この本を読んだのは2回目です。内村剛介さんが大好きなので……。
2度目でも夢中になって読んでしまいました。
内村剛介は、1920年栃木県生まれ。評論家、ロシア文学者。
1934年渡満。1943年満洲国立大学哈爾浜学院卒業。同年関東軍に徴用され、敗戦とともにソ連に抑留される。以後11年間ソ連の監獄、ラーゲリで過ごし、1956年、最後の帰還船にて帰国。
この著書は、辛く苦しい体験を記すということに留まらず、ソ連の文学や歴史を背景として、冷静にソ連のあの(スターリンの)時代を分析されています。そこが凄い。
以下引用。
『当局の審問は判決があったのちもつづく。それは拘禁の全期間にわたる。その審問は精神の糧をも奪い、かくしてついにみずから進んで隷従するところの「奴隷の心性」をつちかうことを目的としている。だから囚人はみずからの精神の糧を守り養い、これを当局に向けざるをえない。この精神の糧をめぐるたたかいはことばにはじまり、ことばに終わる。』
なんと!凄い精神力!
(昭和42年9月20日 三省堂新書3 初版発行)