訪問日 令和6年5月20日
砂の美術館<砂で世界旅行・フランス編>
平成18年(2006年)の開館以来、毎年テーマを替えて開催
2024年 パリオリンピック・パラリンピックが開催されることから、テーマをフランスに選定
総合プロジューサー 茶圓勝彦
砂のプロフェッショナル 12カ国20名の砂像彫刻家による作品
作品01「ノートルダム大聖堂」「小説<ノートルダム・ド・パリ>」
制作者:アンドリウス・ペトクス/リトアニア
ドナタス・モッカス/リトアニア
入口に入ると、大きな砂像が目に入ってくる
海外旅行の経験はないが、「ノートルダム大聖堂」の名だけは知っている
「我らの貴婦人」を意味し、聖母マリアを讃えるノートルダム大聖堂
1163年から約180年かけて完成した荘厳な大聖堂
ゴシック建築の最高傑作と称されている
18世紀のフランス革命で一部が破壊され、その後荒廃していく
1831年ヴィクトル・ユーゴーが小説「ノートルダム・ド・パリ」を発表すると
大聖堂の価値が見直され、修復が行われた(世界遺産)
ここに展示されている砂像は約3ヶ月の期間を要して制作されている
鳥取砂丘の砂と水だけで圧縮した砂の塊を彫刻して造形している
凝固剤を使用せず、展示が終わると作品を崩してもとの砂に戻し、新たな作品を制作している
砂は常に崩れるリスク、重力とのせめぎ合いといわれている
この高くて細長い塔はどのように制作されたのか、とても興味がある
最後の面は小説「ノートルダム・ド・パリ」を表現している
日本では「ノートルダムのせむし男」の邦題でも知られている
ノートルダム大聖堂のように直立する砂像は制作中に崩れるリスクが伴う
この作品はそれを回避するためにサポートする役割を果たしている
物語だが
ノートルダム大聖堂の前に、一人の醜い赤ん坊が捨てられていた
彼は大聖堂の助祭長、フロロに拾われ、カジモドという名をもらう
彼は成長し、ノートルダムの鐘つきとなる
パリにやって来た美しいジプシーの踊り子エスメラルダに、聖職者であるフロロは心を奪われる
欲情に悩み、ついにはカジモドを使ってエスメラルダを誘拐しようとする
カジモドは捕らえられ、エスメラルダは衛兵フェビュスに恋するようになる
フェビュスとエスメラルダの仲は深まるが、実はフェビュスは婚約者がいる不実な男だった
捕らえられたカジモドは広場でさらし者になるが、ただ一人エスメラルダだけは彼をかばう
カジモドは人間の優しさを生まれて初めて知り、彼女に恋をする
フロロも彼女に想いを募らせるが、エスメラルダの心はフェビュスにある
フロロは逢引をするふたりをつけて行き、フェビュスを刺して逃げる
エスメラルダはフェビュス殺害未遂の濡れ衣を着せられ、魔女裁判の元に死刑が言い渡される
カジモドはエスメラルダを救いノートルダム大聖堂にかくまう
しかし、エスメラルダはカジモドのあまりの醜さにまともに顔を見ることすらできなかった
フロロはパリの暴動の矛先をノートルダム大聖堂に向けさせ、混乱の中エスメラルダを連れ出す
助命と引き換えに愛人になるよう迫るが、彼女はフェビュスを刺したフロロを拒んだ
フロロは彼女を衛兵に引き渡し、エスメラルダは兵士達に捕まり、処刑される
大聖堂の塔の上からそれを見届けるフロロを、カジモドは塔から突き落として殺す
数年後、処刑場を掘り起こすと、白い服装をしていた女性エスメラルダと思われる白骨に、
異様な骨格の男の白骨が寄り添っており、それらを引き離そうとすると、砕けて粉になってしまった
作品02「パリの風景」
制作者:スラヴァ・ボレツキ/ポーランド
街の中心をセーヌ川が流れ、左岸にはドーム屋根の「裁判所」
フランス革命で牢獄とし素養していた「コンシェルジュリー」が見える
手前の橋はナポレオン3世が建造を命じた「シャンジュ橋」
この作品ではパリの風景よりも、この貴婦人に意識が向かってしまう
作品03「建国の王 クローヴィス」
制作者:オスカー・ロドリゲス/スペイン
ゲルマン系の民族であるフランク族を統一し、481年にフランク王国を建国したクローヴィス
ゲルマン民族が信仰していたキリスト教アリウス派から、アタナシウス派(後のカトリック)に改宗した
ローマ教会や貴族たちの後ろ盾を得て勢力を拡大したフランク王国はフランスの国名の由来とされ、歴代の王はクローヴィスから数えられる
作品はクローヴィスが洗礼を受ける様子
作品04 百年戦争
制作者:イリヤ・フィリモンツェフ/ロシア
フランスとイギリスの王位継承問題と領土争いを発端に1339年から1453年まで続いた「百年戦争」
この作品を例に砂像の仕組みについて説明したい
一枚の壁面に彫られているように見えるが実は違っている
上から見るとこのように2つの砂の塊で一つの作品に仕上がっているのだ
しかも、真横から見るとボリューム感などあまりないことが分かる
この立体感は「遠近法と光と影」によって作り出されていると何かで読んだ記憶がある
砂像彫刻家たちは室内灯や自然光を巧みに操り、計算して製作しているという
さて、百年戦争だが前半はイギリスが優勢であったが、1422年フランス王シャルル7世が即位すると形勢逆転し、フランスの勝利で終結した
作品では、兵士の重厚な甲冑
遺体にかけられた布の質感がリアルに造形されている
作品05 ジャンヌ・ダルク
制作者:ヘレナ・バンガード/オランダ
百年戦争の終盤に登場し、フランスを勝利に導いたジャンヌ・ダルク
信心深い村娘が神のお告げを受け、国王シャルル7世に進言したのは16歳の時だった
そこから一躍、軍を先導し士気を高める戦場のシンボルとして活躍する
砂像では、前景に「オルレアンの戦い」で拠点都市をイギリスから奪還した堂々たる姿が……
後景にはその2年後に異端裁判により火刑に処される姿が……
光と影を対比して構成することで、19年の生涯を劇的に表現している
ジャンヌは死後25年経って名誉復古され、1920年にはカトリック教会の聖人に列聖している
作品06 絶対王制
制作者:ドミトリー・クリメンコ/ロシア
絶対王制は国王が絶対的な権限を持つ政治体制のことで、16~18世紀の西ヨーロッパで成立した
フランスでは「太陽王」と呼ばれ、72年間在位したルイ14世の時代に全盛を極める
「朕は国家なり」という有名な言葉が示すとおり、独断で戦争を繰り返し領土を広げた
パリ郊外に豪華なヴェルサイユ宮殿を建造、王宮を移して貴族や官僚を住まわせ権力の一極集中を図った
晩年は戦費がかさみ財政難に陥った
作品では、貴族たちを世に、彼の黄金期を表現している
作品07 フランス革命
制作者:ミケーラ・チャピーニ/イタリア
18世紀後半に即位したルイ16世の時代には、14世から続き対外戦争の負債を抱え
さらに王妃マリー・アントワネットらの浪費が財政を脅かしていた
国王は財政難を新たな課税で賄おうとしたが国民が反発
国王からの武力弾圧に民衆が蜂起し、1789年フランス革命が勃発した
聖職者や貴族の特権廃止など、国民が自由・平等を求めた戦いの中で王権が停止された
ルイ16世ら王族・貴族は次々と有罪になり、ギロチンにかけられた
作品では、処刑場の革命広場に集まった人々の興奮と革命前の優雅な姿を対比的に表現している
作品08 ヴェルサイユ庭園~バッカスの泉水
制作者:ジル・ハリス/アメリカ
フランス式庭園の最高傑作とされるヴェルサイユ宮殿の広大な庭園には約1400の泉水がある
作品はそのひとつで、ワインを司るローマ神話の神「バッカス」の彫刻を中央に配している
作品09 ヴェルサイユ宮殿
制作者:レオナルド・ウゴリニ/イタリア
アンゲフォン・ディビッド/ベルギー
ルイ14世によって建造されたバロック建築の最高傑作(写真上段)であり、ブルボン朝の最盛期を物語る宮殿である
宮殿内は王族の居室をはじめ礼拝堂や劇場など700以上の部屋がある
ルイ14世は贅の限りを尽くした宮殿と庭園を庶民にも公開し権力を示した
この宮殿は18世紀以降に建築された世界の宮殿に多くの影響を与えた
作品10 ナポレオンの戴冠式
制作者:ディビッド・ドゥシャーム/カナダ
スザンヌ・ルセラ/オランダ
この作品はメインステージを飾る最も重要な作品である
砂像も素晴らしく、つい見入ってしまい、重大なミスを犯してしまった
作品の足元に作品の説明や時代背景など解説したものが置かれているのだが、それを撮り忘れてしまったのだ
時代的背景などの解説があるとそれに合わせた写真を選択できるのだが……
戴冠式は、1804年12月にノートル・ダム大聖堂で行なわれた
ナポレオンは、市民に支持されて皇帝になったことを示すため、冠を自分で頭に載せた
作品11 フランス文学~レ・ミレザベル
制作者:マリエレ・ヒーセルス/オランダ
ヴィクトル・ユゴーが1862年に発表した小説「レ・ミレザベル」
主人公は元囚人の男ジャン・バルジャン
社会を恨んでいた彼は無償の愛に触れて改心し、人を助けながら波乱の人生を送る
作品の中央にある小説の表表紙ではヒロインのコゼットが造形されている
右は女中として酷使される幼いコゼットとヴァルジャンが出会うシーン
左は成長したコゼットの恋人マリユスが暴動で重症を負いヴァルジャンに助けられて下水道に逃げたシーン
ヒロインのコゼットの子供時代が本当に可愛く表現されている
成長したコゼットの表情に不安な社会情勢なか、たくましく生きる姿を感じる
作品12 フランスの森
制作者:イネス・ヴァルテーレ/ラトビア
美しく広大なフランスの森はさまざまな豊かな文化を育んできた場所
古来よりおとぎ話や物語の舞台であり、かつては王侯貴族による狩猟の場でもあった
森に生息するシカや熊、猪など動物たちが生き生きと表現されている
遠景には雄大なアルプス山脈、手前には狩りに出かけてきたルイ14世とハンターが彫刻されている
作品13 フランス美術~民衆を導く自由の女神
制作者:トーマス・クォート/アメリカ
19世紀フランスの画家ドラクロワによる、ルーブル美術館所蔵の名画「民衆を導く<自由の女神>」
描かれているのは、1830年にパリで起こった七月革命
ナポレオン失脚後、1814年に復活したブルボン王朝に対する市民革命で「栄光の3日間」と呼ばれる
動乱を生き抜く市民の姿をドラマチックに描いている
革命期に誕生した三色旗と象徴的女性像マリアンヌも登場
作品14 ベル・エポック
制作者:スー・マクグリリュー/アメリカ
19世紀末から1914年第一次世界大戦前のフランスは「ベル・エポック/良き時代」と呼ばれている
エッフェル塔完成や1900年パリ万博に象徴されるように市民生活も豊かになった
美術の世界でも新しい時代を意識した造形が生まれた
ミュシャに代表されるアール・ヌーヴォーが流行したのもこの時期
ミュシャが描いた植物文様で彩られた優雅な女性像は今日まで多くの人を魅了している
作品15 自由フランス
制作者:ギー・オリヴィエ・ドゥヴァ/カナダ
フランスがナチス・ドイツに占領されていた第二次世界大戦中、1940年にロンドンにて亡命政府「自由フランス」が結成される
中心人物のシャルル・ドゴール将軍は、亡命先からラジオを通して国民にレジスタンス(ナチスに対する抵抗運動)を演説した
1944年8月ドイツが撤退した「パリ解放」後、凱旋門前のパレードでは名実ともに救国の英雄として讃えられた
作品16 観光大国フランス
制作者:ベノワ・デュトゥラージュ/フランス
世界で最も外国からの観光客を集めているフランス
豊かな自然と華やかな文化、誰もが知る歴史など魅力は尽きない
作品の中央は巨大な機械仕掛けの象「グラン・エレファント」
左は世界遺産「シュノンソー城」、右はカトリックの修道院「モン・サン・ミシェル」
作品17 フランスのファッション
制作者:チェ・ジフン/韓国
女性がコルセットから解放されたのは20世紀初頭
第二次世界大戦後には、クリスチャン・ディオールによって細く絞ったウエストとフレアスカートが特徴的な「ニュールック」が発表された
時代が求める女性らしいスタイルは平和のシンボルともいわれた
作品18 フランスの食文化
制作者:チェ・ジフン/韓国
世界三大料理にも数えられるフランス料理
フランス革命で宮廷を離れた料理人達が街にレストランを開店、庶民もフランス料理を楽しめられるようになった
屋外の高台から砂丘を眺める
平井信治知事の名言通り「スタバはないがスナバ(砂場)はある」
撮影 令和6年5月20日
砂の美術館<砂で世界旅行・フランス編>
平成18年(2006年)の開館以来、毎年テーマを替えて開催
2024年 パリオリンピック・パラリンピックが開催されることから、テーマをフランスに選定
総合プロジューサー 茶圓勝彦
砂のプロフェッショナル 12カ国20名の砂像彫刻家による作品
作品01「ノートルダム大聖堂」「小説<ノートルダム・ド・パリ>」
制作者:アンドリウス・ペトクス/リトアニア
ドナタス・モッカス/リトアニア
入口に入ると、大きな砂像が目に入ってくる
海外旅行の経験はないが、「ノートルダム大聖堂」の名だけは知っている
「我らの貴婦人」を意味し、聖母マリアを讃えるノートルダム大聖堂
1163年から約180年かけて完成した荘厳な大聖堂
ゴシック建築の最高傑作と称されている
18世紀のフランス革命で一部が破壊され、その後荒廃していく
1831年ヴィクトル・ユーゴーが小説「ノートルダム・ド・パリ」を発表すると
大聖堂の価値が見直され、修復が行われた(世界遺産)
ここに展示されている砂像は約3ヶ月の期間を要して制作されている
鳥取砂丘の砂と水だけで圧縮した砂の塊を彫刻して造形している
凝固剤を使用せず、展示が終わると作品を崩してもとの砂に戻し、新たな作品を制作している
砂は常に崩れるリスク、重力とのせめぎ合いといわれている
この高くて細長い塔はどのように制作されたのか、とても興味がある
最後の面は小説「ノートルダム・ド・パリ」を表現している
日本では「ノートルダムのせむし男」の邦題でも知られている
ノートルダム大聖堂のように直立する砂像は制作中に崩れるリスクが伴う
この作品はそれを回避するためにサポートする役割を果たしている
物語だが
ノートルダム大聖堂の前に、一人の醜い赤ん坊が捨てられていた
彼は大聖堂の助祭長、フロロに拾われ、カジモドという名をもらう
彼は成長し、ノートルダムの鐘つきとなる
パリにやって来た美しいジプシーの踊り子エスメラルダに、聖職者であるフロロは心を奪われる
欲情に悩み、ついにはカジモドを使ってエスメラルダを誘拐しようとする
カジモドは捕らえられ、エスメラルダは衛兵フェビュスに恋するようになる
フェビュスとエスメラルダの仲は深まるが、実はフェビュスは婚約者がいる不実な男だった
捕らえられたカジモドは広場でさらし者になるが、ただ一人エスメラルダだけは彼をかばう
カジモドは人間の優しさを生まれて初めて知り、彼女に恋をする
フロロも彼女に想いを募らせるが、エスメラルダの心はフェビュスにある
フロロは逢引をするふたりをつけて行き、フェビュスを刺して逃げる
エスメラルダはフェビュス殺害未遂の濡れ衣を着せられ、魔女裁判の元に死刑が言い渡される
カジモドはエスメラルダを救いノートルダム大聖堂にかくまう
しかし、エスメラルダはカジモドのあまりの醜さにまともに顔を見ることすらできなかった
フロロはパリの暴動の矛先をノートルダム大聖堂に向けさせ、混乱の中エスメラルダを連れ出す
助命と引き換えに愛人になるよう迫るが、彼女はフェビュスを刺したフロロを拒んだ
フロロは彼女を衛兵に引き渡し、エスメラルダは兵士達に捕まり、処刑される
大聖堂の塔の上からそれを見届けるフロロを、カジモドは塔から突き落として殺す
数年後、処刑場を掘り起こすと、白い服装をしていた女性エスメラルダと思われる白骨に、
異様な骨格の男の白骨が寄り添っており、それらを引き離そうとすると、砕けて粉になってしまった
作品02「パリの風景」
制作者:スラヴァ・ボレツキ/ポーランド
街の中心をセーヌ川が流れ、左岸にはドーム屋根の「裁判所」
フランス革命で牢獄とし素養していた「コンシェルジュリー」が見える
手前の橋はナポレオン3世が建造を命じた「シャンジュ橋」
この作品ではパリの風景よりも、この貴婦人に意識が向かってしまう
作品03「建国の王 クローヴィス」
制作者:オスカー・ロドリゲス/スペイン
ゲルマン系の民族であるフランク族を統一し、481年にフランク王国を建国したクローヴィス
ゲルマン民族が信仰していたキリスト教アリウス派から、アタナシウス派(後のカトリック)に改宗した
ローマ教会や貴族たちの後ろ盾を得て勢力を拡大したフランク王国はフランスの国名の由来とされ、歴代の王はクローヴィスから数えられる
作品はクローヴィスが洗礼を受ける様子
作品04 百年戦争
制作者:イリヤ・フィリモンツェフ/ロシア
フランスとイギリスの王位継承問題と領土争いを発端に1339年から1453年まで続いた「百年戦争」
この作品を例に砂像の仕組みについて説明したい
一枚の壁面に彫られているように見えるが実は違っている
上から見るとこのように2つの砂の塊で一つの作品に仕上がっているのだ
しかも、真横から見るとボリューム感などあまりないことが分かる
この立体感は「遠近法と光と影」によって作り出されていると何かで読んだ記憶がある
砂像彫刻家たちは室内灯や自然光を巧みに操り、計算して製作しているという
さて、百年戦争だが前半はイギリスが優勢であったが、1422年フランス王シャルル7世が即位すると形勢逆転し、フランスの勝利で終結した
作品では、兵士の重厚な甲冑
遺体にかけられた布の質感がリアルに造形されている
作品05 ジャンヌ・ダルク
制作者:ヘレナ・バンガード/オランダ
百年戦争の終盤に登場し、フランスを勝利に導いたジャンヌ・ダルク
信心深い村娘が神のお告げを受け、国王シャルル7世に進言したのは16歳の時だった
そこから一躍、軍を先導し士気を高める戦場のシンボルとして活躍する
砂像では、前景に「オルレアンの戦い」で拠点都市をイギリスから奪還した堂々たる姿が……
後景にはその2年後に異端裁判により火刑に処される姿が……
光と影を対比して構成することで、19年の生涯を劇的に表現している
ジャンヌは死後25年経って名誉復古され、1920年にはカトリック教会の聖人に列聖している
作品06 絶対王制
制作者:ドミトリー・クリメンコ/ロシア
絶対王制は国王が絶対的な権限を持つ政治体制のことで、16~18世紀の西ヨーロッパで成立した
フランスでは「太陽王」と呼ばれ、72年間在位したルイ14世の時代に全盛を極める
「朕は国家なり」という有名な言葉が示すとおり、独断で戦争を繰り返し領土を広げた
パリ郊外に豪華なヴェルサイユ宮殿を建造、王宮を移して貴族や官僚を住まわせ権力の一極集中を図った
晩年は戦費がかさみ財政難に陥った
作品では、貴族たちを世に、彼の黄金期を表現している
作品07 フランス革命
制作者:ミケーラ・チャピーニ/イタリア
18世紀後半に即位したルイ16世の時代には、14世から続き対外戦争の負債を抱え
さらに王妃マリー・アントワネットらの浪費が財政を脅かしていた
国王は財政難を新たな課税で賄おうとしたが国民が反発
国王からの武力弾圧に民衆が蜂起し、1789年フランス革命が勃発した
聖職者や貴族の特権廃止など、国民が自由・平等を求めた戦いの中で王権が停止された
ルイ16世ら王族・貴族は次々と有罪になり、ギロチンにかけられた
作品では、処刑場の革命広場に集まった人々の興奮と革命前の優雅な姿を対比的に表現している
作品08 ヴェルサイユ庭園~バッカスの泉水
制作者:ジル・ハリス/アメリカ
フランス式庭園の最高傑作とされるヴェルサイユ宮殿の広大な庭園には約1400の泉水がある
作品はそのひとつで、ワインを司るローマ神話の神「バッカス」の彫刻を中央に配している
作品09 ヴェルサイユ宮殿
制作者:レオナルド・ウゴリニ/イタリア
アンゲフォン・ディビッド/ベルギー
ルイ14世によって建造されたバロック建築の最高傑作(写真上段)であり、ブルボン朝の最盛期を物語る宮殿である
宮殿内は王族の居室をはじめ礼拝堂や劇場など700以上の部屋がある
ルイ14世は贅の限りを尽くした宮殿と庭園を庶民にも公開し権力を示した
この宮殿は18世紀以降に建築された世界の宮殿に多くの影響を与えた
作品10 ナポレオンの戴冠式
制作者:ディビッド・ドゥシャーム/カナダ
スザンヌ・ルセラ/オランダ
この作品はメインステージを飾る最も重要な作品である
砂像も素晴らしく、つい見入ってしまい、重大なミスを犯してしまった
作品の足元に作品の説明や時代背景など解説したものが置かれているのだが、それを撮り忘れてしまったのだ
時代的背景などの解説があるとそれに合わせた写真を選択できるのだが……
戴冠式は、1804年12月にノートル・ダム大聖堂で行なわれた
ナポレオンは、市民に支持されて皇帝になったことを示すため、冠を自分で頭に載せた
作品11 フランス文学~レ・ミレザベル
制作者:マリエレ・ヒーセルス/オランダ
ヴィクトル・ユゴーが1862年に発表した小説「レ・ミレザベル」
主人公は元囚人の男ジャン・バルジャン
社会を恨んでいた彼は無償の愛に触れて改心し、人を助けながら波乱の人生を送る
作品の中央にある小説の表表紙ではヒロインのコゼットが造形されている
右は女中として酷使される幼いコゼットとヴァルジャンが出会うシーン
左は成長したコゼットの恋人マリユスが暴動で重症を負いヴァルジャンに助けられて下水道に逃げたシーン
ヒロインのコゼットの子供時代が本当に可愛く表現されている
成長したコゼットの表情に不安な社会情勢なか、たくましく生きる姿を感じる
作品12 フランスの森
制作者:イネス・ヴァルテーレ/ラトビア
美しく広大なフランスの森はさまざまな豊かな文化を育んできた場所
古来よりおとぎ話や物語の舞台であり、かつては王侯貴族による狩猟の場でもあった
森に生息するシカや熊、猪など動物たちが生き生きと表現されている
遠景には雄大なアルプス山脈、手前には狩りに出かけてきたルイ14世とハンターが彫刻されている
作品13 フランス美術~民衆を導く自由の女神
制作者:トーマス・クォート/アメリカ
19世紀フランスの画家ドラクロワによる、ルーブル美術館所蔵の名画「民衆を導く<自由の女神>」
描かれているのは、1830年にパリで起こった七月革命
ナポレオン失脚後、1814年に復活したブルボン王朝に対する市民革命で「栄光の3日間」と呼ばれる
動乱を生き抜く市民の姿をドラマチックに描いている
革命期に誕生した三色旗と象徴的女性像マリアンヌも登場
作品14 ベル・エポック
制作者:スー・マクグリリュー/アメリカ
19世紀末から1914年第一次世界大戦前のフランスは「ベル・エポック/良き時代」と呼ばれている
エッフェル塔完成や1900年パリ万博に象徴されるように市民生活も豊かになった
美術の世界でも新しい時代を意識した造形が生まれた
ミュシャに代表されるアール・ヌーヴォーが流行したのもこの時期
ミュシャが描いた植物文様で彩られた優雅な女性像は今日まで多くの人を魅了している
作品15 自由フランス
制作者:ギー・オリヴィエ・ドゥヴァ/カナダ
フランスがナチス・ドイツに占領されていた第二次世界大戦中、1940年にロンドンにて亡命政府「自由フランス」が結成される
中心人物のシャルル・ドゴール将軍は、亡命先からラジオを通して国民にレジスタンス(ナチスに対する抵抗運動)を演説した
1944年8月ドイツが撤退した「パリ解放」後、凱旋門前のパレードでは名実ともに救国の英雄として讃えられた
作品16 観光大国フランス
制作者:ベノワ・デュトゥラージュ/フランス
世界で最も外国からの観光客を集めているフランス
豊かな自然と華やかな文化、誰もが知る歴史など魅力は尽きない
作品の中央は巨大な機械仕掛けの象「グラン・エレファント」
左は世界遺産「シュノンソー城」、右はカトリックの修道院「モン・サン・ミシェル」
作品17 フランスのファッション
制作者:チェ・ジフン/韓国
女性がコルセットから解放されたのは20世紀初頭
第二次世界大戦後には、クリスチャン・ディオールによって細く絞ったウエストとフレアスカートが特徴的な「ニュールック」が発表された
時代が求める女性らしいスタイルは平和のシンボルともいわれた
作品18 フランスの食文化
制作者:チェ・ジフン/韓国
世界三大料理にも数えられるフランス料理
フランス革命で宮廷を離れた料理人達が街にレストランを開店、庶民もフランス料理を楽しめられるようになった
屋外の高台から砂丘を眺める
平井信治知事の名言通り「スタバはないがスナバ(砂場)はある」
撮影 令和6年5月20日
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