谷弘兒氏の『薔薇と拳銃』・・・・
いやぁ~ここ数年来、久々の掘り出し物の稀覯書をゲットできたと、悦に浸っている。
まぁ今回入手したのは、1993年に再編され青林堂から刊行された単行本で、少なすぎる情報をかき集めたところ、おそらくマンガ雑誌『ガロ』に1980年くらいから連載されて単行本オリジナル版は1983年頃に刊行されたかと思われる。
本書の中身の内容とはほとんど関連性がないような幻想的なカバーデザインは、1993年再編されるにあたって谷氏が新たに書き下ろしたものかと思われる。
まずは本編、空想探偵漫画『薔薇と拳銃』。
絢爛豪華な登場人物紹介の扉ページからワクワク胸躍らされた。
「全ての人間は多刑態的に倒錯している。すなわち多くの点で可能的に異常なのである」
という、倫理観なしにしてまことに真理をついたかのような前文句で幕を開けるこの『薔薇と拳銃』、想定以上にエログロナンセンスを極めた異常にしてド変態な世界が展開していて最初はかなりひいた。
画のタッチは、まず諸星大二郎が頭に浮かんだが、そこに漫☆画太郎のようなオゲレツ感が炸裂していて、丸尾末広以上にエログロ描写がストレート。
正直作者の日頃の「頭おかしいんちゃうか?」というくらいの常軌を逸した妄想、その精神構造を疑ってしまう。しかもそれを思いっきり絵で曝け出しているところが凄まじい。
全体の話の流れは、主人公の探偵陰溝蠅兒がひとりの女(畸形淫婦)を悪の組織から救出するために奮闘するハードボイルドヒロイック活劇という体裁をとっているのだが、作者が本作で渾身の力を込めて描いているのは、悪の組織の女城主マダム・キルケが営む秦の始皇帝の阿房宮ばりの淫欲と畸形の宮殿内で行われている変態たちとフリークどもの酒池肉林の図であるとしか思えない。
そういった変態どもの跋扈する宮殿内の仕組みをこと細かく解説してるところがなんとも偏執的で、まぁ本編はいわゆる世にも淫らな変態図鑑といったところか。
どのページ開いてもエログロすぎるので、ここで紹介できるのはこれが精一杯。
谷氏の画は、とにかく青木雄二ばりにスクリントーン使わずの背景がおもしろい。
物語の最初の舞台となる無国籍横丁の退廃的な街並みが細かく描かれていて、壁に貼られているポスターなど、実に読者の目を楽しませてくれる。
で、ガイドブック『本当に恐ろしいクトゥルフ神話』に関連作品として紹介されていた本書であるが、どこにクトゥルー神話要素があるのかと最初薄目がちにサラーっと読んでたのでわからなかったが、このシーンを見逃していた。
女城主マダム・キルケの側近中の側近ソルティ・ブラウン・シュガーが使う必殺技、それが九唐流骸之魅剣(クトウリュウムクロノミケン)だ!!
そしてマダム・キルケの謎めきすぎる正体。
このセリフまわしからして、キルケはおそらくナイアルラトホテップの化身ではないかと。
結局女賊マダム・キルケは捕縛されることなく忽然と姿を消して物語は終わる。
冒頭に「第一部」とあるので、作者はおそらく三部作くらいの壮大な物語を構想していたのであろう。
が、今のところ続編が描かれたという様子も情報もない。
本書には他、5作品の幻想を極めた短編も収録されてて、一度に紹介するのはあれなので、また次回ということで。
今日の1曲:『Mr.Brown Stone』/ Guns 'n' Roses
いやぁ~ここ数年来、久々の掘り出し物の稀覯書をゲットできたと、悦に浸っている。
まぁ今回入手したのは、1993年に再編され青林堂から刊行された単行本で、少なすぎる情報をかき集めたところ、おそらくマンガ雑誌『ガロ』に1980年くらいから連載されて単行本オリジナル版は1983年頃に刊行されたかと思われる。
本書の中身の内容とはほとんど関連性がないような幻想的なカバーデザインは、1993年再編されるにあたって谷氏が新たに書き下ろしたものかと思われる。
まずは本編、空想探偵漫画『薔薇と拳銃』。
絢爛豪華な登場人物紹介の扉ページからワクワク胸躍らされた。
「全ての人間は多刑態的に倒錯している。すなわち多くの点で可能的に異常なのである」
という、倫理観なしにしてまことに真理をついたかのような前文句で幕を開けるこの『薔薇と拳銃』、想定以上にエログロナンセンスを極めた異常にしてド変態な世界が展開していて最初はかなりひいた。
画のタッチは、まず諸星大二郎が頭に浮かんだが、そこに漫☆画太郎のようなオゲレツ感が炸裂していて、丸尾末広以上にエログロ描写がストレート。
正直作者の日頃の「頭おかしいんちゃうか?」というくらいの常軌を逸した妄想、その精神構造を疑ってしまう。しかもそれを思いっきり絵で曝け出しているところが凄まじい。
全体の話の流れは、主人公の探偵陰溝蠅兒がひとりの女(畸形淫婦)を悪の組織から救出するために奮闘するハードボイルドヒロイック活劇という体裁をとっているのだが、作者が本作で渾身の力を込めて描いているのは、悪の組織の女城主マダム・キルケが営む秦の始皇帝の阿房宮ばりの淫欲と畸形の宮殿内で行われている変態たちとフリークどもの酒池肉林の図であるとしか思えない。
そういった変態どもの跋扈する宮殿内の仕組みをこと細かく解説してるところがなんとも偏執的で、まぁ本編はいわゆる世にも淫らな変態図鑑といったところか。
どのページ開いてもエログロすぎるので、ここで紹介できるのはこれが精一杯。
谷氏の画は、とにかく青木雄二ばりにスクリントーン使わずの背景がおもしろい。
物語の最初の舞台となる無国籍横丁の退廃的な街並みが細かく描かれていて、壁に貼られているポスターなど、実に読者の目を楽しませてくれる。
で、ガイドブック『本当に恐ろしいクトゥルフ神話』に関連作品として紹介されていた本書であるが、どこにクトゥルー神話要素があるのかと最初薄目がちにサラーっと読んでたのでわからなかったが、このシーンを見逃していた。
女城主マダム・キルケの側近中の側近ソルティ・ブラウン・シュガーが使う必殺技、それが九唐流骸之魅剣(クトウリュウムクロノミケン)だ!!
そしてマダム・キルケの謎めきすぎる正体。
このセリフまわしからして、キルケはおそらくナイアルラトホテップの化身ではないかと。
結局女賊マダム・キルケは捕縛されることなく忽然と姿を消して物語は終わる。
冒頭に「第一部」とあるので、作者はおそらく三部作くらいの壮大な物語を構想していたのであろう。
が、今のところ続編が描かれたという様子も情報もない。
本書には他、5作品の幻想を極めた短編も収録されてて、一度に紹介するのはあれなので、また次回ということで。
今日の1曲:『Mr.Brown Stone』/ Guns 'n' Roses
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