エッセイスト大石邦子の出会いから若者たちへのメッセージである。
いよいよ春の到来である。空は明るく、残雪の下から覗く大地は黒く濡れている。春は出会い別れのときでもあり、卒業、入学、就職、退職と悲喜こもごもである。
限りない可能性を秘めた若い人たちには、勉強も仕事も大切だけれども、新たな出会いを大切に、生涯を支え合っていける友ができると思うから。友達がなかったら生きられなかったであろうと思う私からの門出への祈りである。
今年の冬、体調を崩し、雪の為病院にも行けず熱と咳が続いた。咳込みが酷く眠れないある夜、家の前で何か物音がする。午前3時半である。亡母の綿入れ半纏を被り、カーテンの隙間から外を覗いた。交差点の明かりで降る雪がオレンジ色に見える。外套の帽子を深く被った、まさかののりちゃんだった。
彼女は高校の同級生で、姑と夫を見取り一人暮らしで、頑健な体でない彼女が、こんなに早くから除雪していることをはじめは知らなかった。気遣いからか「絶対大丈夫、今が一番幸せ」と言って聞かなかった。
彼女は早起きで、3時には朝食、その後自分の家と私たちの家の除雪をしており、他に老夫婦の家も回っていた。この友に私は何ができるだろうと。友の有難さをしみじみと訴えている。
いよいよ春の到来である。空は明るく、残雪の下から覗く大地は黒く濡れている。春は出会い別れのときでもあり、卒業、入学、就職、退職と悲喜こもごもである。
限りない可能性を秘めた若い人たちには、勉強も仕事も大切だけれども、新たな出会いを大切に、生涯を支え合っていける友ができると思うから。友達がなかったら生きられなかったであろうと思う私からの門出への祈りである。
今年の冬、体調を崩し、雪の為病院にも行けず熱と咳が続いた。咳込みが酷く眠れないある夜、家の前で何か物音がする。午前3時半である。亡母の綿入れ半纏を被り、カーテンの隙間から外を覗いた。交差点の明かりで降る雪がオレンジ色に見える。外套の帽子を深く被った、まさかののりちゃんだった。
彼女は高校の同級生で、姑と夫を見取り一人暮らしで、頑健な体でない彼女が、こんなに早くから除雪していることをはじめは知らなかった。気遣いからか「絶対大丈夫、今が一番幸せ」と言って聞かなかった。
彼女は早起きで、3時には朝食、その後自分の家と私たちの家の除雪をしており、他に老夫婦の家も回っていた。この友に私は何ができるだろうと。友の有難さをしみじみと訴えている。