TANEの独り言

日々の生活の中でのつぶやきだから聞き流してネ

2015夏 娘と父の信州旅行 … 第5話

2021-01-17 13:36:00 | 旅行
長野のお宿は県庁近くのビジネスホテルです。

早目に起き、朝食前に善光寺の “朝事“ を見に行きました。

 “朝事“ は娘がガイドブックかネットで調べ、
「面白そうだから行ってみない?」
と、言ってきたのでした。

私は “朝事“ という言葉を初めて耳にしたのでそれが何か分からず、
『せっかく善光寺まで来たんで見に行くか… 』
程度のノリで善光寺に向かいました。

朝早いのに、善光寺の本堂前辺りにはすでに人が集まっていました。



しばらくすると、そこに居た人たちが本堂に続く石畳の参道に一列になり、娘と私もその列の端に並びました。



そして、周りの人がする様に石畳に膝をついて、うつむき加減になり手を合わせます。

『何が始まるのだろう?』

私は薄目を開けて山門の方に目をやると、僧侶の集団がこちらに向かってやって来ます。

その集団の先頭の僧侶は持っていたお数珠を、膝をつき手を合わせて首を垂れている人の頭に当てながら近づいて来ているのが見えます。

私も目を瞑り、手を合わせて僧侶を待ちます。

私は頭にお数珠が当たるのを感じ、頭に残る余韻を不思議な気持ちで感じていました。

しばらくすると、また別の僧侶の集団がやって来ます。

今度は女性の僧侶がお数珠を当てて行かれます。

先程の男性の僧侶よりも優しい感触でした。

その後、今まで並んでいた人の列は解け、本堂に向かっています。

私たちも追うようについて行き、本堂のお縁から中を覗いていると、読経が始まりました。

多くの僧による読経が御堂一杯に響き、重厚でもあり軽快でもあり美しいハーモニーを聴いているようでした。

清らかな聖歌のようです。

お経を聞いてこんな気持ちになったのは初めてでした。

『義父はきっと、この読経の中に義母の声を聴いたんだろうな』

そんな事を考えました。

娘もまた、初めて耳にする読経に感動を覚えていたようです。

連れ合いにも聞かせてあげたいと、強くそう思ったのでした。


朝事が終わり、2つの僧侶の集団を見送ったあとは広い善光寺の敷地を散歩しました。

朝の散歩に来ていた地元のおじさんとお話ししたり、
「ここを見て行きなさい」と、
穴場を教えてもらい記念写真を撮ったりした事もいい思い出です。



善光寺の朝事を体験し、またそこで地元長野の方の親切にも触れ、朝ご飯を食べる前から娘も私も心が洗われた気分になりました。


さて、今日はこのあとホテルに戻って朝食をとり戸隠神社を目指します。