シャープ & ふらっと

半音上がって半音下がる。 それが楽しい、美しい。
思ったこと、感じたことはナチュラルに。  writer カノン

線香花火

2007-08-25 18:21:17 | 日常から
夏休みもあと一週間。
子供達はともかく、
自分自身はもう、学校とは縁のない歳になっても、
夏休みの終わりは、寂しい気持ちになる。


夏の終りの線香花火。

子供の頃、花火が好きだったけど、
特に線香花火が大好きだった。
大きな音を立てて飛び立つロケット花火より、
最後に残った線香花火にワクワクした。

ジーッ・・という音と、
パチパチ、という音。
これほど、音を言葉で表現できる花火はない。
そして、
どこかせつない思いを残して終わる。


この夏は、
とびきり寂しい夏だった。


花火大会を見に行こう、と約束したのはまだ冬だった。
『浴衣着てくね。私、可愛い浴衣持ってるんだよ。』
夏まで、楽しいお付き合いが続くと信じていた。


海岸で、花火をしようよ。
でも風が強くてダメかな・・。

笑いながら、そう約束したのは、昨年の夏だった。
『そうですね。来年の今頃に、いつもの海岸でしましょうか』


ふたりのひとと、
花火に寄せた思い。
果たせなかった約束。


そして・・

今の私は、線香花火のようだ。
静かに、脆く、せつない気持ち。

今の人には、
華やかな大輪を咲かせるような、派手な花火になってほしくない。

じっと、指先で小さな音を立てて、
ほのかにはじける線香花火であってほしい。