エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

食べられない 一日一膳 子どもの貧困 No.3 

2015-04-06 01:57:56 | エリクソンの発達臨床心理

 

 日本に満足に食べられない子どもがたくさんいる、と言われて、どれほどピンと来る人がいるのでしょうか?

 昨年の9月にクローズアップ現代で、子どもが満足に食べられないことを伝えていましたね。ご覧になった方もあることでしょう。文字通り、「最低限必要な食事がとれない」。

 NPO法人フードバンク山梨。企業や個人から寄付してもらった食糧を、無償で配布している組織です。年間4,000件の家庭に食糧支援をしているそうです。その4割、1,600件が、子どものいる世帯だそうです。その多くは、一人親家庭、母子家庭でしょう。これは、文字通り、日本社会の貧富の差が拡大していることと無関係ではありませんね。フードバンク山梨の調査によれば、調査に協力した300程の世帯の1日の均の食費が329円だったと言うんですからね。1食分の食費じゃないですよ。1日分ですからね。半数は、1日300円にも満たない。こうなると、1日に3食は食べられませんよね。

 生活保護以下の生活レベルの人もいるようですが、生活保護を貰うためには、車や貯蓄を手放さなくてはなりませんから、それができない人は生活保護がもらえません。生活保護制度の硬直性も問題です。

 もう1つ、東京豊島区で、子ども無料食堂を、月に2度行っているNPOが紹介されていましたね。そこに登場した小学校6年の女の子。1日1食だと言います。一日一善ではない。一日一膳。

 その子は、食べられないことが惨めで情けなくて、学校にも行けなかった、と言いますね。でも、月に2度、その子ども無料食堂でお手伝いをして、みんなでご飯を一緒に食べる。一緒に食べるだけじゃなくて、そこでいろんな楽しいことを話したり、やったりする…。テレビに出て来た場面では、自信を回復していることが分かりました。毎日じゃなくても、月に2回、2週間に一度でも、共にご飯をつくり、一緒に食べる、ということが、この子の自己肯定感、セルフエフィカシー、自尊感情、を高めてるんですね。コミュニケーションが、その元々の意味が、「共に食事に与る」という意味であることを考え合わせると、「共に食べる」ことの大切さを感じずにはいられませんね。

 「格差」といわれますが、これは「貧富の差」と言う方が適切ですね。そして、これは、労働に、「正規」と「非正規」の差別があることとも関係しています。また、男女間にも、差別が歴然としてあることとも関係しています。子どもの貧困は、何重もの差別のしわ寄せであることがハッキリしますよね。

 そして、その差別を許しているのが、まぎれもなく、私どもひとりびとりなんですね。

 

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