ふくろう日記・別室

日々の備忘録です。

星の王子さま アントワーヌ・ド・サンテグジュペリ

2012-06-13 17:07:03 | Book


翻訳:池澤夏樹

内藤濯の訳で読んだのは子供が小さい頃だった。
その後、池澤夏樹訳が出ているのが気になってまた読んでみました。
タイトルの「星の王子さま」という訳はお2人とも変わらない。
「Le Petit Prince」だから「小さな王子さま」と訳すところなのに?
その池澤夏樹の解説がおもしろい。

日本語においては、基本的な名前の呼び方は「清水の次郎長」というように、
出所あきらかな呼び名の歴史が長い。「桐壷の更衣」まで例に出されている。
それに倣いて「星の王子さま」となったとか。
つまり「とっても小さな星の王子さま」ということになるのかな?
さらに我流解説しておきますが、「とっても小さな」は「星」のことです。

この本を読みながら、しきりにわたくしの頭をよぎる詩がありました。


   未確認飛行物体  入沢康夫

 
   薬罐だって
   空を飛ばないとはかぎらない。

   水のいっぱい入った薬罐が
   夜ごと、こっそり台所をぬけ出し、
   町の上を、
   心もち身をかしげて、一生けんめいに飛んで行く。

   天の河の下、渡りの雁の列の下、
   人工衛星の弧の下を、
   息せき切って、飛んで、飛んで、
   (でももちろん、そんなに早かないんだ)
   そのあげく、
   砂漠のまん中に一輪咲いた淋しい花、
   大好きなその白い花に、
   水をみんなやって戻って来る

   『春の散歩・1982年・青土社刊』 より



サンテグジュペリはパイロットだった。
彼が3歳の時、ライト兄弟の動力飛行機は成功した。
ここから彼の飛行機への憧れが始まる。
彼は第一次大戦の時代に子供でよかった。飛行機の発明は戦争に加担したから。
戦後、大人になったサンテグジュペリは郵便飛行士になる。
しかし、またまた第二次大戦…フランスはドイツに占領されてサンテグジュペリはアメリカに亡命。
この苦しみのなかから、「星の王子さま」は生まれた。
砂漠に不時着したパイロットも、星々を彷徨い砂漠で出会った王子さまも彼自身ではないのか?

1944年7月31日、たった1人で偵察機に乗って、そのまま帰らぬ人となった。
44歳の若さであった。


(2005年8月・第1刷 2011年6月・第20刷 集英社文庫)

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