エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

褒められれば天にも昇り、貶されれば地にすぐ落っこちる、くっつき虫人生

2014-12-19 11:49:03 | エーリッヒ・フロムの真まこと(の行い)

 

 最も愚かしい母親は、子どもを自分の子分か奴隷のように、オーバーコントロールする母親。それはまるでウワバミです。

 

 

 

 

 

 いろんな形の不安神経症が、父親に対する愛着が主たる愛着の場合にもあります。

 良い例は、母親が冷たくて、ツンとした感じの男ですし、父親が(奥さんが冷たいからでもあるのですが)、自分の気持ちと関心を、その息子に集中させちゃう場合です。父親は「良き父親」であると同時に、エバっています。父親が息子のやることに満足するのはいつでも、息子を褒めますし、プレゼントを挙げますし、優しい。逆に、その息子が父親を満足させることができなければいつでも、父親は、息子に関わろうとせず、あるいは、叱りつけます。その息子は、父親か示す優しさが唯一の優しさになりますから、その父親に奴隷のように従属するようになります。その息子の人生における主たる目的は、父親を喜ばせることになります。すなわち、それは、父親が幸せを感し、安心し、満足するようにその息子ができた時です。しかし、その息子が父親を満足させることに躓き、失敗し、やり損ねた時、その息子は、ションボリして、大事にされず、打ち捨てられたようになります。後年そのような男は、同じような形で自分を従属させる父親のような人物を見つけようとするものです。そのような男の人生はおしなべて、褒められれば天にも昇り、貶されれば地に落っこちる、といった連続になります。

 

 

 

 

 

 こういう人物は、非常に多い。これは別に男に限られません。女にもゴロゴロいます。人と「うまくやる」ということは、その自分よりも職階が上の人の「奴隷」になることです。この場合、「奴隷」と言っても、人身売買をすることでは必ずしもない。売り渡してしまうのは、自分の良心ですし、自分自身なんですね。つまり、自分の良心か咎めることでも、「ホントはやりたくないんだけれども」ということでも、その「奴隷持ち」が言うことに、従属してしまうことなんですね。

 日本の組織に属する人は、男でも、女でも、大概、この種の人間だ、と言っても過言でないほどですね。

 その時に大事になるのは、自分との日々の対話、自分と向かい合うことですし、繰り返しのなりますが、オートノミー自律という、幼稚園生の頃に身に着ける心理的特性ですし、人格の独立です。

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 時空を超える黄金律 | トップ | 学問の自由と良心の自由 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿