今、出発の刻(たびだちのとき)

車中泊によるきままな旅
<名所旧跡を訪ねる>

命の脈動 武石英孝 展  その3(市立小樽美術館:北海道小樽市色内1丁目)

2018年03月17日 | 博物館・美術館・記念館
命の脈動 武石英孝 展

今週の予定 
3月17日(土)14:00~15:00 museum ダンスショー
3月18日(日) 9:30~12:30 モデルデッサン会 定員20名(講師:武石英孝)

「③ 娘の肖像」
*印で始まる文章は展示室の説明文から抜粋したもの
*祖父をモデルとした制作が一段落し、2000年(平成19年)以降 集中的に描かれるのは「娘の肖像」であり、日展、光風会初入選作、受賞作は娘をモデルとした作品で占められている

8 「冬の花」 2008年 第40回日展
前年の日展初入選に続き、連続の入選である



「娘の肖像」では花によって季節感が表現されているそうだ
娘の顔ばかりみていたが、写真を見て窓ガラスに反射している冬景色を知った
絵を斜めからアップで撮っている



この絵を制作しているとき、職場では何かと慌ただしく忙しい時期であったと思う
いつ描いていたのだろう。時々、酷く疲れた顔で出勤してきたことを記憶しているが



9 「春を待つ」 2008年 第94回光風会展
「自分の娘であっても客観的存在としてみている」と解説文にあったが、どの絵も父親の愛情を感じるものばかりだ



武石氏は家では家族に愛情を注ぎ、職場では仲間や生徒との関係を大切にしてきた
絵にやさしさやぬくもりを感じるのは、彼の人柄か



10 「冬の日」 2007年 第39回日展(初入選)
*「冬の日」は家族で出かけた開拓の村で、小樽の緑町にかつてあった実家に似た家を見つけ心ひかれたことが制作動悸であった



*武石は娘の姿を通じて過去に向かい、自分が生まれた懐かしい家の前にたどり着いた
 過去と現在を行き来するなかで、娘に幼い頃の自分を、開拓の村の建造物に自分の生家のイメージをだぶらせた



「日展初入選」のニュースは職場でも披露され、特に仲間は酒が飲めると喜んだ
写真で知ってはいたが実物を観たのは今回が初めて。その写真を撮ることになるとは考えてもいなかった(とても嬉しかった…)
斜め右から撮ってみた。純真な心の少女から見つめられると、汚れた初老の私は萎縮してしまう



11 「冬の午後」 2007年 第82回道展
*「冬の午後」も「冬の日」と同じ題材のバリエーションである



北海道歴史村には何度も訪れている。建物には興味があるのだが、カメラを持っていたのは浴衣モデル撮影会のときだけ
同じ場所に立っていても、凡人には何もイメージが湧いてこない



12 「秋の日」 2010年 第42回日展
*娘を描きながらも、独立した独りの<少女>という対象をとして描いてきた
 完成した絵の少女の顔は、娘の顔立ちとあまり似ていない場合もある



小さかった女の子が急に成長したのに驚いた方もいたと思う
このブログでは「展示作品リスト」の順番で紹介しているので、年代が若干前後している



13 「雪の日」 2009年 第95回光風会展・奨励賞
*視覚的効果を与える道具立ては、柊、林檎、チューリップ、薔薇、ほおずきなどと変化し、娘の成長過程と重ねあわせることができる

*第95回光風会展「雪の日」は光風会奨励賞を受賞州、武石を同会会員に押し上げた



「娘の肖像」での多くは中央に娘さんが背筋を伸ばして立ち、正面を見ている
父親の愛娘にたいする将来への思いが強く表れていると私は感じている



14 「冬 日」 2011年 第86回道展
*娘も成長し、勉強や部活動など自分の世界を持ち始めると、父の制作に時間を合わせることも難しくなり、自然とモデルの役割から離れる時期がやってきた



*これらの連作は2012年(平成24年)までの5年間という限られた期間に制作され、娘が成長していく過程を絵で追うことができる



斜め左から撮っているのは照明の関係だ



15 「Memory」 2012年 第87回道展
旧校舎で私などの年代では懐かしさを感じる。



黒板の消えない文字、三角定規の輝き具合など、武石氏が教員だからこそ描けるものだ
カレンダーはフェルメールか



16 「日射し」 2012年 第6回北海道現代具象展
「娘の肖像」最後の一枚になった



この娘さんも現在は大学生になった。父親の背中を追い、同じ会場で「武石早代作品展」が開催される
日時 3月28日(水)~4月1日(日)<5日間>
会場 市立小樽美術館市民ギャラリー



市立小樽美術館 2F:企画展示室 3月11日~5月31日 開館時間 9:30-17:00
観覧料:一般 300円 高校生・市内高齢者 150円 中学生以下 無料

撮影 平成30年3月14日

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2 コメント

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美しい絵ですねー (@ OTETSUDAI)
2018-03-17 14:30:11
タイトルを「美しい絵…」と記しましたが、正確には美しい絵を写したという写真なのでしょうか。
「冬の花」…「冬の華」なら高倉健の映画と同名になるところだと思いつつ見入りました。チューリップかカーネーションの赤がとても冴えていますね。窓ガラスの一枚一枚にも反射した樹木の景色が鮮やかです。
「春を待つ」のバックも美しい処ですね。長い時間姿勢を保持していたのか、下絵までのポーズか分かりませんが素直なお嬢さんと感じます。
「冬の午後」、何となく高梨沙羅に似ているなと思いつつ…。
「冬の日」の解説を読んで理解出来ました。私が住んでいた住宅の外張りもこのような板張りでした。
「秋の日」ぐっと大人に成長して時の絵ですね。素直なお嬢さんと感心します。我が子ならご褒美を条件にする娘ですが…わざわざ着飾らない普段着が何とも純朴な絵と感心します。
「冬日」と「Memory」も素晴らしい構図ですね。敢えてカンバスの中心に置かなかったのは昨日の作品とは異なり、この構図もいいなーと。あの黒板といいつつも緑色。私に取っても黒板は懐かしいですね。就職した時は黒色でした。そうして退職前にはホワイトボードに代わりました。全教室ではありませんが…
マフラーの隅々まで綺麗に描かれていてそれを綺麗に写したこのブログは素晴らしいと見入りました。私には画けません。かけるのは「恥」だけです。
関東の真っ青な空の元に素晴らしい絵(写真)をありがとうございました。
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父親の愛情を感じます (2014kurumatabi)
2018-03-17 17:17:46
いつもありがとうございます。
老人から少女に変わり画面が明るくなったような感じがします。また父親の愛娘にたいする愛情を強く感じる作品ばかりで観ている方も楽しくなります。
各作品の感想を記載していただきありがとうございます。時既に遅しですが、ブログに掲載したいと思いました。
同じ場所に立っても才能ある人は感じ方が違い、このような作品になっているのは驚きでもあります。
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