イオンは、アポロ神は願に応えないといいます。なぜなんでしょう?
イオン : アポロは、秘密にしておくべきだと考えていることを明かすことができるでしょうか?
クレウサ : アポロの至聖所は、願掛けするすべてのギリシャ人に開かれているはずよ。
イオン : そうではありません。アポロの栄誉は関係ありません。あなたはアポロの思いを大事にしなくちゃいけません。
クレウサ : アポロの思いの何が犠牲になるというのですか? このことと彼女(クレウサの女友達)と何の関係がありますか?
イオン : この願をあなたに問える人は誰もおりません。アポロが粗相をするのが、まさにアポロ自身の神殿であることがハッキリすれば、あなたの願掛けに応えた人を苦しめることになるでしょう。ご婦人。諦めてください。私どもは、アポロを、アポロの裁判所に訴えてはならないのです。ことを明かしたくない神やら、犠牲の印を与えたくない神やら、驚いている鳥やらに、強要するようなことがあれば、私どもは馬鹿なだけです。神々に逆らって求める目標は、それを手に入れても、いいことはありません。
アポロは沈黙するだろうというイオンは、きわめて率直なことがわかります。ものを言う時に、権力や金や色や名誉心をちらつかせて強いるのは、約束違反なのですね。
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