生命哲学/生物哲学/生活哲学ブログ

《生命/生物、生活》を、システム的かつ体系的に、分析し総合し統合する。射程域:哲学、美術音楽詩、政治経済社会、秘教

メカニズムという概念または考え方

2011年11月01日 16時56分35秒 | 生物哲学
2011年11月1日-3
メカニズムという概念または考え方

 Bechtel(2006)の本の第二章は、「細胞的現象をメカニズムによって説明する」である。

  「メカニズム〔機構〕という概念は哲学において長い歴史を持っているが〔略〕、20世紀の科学哲学において大きく衰退した。20世紀の科学哲学は、諸法則を強調し、そして符合するわけではないが、生物学よりも物理学を強調した。メカニズムは再び、きわめて最近の科学哲学における議論の焦点であり始めた。」(Bechtel 2006: p.19。20111101試訳)。

  「わたしの論議のさらなる段階〔一歩〕は、より生物学的に適切なメカニズム概念を展開することであろう。それ自身、細胞を生きている基本的単位とするという捉え方によって呼び起こされている。たとえば細胞生物学で追求されるような実際の科学的研究は、メカニズムの抽象的な特徴とは関わらず、実際のメカニズムの詳細を研究することに関わっているのだから、どのようにメカニズムが研究されるのか、そして細胞生物学が、生命の諸活動を説明する細胞のメカニズムを発見する際に直面する諸挑戦〔取り組み〕を検討することによって〔第二章を〕締めくくろう。」(Bechtel 2006: p.20。20111101試訳)。

  
[B]
Bechtel, W. 2006. Discovering Cell Mechanisms: the Creation of Modern Cell Biology. xii+323pp. Cambridge University Press. [B20081105]



システム、メカニズム(機構)、作動、編制:system, mechanism, operation, organization

2011年11月01日 16時22分15秒 | 生物哲学
2011年11月1日-2
システム、メカニズム(機構)、作動、編制:system, mechanism, operation, organization

 メカニズムの定義としてどんなものを採用すれば、或る理論体系、とりわけシステム主義的接近の理論体系として得策だろうか? たとえば、必要かつ十分な分析方法と総合方法を提供するための道具(体系の一部)となるのか?

 まずは、メカニズム〔機構〕mechanismの定義を、あちこち、つまみ読むことにする。

  「メカニズム〔機構〕という捉え方は、生物的諸科学において広く引き合いに出されるけれども、哲学的探究の標的となったのは、ほんの最近のことである。〔略〕メカニズム的アプローチ〔接近〕への鍵は、生理的システムを人工機械に類比〔類推 analogy〕することではなく、システム全体が機能することを、それを構成する諸部分 component partsが遂行する作動〔操作、働き〕 operationによって、説明するという探究であった。ベルナール Bernardに始まって、生物学者たちもまた、諸部分とそれらの作動が編制〔組織 organize〕される仕方の重要性を認識した。ますます、生物学は、諸現象は編制された諸部分を発見し、メカニズムがその機能を遂行することになる作動を発見するような一つの科学となった。
 〔略〕多くの科学的探究の目標は、興味の対象とする現象を招くメカニズムを記述することである、と認識すれば、科学的探究の多くの側面についての様々な見通し〔眺め、展望 perspective〕を提供する。線図〔図解、ダイアグラム diagram〕は、メカニズムを表現する〔表象する represent〕最も実りある方法を、しばしば提供する。その場合、科学者は作動を心的に模擬することによって、メカニズムを関心のある現象に関係づけるかもしれない。これは一部は、メカニズムを部分と作動に分解するという還元主義的戦略を伴うが、同じく意義深いことは、これらがどのように編制されて共に働くのか、そしてどのように様々な環境諸条件がメカニズムの機能することに影響するのか、を明解にする〔描き出す、はっきりと了解する、算定する、計算する figure out〕ことである。最後に、伝統的な科学哲学は発見の過程についてほとんど何も言わないできたが、焦点がメカニズムに合わされれば、われわれは、何が発見への挑戦〔取り組み challenge〕であるのかであるかを述べることができて、典型的な実験戦略??細胞メカニズムを発見することにおいて突出して異彩を放つ戦略、を分析することができる。」(Bechtel 2006: p.4-5。20111101試訳)。

 
[B]
Bechtel, W. 2006. Discovering Cell Mechanisms: the Creation of Modern Cell Biology. xii+323pp. Cambridge University Press. [B20081105]



社会力の分類と結合関係(Mario Bunge氏の『政治哲学』から)

2011年11月01日 14時55分31秒 | 生命生物生活哲学
2011年11月1日-1
社会力の分類と結合関係(Mario Bunge氏の『政治哲学』から)

 日本政府は、その予算つまり税金を毎年一兆円程度を温暖化対策に当てているらしい。果たしてたとえば指標となる二酸化炭素気体の、日本における排出量は減ったのであろうか? 排出量は実測しているのであろうか。あるいは、信頼できる推定値なのであろうか。あるいは、算定法に様々な問題は無いのか?
 温暖化取引詐欺にひっかかって、温暖化気体排出量低減に役立たずに税金を失う危険性(この危険性は、排出権取引下の対抗リスクに算定すべきではないか?)。この場合、詐欺による取得者が金銭によって何かを消費すれば、温暖化気体排出が増えるかもしれない(この危険性も、排出権取引下の対抗リスクとして加算すべきではないか?)。机上の計算的思考と現実世界との差。それも隠された計算のうちだが、言わないということか。

 さて、Mario Bunge (2008[published?] or 2009[copyright]: p.189)『政治哲学 Political Philosophy』から。社会力〔社会権力〕について。
 
  「最初の区別は、個人〔的〕力 personal powerと社会〔的〕力 social powerの間である。〔略〕要は、個人力は個人から個人への関係であるが、社会力〔社会権力〕はシステムから個人またはシステムへの関係である。
 社会力を、4つの異なる_種類〔類〕kind_に識別すべきである、と下記のように提案する。
  1. _生物-心理的:脅迫する、または物理的に威圧する能力 ability。いじめっ子と被害者、そして軍隊と市民の関係におけるように。
  2. 経済的:経済的資源を動員する能力。雇用するか解雇するとき、貸すか借りるとき、購買するか没収するとき、のように。
  3. 文化的:信念を変更する能力。教育したり洗脳するときのように。
  4. 政治的:人々に、或る一定のことをするように強いる force、政治的システムの力。政府が税金を課して調達する力におけるように。

 これらの類のいずれかの力は、多くの社会システムによって、行使され得る。すなわち、〔主権〕国家 state、暴力団、政党、草の根運動組織、市民軍〔民兵〕、法人、世界貿易機関 WTO〔原文のTWOは誤植であろう〕、国際通貨基金 IMF、教会、非政府組織、そしてその他である。これらの作用者 agentを、力の資源 sourceと呼ぼう。力関係の形式的複雑さに注意されたい。すなわち、作用者wは、類xの力を、個体またはシステムyに対して、zをするように、行使する、である。略して、_Pwxyz_である。ゆえに、力関係は四つ組である。しかし、種類と目標が与えられているとするならば、力は二項関係へと縮小され得る。」(マリオ・ブーンゲ『政治哲学:事実、虚構、そして展望』: p.189。20111101試訳 )。

 この本のこの後では、社会力について、資源 sourceと種類または類 kindを分けることについて議論している。