今晩も、今から7年前、311(2011)を遡って2年前、ヴァン・デ・コーク教授が、2009年に出した、発達トラウマ障害(DTD : defelopmental trauma disorder)をDSM-Ⅴにハッキリと入れてね、という提案書(http://www.traumacenter.org/announcements/DTD_papers_Oct_09.pdf) の8日目。
序章(イントロダクション)の「間違った診断をされちゃうケース」の後。
間違った診断がされちゃうケース その2
赤ちゃんの頃から、母親によって、いろんな形で繰り返し負わされたトラウマに関連する臨床像のある子どもの大多数は、PTSDの診断基準を満たす状況でさえも、そのPTSD(たとえば、図6参照、訳注:この翻訳では割愛)の診断は、一番うまくいった場合でも、臨床上、子ども達の一番目立っている、様々な症状の多くを捉えきれませんし、最悪、間違った治療を招きかねません。PTSD向けの、実証済みの、証拠に基づいた、短期療法をしたって、PTSDの症状とPTSDの診断を減らすことはできても、発達トラウマ障害の子どもの特色となっている、広汎性発達障害を治療することにはなりません。たとえば、この短期療法をしたからと言って、感情をコントロールしたり、行動を調整したりすることはできませんし、愛着に関係するいろんな困難を解消することにはなりません。そればかりか、PTSD短期療法をやり終えても、臨床医等にとっても、患者さんたちにとっても、トラウマを治療しているから、治療しきれずに残った症状は、子どもの生育歴よりも他の要因によるものだ、との印象を残すことになりがちです。こうなると、さらに、トラウマと関係のない診断が付け加わってしまいます。それはADHDだったり、ODD(反抗挑戦性障害)であったり、躁うつ病であったりします。
改めて、アセスメント・診断、見立てがいかに大事なのか分かりますでしょ。PTSDの治療法を、発達トラウマ障害≒愛着障害の子どもにしても、その子どもが、感情をコントロールしたり、行動を調整したりすることはできませんし、愛着に関係するいろんな困難を解消することにはなりません。いま、ニッポンの学校や児童施設でやってることは、これですね。あるいは、繰り返しですが、税金を使って、発達トラウマ障害≒愛着障害の子どもさらに悪化させる虐待です。
この最悪の2つのパターンを解消し、真の意味で、発達トラウマ障害≒愛着障害の子ども達を心理的にも支援していくためには、間違ったアセスメント、診断、見立てを改め、正しいアセスメント、診断、見立てに基づいたセラピーを計画的に、いろんな立場の人が民主主義的に話し合うことによって、進めていくことです。
今現在の、被災地の心理的支援が、なぜうまくいかないのか? をシリーズで考えてきました。最初は、3月19日の、発達トラウマ ― 無知な「専門家」のミスリードでした。その後、思いがけず、アクションに繋がることになりました。不思議ですね。でも良かったと思います。 読者の皆様も、今現在の、被災地の心理的支援が、なぜうまくいかないのか? おおよそ、ご理科頂けたと思います。
そして、その次に、私どもがすべきは、上記の、24ポイントの字を、黄色のマーカーで赤字を塗っている部分です。
ひとつ、どうぞよろしくお願い申し上げます。
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