指揮:佐渡裕
演奏:創立100周年を迎えた「東京フィルハーモニー交響楽団」
会場:東京文化会館大ホール
12月20日午後6時30分開場、開演午後7時。
午後6時30分より早く文化会館に入った途端、フロアーは大混雑。開場時間は早められ、入場口は2つになるほどに。
席は当然決まっているのですが、何故かせわしない気分。(←こういう気分は苦手。)
それでもわずかな空席があるのですね。
どうやら席に座って、開演を待つだけ。しかしきっちり7時になっても舞台には誰も現れない。ずる。
5分後にやっとチャイムが鳴る。
演奏家たちが現われ、合唱の方々が揃い、やっとマエストロ「佐渡裕」が登場。演奏開始。
今回の目的は「佐渡裕」です。「Love♪♪♪!」です。
大きな体で指揮する姿を見ること。彼が指揮すると「第九」はどのような表情をするのか?という興味でした。
予想通り、快活であり、そして心地よい。
この「心地よい」が曲者で、一心にマエストロの後姿と、時々見せる横顔を見ているうちに、時々うとうと……。
オペラを含めて何回かの演奏会に足を運んでいますが、こういうことはしばしば起きます。
何故か?心地よいからです。睡眠薬よりも10倍贅沢な「うとうと」です。
同行者の1人は「高価なチケット代がもったいない。」という。
もう1人の同行者は「うとうとは自然。ヒーリング音楽には決まったものはない。」という。
どちらも正論ではあるが、マエストロ佐渡裕が下さった「74分?秒の幸福」でした。
* * *
74分で思いだすこと。
まだ開発途上であったカセットテープ、MD、CDの音楽収録時間の基準をどうするか?というメーカーの試案があった。
開発の過程でカセットテープの対角線と同じでDINに適合する(11.5センチ・約60分)を主張するフィリップスに対し、
当時ソニー副社長で声楽家出身の大賀典雄が「オペラ一幕分、あるいはベートーベンの第九が収まる収録時間」(12cm・75分)を主張した。
調査した結果クラシック音楽の95%が75分あれば1枚に収められることからそれを押し通したという伝説めいた話がある。
《ソニーのMD》
さらにカラヤンが「ベートーベンの交響曲第九番を収録できるように」と提言したという伝説もある。
しかし指揮者によって演奏時間は変わり、実際には彼の演奏時間は60数分である。
フルトヴェングラー指揮の交響曲第九番は歴史に残る名演奏とされ、演奏時間もおよそ74分32秒。
同時代のウィーン・フィルとベームやバーンスタインの演奏がそれに匹敵する長さであることから、
これらの演奏がコンパクトディスクの規格になったといわれる。
指揮者によって、演奏時間は異なる。
その面白い例が「小澤征爾」と「村上春樹」との対談のなかにある。(まだ読みかけですので1例だけを。)
バーンスタインがニューヨーク・フィルの演奏会を始める前に、異例のコメントがあった。カーネギー・ホールにて。
「これは本来私がやりたいスタイルの演奏ではない。ミスター・グールドの意思でこうなった。」と。
曲目は「ブラームスのピアノ協奏曲第1番」。
2拍が3拍になるような……。こういうこともあるのですね。
《追記》
23日の15:55からTBSにて「1万人の第九 yell for TOHOKU」が放送されるとのこと。
詩人「和合亮一」&マエストロ「佐渡裕」などなどの共演です。「From OSAKA To SENDAI」です。また逢える♪