エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

#やる気 も #心の響き合い から

2019-11-22 08:26:49 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの
 
#劇的変化 #プロザック #食べ吐き直る
 現世考: #黒柳徹子さん #肝心なことは目に見えない #善い仕事の秘訣  発達トラウマ障害(DTD)のご相談は,こちらへ。agape☆gmail.com  但し,......
 

 

「発達トラウマ障害 Enpedia」  をご参照ください。  
 
 
 ヴァン・デ・コーク教授の  The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『大切にされなかったら、意識できなくても、身体はその傷を覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』 は,翻訳が終わりましたが,印象的な言葉を適宜拾ってみようと思います。 
 
 p.112のブランクから。
 今朝は,p.113の,第3パラグラフ,8行目から。
 
 
 
 
 
安全基地
 
 人間がこの世に生まれたとき,私どもがオギャーと泣くのは,自分がいまここにいることを知らせるためです。誰かがすぐに,オギャーと泣いた私たちに関わってくれてお風呂に入れてくれて,お包みに入れてくれて、お腹を満たしてくれて,中でも1番なのは,お腹や胸のところに持ち上げて肌と肌で触れ合って抱っこしてもらえることです。私ども人間は,根源的に,関係の中で生きる被造物なんですね。つまり,私どもの暮らしは,人類皆兄弟の中に自分の居場所を見付けるものでしょ。私は,かのフランスの精神科医,ピエール・ジャネ大先生の言葉遣いが大好きでしてね。「全ての人生は芸術作品,手に入る全てをピッタリと合わせて一体にした芸術作品です」
 私どもは成長するにつれて,自分をだんだんと大切にするようになります,身体も心も。ですが,自分を大切にする最初の学びは,お母さんから大切にされた経験からです。自分を生きる術を身に着けるのは,赤ちゃんの頃にお母さんたちとしたやり取りをどれだけ心響かせてもらっていたか,にかかっています。親が慰めと元気の基になるなぁ,と当てになる親がいる子どもたちは,一生,生きやすくなります。運命が手渡すかもしれない最悪なことにも対処する緩衝材みたいになるからです。
 ジョン・ボールビーが気付いたのは,子どもたちは顔と声に引き付けられますし,身体の変化,動きのテンポ,芽生えたばかりの動きに,非常にアンテナが高い,ということでしたね。この生まれながらに感度がいいアンテナこそは,進化の賜物であり,人間の赤ちゃんのように弱い被造物が生き延びるのに欠かせない賜物である,ということでしたね。子どもたちも,大人を1人(あるいは,2人か3人)選ぶようにできているんです。その大人と一緒にいれば,その子が生まれもったコミュニケーショクを創造する働きもまた,育つものですね。自分のコミュニケーショク能力を育ててくれる大人を選ぶことが,赤ちゃんが最初にくっ付く絆になります。そのくっ付いた大人がその子にとって,心響けば響くほど,子どもが人と深くくっ付きますし,自分の周りの人に対して,心豊かに響く関わり方を育てるようになります。
 ボールビーはロンドンのリーゼント・パークによく出掛けて行っては、そこで,子どもとそのお母さんのやり取りを順序良く観察しました。お母さんが公園のベンチで静かに座って,編み物をしたり,新聞を読んだりしているときに,子どもは探検に出かけて,時々肩越しに見返して,お母さんがちゃんと自分を見ていてくれるのかを,確かめます。ところが,ご近所さんが1人立ち止まって,お母さんの関心が最近の噂話に移りますと,その子ども等は,お母さんのところに走って戻って,しばらくお母さんの近くに止まり,お母さんが自分のことを気にしていてくれているのかを確かめます。赤ちゃんや小さな子どもは,お母さんがピッタリと息の合った関わりをしてもらえない,と分かると,緊張します。お母さんが視界から消えますと,泣き出して,慰めようがありませんが,お母さんが戻ってくれば,すぐに落ち着いて遊びに戻ります。
 ボールビーは,アタッチメントは,1人の子どもが世の中に出ていく源になる,安心するエネルギー基地だ,とみなしました。その後,50年の研究の結果,確立したのが,安心できるエネルギーが貰える天国を身に着けると,生きている実感を頼りにして生きることができますし,困っている人に対して,心響かせて助ける心の習慣も身に着けることができる、ということでした。ピッタリと一心同体に成る天国の絆を親しくやり取りすることから,子ども等は,自分と同じ気持ちや思いの人もあれば,自分とは違う気持ちや思いの人もいるんだなぁ,ということを身に着けます。言葉を変えれば,子ども等は,環境と周りの人に「音色を合わせる」ようになりますから,自分が生きている実感(訳注:生きるはキリスト,あるいは,成仏)も,人の気持ちが分かることも,気持ちをコントロールすることも,やる気も育てます。
 

 いくら責めても、叱っても,やる気場でないばかりか,やる気を削ぐことになりますでしょ。
 やる気も,心響かせてもらった体験からしか,生まれません。
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