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これは5月25日の、背の低いバラです。一つの茎に蕾をいっぱい付けています。
普通のミニバラは、一つの茎の先端に一つの花をつけるものが多いのですが、このバラは、
背は低いけれど、枝はつる状に横に伸び、先端に沢山の蕾を付けています。
残念ながら名前は忘れてしまいました。ただ8年以上前からあり、コンパクトでいっぱい花が
咲きそうというだけで買った記憶だけが思い出されます。
これがどんな種類のバラか、少し調べてみることにしました。バラを育てていると、
いろいろな種類があることがわかります。
バラには、原種(野バラ、約150種類)と、園芸品種のバラ(人の手により、植えられ交配が
進められたもの、2~3万種類)があります。
園芸品種のバラには、大きく分けて、モダンローズ(現代バラ)とオールドローズ
(1867年以前につくられた系統)があります。
モダンローズの系譜の種類には、13種類ほどあります。
1867年にフランスのギヨーによって作出された「ラ・フランス」を最初とする
1)ハイブリッド・ティー系のバラ (四季咲き・大輪・1輪咲き・剣弁高芯咲き・耐寒性・強勢性を持つ)
1867年以降に作出され、今までになかったタイプのバラ
2)ポリアンサ (小輪・房咲き・四季咲き)
3)フロリバンダ (ポリアンサ系統とハイブリッドティー系統の交雑・中輪で房咲き・四季咲き)
4)グランディフローラ (ハイブリッドティーとフロリバンダ系統の交雑 1に含まれることもある。)
5)ハイブリッドウクライナ (テリハノイバラに由来する系統・枝が柔らかく、ほふくするように伸びる。
ランブラーといわれるタイプ)
6)ラージ・フラワード・クライマー(ランブラー(つるバラ)とハイブリッドティーとフロリバンダなどが交雑
四季咲き・一季咲きあり))
7)ミニチュア (ロサ・キネンシス・ミニマをもとに作出、ポリアンサ系統のと交雑
1800代中頃にはイギリス・ドイツで販売、1900年代以降に
オランダ・スペイン・アメリカで育種が進められた)
8)ミニフロラ (ミニチュアとフロリバンダの中間的なグループ)
9)シュラブ (イギリスの育種家デヴィッド・オースチンにより育成されたオリジナル品種群・
イングリッシュローズ・四季咲き性を持ち、ミルラの香りを持つ・半つる性)
10)ハイブリッドコルデシー (ハマナスに由来する交雑種・ロサ・コルデシーをもとにした系統・ドイツの
育種家コルデスにより進められた系統。ブッシュからつる性の品種あり。)
11)ハイブリッドモエシイ (ロサ・モエシイを親とする一連の交雑品種)
12)ハイブリッドムスク (ロサ・モスカータに由来する一連の品種)
13)ハイブリッドルゴサ (ハマナス(ロサ・ルゴサ)を親にした系統、耐寒性に強い)
などがあります。
バラを自分で育てるまでは、バラといえばお花屋さんで売っている大輪の赤い切りバラこそが
「バラ」のイメージでした。その切バラこそが、ハイブリッドティーなのです。
この庭にも、「ラ・フランス」があります。
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花びらの形が、ペンの先のようにカールする剣弁で、中心部が高い高芯咲き
「剣弁高芯咲き」を表しています。
さて、閑話休題。今日の主役のミニのバラの特徴をもう一度見ると、
つるバラのように、枝を伸ばし、先端に沢山の蕾をつける。しかし、全体はコンパクト。
この夏にも繰り返し花をつけている。このようなバラはどれに当たるのか・・・・・
「小輪で、房咲き。四季咲き性のバラ。」といえば・・・それは、「ポリアンサ」という系統にあたります。
この系統が生まれたのは、日本のノイバラに深く関係しています。
1860年、日本では幕末のころ、フランス・リヨンのジャン・シスレイが、日本にいる息子から、ノイバラの
種子を受け取りました。一重の白花でした。これを、育種家のギヨーは、種苗場に植え、この株からの実生を
育成しました。ほとんどが、つる性、一季咲きでしたが、やがて比較的大輪で、白の半八重咲きのものが
種子を沢山つけました。これをジャン・シスレイが撒き、その後代から、四季咲きで、ノイバラとわい性の
ピンクのチャイナローズの両方の性質を持つバラ「パケレット」(1875年)「ミグノネット」(1881年)
が誕生しました。
これらをもとにして、ポリアンサという、日本のノイバラと中国のわい性のチャイナローズの交雑に由来する
房咲き・多花性・小輪・四季咲きの系統が誕生したのです。
6月3日 開花から一週間ほどで満開になってきました。
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6月5日 最初は立っていた枝もしなだれ、こぼれるように咲いていました。
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8月半ば 2度目の開花です。花の数は少ないけれど、日々咲いています。
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