Jazz Impression Of Japan/Dave Brubeck
(Columbia CL2212)
ジャズメンの海外ツアーは50年代ではJATPなど限られた興行が行われていたの過ぎませんが,60年代になるとより頻繁になりますよね。マイルス,メッセンジャースをはじめビッグネームがどんどん来日公演をおこなっていった時代でした。そして、公演のライブ盤がリリースされたりでジャズは活況を呈します。勿論,ライブ盤も良いですが,来日公演を終え本国に帰ったミュージシャンが初めて訪れた日本の想い出をアルバムの題材にしたケースもいくつかありますね。ホレス・シルバーの"Tokyo Blues"もそうですし、ジャパニーズなカバーを伴って、今となっては貴重な記録と言えるのではないでしょうか?テイクファイブでブレイクしたブルーベックも大々的なワールドツアを行いそれぞれの訪問地での印象をアルバムにしているのです。余り注目される事の無い企画ですが,日本の印象をまとめあげたアルバムとしてはこのブルーベック盤は屈指の出来だと思います。本日はこれをアップしますね。
メンバーはいつものカルテット,Paul Desmond, Brubeck, Eugene Wright, Joe Morelloの4人です。どうして屈指かって・・・?アルバム全体を支配するエキゾティックなジャパンムードもさることながら、デスモンドの音色が尺八を思わせるこのムードにピッタリなのです。オリジナル曲8曲構成ですが冒頭の"Tokyo Traffic"に始まり”Fujiyama", "Zen Is When", "Osaka Blues"(Horaceに対抗???)、”Koto Song"と佳曲揃いで,ブルーベックの曲作りのうまさが横溢しています。ライナーも自身が書いており,それぞれの曲に芭蕉,一茶,蕪村の俳句の英訳を付けた構成も凝っています。おもてのジャケも番傘の浮世絵が使われており完成度では屈指でしょう!企画モノと軽視しないで聴いて欲しい一枚です。
所有盤はコロンビア2eyeのモノラル・オリジナル盤です。デスモンドのアルトが最高に枯れた感じで録られているし,低音を生かしたブルーベックのピアノも重厚で好きな一枚ですね!