This is New/Kenny Drew
(Riverside RLP236, OJC reissue)
バードとディジー,モンクなどが集い完成させたビバップの後に現れたポストバップのジャズはアップテンポではよりファンキーにバラードではより甘美な味わいを持ちハードバップと言われ、モダンジャズにおいては鑑賞の中心となっていますよね。この時代には,ソニー・クラーク、ウィントン・ケリー,トミー・フラナガンをはじめ多くの優秀で人気のあるピアニストが登場して来ます。ケニー・ドリューもそんな一人です。有名なリバーサイドのトリオ盤をはじめ多くのリーダーアルバムが制作されました。勿論、こういったピニストにとってはトリオフォーマットの演奏が重要視されますが,ホーンを加えたコンボ演奏にもクール・ストラッティンやケリー・ブルーと言った超有名盤が生まれていますよね。本日、主役としたドリューにおいては,コンボではBNのアンダーカレントが最右翼だとは思いますが,やや前の録音である本日アップの”This Is New"もなかなかに興味深い一枚です。
フロントメンバーはドナルド・バードとハンク・モブレイ、リズムセクションはドリューにくわえWilbur Ware(b)とG.T.Hogan(ds)がつとめます。57年の録音であり,モブレイ,バードは絶好調,A-1のタイトル曲やマクリーンでお馴染みのA-3の"It's You Or No One"などファンキーナンバーでのドライブ感溢れるソロは納得ですよね。また、A-2の”Carol"やB-1の"You're My Thrill"での太いトーンのバードのソロは圧巻というほかはないです。ドリューのピアノも後のスティープチェイス盤で聴かれるようなイントロのルバート風のプレイや訥々としたバラードプレイなどドリューの個性を充分に発揮した好アルバムだと思います。
所有盤はOJCの再発ステレオ盤ですが,結構太い音で録れていてハードバップの熱気を伝える好録音のように思います。