問題の法的解決を勧告し、被害者中心の解決などを日本政府に強く求めており、日本外交の大きな課題となっているという点も忘れてはなりません。
特に日韓関係では1965年に締結された日韓基本条約が「慰安婦」問題を解決したものでないことが2005年に明らかになり、昨今の日韓関係正常化に向けて重要な懸案事項になっていることは皆さんもご承知の通りです。
解決の先延ばしは日本外交にとっても決して望ましいことではありません。
特にここ数年、国際社会の認識と全く異なる「慰安婦」捏造論や問題の本質を理解しない「強制連行」否定論がしばしば政府関係者や一部メディアから表明され、こうした動きは韓国、中国などアジア諸国だけでなくアメリカの政府やメディアからも懸念する声が頻繁に上がっています。昨年12月にはニューヨークタイムズやワシントンポスト、ロサンゼルスタイムスが、慰安婦の歴史をごまかそうとする勢力に安倍政権は迎合していると相次いで批判記事を掲載しています。国連の各機関からの勧告でも、このような歴史修正主義の動きを警戒し、事実の継承や公人の誤った発言の禁止を含む「慰安婦」問題の解決が重要だと指摘されています。
解決に向けた動きはまったくないわけではありません。河野談話だけでなく、その後の民主党政権下でも日韓両国の官僚レベルでの交渉は重ねられ、あと一歩のところまでこぎつけた経緯もあります。解決に向け民間レベルでは多くの議論が積み重ねられています。先日来日したドイツのメルケル首相はドイツが戦後、国際社会から受け入れられたのは過去ときちんと向き合ったためと述べています。安倍政権に歴史ときちんと向き合わせるためにはさらに大きな国民世論と自治体からの声が必要です。
以上の理由により、『慰安婦』問題の早期解決を求める意見書の提出を求める本請願は採択すべきであり、議員各位のご賛同をお願いし、討論とします。
市長提出議案はすべて全会一致で可決されたが、戦争をさせない石川の会から提出された「特定秘密保護法の廃止を求める意見書の採択を求める請願」と「『慰安婦』問題の早期解決を求める意見書の採択を求める請願」(いずれも私が紹介議員)については総務委員会で不採択にすべきとなったので私は賛成討論をおこない、起立採決となる。
12月議会では集団的自衛権と日米ガイドラインについての請願でも討論をおこなっている。
国政に関するこの種の請願や意見書は全国どの議会でも様々な立場からたくさん出されるが珠洲市議会はかなり少ない。
特に政友会(自民党系)からは2012年12月議会で国家緊急事態基本法の制定を求める意見書が提出されて以降、一本もない。
私が必ず反対の立場から討論を行うので、私の出番づくりはアホらしいということで出さないのかナとも思っているが、それだけでなく外交や安全保障に関わるような問題は、珠洲市みたいなちぃっちゃな自治体で云々してもしょうがないじゃないかという発想があるようである。
(実際、国政に関することでもTPPに関する意見書などは可決し提出している)
外交・安全保障は珠洲市とは関係ないという発想は大間違い。
一例をあげれば今年6月には佐渡で東アジア農業遺産学会が開催され、珠洲市からも参加する予定だ。
中国や韓国からも参加する。
「『慰安婦』なんて捏造だよ」なんて認識の議長が参加したらどうなることか。
漁業が重要な産業である珠洲にとって、日本海が「平和の海」か「争いの海」かは重要な問題で、近隣諸国との関係改善は珠洲市の産業、市民の安全にも関わる課題だ。
漁業だけでなく交流人口の拡大でも「平和の海」は大切だ。
世界農業遺産が縁で佐渡と珠洲の交流が拡大している。
海路での交流は海の安全が大前提だ。
残念ながら今回も2本の請願はいずれも不採択となったが、特定秘密保護法に関する請願は反対9人に対して賛成は3人!
慰安婦に関する請願は賛成は私ひとり。
以下、討論原稿である。
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請願第2号「特定秘密保護法の廃止を求める意見書の採択を求める請願」および請願第3号「『慰安婦』問題の早期解決を求める意見書の採択を求める請願」の採択を求め、以下理由を述べ、討論とします。
まず請願第2号についてです。特定秘密保護法の問題点は日本弁護士連合会をはじめとした多くの法律家団体、映画監督や小説家、演劇人など表現活動に関わる多くの人たち、憲法や刑事法、歴史学者など多くの専門家団体、国際人権団体など把握できないほど多くの団体・個人が問題点を指摘し、廃案を求めてきました。法案が審議された1昨年秋の臨時国会でも疑問は深まりこそすれ解決することはありませんでした。残念ながら法案は自民・公明両党などの賛成多数で可決・成立し、昨年12月10日に施行をむかえましたが、この法律が抱える深刻な問題点に鑑み、あらためて廃止を求める意見書の提出を求めるものです。
特定秘密保護法の問題点を端的に言うならば「何が秘密か、それは秘密です」という言葉に凝縮されていると思います。
「特定秘密」の範囲が曖昧で、行政機関の恣意的判断で指定することが可能です。国民の批判を受け急きょ複数の監視機関を設けましたが、とても第三者機関とは言えず、チェック機能は働きません。事実上「不特定」の秘密保護法であると言わざるをえません。結果としてかつての沖縄密約など本来、開示されるべき情報が次々と秘密指定されていっても国民にはまったくわからないということになります。
加えて誰が特定秘密の取扱者であるかもわかりません。報道機関や多くの国民にとって、特定秘密へのアクセスの疑いで、いつどこで逮捕、起訴されるかもわからない時代を迎えたわけです。何が犯罪になるか事前にわからず、だけど知らなかったではすみません。今国会で問題となっている政治資金規正法とは大違いで、憲法で規定される罪刑法定主義にも反することから刑法学者も反対を表明しています。
なぜこのようなひどい法律がつくられるのか、多くの識者が米軍との軍事一体化が目的だと指摘しています。事実、特定秘密保護法成立の次には集団的自衛権の行使容認、自衛隊の活動範囲の拡大、武器使用の拡大、辺野古の新基地建設強行などの動きが相次いでいます。
自由な取材活動、自由な市民活動が脅かされ、委縮効果も大きく、国民の知る権利は大きく制限されることになります。すでにマスコミの報道自粛の動きが毎日のように見られます。このままではますます政府の暴走を許し、国民主権、民主主義の原理は形骸化していきます。
そうは言っても情報漏えいへの対策は必要だという方もおられると思いますが、現行法でも自衛隊法や国家公務員法で情報漏えいに対する罰則が規定されており、過去の運用の経緯から、新たな法整備の必要性は全く認められません。
もちろん諸外国でも「安全保障のための秘密保護」と「知る権利の確保」の両立は重要な課題です。国連関係者を含めた世界70か国以上の専門家によって作成された「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」いわゆるツワネ原則というものがありますが、特定秘密保護法の多く規定はこの国際原則にも反していると指摘されています。
以上の理由により特定秘密保護法の廃止を求める意見書の提出を求める本請願の採択を訴えます。
次に請願第3号についてです。いわゆる『慰安婦』問題の早期解決を求める意見書の提出を求めるものです。
「慰安婦」問題は当事者の証言に加え、国内外の多くの公文書でも確認されている歴史的事実であり、昨年、安倍内閣の下で実施された河野談話検証作業でも再確認されたところです。
この「慰安婦」問題の解決が戦後70年を経たいま、求められている背景について若干の説明をしたいと思います。先の大戦で日本軍が設置した軍人・軍属専用の慰安所の全貌についてはいまだ明らかになっていません。被害女性は朝鮮、台湾、日本、中国、フィリピンなど公文書や証言などで確認されている国だけでも13国に及び、その数は5万人とも20万人とも言われます。しかし、戦時中に砲弾や病気で倒れた人も多く、生き残った元慰安婦の人たちも耐え難い屈辱から名乗り出ることはなく、長く証言は得られず、軍の資料も十分な公開がなされませんでした。韓国で「慰安婦」問題が大きな運動課題となったのは1990年代に入ってからのことです。
こうした中、1993年には宮沢内閣の下で河野談話が発表され、1995年にはアジア女性基金がスタートし賠償なども行われてきました。しかし、その責任について、被害女性側が政府や軍による戦争犯罪と捉えているのに対して日本側は道義的責任との表現を使用したり、賠償も国会賠償ではなく見舞金と受け取られたこともあり、被害女性の多くは謝罪や賠償を拒否し、今日にいたっています。
いま、『慰安婦』問題の早期解決が叫ばれるのは、戦後70年を経て、いまだに「慰安婦」とされた女性たちの傷は癒されていないということ、そして「慰安婦」とされた女性たちの多くは死亡し、生き残った人たちも高齢化し、多くの時間は残されていないという被害女性側の事情が一つあります。
それだけでなく、国連女性差別撤廃委員会を皮切りに人権委員会、拷問委員会など多くの国連機関が日本軍『慰安婦』・性暴力問題の法的解決を勧告し、被害者中心の解決などを日本政府に強く求めており、日本外交の大きな課題となっているという点も忘れてはなりません。
特に日韓関係では1965年に締結された日韓基本条約が「慰安婦」問題を解決したものでないことが2005年に明らかになり、昨今の日韓関係正常化に向けて重要な懸案事項になっていることは皆さんもご承知の通りです。
解決の先延ばしは日本外交にとっても決して望ましいことではありません。
特にここ数年、国際社会の認識と全く異なる「慰安婦」捏造論や問題の本質を理解しない「強制連行」否定論がしばしば政府関係者や一部メディアから表明され、こうした動きは韓国、中国などアジア諸国だけでなくアメリカの政府やメディアからも懸念する声が頻繁に上がっています。昨年12月にはニューヨークタイムズやワシントンポスト、ロサンゼルスタイムスが、慰安婦の歴史をごまかそうとする勢力に安倍政権は迎合していると相次いで批判記事を掲載しています。国連の各機関からの勧告でも、このような歴史修正主義の動きを警戒し、事実の継承や公人の誤った発言の禁止を含む「慰安婦」問題の解決が重要だと指摘されています。
解決に向けた動きはまったくないわけではありません。河野談話だけでなく、その後の民主党政権下でも日韓両国の官僚レベルでの交渉は重ねられ、あと一歩のところまでこぎつけた経緯もあります。解決に向け民間レベルでは多くの議論が積み重ねられています。先日来日したドイツのメルケル首相はドイツが戦後、国際社会から受け入れられたのは過去ときちんと向き合ったためと述べています。安倍政権に歴史ときちんと向き合わせるためにはさらに大きな国民世論と自治体からの声が必要です。
以上の理由により、『慰安婦』問題の早期解決を求める意見書の提出を求める本請願は採択すべきであり、議員各位のご賛同をお願いし、討論とします。
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