風を紡いで

旅の記録と料理、暮らしの中で感じた事などを綴っています。自然の恵みに感謝しながら…。

与論島でかじるリンゴの味

2005年09月02日 | 与論島 ひとり旅
遠い昔、与論島を一人で旅した。
民宿で知り合った島のおじさんが、島内を案内してくれた。
サトウキビ畑に行き、サトウキビをかじった。
竹のようで固かったけれど、とても甘かった。

そのあと、与論の景色のいい海へ連れて行ってくれた。
サンゴ礁のかけらでできた真っ白い浜辺に着き、
波打ち際を歩いていた時のことだった。

私は、持っていたリンゴを海水で洗って食べていた。
おじさんにあげたかどうかまでは、覚えていない。
持っていたリンゴが一個だったか、二個だったのかさえ…。
ほんの少し塩味がついて、とても美味しかった。

おじさんがボソリと言った。

「島では、人が死ぬとまずは土葬にするんだ。
何年かしたら、掘り起こして、その骨をこの海の水で洗うんだよ。
それから再びお墓に納めるんだ」
「え~?ほんとう?」
 
びっくりしたのなんの…
私はすぐに言葉がでなかった。

その海水で洗って食べたんだよ~

その時、私は若かったとはいえ、心の中で叫んでしまった!!
食べちゃったよ!口に入れる前に言ってよ~!
言葉には出さなかったけれど、すごい顔をしていたと思う。

沖縄でも同じような風習があると聞いた…。
現在ではどうなのだろうか?
当時は沖縄が返還されず、与論島からあこがれの目で見ていたものだった。
今では、懐かしい思い出になってしまった。

年月を経て、今はなんともないと思えるのに…。
潔癖だったのだろうか。心の中で叫んだとはいえ―おじさん、ごめんなさい!
素敵な思い出を共有したおじさんに感謝!!



コメント (2)
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