エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

罠になった、パレーシアの関わり

2014-01-17 05:45:00 | フーコーのパレーシア

 

 親子であっても、社会的立場に上下の差がある場合、パレーシアを用いるためには、パレーシアの権利が必要になるのでしたね。

 

 

 

 

 

 もう一つのパレーシアの関わりは、クリュテムネトスとエレクトラの間に描かれています。クリュテムネトスはエレクトラがものをはっきり言っても、裁かないと約束しました。それはちょうど、『バッカス」の中で、ペンテウスが召使にとった態度と同じです。しかし、『エレクトラ』ではパレーシアの関わりは、壊されました。クリュテムネトスがそれを壊したのではありません。それを壊したのはエレクトラ自身です。エレクトラは、母親に、自由に話しても裁かない、という約束を取り付けましたし、クリュテムネトスもそのような約束をしました。しかも、クリュテムネトス自身、自分が告白したことで、裁かれることになるとも知らずに。というのも、数分後に、クリュテムネトスは子供たち、オレステスとエレクトラとに殺されてしまいます。このようにして、パレーシアの関わりは壊されます。パレーシアの特権が当然と思われた人の演技が過ぎることもなく、パレーシアの権利を当然視した人が、その人によって、有利な立場で、パレーシアを求めることになりました。パレーシアの関わりは、クリュテムネトスにとっては、破壊的な罠になったのでした。

 

 

 

 

  パレーシアの関わりが罠に使われることもあるのですね。   

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