エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

日本の貧困の根本原因

2015-10-16 03:19:16 | エリクソンの発達臨床心理

 

 日本の貧困の根本原因は何でしょうか? 今晩は、これを考えてみたいと思います。

 識者は、いろいろ言うかもしれません。貧困対策が出来ていないからだ、だとか、生存権が蔑ろにされているからだ、だとか…。私は、そういう意見もそうなのだろうと、反対は致しません。しかし、ことはもっと単純だと思います。人が全うに働いて、たとえ大した贅沢はできなくても、人間らしい暮らしをすることができないからだと思います。それはすなわち、労働政策が貧困だから、日本のあらゆる貧困が導き出されている、と私は考えます。

 特に私の場合、子どもの心理臨床をしてますでしょ。ホントに多くの子どもが寂しい思いを抱えながら、暮らしているのが痛いほど分かります。どこの小学校に行っても、そうですからね。昼休みなどに校庭で遊んでますでしょ。すると、どこの小学校でも、「おじさん、おんぶして」「抱っこして」…。それが次から次でしょ。タッチ、スキンシップが全く足りてません。何故でしょうか? 昔は定時退勤が当たり前だった、市役所の職員でさえも、今は残業残業でしょ。民間企業はもっと残業してますでしょ。すると、お父さん、あ母さんは、なかなかお家に帰れません。それも、子どもが赤ちゃんの時からですからね。子どもはずっと寂しい思いをして生きてきたことになりませんか? 

 これは、法定労働時間を定めた法律を、守っていないからです。抜け道を作っているからです。「法の支配」が出来てないから。私は法定労働時間を守るだけでも、子どもの貧困は相当程度改善すると確信してます。

 また、最近は1人親が多いでしょ、特に母子家庭ですね。女性に対する社会的差別が日本ではまだ相当ありますから、女性が一端正規職員を辞めて、再就職する時には、低賃金の非正規の場合が少なくありませんから、勢い長時間労働になりやすい。子どもとゆっくり過ごす時間が一層取れない感じ。これなども、非正規が賃金・社会保障・福利厚生・休暇取得などの面で、差別されていることが背景をなしてますよね。

 それからついでに、ワークシェアリング。本来の意味は、仕事が1人の労働者が1日半の仕事に相当するとすれば、その仕事が2人分ある時に、2人が超過勤務をせずに、もう一人雇うことを、ワークシェアリングというのです。ですから、北欧などでは、それを超過勤務して仕事をすることは、一人の人が仕事をするチャンスを奪う行為ですから、裏切り行為ということになります。でもね、日本では逆でしょ。長時間労働をすることが、組織への忠誠と勘違いする人が圧倒的に多い。ですから、ワークシェアリングが日本に来ると、賃金を下げる口実になっちゃってますでしょ。企業が労働者に払う労働の対価の総量は変えないか、むしろ、少なくして、それをたくさんの労働者で分けることになっちゃう。ですから、これは、ワークシェアリングじゃぁなくて、ウェイジ・シェアリング(みんなで低賃金)ですね。

 ことほど左様に、自民党の労働政策は、働く者の権利を蔑ろにするものですから、労働する条件を人間らしく整えること、すなわち、長時間労働は止め、法定労働時間を守る、3週間以上の連続休暇を保証する(ILOがそうしなさいと主張)、賃金をまともな生活が出来る程度に上げる、非正規労働者に対す賃金、地位の補償、社会保障、福利厚生、休暇取得などでの差別を撤廃することを実現することが、日本の貧困を相当程度解消するものと確信します。

 

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