エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

#心の端っこでおきていること #受け身で体験したことを能動的に再体験する  #自分から関われるようになる歓び

2017-09-09 00:55:52 | エリクソンの発達臨床心理

 

 

 

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  Identity youth and crisis. p.219. 3行目途中から。

 

 

 

 

 

 自我全体の働きは,もっとも単純な言い方をすれば,受け身であったことを能動的にすることです。すなわち,(発達の途上で)遊び相手たち(の母親など)から押し付けられたいろんなことを,自分で選択したことにする道(方法)で,スクリーンに映し出すことです。これは,心の端っこに当てはまることでして,その心の端っこでは,「それ,イド」として経験したことが,馴染みのあるもの,飼い慣らすことさえできるもの,しかし,精いっぱい楽しめるものになるはずです。すなわち,良心を押しつぶすもののように感じたことが,耐えることのできる,「良い」良心になるんです。受け身であったことを能動的にすることが,はっきりと分かるのは,精神分析の状況下でして,そこでは,マヒした自我が,受け身になっているように見えるかもしれません。私の言い方ですと,防衛的,相手に合わせる働きの中で,自分から関われなくなっているように見えるでしょうね。しかし,「それ,イド」と超自我が(精神分析の場で),自我の協力者になれます。

 

 

 

 

 

 私に言わせたら,サイコセラピーの仕事の半分くらいは,ここでエリクソンが言っていることになりますね。人生は,ひとりびとりが主人公ですから,受け身のままの体験,押し付けられたままの体験は,主人公の体験にできません。自分が選んだ,能動的な体験にしなければなりません。それが,ここで言っている,自我の働き,受け身で体験したことを能動的な体験に変える,ということです。

 残りの半分は,その能動的な体験にしてことを,どのようなヴィジョンの下で,まとめるのか,というのが,私ともサイコセラピストの腕の見せ所になります。

 

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