4月下旬、例の病気で内視鏡的バルーン狭窄拡張術というのを受け、その術後の後遺症でCRP定量が一気に上昇しほぼ絶食状態だったのもようやく回復したので、久々に心斎橋のプログレバーに寄ったのだが。
そこで寡黙なマスターが「明日神戸に“カダス”って日本のプログレバンドを見に行くんですよ」と、私に話しかけた時は一瞬耳を疑ってしまった。
まぁ従来私のような中途半端なプログレ趣味の人間には、日本の地下プログレバンドなんぞに興味を示すような習性はビタ一文持ち合わせてはいないのであるが、その心騒がされる“カダス”という不吉なバンド名を耳にして、そのまま聞き流すわけにはいかなかった。
凍てつく荒野の未知なるカダス・・・・・・・
ボストンの夢想家ランドルフ・カーターが、深い眠りの中の国で彷徨い辿りついたという禁断の地。
その計り知れない高みの頂には、インクアノクの石切り場から採石された縞瑪瑙の城塞が築かれており、地球の神々がナイアーラトホテップの庇護の下で居城として棲まっているという。
カダスの所在については諸説あり、恐るべき禁断の魔道書『ネクロノミコン』では中央アジアの高原モンゴル近くに位置するとされ、一方で南極にある未知の山脈(狂気山脈)に位置するという説もある。
かつて奈良の二条大宮に「カダス」というビューティーサロンがあることを知り、現地に駆けつけたら見事スペルが違っていたという苦い過去がある。
なのでマスターに一応スペルを確認したところ、「KADATH」とまさにぴったり符合した。
それでもバーには決定的な資料はなく、意気をそぐマスターの助言や、解読あたわざるほどに古い『ナコト写本』や『フサンの謎の七書』もさして助けにならないことに失望したものの、家に帰ってネットで「KADATH」というキーワードで検索してみると、すぐにプログレバンドKADATHのHPに辿りつくことができた。
http://www.kadath.jp/
そして彼らの1stアルバムのタイトルを見て、私の不吉な予感が見事的中していたことを確信したのであった。
『The Dream Quest of Unknown Kadath』
まんまやなぁ・・・・
朝帰りの翌日、気づいたら私は『ラヴクラフト全集 6』を携え、神戸三宮の地に向かっていた。
そう、未知なるプログレバンド、KADATHを神戸チキンジョージに求めて!
今回のライブは、神戸発のクロスメディアイベント「078Kobe」の一環として行われる、NPOレーベルJPRG RECORDS主催の「ExProg×078」というプログレッシヴロックフェス。
まさにオッサンのオッサンによるオッサンのための音楽祭だ。
これには4グループの日本のプログレバンドが出演参加していた。
私が会場入りしたときは、ちょうどトップバッターのプログレバンドの演目が終演を迎えんとしていた。
その次がお目当てのKADATHの出番であった。
客層は原始神母以上にオッサン率高めで、後から入った私でも中央のテーブル席に座れるくらいの集客であった。
KADATHは山口県出身のインスト主体のプログレバンド。
ただ、MC担当の人のしゃべりは「~あんしたぁ」みたいな長州なまりな感じではなく、普通の関西弁だった。
厳かな雰囲気のSEで演奏がスタートし、私の不埒な期待は大いに膨らんだ。
超弾きまくりのギタリスト菅原氏の、メフィストフェレスを意識したかのようなシアトリカルな衣装から、独特の世界観の持ち主であることを窺わせた。
で、このバンドではイアン・マクドナルド的な役割を担うサラリーマン風の石井氏の存在感にも目が離せないものがあった。
なんとスティックもこなすマルチプレイヤー。時折菅原氏とのポリリズミックな演奏も見られたが、タッピング奏法を活かした高速プレイはなく、わりと地味で微妙な役割だった。
4バンドの中では一番整合感があり演奏もまとまっていて、実にプログレハードな演奏を聴かせてくれた。
実は最近プログレマニアの間でもけっこう話題になってきているのだとか。
ただ、凍てつく荒野の未知なるKADATHというバンド名を冠してる割には、いささかその音楽面において宇宙的恐怖の深淵を感じさせる要素が欠如しているようなもの足りなさを感じた。
そこにはングラネク山で無貌の夜鬼が上空から舞い降りてゴム状の腕でこそばし攻撃を仕掛けてくるような恐怖感や邪悪さはなく、まぁ楽曲的にはロマンティシズムやドラマティック性に重きをおく、どちらかというとドリーム・シアターに近い健全なタイプのテクニカルプログレバンドだ。
物販で2ndアルバム『煉獄楽団』、そしてKADATHステッカーも購入。
残念ながら1stは置いてなかった。どうも再プレスしてないみたい。
まぁ菅原氏が愛読書であるラヴクラフトの小説から「カダス」という名称をただバンド名に拝借しただけで、その暗黒神話の世界を音楽で表現しようとまでは考えてないというのが真相なのかもしれない。
一歩間違えればヴィジュアル系にしか聴こえない歌モノのラスト曲「乾きゆく旅人」の歌詞内容をはじめ、「狐」、「死神」、「鬼」など、ただ日本の和的な名詞を付けただけの曲名を見ても、クトゥルー神話的な要素はほとんど感じられないし、人間椅子やモービッド・エンジェルのように、あまりそういう楽曲のコンセプトや雰囲気作りには重きをおいていない感じがする。
アルバム内容は、全体的にクオリティの高いドラマティックな粒揃いのプログレハードな楽曲が並ぶ。
ただ、クトゥルー好きとしては、せめて「ヘイ!アア=シャンタ!ナイグ!」くらいのフレーズはぶっこんでほしかったかと。
今日の1曲:『死神』/ Kadath
そこで寡黙なマスターが「明日神戸に“カダス”って日本のプログレバンドを見に行くんですよ」と、私に話しかけた時は一瞬耳を疑ってしまった。
まぁ従来私のような中途半端なプログレ趣味の人間には、日本の地下プログレバンドなんぞに興味を示すような習性はビタ一文持ち合わせてはいないのであるが、その心騒がされる“カダス”という不吉なバンド名を耳にして、そのまま聞き流すわけにはいかなかった。
凍てつく荒野の未知なるカダス・・・・・・・
ボストンの夢想家ランドルフ・カーターが、深い眠りの中の国で彷徨い辿りついたという禁断の地。
その計り知れない高みの頂には、インクアノクの石切り場から採石された縞瑪瑙の城塞が築かれており、地球の神々がナイアーラトホテップの庇護の下で居城として棲まっているという。
カダスの所在については諸説あり、恐るべき禁断の魔道書『ネクロノミコン』では中央アジアの高原モンゴル近くに位置するとされ、一方で南極にある未知の山脈(狂気山脈)に位置するという説もある。
かつて奈良の二条大宮に「カダス」というビューティーサロンがあることを知り、現地に駆けつけたら見事スペルが違っていたという苦い過去がある。
なのでマスターに一応スペルを確認したところ、「KADATH」とまさにぴったり符合した。
それでもバーには決定的な資料はなく、意気をそぐマスターの助言や、解読あたわざるほどに古い『ナコト写本』や『フサンの謎の七書』もさして助けにならないことに失望したものの、家に帰ってネットで「KADATH」というキーワードで検索してみると、すぐにプログレバンドKADATHのHPに辿りつくことができた。
http://www.kadath.jp/
そして彼らの1stアルバムのタイトルを見て、私の不吉な予感が見事的中していたことを確信したのであった。
『The Dream Quest of Unknown Kadath』
まんまやなぁ・・・・
朝帰りの翌日、気づいたら私は『ラヴクラフト全集 6』を携え、神戸三宮の地に向かっていた。
そう、未知なるプログレバンド、KADATHを神戸チキンジョージに求めて!
今回のライブは、神戸発のクロスメディアイベント「078Kobe」の一環として行われる、NPOレーベルJPRG RECORDS主催の「ExProg×078」というプログレッシヴロックフェス。
まさにオッサンのオッサンによるオッサンのための音楽祭だ。
これには4グループの日本のプログレバンドが出演参加していた。
私が会場入りしたときは、ちょうどトップバッターのプログレバンドの演目が終演を迎えんとしていた。
その次がお目当てのKADATHの出番であった。
客層は原始神母以上にオッサン率高めで、後から入った私でも中央のテーブル席に座れるくらいの集客であった。
KADATHは山口県出身のインスト主体のプログレバンド。
ただ、MC担当の人のしゃべりは「~あんしたぁ」みたいな長州なまりな感じではなく、普通の関西弁だった。
厳かな雰囲気のSEで演奏がスタートし、私の不埒な期待は大いに膨らんだ。
超弾きまくりのギタリスト菅原氏の、メフィストフェレスを意識したかのようなシアトリカルな衣装から、独特の世界観の持ち主であることを窺わせた。
で、このバンドではイアン・マクドナルド的な役割を担うサラリーマン風の石井氏の存在感にも目が離せないものがあった。
なんとスティックもこなすマルチプレイヤー。時折菅原氏とのポリリズミックな演奏も見られたが、タッピング奏法を活かした高速プレイはなく、わりと地味で微妙な役割だった。
4バンドの中では一番整合感があり演奏もまとまっていて、実にプログレハードな演奏を聴かせてくれた。
実は最近プログレマニアの間でもけっこう話題になってきているのだとか。
ただ、凍てつく荒野の未知なるKADATHというバンド名を冠してる割には、いささかその音楽面において宇宙的恐怖の深淵を感じさせる要素が欠如しているようなもの足りなさを感じた。
そこにはングラネク山で無貌の夜鬼が上空から舞い降りてゴム状の腕でこそばし攻撃を仕掛けてくるような恐怖感や邪悪さはなく、まぁ楽曲的にはロマンティシズムやドラマティック性に重きをおく、どちらかというとドリーム・シアターに近い健全なタイプのテクニカルプログレバンドだ。
物販で2ndアルバム『煉獄楽団』、そしてKADATHステッカーも購入。
残念ながら1stは置いてなかった。どうも再プレスしてないみたい。
まぁ菅原氏が愛読書であるラヴクラフトの小説から「カダス」という名称をただバンド名に拝借しただけで、その暗黒神話の世界を音楽で表現しようとまでは考えてないというのが真相なのかもしれない。
一歩間違えればヴィジュアル系にしか聴こえない歌モノのラスト曲「乾きゆく旅人」の歌詞内容をはじめ、「狐」、「死神」、「鬼」など、ただ日本の和的な名詞を付けただけの曲名を見ても、クトゥルー神話的な要素はほとんど感じられないし、人間椅子やモービッド・エンジェルのように、あまりそういう楽曲のコンセプトや雰囲気作りには重きをおいていない感じがする。
アルバム内容は、全体的にクオリティの高いドラマティックな粒揃いのプログレハードな楽曲が並ぶ。
ただ、クトゥルー好きとしては、せめて「ヘイ!アア=シャンタ!ナイグ!」くらいのフレーズはぶっこんでほしかったかと。
今日の1曲:『死神』/ Kadath
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