風を紡いで

旅の記録と料理、暮らしの中で感じた事などを綴っています。自然の恵みに感謝しながら…。

牧野記念庭園へ行って来ました③愛のまなざし

2024年05月07日 | 自然(花 虫 樹etc)
「家守りし 妻の恵みや 我が学び 世の中の あらん限りや すゑ子笹」

牧野富太郎博士が妻 須衛夫人への感謝を込めて墓碑に刻んだ歌2首です。



「私は幼い時から ただ何となしに草木が好きであったのです」

「東大泉の田舎の雑木林のまん中に小さな一軒家を建ててわれわれの永遠の棲家とした」

牧野富太郎の言葉です。


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前回は企画展示室を紹介しましたが、今回は常設展示室,書屋、講習室について記します。




記念館(上)
常設展示室(下)

練馬区立牧野記念庭園内には記念館、書屋、講習室があります。

記念館は博士が終の棲家とした邸宅の跡地に建てられた施設で、遺品や関連資料を展示しており、常設展示室と企画展示室からなります。同記念館は平成22年8月にリニューアルオープンした2代目。入園無料、火曜休園。


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常設展示室には博士愛用の採集道具や描画道具、博士執筆の書物や植物図などが並び、博士の植物への深い愛を感じることができます。



常設展示室9️⃣


植物採集時に持ち歩いた胴乱


筆や万年筆、名刺…年賀状も。


日本植物志図篇


博士の夢は、当時の日本に無かった植物誌を作ること。

明治21年(26歳)、書きためた植物図をもとに「日本植物志図篇」第一巻第一集を刊行。そのため印刷所に通い技術を習得、自費出版にこぎつけました。初著作に。

前年の明治20年(25歳)、植物学雑誌を東京植物学会の機関誌として創刊。その後、日本植物学会の機関誌として刊行が継続されています。



精緻に描かれた植物園



採集道具



ドイツ製の顕微鏡






牧野日本植物図鑑


植物図



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次は書屋展示室。
昭和27年から28年頃の書斎と書庫を再現し、その一部を保存しています。愛蔵書の表紙を高精細カメラで撮影して本にしたり、蔵書を模して色鉛筆で描いたり、文房具を模したりして
再現…当時の書庫の様子を知ることができます。博士を慕う人たちの力が集結して再現された空間なのですね。






書斎(左)と書庫(右)













庭での観察後、原稿を書いたり、植物図を描いたり…


博士の研究への情熱が伝わってきます。





ひ孫の牧野一浡さん(同記念庭園学芸員)は、幼い頃に書屋に出入りしていたけれど、本や資料などに決して触ることは無かったと。良く言い聞かされていたらしい。


書斎は最初 2階にありましたが、足の踏み場もない程に増えて…その重みで玄関の障子が曲がってしまいました。

1階の座敷に移してからも本や標本が増えて、ほかの部屋もいっぱいになり、部屋の戸が閉まらなくなりました。

新しく建てた家に書斎を移して…ここが最後の書斎に。

90歳を過ぎても「心は花の真盛り」と、植物への質問に返事を書いたり、夜明けまで原稿の執筆に励んだこともあったそうです。


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最後に講習室。
講習室では企画展関連の講習会や講座、夏休みには標本や缶バッチ製作などのイベントも。博士の生涯や功績などの映像をみることもできます。



庭園が眺められる講習室


博士とのツーショットも…
(私も撮りました!)



博士の生涯や功績を映像で紹介


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スエコザサに囲まれた博士の胸像(牧野記念庭園)



NHK朝ドラ「らんまん」で博士の偉業を知りました。牧野記念庭園を訪れてから色々調べていくにつれ、博士の植物へ向けるまなざしに深い愛を感じました。

借金をしてまでも植物への研究を続ける博士。商才を発揮して夫を支える須衛夫人は借金取りの扱いもうまかったといいます。

博士66歳の時、須衛夫人54歳で死去。その年、仙台で見つけたササの新種にスエコザサと命名。

78歳 牧野日本植物図鑑発刊。86歳 皇居で当時の天皇陛下に植物学を御進講。89歳 第1回文化功労者、91歳 東京都名誉都民第1号に。94歳で逝去。没後従3位勲2等旭日重光章および文化勲章授与。


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*予告 8月3日〜10月6日に企画展「伊藤篤太郎と牧野富太郎」(仮)入園無料、火曜休園

*練馬区牧野記念庭園のほか、東京都立大学の施設 牧野標本館には約50万点の標本が収められており、そのうち16万点が博士自身の標本。

博士の故郷にある高知県立植物園には、博士が集めた蔵書や遺品など約6万点が保管。中庭には博士が命名した植物や描いた植物図などゆかりの植物約250種が植栽されています。


※牧野記念庭園などのリーフレットなどから(備忘録として)





コメント (15)
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