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■ Every Breath You Take(The Police)の謎

1983年のポリスのヒット曲「Every Breath You Take」、主旋律はわりあい単調なのにどうしてこういう深みのある音になるのか前々から不思議だった。



これに答えを出してくれたのが、ザ・カセットテープ・ミュージックのマキタスポーツ氏 ↓


なんと、ギターのカウンターメロはアドナインス(Add9)の嵐だった。
コード
アドナインスは(セブンス抜きの)四和音のテンションコードで、こいつの連打はほとんど聴いたことがない。
この曲の独特の陰影と浮遊感は、アドナインス(Add9)がもたらしていると思う。

マキタスポーツ氏は韜晦まじりに「余計な音(コード)」とかいっているけど、じつはこういうのが効く。
1980年代の楽曲は「ディテールにこだわっていた」というけれど、この曲はその好例だと思う。

■ 薬師丸ひろ子- Woman "Wの悲劇"より(1984年)

コード
↑ ユーミン屈指の神がかり的コード進行といわれる名曲。
浮遊しまくって、ほとんど地上に降りてこない(笑)
でもって、メジャーかマイナーかさえよくわからない。
理論的にはよくわからんが(笑)、ドミナントが解消されないままさらにドミナントを重ねていく音のイメージで、これにテンションノートと9th(ナインス)が加わってさらに複雑な音世界に・・・。
トライトーン炸裂しまくりの破綻ぎりぎりの不安定なコード進行だが、これを美しくまとめきってしまうところがユーミンの才能だと思う。

最近の曲で気の効いたドミナント(トライトーン)は、たいてい4361丸サ進行(Just The Two of Us進行)かツーファイブ(251)だったりする。
ここ数年、平易なペンタやダイアトニックスケール曲が主流だったから、ここにきてドミナントが新鮮に響き、これは丸サやツーファイブもってくれば安直に対応できるので、期せずして”丸サブーム”になってるのかもしれぬ。

ペンタトニックの代表的なヒット曲 ↓
■ 米津玄師 - パプリカ Kenshi Yonezu - PAPRIKA


Just The Two of Us進行の本家 ↓
■ Grover Washington Jr. - Just the Two of Us (feat. Bill Withers) (Official Lyric Video)



1980年代は意表をついたドミナント曲がたくさんあったけど、意外なほど聴きやすかった。
ドミナント(トライトーン)やノンダイアトニックコードを縦横無尽に使い倒せるこういう才能が、そろそろ出てきてもいいタイミングかも。
(ヒゲダンがそうかもしれぬが・・・)

■ 松原みき - 真夜中のドア〜stay with me

↑ いまやシティ・ポップの代表曲となったこの曲が刺さるポイントは、たぶんイントロの浮遊感とサビのせつなさだと思うが、
イントロはサブドミナント系のB♭maj7からA7→Dm7(たぶんA7がセカンダリードミナント)。
1:00~のサビ(stay with me 真夜中のドアをたたき 帰らないでと泣いた・・・)は、B♭maj7のロングトーンのあとにA7→Dm(たぶんA7がセカンダリードミナント)ときて、Dmルートのクリシェ。
メジャーセブンスを契機に、セカンダリードミナント、クリシェと連打的にかますから、これだけフックばりばりのエモーションが出てくるのだと思う。

やっぱり1980年代前半はメジャーセブンスとドミナントの時代か・・・。


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一昨日、NHK-BSで1985年のPrinceのLIVE放映してた。
やはりもの凄い存在感があった。
コードー譜に拾われていない微妙なコードが随所に仕込まれていて、これがただならぬ深みを創り出しているのでは。

それと、おそらく意図的にか即興的にか、アボイド・ノート(avoid note/音楽理論上使用を避けるべき音)を使っている感じがする。
Princeの創り出す旋律はじつはもの凄く綺麗だけど、これがアボイド・ノートとぶつかって、ならではのインパクトが生み出されるのかも・・・。

■ Prince - Purple Rain (Official Video)


一度でいいから、ザ・カセットテープ・ミュージックでPrinceの特集やってほしい。
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